5G(第5世代移動通信システム)とは?
5Gに興味はあるが詳しいことはわからない、という方に向けた記事ですので、ぜひご覧ください。
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知識・情報
2020/01/22 UP
- 技術
「5Gの概要が知りたい」
「5Gによって何が変わるのか、いつ導入されるのか知りたい」
ここでは、5Gシステムの概要から必要な技術、今後の予定などについて解説します。具体的には次の順番でお話ししていきます。
・5Gシステムの概要と必要になる背景
・5Gシステムに必要な技術
・5Gシステムの導入で変わること
・5Gシステムの実用化時期
5Gに興味はあるが詳しいことはわからない、という方に向けた記事ですので、ぜひご覧ください。
5Gシステムとは?
5Gシステムは、5th Generation(第5世代移動通信)システムの略称です。まずは、5Gシステムの概要や必要とされる背景を解説します。
5Gシステムの概要
5Gシステムは、次の3つの特徴があります。
1.超高速、大容量通信
2.多数同時接続
3.超低遅延、超高信頼性
超高速、大容量通信は、理論値で最大20Gbpsの通信速度を実現します。従来の4Gは、100Mbps(0.1Gbps)〜1Gbps程度であるため、20倍〜100倍の通信速度を実現できます。
同時接続数は、従来の10万台/平方kmから100万台/平方kmとなり、10倍となります。
通信の遅延も4Gでは10ミリ秒の遅延がありましたが、5Gでは1ミリ秒以下となり、リアルタイム性がより増します。
5Gは「IoTの普及に必須となるインフラ技術」と言われており、4Gまでのような携帯通信の延長線上の技術とは一線を画すものです。
5Gシステムが必要になる背景
5Gシステムが必要になる背景には、次の3つの理由が考えられます。
1.ユーザーのさらなる利便性向上のため
2.ネットワークへ接続する通信機器を大幅に増やすため
3.サービス、システムの多様化のため
5Gになることで通信速度と容量が大幅に増加します。これにより、4Kや8Kといった大容量の超高画質動画の配信も行えるようになります。
また、あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT」の普及も大きな理由の一つです。今までインターネットに繋がっていなかった多くの機器をインターネットに接続するため、ネットワークの新しい性能が必要となるのです。
今までは、リアルタイム性が非常に求められるサービスやシステムにとって、インターネットを介したサービスの提供は難しいものでした。遠隔手術や治療、車の自動運転などが該当します。超低遅延化、超高信頼性によって、4Gで実現できなかった新たなサービスやシステムを実現できるようになります。サービスやシステムの多様化のためにも、5Gシステムが必要とされます。
5Gシステムに必要な技術
5Gシステムを実現するためには、大きく2つの技術が必要です。「高周波数帯の活用」と「超多素子アンテナ」という2つの技術について解説します。
高周波数帯の活用
5Gの実現に必要な周波数帯は数百MHz以上の周波数帯です。しかし、数百MHz〜3GHz程度の周波数帯は、ラジオや携帯電話・スマホなどの無線通信ですでに利用されています。5Gを実現するためには、新たな周波数帯の活用が必要です。
そこで、5Gでは20GHz以上の高周波数帯の利用が検討されています。このような高周波数帯では、「ミリ波」を利用して高速なデータ転送が可能です。ミリ波は波長が短く、電波の直進性が高いという特徴がありますが、湿度の上昇に弱く、遮蔽物で電波が消えてしまうデメリットがあります。
その対策として、遮蔽物の問題を回避するための「無線アクセスバックホール統合伝送」や、「小セル化」が進められています。
小セル化とは、基地局の電波が届く範囲(セル)を小さくし、同じ面積の中に基地局を密に配置することであり、さまざまな通信事業者が取り組んでいるものです。
高周波数帯の活用のために、このような技術が用いられています。
超多素子アンテナ技術
多くのアンテナ素子を利用することで、特定の場所にだけ信号強度を強くするビームフォーミングと呼ばれる技術が実現できます。現在でもMIMO(Multi Input Multi Output)として利用されています。
5Gではさらに多くのアンテナ素子を利用する「Massive MIMO」によって、高速化・大容量化を図るのです。Massive MIMOでは、最大128本のアンテナ素子を利用でき、送信側と受信側で超多数のアンテナ素子を用いることで実現させます。
5Gシステムの導入で何が変わる?
5Gシステムが導入されることにより、私たちの生活はどのように変化するのでしょうか?例を交えつつ、5Gシステム導入で変わることについて解説します。
身の回りのモノがインターネットに繋がる
あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT」によって、身の回りのモノがインターネットに繋がります。IoTにより、私たちの生活はより便利になるのです。
例えば、さまざまなセンサーによって、道路の渋滞情報や工事情報などがリアルタイムに入手できます。車や徒歩で移動する際、最適な経路を自動的かつリアルタイムに提案してくれることでしょう。
ほかにも、迷子を見つけやすくなったり、忘れ物を防止できたりと、今までの生活がより便利になります。
現実世界とネットワーク世界の境界性があいまいになる
現在では、情報を入手するためにパソコンやスマホなどを利用することが多いでしょう。腕時計型やメガネ型などのウェアラブル端末が主流となることで、街中でも手ぶらでさまざまな情報が入手できるようになります。
ARやVRとの組み合わせにより、現実世界でもネットワーク世界と同等の情報が得られるのです。スポーツ観戦でも、選手と同じ目線で観戦することも可能となります。
新たなビジネス市場の開拓
私たちの生活だけでなく、ビジネス市場にも大きな影響を与えます。自動車業界では、自動運転が今後さらに発達し、業界に大きな変革をもたらすことでしょう。リアルタイムな運転制御や交通情報の入手、目的地までの最適なルートの自動検索など、5Gによって実現可能となります。
医療分野でも遠隔手術や遠隔治療が可能となり、地方でも最適な治療を受けることができるようになります。農業分野でも、センサーによる温湿度管理、自動的な農薬散布、ロボットによる自動収穫など、スマート農業が一般的となっていくことでしょう。
5Gは、「IoT」「AI」「ビッグデータ」「ロボット」を組み合わせた第4次産業革命を実現するための基盤となります。5Gシステムの導入により、新たなビジネス市場が開拓されるでしょう。
5Gシステムの実用化の状況
私たちに多くのメリットをもたらす5Gシステムですが、実はすでに海外では実用化されています。海外の5Gの実用化状況と合わせて、日本での実用化時期について紹介します。
すでに海外では実用化されている5Gシステム
世界に先駆けて5Gシステムを実用化した国は「アメリカ」「韓国」「イギリス」の3カ国です。アメリカと韓国は2019年4月から、イギリスでは2019年5月から5Gシステムの提供を開始しています。その他にも、オーストラリアやスイス、フィンランドなどで、すでに5Gシステムが実用化されています。
日本では大手通信3キャリアが5Gのプレサービスや実験を開始
日本では、「NTTドコモ」「KDDI」「ソフトバンク」「楽天モバイル」の4社が、5Gシステムの実用化に名乗りを上げ、必要な電波の周波数割り当てが完了しています。5G特定基地局を開局し、全国へ展開している最中です。
中でも、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIの大手通信3キャリアは、試験的・限定的に5Gのサービスを開始したり、実験を行ったりしています。
たとえば、ソフトバンクは2019年フジロック会場やバスケットボールの大会における5Gのプレサービスを実施しました。NTTドコモは、2019年9月のラグビーワールドカップ開催のタイミングで5Gのプレサービスを開始。大会の会場や、一部のドコモショップでサービスが提供されました。
KDDIはドローンレースのリアルタイム中継(4K映像)や建機の遠隔操作に5Gを活用するといった実験を行ってきました。
まとめ
現在の通信システムを大幅に飛躍させる5Gシステムは、IoTを始めとする次世代技術の普及に必要不可欠なものです。課題は未だ残っていますが、利用者の利便性や生産効率の上昇、新たなビジネス市場の開拓などが望めます。海外ではすでに実用化されており、日本でもプレサービスや各種実験が行われています。
5Gシステムを利用して、新たなインターネットが作る恩恵を最大限に享受しましょう。