デジタルトランスフォーメーションとは?基本的な知識から実例や課題まで詳しく解説!
デジタルトランスフォーメーションとは何かを、基本的なポイントや実例・課題を交えながら解説します。
デジタルトランスフォーメーションとは何かを、基本的なポイントや実例・課題を交えながら解説します。
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2020/10/06 UP
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デジタルトランスフォーメーションが今注目され、経済産業省もレポートや指標を日々更新しながら各企業に推進をしています。推進の重要性と諸課題を記載したデジタルトランスフォーメーションのレポートは2018年9月に提出されているにもかかわらず、そこから取り組みを始めた企業と、何もしていない企業に二極化してしまっているのが現状です。
ここでは、そもそもデジタルトランスフォーメーションとは何かを、基本的なポイントや実例・課題を交えながら解説します。
デジタルトランスフォーメーションとは?
難しい用語のように思いますが、言葉自体は技術が変革を起こすくらいで捉えておいて構いません。細かい定義や内容を突き詰めながら、何が起きるのかを知っていきましょう。
デジタルトランスフォーメーションの意味
デジタルトランスフォーメーションは元々スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した考え方です。この考えを提唱した論文は、研究へのアプローチや方法論を述べた内容になっていますが、今では社会自体が変わっていくことを丸ごと指す言葉として使われます。
デジタルトランスフォーメーションは、端的に言えば発展を続ける技術が人々の生活を豊かにしていくという意味になります。5G回線が導入され、通信速度が劇的に速くなったり、IPV6が導入され、割り当てられるIPアドレスの数が莫大に増えたりと、テクノロジーは着実に進化しています。そのデジタルテクノロジーを使うことで、人々の生活を高めていこうとする動きを指します。
単に効率化などを目的として変更するだけでなく、これまでの価値観や枠組みを覆す革新的なイノベーションを導入することになる場合が多く、既存の考え方が根底から覆ることもしばしばあります。破壊的な変革を意味するデジタル・ディスラプションと呼ばれるほど、その変更規模は大きくなる場合もあります。
デジタルトランスフォーメーションはなぜ略称が「DX」なのか
しかし、なぜ英語表記が「Digital Transformation」であるデジタルトランスフォーメーションが、DTではなくDXと略されるのでしょうか。これは、英語圏で「越える」の意味を持つ「trans」を「X」と表記することが多いのに由来します。経済産業省をはじめ、調査会社や論文等でもDXの表記が使われており、デジタルトランスフォーメーション=DXが一般的となっています。
日本でも注目!経済産業省の定義とは
日本の経済産業省でも「DX推進指標」における「DX」の定義としてデジタルトランスフォーメーションの定義を以下のように掲げています。
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』
この定義からわかるように、日本ではデジタルトランスフォーメーションを、ビジネス価値を提供する企業などが起こすべき変革という意味で使われます。
デジタルトランスフォーメーションはなぜ求められるのか
経済産業省はデジタルトランスフォーメーションを各企業が実施する必要があるとして、比較的細かい指標を提示しています。国の一大プロジェクトとなり、各企業の競争力をあげることが大きな目的です。
経済産業省の提唱するデジタルトランスフォーメーションの内容とは?
経済産業省は2018年12月にデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインを発表しました。これはデジタル技術を使った新しいビジネスモデルを展開する企業が増えたことに対する動きです。特に海外企業の動きが多いことも国をあげてデジタルトランスフォーメーションを推進したい理由の一つとなっています。
例えばEC分野に革新を起こしたアメリカのEC大手企業は、オンライン完結で買い物ができるスタイルを生み出し、消費行動が大きく変わる契機を作りました。その後も顧客要望をうまく吸い上げつつ、当日配達やロッカー受け取りなど、ハードとソフトの両方から便利なサービスを提供し続けています。
店舗売りを中心としていた小売業はこの流れに太刀打ちしていく必要があります。店頭販売には店頭販売のメリットがあるので、一概にECに移行するべきというわけではありませんが、何らかの形で競争力を高めていかない限り、勝ち目はありません。
デジタル技術を駆使する企業が突出する中で、各企業が競争力をアップするために、デジタルトランスフォーメーションを進めていくことが求められています。
2025年の壁とは?年間12兆円の損失?
経済産業省によると、現在多くの企業で既存システムの老朽化や、ブラックボックス化が発生しています。ドキュメントがきちんと残っていなかったり、動けば問題ないといった思想で複雑なプログラムを放置していたりすると、構築した担当者依存のシステムとなり、その担当者が退職してしまうと、誰も触れられないものになってしまいます。
このようなシステムは作り替えようとしても、現状動いているプログラムから仕様を把握するところから始まることとなり、規模の大きいシステムであればあるほど難易度が高くなります。その結果、新規事業や環境の変化に伴うアップグレードができず、デジタルトランスフォーメーションの推進を阻んでしまっているのです。
さらにこのまま問題を解決できないと、2025年〜30年の間で最大12兆円の経済的損失が発生しうるという試算も出ています。深刻な事態を招かないためにも既存システムを刷新していく必要があります。
デジタルトランスフォーメーションの課題
現状はまだデジタルトランスフォーメーションを実現できている企業は多くありません。最近立ち上がったベンチャー企業などデジタルテクノロジーに明るい新興企業にしか、考え方が根付いておらず、大企業にはまだまだ改善点が残っています。
大企業は、経営体質の古さに気付いているところに留まっています。気づいたところで経営陣から降りてくるのは明確なビジョンではなく「テクノロジーを使って何かできないか」といったあいまいな指示のみです。
しかし、デジタルトランスフォーメーションで大切になるのは経営層が適応することです。既存システムを早々と刷新し、デジタルトランスフォーメーションを進めている企業は、経営層自らが早く真剣に取り組んでいます。広範囲の業務を置き換えるとなれば予算も必要となる上に、既存業務の変更に伴う社内の反発も予想されます。経営に関わる決定として経営層が主導権を握り、丁寧に推進することが少しでもプロジェクトを進めるコツです。
デジタルトランスフォーメーションは単にデジタル化するだけでなく、企業自体がデジタルネイティブとなることを目的にしています。実現できないと、デジタル技術を駆使する新興企業に市場シェアを奪われ、駆逐されてしまうところまで来ています。デジタルトランスフォーメーションによって企業の競争力を上げるためには、経営層主導の対応が必要なのです。
デジタルトランスフォーメーションで必要とされるエンジニア像
デジタルトランスフォーメーションを進めていくには、最新のデジタル技術が必要となります。そこに関わるエンジニアに技術力が求められるのも必然です。
習得しておいて損はない、代表的なものを解説します。
・AI
膨大な量のデータを基に、予測や意思決定などの従来は人間にしかできないと思われてきたことを実行します。ディープラーニングなどの発達に伴い、近年急速に速度と精度が向上しました。
AIに携わるエンジニアは、ハード・ソフト両面の知識が必要です。学習する元データを集計するための数学的知識も要求されます。
・IoT
「モノ」をインターネット接続し、センサーなどを用いて場所や状態の情報を収集します。集めた情報を分析することで経営戦略に活かしたり、新たなサービスを生み出したりします。
データの取得技術もさることながら、どんなデータを取得してどうやって使うかなどの戦略も立てられるようになるとよいでしょう。
・クラウド
サーバなどハードウェア、ミドルウェアを持っていなくても、ネット上で同レベルの機能を使える仕組みです。ハードウェアを購入するまとまった費用が必要ないので初期投資が下がる代わりに、細かいパラメーター設定や丁寧な運用が必要となります。
大量データを扱う場合にはネットワークの転送速度も気にする必要があり、ソフトウェア系のエンジニアもハードを考慮して設計していく必要があります。
デジタルトランスフォーメーションの成功にはエンジニアが不可欠
デジタルフォーメーションは国を挙げてのプロジェクトとなっており、これから各企業が必須で取り組む必要のある課題です。そこには技術を支えるエンジニアが不可欠であり、需要も高まっています。
頼れるエンジニアになるためには、まずは2025年の壁に対策を打つためのスキルを身に着けましょう。必ずしもコーディング技術のみには限りません。取得データの活用法をエンジニア目線で検討したりや、効率の良い環境構築を行ったりすることでも貢献することができます。
よく使われる言語や流行りの技術を頭に入れておくことはもちろん、自分の得意分野とマッチングさせてスキルアップを目指しましょう。