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ラズパイとは?実機を使って初期設定の流れと設定後にできることを解説

本記事では、ラズパイの初期設定の一連の流れについて解説しますので、ラズパイをこれから触ってみたいという方はぜひ参考にしてください。

ラズパイとは?実機を使って初期設定の流れと設定後にできることを解説

本記事では、ラズパイの初期設定の一連の流れについて解説しますので、ラズパイをこれから触ってみたいという方はぜひ参考にしてください。

スキルアップ

2023/02/27 UP

ラズパイはIoT機器として電子工作ができるマイコンボードであり、一般的なパソコンのようにOSが利用できます。ラズパイの基板には入出力用のポートが用意されていることが、パソコンとの大きな違いといえるでしょう。本記事では、ラズパイの初期設定の一連の流れについて解説しますので、ラズパイをこれから触ってみたいという方はぜひ参考にしてください。

ラズパイとは

ラズパイ(Raspberry Pi)とは、英ラズベリーパイ財団が作ったマイコンボードのことです。一般的なパソコンと同様にCPUを搭載し、OSを利用できる機能を持ちながらも、1万円以下という低価格で購入できることから人気を集めてきました。最新型のRaspberry Pi 4はRAM容量1GBのモデルは35ドル、2GBのモデルは45ドルで提供されています。

ラズパイの基板には、複数の機能を1つの半導体チップに集積したSoC(System on a chip)が搭載され、CPUコアのARM Cortexやメインメモリなどを格納しています。また有線LANポートや無線LANアンテナ、映像出力に用いるHDMIポート、キーボードやマウスを接続するUSBポートなども搭載しています。

一般的なパソコンとの大きな違いとして、デジタル信号の入出力を行なうGPIOピンを搭載していることが挙げられるでしょう。センサーと接続して温度や湿度などの環境情報を取得し、その情報を通信で外部に送信するといったIoT機器としての利用が可能になります。

ラズパイを動かすには

ラズパイは基板単体で動くものではなく、動かすまでには電源や周辺機器との接続、OSのインストールといった作業を行なう必要があります。ラズパイのOSを立ち上げ、初期設定を完了させるまでの一連の流れを解説します。

用意するもの

ラズパイを動作させるために最低限用意すべきものを紹介します。本記事ではRaspberry Pi 3 Model Bを用いました。

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ラズパイに電源を供給するACアダプターは、片側がコンセントでもう片側がUSB出力タイプのものを用意しましょう。ここで注意すべきはラズパイに接続するUSBの端子と電源の出力電流です。接続できるUSBのタイプはラズパイの型番によって異なりますが、ラズパイ3ではUSB microB、ラズパイ4ではUSB TypeCに対応しています。電源の出力電流は、ラズパイ3は2.5A出力、ラズパイ4は3A出力のものを使用することが推奨されています。

ほかには、OSインストールに用いるmicroSDカード、HDMI接続可能なディスプレイ、ラズパイの操作に用いるためのUSB接続可能なマウスとキーボードも用意しましょう。必須ではありませんが、ラズパイ専用のケースがあると基板の保護になるのでおすすめです。

セットアップまでの流れ

ラズパイに使用できるOSはいくつかありますが、本記事ではラズベリーパイ財団公式のRaspberry Pi OSのセットアップ方法について紹介します。ラズパイにOSをインストールして立ち上げるまでの手順は以下のとおりで、各手順の詳細な内容は後述します。

1.OS書き込みツールであるRaspberry Pi Imagerをパソコンにインストール

2.Raspberry Pi OSをmicroSDカードへインストール

3.microSDカードをラズパイ本体に挿入し、周辺機器を接続する

4.ラズパイに電源ケーブルを接続して電源を立ち上げる

5.ラズパイの初期設定を行なう

手順を見るとわかるように、ラズパイのOSはmicroSDカードに保存されています。そのためカード内の情報を別のカードにコピーし、複数台のラズパイの環境構築を行なったり、バックアップとして保存しておいたりといった活用もできます。

Raspberry Pi OSのインストール

Raspberry Pi OSをインストールするため、microSDカードにOSを書き込みます。OSには複数の種類がありますが、ラズパイのバージョンや利用目的に応じて使用するOSを決めます。

Raspberry Pi Imagerをインストール

Raspberry Pi Imagerとは、Raspberry Pi財団公式のOS書き込みツールであり、このツールを用いてmicroSDカードにOSを書き込みます。ツールにはWindows版、Mac版、Ubuntu版がありますが、使用中のパソコンのOSに応じて選んでください。本記事ではWindows版について説明します。

ラズパイの公式ページからインストーラをダウンロードします。「Download for Windows」のボタンをクリックします。

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ダウンロードしたファイルを開くと、セットアップ画面が表示されます。「Install」ボタンをクリックします。

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筆者の環境でダウンロードは数秒で完了しました。以下の画面になったら「Finish」をクリックしてウィンドウを閉じます。このとき「Run Raspberry Pi Imager」にチェックを入れておくとツールが立ち上がります。

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microSDカードへOSをインストール

Raspberry Pi Imagerを起動すると以下の画面が表示され、使用するOSとストレージを選択できます。

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Raspberry Pi OSにはいくつか種類がありますが、本記事では64bitの通常版を選択します。これまで32bitが主流でしたが、2022年2月に64bit版Raspberry Pi OSが正式リリースされました。ラズパイのハードウェアとしてはRaspberry Pi 3、Pi 4、Zero 2が64bitのOSに対応しており、ラズパイの性能を十分発揮するなら64bitを選択しましょう。

またOSには通常版(記載なし)とLite版の違いもあります。通常版はGUIに対応、Lite版はGUIに非対応となっています。ラズパイの使用目的に応じて決めれば良いですが、Lite版だと用途が限られてしまいます。初めて使用する方はGUIに対応した通常版を選ぶとよいでしょう。

ウィンドウの「OSを選ぶ」をクリックすると、使用できるOSが表示されます。

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最初の画面では32bit版のRaspberry Pi OSしか表示されていませんが、「Raspberry Pi OS(other)」をクリックすると以下のように他のバージョンも選べるようになります。「Raspberry Pi OS(64-bit)」をクリックしましょう。OSを選択すると最初の画面に戻ります。

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次にストレージを選択しますが、ここで一つ注意点があります。誤ったストレージを選択してOSの書き込みを進めてしまうと、ストレージのデータが消去されてしまいます。使用しないストレージはなるべくパソコンから外した状態で作業を進めてください。

microSDカードが接続されていることを確認し、「ストレージを選ぶ」をクリックします。以下のようにパソコンに接続しているストレージが表示されるので、接続したmicroSDカードを選択してクリックします。

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以下のように選択したOSとストレージの名称が表示されます。次に「書き込む」をクリックします。

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ストレージのデータ削除に関する注意書きが表示されるので、「はい」をクリックします。

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書き込みが正常に完了すると以下のウィンドウが表示されるので、「続ける」をクリックしてウィンドウを閉じます。なお筆者の環境では約8分で書き込みが完了しました。

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ラズパイ本体の接続と起動

次にラズパイのハードウェアのセットアップ方法を解説します。OSを書き込んだmicroSDカードをラズパイ本体に差し込み、電源立ち上げを行ないます。

microSDの挿入と周辺機器の接続

Raspberry Pi OSをインストールしたmicroSDカードを本体裏にあるスロット(写真の右側)に挿入します。

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次にディスプレイと接続するためのHDMIケーブル、マウスやキーボードと接続するためのUSBケーブルを接続します。有線LANを使用する場合はLANケーブルも接続してください。なお以下の写真では接続しておらず、筆者の環境ではラズパイを無線LAN接続することにしました。電源ケーブルを接続するとすぐにラズパイが起動するため、最後に接続します。

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電源を接続して起動

ラズパイの電源ケーブルはUSB端子に接続しますが、電力消費が大きいためパソコンのUSBポートではなくコンセントから電源を供給します。ラズパイに必要な電力は、ラズパイ自体の動作状態やUSB接続している機器の消費電力などで変わります。

最大限の能力を引き出したい場合は公式が推奨する電源を用意しましょう。ラズパイ3は2.5A出力、ラズパイ4は3A出力の電源が推奨されており、能力不足の電源を使用すると動作が不安定になる恐れがあります。

ラズパイに電源を投入するときは付近に金属製のものがないか注意してください。基板上の部品や端子がショートして破損する恐れがあります。ラズパイ専用のケースがあれば装着しておくと安心です。USBケーブルを接続するとラズパイに電源が供給され、基板上のLEDが点灯します。

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ラズパイの初期設定

ラズパイの電源が立ち上がると、接続したディスプレイに初期セットアップ画面が立ち上がります。「Next」をクリックします。

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国や言語、タイムゾーンの設定を行ないます。「Japan」を選択すれば言語は「Japanese」、タイムゾーンは「Tokyo」が自動的に設定されるので、問題なければ「Next」をクリックします。

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ユーザーネームとパスワードを入力します。ここで設定したユーザーネームの名前が付いたフォルダがhomeの直下に作成されます。ちなみに、かつては「pi」がデフォルトのユーザー名となっていました。それを前提として書かれた解説記事が多くあるので注意してください。こだわりがなければユーザーネームを「pi」にしておくのもよいでしょう。入力が終われば「Next」をクリックします。

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ディスプレイの設定を行ないます。ラズパイとディスプレイの画面設定が合っておらず端が切れている場合などは、ボタンをクリックすると自動調整します。完了したら「Next」をクリックしてください。

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Wi-Fiネットワークの設定をします。下図の黒塗りの部分にネットワーク名が表示されており、接続したい名前をクリックします。Wi-Fiのパスワード入力画面が表示されるので、入力が完了したら「Next」をクリックします。なお、Wi-Fiを使用しない場合は「Skip」をクリックして次に進みましょう。

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ネットワークに接続してソフトウェアのアップデートができます。必須ではありませんが、アップデートしたければ「Next」を、必要なければ「Skip」をクリックしてください。

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ソフトウェアのアップデートが完了、もしくはスキップすると、以下の完了画面が表示されます。「Restart」をクリックすると再起動を行ないます。

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再起動後にRaspberry Pi OSのデスクトップ画面が表示されれば、ラズパイの初期設定は完了です。

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ラズパイでできること

OSを搭載しているラズパイは初期状態でもさまざまな機能が使用できます。センサーなどと組み合わせることでIoT機器としての利用も可能です。ここではいくつかの使用例を紹介します。

インストール済みソフトウェアの利用

Raspberry Pi OSは初期状態でインストール済みのソフトウェアがあります。画面左上にアイコンが並んでいますが、一番左のアイコンをクリックするとメニューが表示されます。

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メニューの「プログラミング」⇒「Thonny Python IDE」をクリックすると、Pythonの統合開発環境を利用できます。1行ごとに入力して実行するシェルモードの利用や、プログラムをファイルに保存してまとめて実行できます。

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WebブラウザのChromiumもインストール済みです。Chromiumはオープンソースとして公開されており、Google Chromeの元となったWebブラウザです。メニューの「インターネット」⇒「Chromiumウェブ・ブラウザ」をクリックすると開けます。

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またメニューの「設定」⇒「Recommended Software」を開くと、ソフトウェアのインストールが可能です。例として「LibreOffice」を選択してインストールしました。

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インストールに成功すると、以下のようにメニュー画面のなかから選択できるようになりました。

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IoT機器として利用

ラズパイのハードウェアに搭載されているGPIO(汎用入出力)ピンを制御するプログラムを作成すれば、ラズパイをIoT機器として利用できます。GPIOピンに接続したセンサーから周囲の環境情報の取得、LEDを接続して光らせる、モーターを接続して動かすなどが可能です。

ラズパイの通信機能と連携し、センサーで取得したデータを外部に送信することもできます。数年前から、農業の分野でラズパイなどのマイコンボードの活用が増えてきました。センサーを用いて温度や湿度、二酸化炭素濃度などのデータを自動計測したり、最適な環境が保たれるよう制御したりして作業時間の短縮や農業の効率化につなげています。

OS搭載のラズパイは安価でも高性能なマイコンボード

ラズパイはCPUコア、USB、有線/無線LAN、HDMI、GPIOピンなどを搭載したマイコンボードです。Raspberry Pi OSを書き込んだmicroSDをラズパイ本体に挿入して起動します。最初からインストール済みのソフトウェアもありますし、必要に応じてあとから追加することもできます。

通常のパソコンとの大きな違いは、ラズパイ本体のGPIOピンを利用してセンサーやモーターを接続し、IoT機器として使用できることです。さまざまな分野においてIoT機器として活用されているので、興味のある方は触ってみてはいかがでしょうか。