Arduinoはどう動かす?初期設定の流れと電子工作の取り組み方を解説
本記事ではArduinoの初期設定の流れと、作品づくりへの取り組み方について解説しますので、Arduinoや電子工作に興味のある方は参考にしてください。
本記事ではArduinoの初期設定の流れと、作品づくりへの取り組み方について解説しますので、Arduinoや電子工作に興味のある方は参考にしてください。
知識・情報
2022/09/22 UP
- 技術
Arduinoは電子工作の初心者におすすめのマイコンボードです。マイコンと呼ばれる小型のコンピュータを搭載しており、センサーやLED、モーターなどを制御できます。本記事ではArduinoの初期設定の流れと、作品づくりへの取り組み方について解説しますので、Arduinoや電子工作に興味のある方は参考にしてください。
Arduinoとは
Arduinoとは、2005年にイタリアで生まれたマイコンボードのことです。電子工作やロボット制御を学ぶ学生に向けて、安価なボードを提供することを目指し開発されました。マイコンや入出力ポートを載せた電子基板と、専用のIDE(統合開発環境)で構成されたセットとして提供されています。設計情報はオープンソースとして公開され、複製品を製造したり設計を改変したりすることが可能です。
基板にはAtmel AVRマイコンを搭載し、RAMメモリやストレージもマイコンに内蔵されています。アナログ/デジタルの入出力ポートが備えられ、さまざまなセンサー、LEDやモーターなどのアクチュエータを接続することも可能。統合開発環境のArduino IDEを用いてマイコンを動作させるプログラムを作成し、自分の思い通りの動作を実現できます。
Arduinoはシンプルかつ安価でありながら拡張性が高いため、初心者でも電子工作に取り組みやすく、多くのユーザーを惹きつけてきました。世界中にArduinoのコミュニティがあり、さまざまな議論やアイデアが生まれています。インターネット上ではArduinoを用いた設計情報がいくつも公開されており、それらのアイデアを自分の作品に取り入れることもできるでしょう。
Arduinoを動かすには
Arduinoには複数の種類があるため、自分が作りたい作品に合わせて選ぶ必要があります。Arduinoの選び方のヒントと、Arduinoを動かすために必要なものを解説します。
Arduinoの種類について
Arduinoのマイコンボードは複数のモデルが発売されており、それぞれ大きさや性能が異なります。自分の作りたい作品の目的や仕様に合わせて選定しなければなりません。今の段階では具体的に作りたいものがないという方や、初心者でとりあえず動かしてみたいという方にはArduino UNO R3がおすすめです。Arduinoボードのなかでも基本的なモデルであり、Arduinoで実現できる一通りの機能を試すことができます。
Arduino UNOよりも高性能なモデルが必要であれば、基板面積は大きくなるものの、搭載メモリ量が大きく入出力ピンの数も多いArduino MegaやArduino Dueがおすすめです。基板面積が小さいものを選びたいなら、入出力の端子であるピンソケットを除外して小型にしたArduino MiniやArduino Nanoがよいでしょう。ただしピンソケットが除外されているため、センサーなどを接続する場合は自分ではんだ付けしなければなりません。
ほかには、通信機能を持つArduino Ethernetや、服などに縫い付けられる円形のArduino LilyPadなど、全部で約20種類のラインナップがあります。
用意するもの
Arduinoを動かすために用意すべきものを紹介します。最低限必要になるのはArduino本体とパソコン、Arduinoとパソコンを接続するUSBケーブルの3つです。まず本体ですが、本記事では基本的なモデルであるArduino UNO R3を用いて説明します。Arduino UNO R3に接続するUSBケーブルはType-B端子のものを用意しましょう。
Arduinoをパソコンと接続すると、通信によるプログラムの書き込みとパソコンからの電源供給ができるようになります。この状態でも動作確認はできますが、Arduinoをパソコンと切り離して使いたい場合は、コンセントなどから電源供給できるケーブルを用意しましょう。電源を供給すれば、パソコンなしでもArduinoボード上のマイコンに書き込まれているプログラムが自動的に実行されます。
ただしArduino単体だけでは、せいぜい基板上のLEDを点滅させるような動作しかできません。Arduinoの本領を発揮してさまざまな処理を実現するには、センサーやモーター、各種電子部品などを接続する必要があります。自分が作りたい作品に必要な部品も合わせて準備しましょう。
Arduinoのセットアップ
Arduinoを立ち上げて動作確認するまでの一連の流れを解説します。動作確認ではArduinoボード上にあるLEDの点滅を行ないます。
Arduino IDEをインストール
Arduinoの公式ページから、統合開発環境であるArduino IDEをインストールします。IDEはWindows/Mac/Linuxに対応しており、ご自身のパソコンのOSに合わせて選定してください。本記事ではWindows版をインストールした場合について説明します。
DOWNLOAD OPTIONSから「Windows Win 7 and newer」をクリックします。寄付の依頼のページに移りますが、寄付は必須ではありません。「JUST DOWNLOAD」をクリックするとダウンロードを開始します。
インストーラーであるexeファイルのダウンロードが完了したら、ファイルを開きます。ライセンス契約に関する説明書きが表示されるので「I Agree」をクリックします。
インストールのオプションを選択します。デフォルトではすべてにチェックが入った状態ですが、このまま続けて問題ありません。「Next」を押すと次の画面に移ります。
インストールするフォルダを選んだら「Install」を押します。左下に必要となる容量と現在の空き容量が表示されるので、十分な容量があるか確認しておきましょう。
筆者の環境では、約1分程度でインストールが完了しました。完了したら「Close」を押してセットアップ画面を閉じます。
先ほどインストール場所として選択したフォルダに「arduino.exe」がインストールされています。ファイルを開くとArduino IDEが立ち上がります。
以下のような画面が表示されればインストールは完了です。
Arduinoとパソコンを接続し動作確認
ArduinoとパソコンをUSBケーブルで接続すると電源が投入されます。
次にArduino IDEを開いた状態で、「ツール」⇒「シリアルポート」を選択し、Arduinoを接続したUSBのポートを指定します。接続したArduinoのモデル名が表示されていることを確認してください。
今回は動作確認として、Arduinoの基板上にあるLEDを点滅させるサンプルプログラムを動かします。なお、Arduinoではプログラムのことを「スケッチ」と呼びます。Arduino IDEのウィンドウから、「ファイル」⇒「スケッチ例」⇒「01.Basics」⇒「Blink」と選択してください。以下のようにBlinkのサンプルスケッチを開きます。
サンプルスケッチのコードには修正を加えず、そのままArduinoの基板上のマイコンに書き込みます。ウィンドウ上部に並んだアイコンのうち、左から2番目の「マイコンボードに書き込む」のアイコンをクリックしてください。コンパイルが実行され、問題なければサンプルスケッチをマイコンボードに書き込みます。
Arduinoの基板上の「L」と記載された箇所にある、オレンジのLEDが点滅しているはずです。これで動作確認は完了しました。
ここでBlinkスケッチの中身について簡単に説明します。上から順に、スケッチの説明のコメント、setup関数、loop関数が並んでいます。
setup関数はスケッチの実行時に初回のみ実行される関数で、初期設定の内容などを記載することが多いです。Blinkのスケッチでは点灯させるLEDを接続した出力ピンを設定しています。loop関数は繰り返し実行される内容を記載しており、BlinkのスケッチではLEDのオンオフや待ち時間が設定されています。
待ち時間はdelay関数を用いて設定されており、「delay(1000)」の括弧にある数字を変更するとLEDのオンオフの時間が変更できます。単位はmsであるため、初期値の1000は1秒を表します。この数字を変えてみると、基板上のLEDの点滅時間が変わることが確認できるでしょう。
ちなみにArduinoの基板からUSBケーブルを抜くと電源が供給されなくなるため、動作が停止してしまいます。基板にはUSB以外にも電源コネクタが用意されており、別途電源を用意すればコンセントから直接電源が供給されるのでパソコンと接続する必要はありません。
すでに基板上のマイコンにスケッチが書き込まれた状態なので、電源を供給するとすぐにスケッチを実行してLEDの点滅が始まります。
Arduinoで電子工作をするには
Arduinoの動作確認は完了しましたが、これからどうやってArduinoを活用していけば良いかわからない人もいるでしょう。Arduinoによる作品のヒントになる情報について説明します。
Arduinoユーザーの公開記事を参考に作成
Arduinoは電子工作を趣味としている個人ファンが多く存在し、インターネット上にも多くの情報があります。なかには使用した電子部品や回路構成、スケッチなどをすべて公開している人もいます。自分で実際に作ってみたいものがあるときは、同様のものを作成している例があるか調べてみるとよいでしょう。
まったくアイデアが思いつかないという人でも、人の作品を見ると刺激を受けてさまざまなアイデアが出てくることもあります。最初から自分の作りたいものを作れなくても構いません。人の作品のコピーから始めて、徐々に知識をつけたら自分の作りたいオリジナル作品に挑戦してみましょう。
スケッチ例を活用して作成
先ほどのArduinoの動作確認においてLEDを点滅させるサンプルスケッチを使用しましたが、他にも参考になるスケッチ例が複数用意されています。Arduinoに接続したセンサー値の入力の確認や、スピーカーをつなげて音を鳴らすなどができるスケッチもあります。スケッチの書き方に迷うときの手掛かりにできるでしょう。
サンプルスケッチにはコメントで使い方が記されていますが、初心者の方は中身を見ても理解することが難しいかもしれません。インターネットで検索するとサンプルスケッチの説明を載せてあるWebサイトもあるので参考にするとよいでしょう。
シールド基板を活用して機能を拡張
Arduinoの基板のピンソケットに直接接続し、ハードウェアとしてさまざまな機能を追加できるシールド基板と呼ばれるものがあります。シールド基板には多くの種類がありますが、目的に応じた電子部品が基板上に取り付けられた状態で販売されています。自分で回路を設計したり、電子部品を個別に購入してはんだ付けしたりなどの手間が省けるので、積極的に探してみるとよいでしょう。
シールド基板の例を挙げると、文字表示ができるLCDを載せたもの、有線または無線の通信機能を持たせたもの、複数のモーター駆動を可能にするものなどがあります。また自分で好きな部品を載せられるように、あえて部品を搭載していない基板単体のみで売られているものもあります。シールド基板を用いると追加した電子回路をコンパクトにまとめられる点もメリットです。
Arduinoは電子工作を身近にするマイコンボード
Arduinoはマイコンと入出力ポートを搭載したマイコンボードと、プログラミングに用いる統合開発環境のセットです。マイコンボードを購入して統合開発環境をインストールすると、あとは電源を投入すればすぐに動かせる状態になります。センサーやLED、モーターなどを接続し、自分でスケッチを作成して電子工作の作品を作ることができます。
Arduinoは電子工作の初心者からプロまで幅広く利用しており、インターネット上で多くのユーザーの作品例が公開されています。拡張性も高く、シールド基板を用いればさまざまな機能を追加できます。他の人の作品を参考にしつつ、まずは自分の作りたい作品のアイデアを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。