CCNAの難易度は?試験改正による傾向や他試験との合格率を比較
CCNA試験の難易度はどの程度なのでしょうか。この記事では、CCNA試験の難易度や、試験に向けておさえておきたいポイントを解説します。
CCNA試験の難易度はどの程度なのでしょうか。この記事では、CCNA試験の難易度や、試験に向けておさえておきたいポイントを解説します。
知識・情報
2023/02/27 UP
- SE資格・スキル
- CCNA
世界規模の認知度を誇るCCNAの技能認定試験は、IT技術の成長にともない、需要もより高くなる試験と考えられます。IT業務に携わる際に必要な知識やスキルを得られるため、早めの取得が有効といえるでしょう。
では、実際に試験を受けるにあたり、CCNA試験の難易度はどの程度なのでしょうか。この記事では、CCNA試験の難易度や、試験に向けておさえておきたいポイントを解説します。
IT事業への貢献につなげるため、試験合格を目指す際の参考にしましょう。
なお、CCNAについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
CCNAとは?資格試験の内容や取得の必要性を解説
CCNAの難易度は?試験の概要や合格点などを解説
まずは、CCNAがどのような試験なのかを知り、資格認定の必要性について理解を深めることが重要です。
試験の概要から解説しますので、試験のレベルや難易度、合格点など、事前の試験対策になりうる事項を確認しましょう。
CCNA試験はネットワークエンジニア技能認定試験
「CCNA」(Cisco Certified Network Associate)は、シスコシステムズ社が実施している世界共通基準のネットワークエンジニア技能検定資格です。CCNAの資格により、ネットワークエンジニアとしての基本的スキルが身に付いていることを証明できます。
IT業界は常に進化しており、最新の知識や技術を身に付けておく必要があるため、3年という資格保有期限があることに注意しなければなりません。資格失効前に同等レベルの試験を受験するか、上位レベルの試験を受けることで資格を更新するのが一般的です。
2021年10月現在、シスコ社の認定資格には「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」と、4段階のレベルが設けられています。
CCNAの分類は、このなかで2番目に優しい「アソシエイト」レベルです。
CCNA試験の難易度は?合格点や合格率について
CCNAはネットワークエンジニアの登竜門的試験であり、初心者でも挑戦しやすい試験です。
CCNAの合格点や合格率は非公表のため、厳密な数値は不明ですが、合格点は1,000点満点中、800点〜900点が合格ラインといわれています。CCNA試験の正式な得点評価は300点からという特徴があるため、700点満点という考え方も可能です。
これまでの受験実績などから、試験の難易度は約60%程度と考えられますが、試験の改定ごとに難易度にも変動があります。初心者でも挑戦するハードルは高くありませんが、十分な事前準備は必要といえるでしょう。
改定があった場合、出題範囲なども変更される可能性が高いため、自身が受験する際のバージョンや出題範囲の事前調査が重要です。
CCNA試験は改定された!難易度への影響や変更内容は?
日々進化を遂げるIT業界では、時代に適した技術や知識に対応する必要があるため、2020年2月にCCNAの試験内容が改定されました。
試験範囲や内容はどのように変更されたのでしょうか。ここでは、試験の具体的な変更内容や、難易度への影響について解説します。
細分化されていた専門分野が1つに集約された
これまでのCCNA試験は、CloudやRouting and Switching、Securityなど、CCNAのなかで10の専門技術分野ごとに試験が細分されていました。改定後の試験では、細分化されていた専門分野が1つに集約され、現在は「200-301 CCNA」という試験のみがCCNA認定試験です。
これまでのような専門分野ごとの試験では、受験する分野のみの知識やスキルを証明する試験という印象でした。試験が改定され、細分されていた分野の知識を総合的に修得できるだけでなく、試験の種別の複雑化が解消されたといえるでしょう。
試験範囲が広がり網羅的な学習が必要になった
改定前のCCNA試験の場合、細分化された専門分野から受験分野を選択し、資格取得を目指すのが一般的な受験方法でした。
改定前ではポピュラーな専門分野だったRouting and Switching以外の専門分野も集約され、SecurityやWirelessといった他分野も出題範囲に含まれます。網羅的な学習が必要なため、改定前よりも難易度は高まったと判断するのが賢明です。
難易度は高まったと考えられますが、修得できる知識やスキルの幅が広がり、資格の価値も高まったといえるでしょう。
CCNAとほかのIT試験の難易度を比較してみよう
ITに関連する試験はCCNAだけではありません。難易度を推測するには、ほかのIT試験の難易度と比較するとイメージしやすいでしょう。CCNAの難易度がどの程度なのか、よく比較されるIT関連試験の難易度と照らし合わせて考えてみましょう。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは、ネットワーク分野では唯一の国家資格であり、独立行政法人情報処理推進機構IPAが主催している試験です。唯一の国家資格ということもあり、企業によっては資格取得による手当などが支給されることもあります。
ネットワークスペシャリストは、情報処理技術者試験のなかで最高難易度のレベル4という高度区分試験です。経験者が主体の試験ではありますが、合格率は10%を切っていることから、難易度の高さは想像に難くありません。
1日に受ける試験形式は4種類におよび、CCNAと比較すると試験範囲も広いのが特徴です。また、いつでも受験可能なCCNAに対し、ネットワークスペシャリストの試験は年に1回であることを考慮すると、試験の難易度は高めといえるでしょう。
なお、ネットワークスペシャリストについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
【合格体験者が語る!】ネットワークスペシャリストの勉強法と合格体験記
基本情報技術者
基本情報技術者も、独立行政法人情報処理推進機構IPAが主催する国家資格です。情報処理技術試験としてはレベル2相当といわれており、ITに関する経験が浅くても挑戦しやすい試験といえるでしょう。
状況により合格点が変わることもあり、合格率は20%〜30%と低めです。
受験生には学生や駆け出しのエンジニアも多く、受験生のレベルには均一性がない可能性が考えられます。そのため、合格率のみで難易度を推測するのは難しいかもしれません。
出題範囲はCCNAのほうが広いことから、CCNAのほうが難易度は高いと推測できます。しかし、基本情報技術者試験の実施は年に2回であることを考慮すれば、比較的すぐに再受験が可能なCCNAよりも難易度が高いとも考えられるでしょう。
LinuC
LinuCは、Linuxのプロフェッショナルであることを認定するサーバー関係の資格で、特定非営利法人LPI-Japanが実施する試験です。IT関連のインフラエンジニアを目指すにあたり、ネットワークやサーバーの知識、スキルが必要なため、CCNAとLinuCの両方を取得するのが理想的です。
LinuCの試験は順を追ってレベルを上げていく方針で、難易度の低い試験から順番に受験します。試験形式はどのレベルも統一されており、CBT方式によるマウス選択問題とキーボード入力による設問があり、合格率は65%〜75%程度です。
LinuCは暗記で解ける問題が多く、Linux操作に必要なコマンドを覚えられれば、実務経験がなくても合格する可能性が高いという特徴があります。そのため、実務経験を要するCCNAのほうが難易度は高いと考えられるでしょう。
応用情報技術者
基本情報技術者試験の上位資格にあたる応用情報技術者試験では、習熟度を高めた知識やスキルが試されます。
多肢選択法のみで行なわれる基本情報技術者試験とは異なり、記述式の問題が出題されるのが特徴です。長文の読解力や記述力を鍛える必要があるため、試験勉強の準備は早めに行なう必要があるでしょう。
2019年の応募者数は99,244人と、需要の高さがうかがえます。また、受験回数は年に2回のため、受験の機会を多く設けているCCNAと比較すると、ハードルの高さは否めません。
なお、合格率は20%台前半といわれており、数値のみでいえばCCNAの合格率よりも低いことが見て取れます。合格率や求められる学力の高さなどを総合的に比較した場合、CCNAよりも難易度は高いと考えておくとよいでしょう。
CompTIA Network+
CompTIA Network+は、ネットワーク関連業務における実務的なスキルを証明できるように設計された国際的な認知度を誇る認定資格です。CCNAと同様、3年の有効期限が設けられた資格のため、資格を保有し続ける場合は、更新時期を忘れないようにしましょう。
CompTIA Network+には、あらゆるネットワークの概念やトラブルシューティングなど、試験で求められる知識やスキルの幅が広いという特徴があります。
ネットワーク関連の資格で比較した場合、初心者でも挑戦のハードルが低い初級レベルです。そのため、CCNAのほうが難易度は高いと予想されます。しかし、IT経験がなく、予備知識などもない状態から挑戦するとなれば、勉強に費やす時間を多めに確保する必要があるでしょう。
CCNA試験合格に向けておさえておきたいポイント
CCNA試験は、コンピューターを利用して行なわれるという特徴があります。また、専門性が高く、解答に要する時間を考慮しなければ、全問解答できない可能性があることに注意しなければなりません。
試験合格のポイントをおさえ、1問でも多く解答できるように対策しましょう。
試験中に予期せぬ事態が発生しても対処できるようにしておく
CCNAはコンピューターを利用して行なわれるため、試験中に予期せぬが発生する可能性があることを念頭に置いて試験に臨む必要があります。どのような状況に見舞われたとしても、落ち着いた行動が重要といえるでしょう。
予期せぬ事態に取り乱し、勉強の成果を発揮できないような状況を作らないためにも、適切な対策を行ない、冷静に設問を解いていくことが重要です。
実機やエミュレーターを活用しコマンドを覚える
CCNAの合格を目指す際には、Cisco機器の設定に必要なコマンドを暗記する必要があります。ここでは、すべての機器に共通するコマンドと、特定の機器でしか利用できないコマンドがあることに注意が必要です。
しかし、頭のなかだけで暗記する方法の場合、実際の出力をイメージできず、覚えづらいという方も多いのではないでしょうか。
コマンドの暗記を効率的かつ効果的に行なうには、実機やエミュレーターの活用が有効です。コマンドを入力した際の動作を確認しながら実践的に覚えられるため、知識とスキルの両方を鍛えられます。
シミュレーション問題への対応力を高める
前述した実機やエミュレーターを活用する重要性は、シミュレーション問題への対策でもあります。
CCNAでは、実機の設定に関するシミュレーション問題が出題されます。シミュレーション問題に対して理解しておくべきことは、知識があれば解ける問題と、機械の仕組みに対する理解が必要な推測問題が出題されることです。
シミュレーション問題への対策には、Cisco社公式のソフトウェア「Packet Tracer」を活用し、実践さながらの状況から学ぶ方法が効果的でしょう。
また、学習サイトなどを利用し、問題演習を繰り返すことも有効です。
CCNA試験の難易度に理解を深め効率的に合格を目指す
CCNAは信頼性が高く、活躍の場を広げられる資格の一つといえます。世界的に名を馳せる資格ということもあり、IT業界への就職や転職で有利に働く可能性も非常に高いでしょう。
また、上位資格に更新すれば、キャリアアップも期待できるため、将来性の高い認定資格と考えられます。
IT業界初心者にとっては、難易度が高いと感じるかもしれません。しかし、IT企業に就職してからでも目指せる資格であり、現場で学ぶことも効率的な試験対策になりえます。
IT人材の不足も考えれば、CCNA取得者の価値はより一層高まるでしょう。