PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
SAP S/4HANA Cloud移行プロジェクト
テスト工数80%削減効果を生み出す
自動テストでSAP2025年問題をクリア
世界最大級のERPパッケージであり、日本国内でも大手企業を中心に数千社が導入しているといわれている「SAP ERP」。
しかし2025年、既存のSAP ERPシステムのメインストリームサポートを終了すると発表されたことから、SAP ERPを導入している企業が何かしらの対応に迫られる『SAP2025年問題』が業界内で俄然、注目を集めるテーマに。
そこで2020年6月、パソナでは新たに【SAP S/4HANA Cloud Lab】というプロジェクトチームを新設して、この大きな問題に対して「独自の技術と組織」を強みに2021年以降、広範なサービスを展開していくという。
パソナが持つ強みは何か?そして、プロジェクトチーム発足の経緯~今後の展望に関して、発足メンバーの一人から詳しく説明をしてもらった。
INTERVIEW MEMBERS
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- ERP事業部 SAPソリューショングループ
- エンジニア
石積 直也 NAOYA ISHIZUMI
ERPの知識スキルゼロのメンバー多数が集結して発足したプロジェクト。SAPの持つ将来性に魅力を感じてチャレンジ
SAP2025年問題を受けて、2020年6月に発足した【SAP S/4HANA Cloud Lab】。
その目的は、今後約2万人のSAP ERPコンサルタントやSEが不足する中で次世代ERPである「SAP S/4HANA Cloud」へのスムーズな移行を実現すること。そして、このSAP ERP事業を軸に、付加価値の高いサービスを展開していくことでこの社会的課題の解決を目指したという。
発足時、「オープンポジション制度」によって各部署から集められたメンバーは約20名。その多くは「SAP ERPの知識やスキル、経験が一切ない」という状況だった。
【SAP S/4HANA Cloud Lab】発足メンバーの一人である石積直也氏もまた、ERPの知識やスキルがまったくなかったという。
石積氏は2016年新卒でパソナに入社後、Javaによるフロント・バックエンド全般の開発をはじめ、2年半ほどベトナムに在籍し「ブリッジSE」として、顧客とベトナムの開発部隊の間に入って進捗確認やマネジメント等を担ってきたキャリアを持つ。
その彼が、なぜ未知の分野である【SAP S/4HANA Cloud Lab】に参加しようと思ったのか?
石積「これまで、いい意味で一貫性のないキャリアを歩んできたという思いがあります。そして今後の自分の将来を考えたとき、SAP
ERPは大きなビジネスであり、このタイミングでゼロから専門性の高い知識・スキルを身につけるのは大きなメリットがあると判断したことが、参加した大きな理由です。また、会社として社員のSAP ERPスキルの取得はもちろんのこと、英語のレベルアップ等にも積極的に取り組んでおり、初心者には十分すぎるコンテンツが準備されている点からも会社の本気度を感じています」
ベトナムにいる豊富なエンジニアリソースを活かして、
前例のない「SAP自動テストサービス」を創る醍醐味
【SAP S/4HANA Cloud Lab】のプロジェクトチーム構成は、主に東京を拠点にする20名に加え、ベトナムの開発センター数十名。さらにベトナムで自動テストツールを開発するパートナー企業の協力体制からなる。
まず東京のチームに関しては先述したようにSAP ERPに関する知識が浅い若手メンバーが多数在籍していることから、SAPのエキスパート講師を呼んで集中的に研修を実施。
その結果、わずか数ヶ月でSAP認定資格を次々と取得することでチーム力を強化してきた。石積氏もすでに資格を取得しているという。
そして、ベトナムの開発部隊に関しては、すでにパソナの他案件でSAPに関する様々な経験を積んだ優秀なエンジニアが多数在籍している。
加えて、自社サービスであるSAPS/4HANA自動テストサービスの開発や運用においても、これまで様々なプロジェクトでのブリッジSEの経験を活かすことで、新たにSAP
ERPに特化した自動テストサービスを構築できる体制が可能となった。
このように東京・ベトナム双方のチーム体制をベースに以前、石積氏がブリッジSEとしてベトナムで活躍していた時の経験を生かすチャンスがあったという。
石積「ベトナム駐在時、お客様と多くのベトナム開発メンバーの間に立って、業務システム開発のテスト工程に関する進捗管理をしていました。
そして今回、これまでに前例のないSAP ERPに特化した自動テストサービスを創り上げ、ベトナムの開発メンバーと円滑に連携していく必要があることから、ベトナム人ならではの開発スキルや強みを深く理解できた、ブリッジSEの経験が大いに活かせると思いました。その経験によって最適なソリューションに昇華させていくのは、大きなやりがいを感じます」
SAP ERPの自動テストサービスが武器。
ユーザ企業に貢献し、パソナのSAP市場での認知度を高める
SAP ERPからSAP S/4HANA Cloudに移行するためには、既存の業務システムが無事に移行できるかテストする必要がある。特にSAP S/4HANA
Cloudは既存のERPに対してデータベースの構成が一新されるため、特に慎重な移行が求められる。
さらに移行後も定期的にテストや検証業務が発生することから、ユーザーに対してテスト工程においてできる限り工数やコストの負担を減らしたり、ヒューマンエラーの発生率を低減するニーズが生まれる。
そこでパソナが目をつけたのが、業界でもこれまで前例がないSAP ERPに特化した自動テストサービスの開発だ。
- 石積氏
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2020年内までのリリースを目指して現在、佳境段階に入っています。開発段階ではあるものの、自動テストサービス導入による効果として、SAP S/4HANA
Cloud移行時に伴うテスト工数は正直、増えることが予想されています。
しかし移行後の定期的なテスト工数については最大、80%削減できると見込まれており、このサービスを長く使い続けるほど高い効果を発揮できるはずです
このように、まだリリース前段階ながら大きな効果を生み出すことが確認されており、2021年度以降の本格展開に期待が集まる。
今後の目標として石積氏は「自社内でSAPノウハウを蓄積」「国内SAP市場でのパソナの認知度アップ」「SAP周辺システム開発やSAP S/4HANA
Cloud導入支援など、より広範なサービスを展開」を目指すと共に、自らも「SAP ERPコンサルタント」としてキャリアアップしていきたいという。
最後にパソナの魅力を石積氏に伺ったところ「SAPの知識・経験ゼロの私が、このような将来性のある先進的なプロジェクトにチャレンジさせてもらえたこと」だと語る。