ライトニングトークのコツは?魅力的なプレゼンの組み立て方法
この記事では、ライトニングトークで要点をわかりやすく伝えるための4つのコツをお伝えします。
この記事では、ライトニングトークで要点をわかりやすく伝えるための4つのコツをお伝えします。
知識・情報
2022/06/24 UP
- 技術
提案やカンファレンス、勉強会、イベント登壇など、ITエンジニアにもプレゼンテーションの機会が意外にあります。昨今は、3〜5分程度で発表する「ライトニングトーク(Lightning Talks、LT)」を求められることも増えたのではないでしょうか。
簡潔で意義あるライトニングトークを行なうには、スキルが必要です。この記事では、ライトニングトークで要点をわかりやすく伝えるための4つのコツをお伝えします。
ライトニングトーク初心者が陥りがちな3つの失敗
ライトニングトークは、IT業界のカンファレンスや勉強会などでよく実施されているプレゼンテーションのスタイルです。Mark Jason Dominus氏が考案し、日本では、2000年代初頭から広がり始めました。
特段のルールがあるわけではありませんが、ライトニング(Lightning:稲妻、電光石火)の名のとおり、発表者は3〜5分程度の持ち時間でプレゼンテーションを行なうのが一般的です。
発表者は「時間内に」「わかりやすく」内容を聴衆に伝えることが求められますが、「時間切れになってしまった」「中身の薄いプレゼンテーションになってしまった」といった失敗経験をもつ人も多いのではないでしょうか。
ライトニングトーク初心者が陥りがちな失敗の類型としては、次の3つが挙げられます。
伝えている事柄が要領を得ない
ライトニングトークを含めて、プレゼンテーションは、聴衆に内容理解と具体的行動を促すために行なうものです。聴衆が「自分はいったい何の話を聞かされているのだろう」と感じた場合、それはプレゼンテーションにおける最大の失敗といえるでしょう。
ライトニングトークでこの失敗が起こるおもな原因には、「発表者自身が伝えたいことを絞り込めていない」「スライドに情報を詰め込みすぎている」があります。
成功するライトニングトークのポイントの1つ目に、「簡潔」を覚えておいてください。
つまらない
聴衆が「自分はなぜこの話を聞かされているのだろう」と感じることもまた、プレゼンテーションの失敗です。
聴衆には、発表者がプレゼン内容に込めている価値がそのまま伝播します。価値は、言い換えれば熱量です。プレゼンテーマに対して深い理解やビジョンがあれば、おのずと内容は具体的になり、話しぶりに熱が宿ります。
「内容にオリジナリティーや具体性がない」「声のトーン、表情、身振りに抑揚がない」場合、聴衆はそこから発表者の熱意のなさを汲み取ります。発表者自身が価値を感じていないプレゼンテーションに、聴衆が意義を見出すことはないでしょう。
成功するライトニングトークのポイントの2つ目は、「熱量」です。
時間オーバー
電光石火のごとく、熱量あるプレゼンテーションを簡潔に行なうライトニングトークでは、「持ち時間遵守」も場を盛り上げる重要なポイントです。
ライトニングトークで時間オーバーを引き起こす発表者には、「練習不足」と「発表時間に対する自己紹介の長さ」が見られます。
3〜5分で意義ある内容を伝えるのは、思いのほか難しいものです。ライトニングトーク初心者が「短時間のプレゼンテーションだから」と、練習不足で本番に臨むのは危険です。また、ライトニングトークでは、自己紹介は1分程度に抑えて、本編に時間を割きましょう。
ライトニングトークのコツ(1)ゴールからメッセージを逆算する
ライトニングトークでは、「簡潔」に「熱量」をもって「持ち時間遵守」で内容を聴衆に伝えることが肝要です。
そのために、まずはメッセージを明確化しましょう。
プレゼンテーションの目的は、聴衆に行動変容をもたらすことです。「誰に」「どうなってほしいか」を明確にすることで、おのずとライトニングトークで伝えるメッセージが定まります。
聴衆の層を把握する
相手がクライアントなのか、社内のエンジニアなのか、社外の同業者なのかによって、同じテーマでも目指す着地点(ゴール)が異なるのが、プレゼンテーションです。
自分が「誰に」向けて伝えるのか、分析・把握しましょう。同じ社内でも、エンジニアと営業では、保有している前提知識やニーズ、思考回路が異なるため、とくに初心者のうちは、可能な限り聴衆の層を具体化することをおすすめします。
聴衆に期待する行動変容から、「伝えること」を逆算する
聴衆の層が定まったら、聴衆に期待する行動変容(どうなってほしいか、何をしてほしいか)を言語化していきます。これが、ライトニングトークでのゴールとなります。
しかし、「◯◯しましょう」(WHAT)を呼びかけるだけでは、聴衆はなかなか動きません。その奥にある「なぜ◯◯した方が良いのか」(WHY)のメリットや、「どのように◯◯したら良いのか」(HOW)の具体性こそが、聴衆が行動を起こすフックになります。
ライトニングトークで行動変容(WHAT)につながるメッセージとして伝えるべきことは、「WHY(なぜ)」と「HOW(どのように)」です。
聴衆の印象に残るように、メッセージは最大3つ程度(核となるメッセージは1つ)に絞り込むとよいでしょう。
ライトニングトークのコツ(2)メッセージを効果的に伝える「話題」と「展開」を決める
時間が限られているライトニングトークでは、冒頭すぐの段階で、聴衆にプレゼンテーションを聴く意義を見出してもらう、つまり「私のことだ」と当事者意識をもってもらうことが重要です。
聴衆は、発表者が用いる話題や言葉に納得感を得られると、プレゼンテーションで発されるメッセージを受け入れやすくなります。
発表者の「立ち位置」を明確にする
聴衆は、「なぜこの発表者がこのメッセージを発するのか」を納得できないと、プレゼンテーションを聴く意義を見出せません。
立ち位置は、所属や肩書きに限りません。成功、失敗、先駆者、初心者といったトークテーマに対する発表者のスタンスもまた、立ち位置の一つです。
立ち位置を明確にすると、取り上げる話題や、メッセージを発する角度(教える、依頼、披露など)が決まってきます。
聴衆の心をつかむ「共通の話題」を見つける
共通の話題は、発表者と聴衆が「わかち合えるもの」として接点になりやすく、ライトニングトーク冒頭での問題提起(WHYの呼びかけ)や、発表者の立ち位置の提示にも効果的です。アニメや漫画、映画などの1コマを引用するのもおすすめです。
ただし、いくらインパクトがある話題でも、ライトニングトークで取り上げる必然性がなければ、文字どおり「時間の無駄」になるため、注意してください。話題選定の際は、なぜこの話題を取り上げるのか、このあとのプレゼンテーションの展開にどのように結びつくのかを考慮しましょう。
聴衆が納得できる「話の展開」を組立る
ここまで、ライトニングトークのゴールとメッセージ、発表者の立ち位置、聴衆の心をつかむ糸口を整理してきました。
あとは、これらの要素をプレゼンテーションとして組み立てていく作業となります。ライトニングトーク初心者は、例えば、次のプレゼンテーションの基本フォーマットに沿って構成すると、失敗のリスクを減らせます。
・PREP法:結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)で展開し、聴衆に理論的に行動変容を促す
・SDS法:要点(Summary)→詳細(Details)→要点(Summary)で展開し、聴衆にテーマに対する理解を深めてもらう
・DESC法:描写(Describe)→説明(Explain)→提案(Specify)→選択(Choose)で展開し、聴衆に情緒的に行動変容を促す
発表者の立ち位置の明確化として自己紹介を入れる際は、自己紹介に割く時間は1分程度に留め、本編を圧迫しないようにします。
ライトニングトークのコツ(3)スライドはシンプルに
ライトニングトークのメインは、口頭プレゼンテーションです。スライドは、プレゼンテーションを効果的に見せるための補助ツールと位置付けましょう。スライドでメッセージを伝えようすると情報過多になり、聴衆は「聴く」よりも「読む」に集中してしまいます。
目安としては、ライトニングトークのスライド枚数は1分1枚、スライドに入れるテキストは1枚1センテンスです。
情報量をミニマム化した大量のスライドをスピーディーにめくっていくフラッシュプレゼンテーションは、淀みのない口頭プレゼンテーションと合わさってこそ魅力が発揮される手法のため、ライトニングトーク初心者にはおすすめしません。
ライトニングトークのコツ(4)自信をつけるには、練習するしかない
ライトニングトークは、いくら内容が充実したプレゼンテーションであっても、時間をオーバーするだけで「失敗」と評価されてしまう可能性があります。時間配分の調整や話すスピードなどは、本番に即した練習で詰めていくしかありません。
また、上述のとおり、声のトーンや表情、身振りに抑揚がないプレゼンテーションは、聴衆に「熱意がない」「つまらない」と評価されるリスクがあります。練習風景を撮影して振り返ると、改善点が見つかり、自信向上につながるでしょう。
ライトニングトークは繰り返し練習して自信をつけていこう
ライトニングトークは、3〜5分程度という短時間でエッセンスを伝えるプレゼンテーション手法です。通常のプレゼンテーションよりも、内容や構成、話し方、時間配分などの精度を高める必要があります。
ライトニングトークのスキルは一朝一夕で上達するものではありません。上手な人の分析や実践を繰り返して、ブラッシュアップしていきましょう。