スマート農業とは?農業×IT技術がもたらす効果と課題、事例を紹介
この記事では、スマート農業の概要からメリット、課題について解説し、実際の事例まで紹介します。
この記事では、スマート農業の概要からメリット、課題について解説し、実際の事例まで紹介します。
知識・情報
2022/07/08 UP
- 技術
ICTの活用は業界や業種を問わず進められており、農業においても最新ICTの活用が進められています。その代表的な例が“スマート農業”であり、ICTを活用した農業の新しい形として注目を集めています。このスマート農業はさまざまなメリットが得られる反面、いくつかの課題も存在することをご存知でしょうか。
この記事では、スマート農業の概要からメリット、課題について解説し、実際の事例まで紹介します。
スマート農業とは
スマート農業とは、ロボット技術やICTを活用して省力化や生産性向上を目的とした新しい農業の形です。海外でもスマート農業の導入は進んでおり、Smart AgricultureやAgTechなどと呼ばれています。
一見すると農業×ICTは組み合わせることが難しく感じますがそんな事はありません。日本では農林水産省がスマート農業を推進しています。ロボット技術・AI・IoTなどの先端技術を活用したスマート農業の情報を多く公開しているため、一度見てみてはいかがでしょうか。事例については後ほど紹介しますので、そちらもご覧ください。
スマート農業は従来の農業が抱える多くの課題を解決するための手段として注目されています。一般企業においてもICTの活用やDX推進は重要な課題として取り組まれていますが、農業においても同様のことがいえるでしょう。
農業における働き方改革を実現する意味でも、スマート農業の存在は見逃せません。
スマート農業のメリット
具体的にスマート農業を実現するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、スマート農業の代表的なメリットを3つ解説します。
生産性の向上
農業では従来すべてを人の手で行なってきました。より効率を高めるために農業用の機会を利用することは一般的になっていますが、スマート農業はICTをさらにかけ合わせることでより効率性を高めます。
例えば、従来人の手で行なっていた作業をロボットに任せることができれば、大幅な作業の負担軽減が期待できます。また、基本的に農業では夜間の作業は難しいものです。しかし、ロボットであれば夜間であっても関係なく動作でき、全体的な生産性の向上が期待できます。
ロボット技術だけでなくIoT技術やAI技術を組み合わせれば、24時間365日体制で作物の状態を監視したり、自動的な水やり・温度管理によって作物にとって最適な環境を維持したりすることも実現できます。
労働力不足の解消
日本社会全体の課題として労働力不足は深刻な問題となっています。もちろん、農業においても労働力不足は重大な課題の一つです。
農林水産省の調べによれば農業就業人口は年々減少傾向にあり、2005年には335万人の労働力は2015年には209万人となり、2020年には167万人にまで減少すると報告・予測されています。さらに、従事者の平均年齢の高齢化も課題の一つであり、2005年には平均63.2歳、2015年には平均66.3歳にまで年齢が上がっています。
スマート農業によって新たな労働力の確保や、効率性を高めることで人の負担を軽減させることが可能です。スマート農業によって半自動的に作業ができる仕組みを構築することができれば、労働力不足の解消に大きく貢献します。
栽培計画・人材育成にデータを活用できる
農業に限らず、労働力が不足する要因の一つに人材育成がうまくできていない点が挙げられます。ベテランが個々に所有する知識やスキルを後継に伝えていくことができなければ、労働力が低下することは火を見るより明らかでしょう。
これらの課題は、知識やスキルが属人的になっていることが原因です。スマート農業ではあらゆる情報をデータとして取り扱うことで、属人的な知識やスキルを見える化して活用できるようにします。
また、あらゆるデータはIoTによって簡単に取得できるようになり、最適な栽培計画の策定や人材育成にデータを活用できるようになります。このようなデータの活用は、スマート農業を実現することの大きなメリットの一つです。
スマート農業の課題
さまざまなメリットをもたらすスマート農業ですが、実現するためにはいくつかの課題も存在します。
初期導入コストがかかる
農業ではさまざまな農機を利用します。これらは初期導入費用がかかりますが、スマート農業で利用する農機や機器類は一般的な農機の導入に比べてコストが高くなりがちです。
スマート農業の普及は徐々に進められていますが、費用対効果が得られるか心配になる方も多いでしょう。実際にスマート農業では先端技術を活用するため、先端技術を活用できなければ費用対効果を最大化することは難しいといえます。
スマート農業を実現しても先端技術が使いこなせず、費用対効果が見込めないとして途中で断念する農家も少なくありません。
技術を使いこなすための人材の不足
ICTは農業とはまったく異なる知識・スキルが必要であり、ICTを使いこなすための知識・スキルを持った農業従事者はあまり多くないといえます。
スマート農業で利用される農機や機器類は、各種企業がそれぞれに開発しています。ICT機器やロボットは企業ごとにデータ形式がバラバラで統一されておらず、専門的な知識がなければ農業従事者側で統合することは難しいでしょう。
農業に関する知識と併せて、ICTの知識・スキルを持ち合わせた人材の存在はスマート農業には必要不可欠ですが、不足している現状です。加えて、前述のとおりデータ形式が統一化されていないため、データの標準化も課題として挙げられます。
スマート農業の事例
最後にスマート農業の事例をいくつか紹介します。
事例1
1つ目は、ロボットトラクタを活用した自動運転システムによる作業の効率化に成功した事例です。耕うんや播種などのトラクタ操作をともなう作業は、熟練者でなければ難しい点が課題でした。そこで自動運転システムを導入し、無人でトラクタを操作できるようになることで、初心者でもベテランと変わらない作業を実現できるようになり、作業負荷の軽減が実現できています。
事例2
2つ目は、ドローンを活用した農薬散布作業の効率化です。こちらの事例では、水田に対する農薬散布にドローンを活用し、作業の省力化と時間短縮を実現できています。水田に関する事例としては他にも、スマートフォンで操作する水管理システムにより、水田の状態を監視する事例もあります。
事例3
3つ目は、クラウド型生産管理システムを導入し、人・作物・作業の一元的な管理、見える化に成功した事例です。導入前は経営規模の拡大に向けて管理水田が増えることで、ほ場管理や作業時のほ場特定に時間がかかり効率が低下することが課題でした。そこで、水田情報や作業履歴などを地図情報と統合したデータベースに取り込み、作業の確認や作業履歴の蓄積を実現しました。
生産管理システムはクラウド型であるため、いつでも・どこでも情報にアクセスでき、人・作業・作物の一元的な管理、見える化が実現でき、ほ場管理の効率化や関係者との情報共有が容易にできるようになりました。
スマート農業は従来の課題の多くを解決できる可能性を秘めている
農業×ICTによって実現するスマート農業は、従来の農業が抱える多くの課題を解決できます。生産性の向上・労働力不足の解消・データ活用における栽培計画の作成、人材育成など、多くのメリットをもたらす新しい農業の形です。
一方で、いくつかの課題も存在するため、スマート農業を実現したいと考えている場合には、これらの課題についても考慮するとよいでしょう。日本だけでなく、世界規模でスマート農業の実現が進められており、今後の農業にとってなくてはならないものになると予想されます。