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IoT×5Gがもたらす影響と実用事例

5Gの概要をはじめ、5 GがIoTへもたらす影響や、5GとIoTを組み合わせた実用事例について解説します。

IoT×5Gがもたらす影響と実用事例

5Gの概要をはじめ、5 GがIoTへもたらす影響や、5GとIoTを組み合わせた実用事例について解説します。

知識・情報

2022/01/17 UP

「モノのインターネット」と呼ばれるIoTは、日常生活をはじめさまざまなシーンで活用されています。そんななか、日本では2020年から5Gが導入されましたが、5GがIoTにもたらす影響はとても大きく、導入をきっかけにIoT分野の活用範囲はさらに広がっていくことが予想されています。

この記事では5Gの概要をはじめ、5 GがIoTへもたらす影響や、5GとIoTを組み合わせた実用事例について解説します。

5Gとは

5Gとは

5Gとは「5th Generation」の略称で、日本語では第5世代移動通信システムと呼ばれます。移動通信システムとは、持ち運び可能な機器を使った通信技術のことで、1980年代に最初の第1世代が誕生しました。そこから10年ごとに世代が変わり、2020年3月から第5世代の商用サービスが開始されています。

<移動通信システム各世代の特徴>

・第1世代・・・音声のアナログ変調方式(音声のみ)

・第2世代・・・デジタル方式でデータ通信が可能になる

・第3世代・・・iモードを代表とするアプリ環境の普及

・第4世代・・・インターネットへの常時・高速接続が可能となる

・第5世代・・・高速・大容量、超低遅延、同時多数接続が可能となる

5Gでは、高速通信を実現するためにNew Radio(NR)と呼ばれる無線技術が用いられているため、従来の4Gと比較すると通信速度が10倍以上になるほか、通信の遅延もなくなり、ほぼリアルタイムでの通信が可能です。さらに、1キロ平方メートルにつき100万台の端末を同時に接続することができるため、IoT分野の大幅な拡大が予想されています。

なお、5Gについては、こちらの記事もあわせてご確認ください。
5G(第5世代移動通信システム)とは?

5Gとローカル5Gの違い

ローカル5Gとは、企業や自治体が限られた空間に導入できる通信規格のことで、総務省が主体的に進めている取り組みになります。

5Gは、これまでの規格に比べて高い周波数帯が使用されているため、「長距離に対応できない」「建造物に弱い」という特徴があります。そのためカバーできるエリアが狭く、多くの基地局を作らなくてはなりません。

しかし、基地局を作るには時間がかかるため、どうしても「5Gを使いたくても使えない」という地域が発生してしまうのです。こういった状況を回避するため、通信キャリアに頼らず5Gのプライベートなネットワークを構築できるローカル5Gが提供されています。

ローカル5Gを使用するには電波免許申請が必要となりますが、大手IT企業等の申請が相次いでおり、5Gの早期導入を考えている企業が多いということが伺えます。

IoTで使われる通信技術

IoTで使われる通信技術

IoTは複数の通信技術によって成りたっており、そのうちの一つにLTE(4G)があります。これが5Gに切り替わることで、今後のIoT分野に大きな影響を与えることが考えられます。

LPWA

「Low Power Wide Area」の略称で、消費電力を抑えて遠距離かつ広範囲の通信ができる通信規格になります。IoTでやり取りするデータは比較的小さく、リアルタイム性よりも長時間の通信が求められる傾向にあるため、LPWAが活用されています。

LTE(4G)

「Long Term Evolution」の略称で、3Gから4Gへの移行をスムーズにするために開発された通信規格です。そのため、一般的には4Gと同様に扱われています。LTEには遅延を低減する技術が採用されており、高速な接続・伝送が大きな特徴といえます。

今後5Gになれば、より高速な通信と同時接続、リアルタイム性の向上が実現するため、IoTの活用シーンが大幅に拡大することが期待されています。

Wi-Fi

無線LANの一種です。通信速度と機能性の高さが大きな特徴で、サイズの大きいファイルや写真、動画などのデータを、短時間で正確に送ることが可能です。ただし、その分消費電力が大きく、長時間の通信には向きません。

Bluetooth・ZigBeeなど

BluetoothやZigBeeは、組み込み機器の利用を目的に開発された無線規格になります。十メートルほどの比較的近い距離の通信を得意としていて、消費電力が少なく、長時間使用できるのが特徴です。また、Bluetoothにおいては周囲の無線機器へ与える影響が小さいことから、無線機器が混在するような環境でも快適な通信を実現できます。

5GがIoTへもたらす影響

5GがIoTへもたらす影響

IoTの通信技術に5Gを導入した場合、従来のIoTに比べて以下のようなメリットが得られます。

データの高速化

IoTの活用が拡大していくにつれ、ビッグデータをはじめとする送信データ量も大幅に増えていくことになります。もし送信データが膨大化すれば通信の滞りが発生し、IoT本来の機能を果たせなくなる可能性がありますが、5Gが導入されることで膨大なデータ量も高速でやり取りできるようになります。

同時接続ができる

一つの基地局に対して同時接続できるデバイスの数は限られていますが、5Gの場合、同時接続できるデバイスの数は4Gの10倍です。スマートフォンや携帯電話はもちろん、今後増えていくIoT機器にも十分対応できる仕組みになっているため、5GはこれからのIoT時代を円滑にしてくれます。

遅延がほとんどない

5Gの低遅延もIoTに大きな影響を与えることになります。従来の4Gは伝送遅延が10ミリ秒だったのに対し、5Gでは伝送遅延が1ミリ秒以下に短縮されます。つまり、伝送遅延が従来の10分の1となり、ほぼリアルタイムでの接続が可能になるということです。これにより、リアルタイム性の高い分野においてもIoTの活用が可能となります。

5GとIoTを組み合わせた実用事例

5GとIoTを組み合わせた実用事例

2020年から5Gが導入されたことにより、今後は5GとIoTを組み合わせた活用が一般的になると考えられます。ここでは、5GとIoTを組み合わせた具体的な実用例をご紹介します。

自動運転

自動車の自動運転は人の命に係わる重要な技術になりますが、5GとIoTを組み合わせることで正確かつ安全な活用が実現できます。自動運転は、自動車に搭載されたカメラが周囲の環境を撮影・データ化し、それを基にAIが運転指示を出すという仕組みです。この作業には高いリアルタイム性が求められるため、遅延がほとんどない5Gだからこそ実現可能なサービスだといえます。

また、5G対応の機器やディスプレイなどを車内に搭載すれば、移動しながら会議や打ち合わせに参加することも可能です。

医療手術の遠隔操作

5Gでは大容量のデータをリアルタイムで送受信できるため、病院内に5Gに対応したIoT機器を導入すれば診察はもちろん、手術も遠隔操作で行なえるようになります。そうなると、地方在住者でも質の高い医療が受けられるほか、医療従事者の負担も軽減されることが期待できます。

また、オンライン診療によって病気の早期発見や効果的な予防が可能となり、健康的な生活を送りやすくなるでしょう。

スマートシティ

スマートシティとは、IoTなどの先進的技術を活用してさまざまな問題を解決し、利便性を高めていくという取り組みです。

スマートシティでは、5Gに対応したIoT機器が都市全体に普及した状態となるため、ドローンによる遠隔監視や街中に設置されたカメラによって災害や事故、犯罪情報などをいち早く察知できるようになります。これにより、事故や災害に強く、安全性の高い都市が実現できます。

スマートシティについては、こちらの記事もあわせてご確認ください。
スマートシティとは?注目される理由や国内・海外の事例を簡単に解説

インフラ管理

スマートシティが実現し、5Gに対応したIoT機器が都市全体で活用されるようになれば、道路標識や信号、踏切などの異常監視システムをはじめ、道路や橋といったインフラにおいてもリアルタイムで管理することが可能です。これにより、危険や異常をいち早く察知できるようになり、日常生活の安全性が高まります。

スマートファクトリー

スマートファクトリーとは、5G対応のIoT機器を導入した工場のことです。近年では工場の人材不足が問題視されていますが、そんななか生産性を上げていくには、低コストで高品質な製品を作る必要があります。

しかし、スマートファクトリーが実現すれば機械やシステムの管理が遠隔で行なえるようになるため、人材不足や生産性の向上といったさまざまな課題解決が期待できます。

なお、スマートファクトリーの支援サービスはこちらもあわせてご確認ください。
パソナテックのスマートファクトリー支援サービス

すでにBeyond 5G (6G)の開発も始まっている

Beyond 5G(6G)とは5Gの次世代通信規格になります。5Gは2020年に導入されたばかりですが、5Gの導入によりインターネット上でやり取りされるデータの増加は避けられません。

5Gは従来の仕様を大幅に上回る規格となっていますが、5Gに対応したIoT機器が普及していけば、5Gよりもさらに高速なネットワーク環境が求められるようになるはずです。

これまで10年ごとに通信規格の世代が変わってきたのも、こういった事象が大きな理由といえます。そのため、2030年にはBeyond 5G(6G)導入が計画されており、すでに世界中の研究機関や大手企業が開発に取り組んでいます。

また、Beyond 5G(6G)の主な要素技術としては以下が公表されています。

<Beyond 5G(6G)の主な要素技術>

・時空間同期

・テラヘルツ波

・オール光ネットワーク

・低消費電力半導体

・完全仮想化

・インクルーシブインターフェース

・HAPS活用

・量子暗号

・センシング

IoTと5Gは、組み合わせることで、これまで実現できなかったことが可能になる

5Gとは第5世代移動通信システムのことで、従来の4Gと比べて高速、10倍の同時接続・低遅延が大きな特徴です。5Gには「長距離に対応できない」「建造物に弱い」という特徴があるため、基地局の増設が急がれていますが、利用できないエリアにおいてはローカル5Gが提供されており、5Gの早期導入を希望する大手IT企業等の申請が相次いでいます。

近年はインターネットの新しい技術としてIoTの活用が広がりつつありますが、5Gの導入によりIoT分野に大きな影響を与えることが考えられます。具体的には、車の自動運転や医療手術の遠隔操作、スマートシティ、インフラ管理、スマートファクトリーなどが挙げられ、今よりも便利で安全な生活が実現されるでしょう。

また、2030年には5Gの次世代通信技術としてBeyond 5G (6G)の導入も計画されており、IoT業界のさらなる拡大が期待されます。