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IoTの意味とは?IoTの活用事例と将来性について

「IoTとは何か」「IoTで何ができるのか?」という疑問に、例を用いてわかりやすくご説明します。

IoTの意味とは?IoTの活用事例と将来性について

「IoTとは何か」「IoTで何ができるのか?」という疑問に、例を用いてわかりやすくご説明します。

知識・情報

2019/08/21 UP

近年、“IoT”という言葉を耳にする機会が増えてきました。IoTの意味がよくわからなくても、実はテレビやエアコンの遠隔操作などでIoTを体験している方は多いのではないでしょうか。

今回は、「IoTとは何か」「IoTで何ができるのか?」という疑問に、例を用いてわかりやすくご説明します。

IoTの意味とは?

IoTとは「Internet of Things」の頭文字を取った略称で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれています。IoTを簡単に説明すると、「あらゆるモノ(テレビ、エアコン、車など)が、インターネットに繋がる仕組み」のことです。

もともとインターネットはパソコンやサーバー同士が繋がるために作られました。IoTは、これまでインターネットと関係のなかったテレビ、エアコン、車などがインターネットで繋がることで、モノが相互に情報交換できるようにします。

モノがインターネットに繋がることで、これまで可視化できなかった「モノが生み出している情報」を収集し、分析・活用することができるようになるのです。

IoTにできることとは?

IoTにできることとは?

IoTによって引き出された情報を用いることで、これまでとは異なる多様な活用法が生み出されてきました。「モノが触ること、感知すること、あるいはそういった感覚ですら感知できないこと」などの情報を収集するようになったことで、以下のようなことが可能になりました。

IoTで離れたモノを操作する

・外出先からエアコンの電源をオン、オフする

・職場から家のテレビの録画をスタートする

IoTによって離れたモノを操作することができます。

これまでは、エアコンやテレビなどの“モノに取り付けられていたセンサー”にリモコンで命令を送らないと操作ができませんでした。しかし、モノがインターネットに繋がったことにより、インターネット経由で命令を送ることができるようになるのです。

IoTで離れたモノの状態を把握する

・ハウス栽培などで、温度や湿度といったハウス内の状態を把握する

・家にいるペットがどんな行動をしているのかを把握する

・ドアの開閉状態を把握する

IoTによって離れたモノの状態を把握することができます。

モノに取り付けたセンサーによって遠隔監視をおこない、データ計測や自動認識などが可能になったのです。収集したデータを、インターネットを介して共有することでモニタリングが可能となります。また、ほかのモノと連携して特別な操作を制御することもできます。

IoTで離れたモノの位置を把握する

・紛失物の位置を把握する

・バスがあと何分後くらいに到着するかを位置から把握する

IoTによって離れたモノの位置を把握することが可能になります。

モノが放っている電波の強さを計測することにより、方向と距離を導き出すことができるのです。これを応用してモノの位置を知ることができます。

IoTで離れたモノ同士でデータの送受信をする

・前を走っている自動車が減速すると、後ろにいる自動車も合わせて減速する

・自動車の通行量に合わせて、信号の点灯を制御して渋滞を解消させる

IoTでインターネットに繋がっているモノ同士のデータの送受信が可能になります。モノ同士が繋がりデータ連携をすることで、お互いに協調して何かしらの目的に最も適切に実現することが可能になります。

「自動車の通行量に合わせて、信号の点灯を制御して渋滞を解消させる」という例では「渋滞を解消させて、排気ガスの排出量も減らし環境改善に繋がる」という目的のために最適解を導いてくれるのです。

各業界におけるIoTの活用事例

各業界におけるIoTの活用事例

これまでにご紹介したテレビ、エアコン以外にもIoTはさまざまな分野で活用されています。次はそれぞれの業界でどのように活用されているか事例をご紹介します。

自動車業界

損保ジャパン日本興亜の「スマイリングロード」は、通信機能を搭載しているドライブレコーダーです。日常で車を運転しているときのデータを元に、走行距離や速度、急ブレーキ回数などを分析してドライバーの安全運転を管理するサービスです。また、ドライバーもしくは企業に安全運転診断などのフィードバックを送ってくれます。

製造業界

株式会社富士ゼロックスでは、製造業界の高まり続ける品質要求にともない膨大化した品質記録作業を自動化するIoTサービスを展開しています。

例えば、工場内の温度や湿度、設備の稼働状況などの情報は記録品質を、人手でおこなっていると多くの工数がかかってしまっています。IoTを用いることで温度センサーや画像認識技術により、温湿度計や旧設備の操作パネルからのデータ取得が可能になります。

またデータは自動的に収集され、クラウド上のダッシュボードで確認することができるので、いつでもどこでも工場の状況を把握できるようになります。

交通機関業界

十勝バスのSORACOM Airは、バスの運転席横からGPSを基地局へ発信します。クラウド側でGPSデータを分析し、バスの時刻表や路線情報と比較して、位置情報や乗換案内を利用者に届けます。

バスの利用者は、このデータを用いて目的地からバス停を検索したり、指定のバス停のバス到着時間を検索したりすることかできます。普段バスに乗り慣れていない人でも簡単に交通機関情報を検索できます。

医療業界

株式会社オプティムのスマートホームメディカルサービスは、IoTを用いて自宅に対象者が転倒しているか、していないか、もしくは静止状態が長時間続いていないかなどの異常行動を検知します。センサーのAIが異常を検知した場合、画像認識をおこなってデータを家族に届けます。

家族のいない間に対象者の行動を検知し、かつAIを用いた特別なセンサーによりプライバシーを守りながら監視することが可能となります。

農業業界

株式会社ファームノートのFarmnote Coorは、IoTを用いてリアルタイムに牛の活動状況を分析します。牛の活動情報を収集し、牛の活動・反芻・休息を計算するのです。そのデータから牛の繁殖に重要な発情や体調変化などを検知して、注意すべき牛を自動的に選別してスマートデバイスに通知します。

このIoTシステムによって牛の最適管理を簡単に導けるようになり、現在は3,650以上の生産者に利用されています。

IoTの将来性とIoTエンジニアになる方法

このようにIoTは高い将来性から急速に社会に進出して、社会インフラの一翼を担うほどになりましたが、その一方で課題もあります。多くの事例が一般的に公開されるようになり、業務効率化やコスト削減などのメリットから導入の需要が急速に拡大しておりますが、IoTエンジニアは高いスキルを求められるために深刻な人材不足に悩まされております。

IoT開発に必要な技術をまとめると、

・モノやデバイスの仕組みを理解できる組込系技術

・温度や動きなどを感知するセンサー技術

・インターネットなどのネットワークやクラウド技術

・個人情報やデータを盗まれたいためのセキュリティ技術

・モノを遠隔操作するアプリケーション知識

・取得したデータを分析・解析するAI技術

といった技術があげられます。このように、IoTエンジニアは幅広い知識とスキルが求められるフルスタックエンジニアが必要とされており、そのハードルの高さから人材が不足しております。

しかし、もちろん全ての開発を一人でおこなっているわけではありません。

未経験者の方がIoTエンジニアを目指す場合、どれか1つの技術スタックを持っていれば開発に携われるチャンスは大きくなります。

ラズベリーパイの開発技術

ラズベリーパイとは、小型のパソコンのようなデバイスです。

通信機能をもたせたり、HDMIやUSBなどの主要なI/Oツールと接続したりすることが可能なため、手軽なIoTデバイスを作成する際にはよくラズベリーパイが用いられています。

専用のハードウェアはとても費用が高いのでなかなか手がつけられませんが、ラズベリーパイは安価に手に入るため企業でも採用されています。

これからIoTの開発を始めたいという方にはうってつけのデバイスでしょう。

スマートデバイスの開発技術

AmazonのAexaや、GoogeのGooge Homeなど、スマートスピーカーに対応したIoT開発は、ハードウェアが既にできあがっているのでアプリ開発に近い感覚で開発ができます。

例えばAexaに「自分のパソコンでTwitterを立ち上げて」という命令を送れるようにしたり、より複雑な命令を判別できるように開発したりすることができます。

IoTエンジニアにおすすめの資格

●IoT検定

【試験料金】

・IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザー:8,640円(税込)

・IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ:10,800円(税込)

【試験日】

通年受験可能

【概要】

IoT検定はIoT/AI/ビッグデータなどの技術やマーケットについての知識やスキルの可視化をおこなう検定です。

IoT全般に関する知識が求められ、出題範囲は下記のとおりです。

・企画推進、戦略立案のための基礎知識

・プロジェクトマネジメントに関する知識

・人材育成と企業間連携に関する知識

・産業システム、スマート製品に関する知識

・世界各国におけるIoT推進プロジェクトに関する知識

・IoT関連の標準化に関する知識

・通信関連の法律に関する知識

・製品の製造および使用に関連する法律に関する知識

・オープンソースのライセンスおよび知的財産に関する知識

・データ送信プロトコルに関する知識

・WAN(広域エリアネットワーク)に関する知識

・LANおよびPAN(Persona Area Network)に関する知識

・小型制御装置に関する知識

・電子工学に関する知識

・センサ技術に関する知識

・IoTにおけるスマートフォン活用に関する知識

・クラウド環境利用に関する知識

・分散処理システム利用に関する知識

・データベースに関する知識

・機械学習および人工知能に関する知識

・暗号化に関する知識

・攻撃対策に関する知識

・認証技術に関する知識

・システムの監視、運用に関する知識

現在は2つの試験があり、「IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザー」ではIoTの基本的な知識などが求められ、「IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ」ではより実践に近い経験が求められます。

試験は全て選択式です。

●IoTシステム技術検定

【試験料金】

上級(IoTプロフェッショナル):55,000円(税込)

中級(IoTエキスパート):15,400円(税込)

基礎(IoTアドバイザー):11,000円(税込)

【試験日】

上記の公式HPで確認可能

【概要】

IoTシステム技術検定とは、IoT技術者の育成を目的としてMCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)が実施している検定です。5年間で5万人以上のIoT技術者を新たに創出することを目的として設立されました。

試験は基礎、中級、上級の三段階に分かれており、おもな出題範囲は以下のとおりです。

・IoTシステム構成と構築技術

・センサ/アクチュエータ技術と通信方式

・IoTデータ活用技術

・IoT情報セキュリティ対策技術

・IoTシステムのプロトタイピング技術

試験問題は基礎、中級は選択式で、上級が論文提出式となっています。

まとめ

IoTは「あらゆるモノを、ネットワークに繋がる仕組み」という意味ですが、IoTのもつ可能性の多様さから、あらゆる業界に普及しつつあります。

現在は、センサー技術が発展してあらゆるモノから情報を収集できるようになり、インターネットやモノ同士との通信技術が発展して遠隔操作や離れた情報の把握、状態検知、分析がおこなえるようになりました。

その革新性から、現在は社会インフラの基盤となりスマートホームとして家庭にも普及しつつあります。また産業においても、自動化や業務効率化により大きな貢献を果たしています。

このように普及が進んでいるIoTですが、幅広い知識と経験が必要となるため、IoTの世界で活躍するエンジニアになるためには特定の技術要素を身につける必要があります。まずはデバイスと通信の初級知識を習得し、1つでもアプリケーション開発を経験することがキャリアのスタートとなるでしょう。