コンポーザブル・アプリケーションとはなにか?特徴と活用するメリットを紹介
この記事ではコンポーザブル・アプリケーションとはなにか、また特徴や活用するメリットを取り上げ解説します。
この記事ではコンポーザブル・アプリケーションとはなにか、また特徴や活用するメリットを取り上げ解説します。
知識・情報
2022/09/22 UP
- 開発
- 技術
開発業務に携わる方のなかには、「コンポーザブル・アプリケーション」という言葉を耳にした方もいるのではないでしょうか。迅速かつ正確な開発が求められる時代において、コンポーザブル・アプリケーションは重要な役割を果たします。ぜひ知っておきたい用語といえるでしょう。
この記事ではコンポーザブル・アプリケーションとはなにか、また特徴や活用するメリットを取り上げ解説します。
コンポーザブル・アプリケーションとは
コンポーザブル・アプリケーションは、2021年頃から急速に注目されているテクノロジーで、ソフトウェアの組み合わせにより作られます。機能ごとにあらかじめ用意された「パッケージ化されたビジネス機能」(PBC)を組み合わせることにより、短期間でのサービス提供を可能としていることが特徴です。
ガートナージャパンは2022年における「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の一つに、コンポーザブル・アプリケーションを挙げています。
コンポーザブル・アプリケーションが持つ3つの特徴
コンポーザブル・アプリケーションは、他のシステムにはあまりみられない特徴を持っています。どのような特徴があるか、知っておくことはシステム開発を進めるうえで有効です。ここではおもな3つの特徴を取り上げ、解説します。
目的に合わせて機能を結合したもの
コンポーザブル・アプリケーションはシステムの目的に合わせて、PBCを結合したものです。それぞれのPBCはデータベースやレポートの生成、契約や経費処理など、単一の機能として独立しています。
PBCは、複数のシステムで活用可能です。目的に合ったPBCを組み合わせることにより、すべてを自力で開発することなく良質のシステムを提供できます。
必要に応じて再構成できる
コンポーザブル・アプリケーションは、再構成も可能です。必要に応じてPBCの追加や削除など、組み合わせを変えることができます。例えば機能追加は、新しいPBCを追加することで可能。より優れたPBCがリリースされた場合は、PBCの入れ替えで対応可能です。
これはスクラッチ開発との大きな相違点であり、ビジネスの変化にも柔軟に、かつ素早く対応できます。
クラウドやAPIがよく使われる
コンポーザブル・アプリケーションは、クラウド上で動作するものも多くなっています。クラウドの活用によりオフィスのある場所に関わらずPBCを活用でき、ビジネスに最適なシステムを構築できます。
加えて、APIもよく使われます。機能ごとの独立性が高いため、ある機能を変更しても他の機能に与える影響を少なくできること、セキュリティを高められるメリットが得られます。
コンポーザブル・アプリケーションが求められる背景
コンポーザブル・アプリケーションは、なぜ求められるようになったのでしょうか。ここではおもな3つの背景を取り上げ、求められるようになった理由を解説します。
限られた人員で、高い品質のプロダクトをつくる必要がある
ITエンジニアは、採用難が続いている職種です。特にスキルの高い人材は、各社で取り合いとなっています。開発プロジェクトでは、希望するレベルの人材を確保できないケースも多いでしょう。
たとえ満足できるレベルの人材をそろえられない場合でも、クライアント企業の要望にこたえられるレベルのプロダクトを作らなければなりません。メンバーのスキルを問わず、高い品質を備えたプロダクトを提供できる仕組みが求められていることは、おもな背景に挙げられます。
ビジネス環境の変化に対して、柔軟に対応する必要がある
21世紀になり、顧客のニーズはバラエティに富むものとなりました。加えて、ニーズが頻繁に変わりやすいことも特徴です。このことも、コンポーザブル・アプリケーションが求められる背景に挙げられます。
これからのシステムには細かいニーズへの対応はもちろん、ビジネス環境の変化にも柔軟な対応が求められています。状況の変化に対して追加開発でなく簡単な方法で対応できるシステムが、求められる時代となりました。
より速いプロダクトの提供が求められている
世のなかの変化は、ますます速くなっています。変化に適応しビジネスチャンスを得るためには、迅速なプロダクトの活用が欠かせません。一方でスクラッチ開発は、ときにリリースまで数年を要する場合もあります。これではリリースした時点で、時代遅れとなりかねません。
これからの時代は、より短期間でのリリースを実現できる開発手法を用いたプロダクトの活用が求められています。
コンポーザブル・アプリケーションを活用する5つのメリット
コンポーザブル・アプリケーションの活用は、システム開発にさまざまなメリットをもたらします。ここからは代表的な5つのメリットについて、確認していきましょう。
工数や費用を削減でき、短期間での納品が可能
コンポーザブル・アプリケーションはスクラッチ開発と異なり、すべての工程をゼロから作るわけではありません。すでに完成済みのPBCを組み合わせて、顧客の要望に合ったプロダクトを作ります。でき上がったパーツを組み合わせる作業が主体といえるでしょう。
開発の手間が減るため工数や費用を削減でき、短期間での納品が可能です。迅速な変化への対応を迫られる企業の要望にもこたえられる点は、大きなメリットといえるでしょう。時代の変化に適応したシステムを提供できるソリューションの一つです。
ベテランのエンジニアに頼らなくても開発できる
コンポーザブル・アプリケーションは新規開発すべき部分が少ないぶん、開発の難易度も下がる場合が多いです。ベテランのエンジニアに頼る必要はありません。経験の浅い人が中心のチームでも、良質のプロダクトを提供できます。採用難のなかでも顧客の期待にこたえられる点で、有効な開発手法の一つといえるでしょう。
オフショア開発も行ないやすい
システム開発を海外企業に委託する「オフショア開発」を選びやすい点も、メリットの一つに挙げられます。オフショア開発では、言語が壁となりがちです。双方の認識に相違があると、品質の低下に直結しかねません。
コンポーザブル・アプリケーションでは、開発におけるコミュニケーションの量そのものが減少します。一つひとつのコミュニケーションを丁寧に行なえるため、品質の低下を防ぐことが可能です。海外との協働をあと押しする手法といえるでしょう。
なおオフショア開発については、こちらの記事も併せてご覧ください。
オフショア開発とは?海外のエンジニアに委託するメリットや注意点について
プロダクトの信頼性が増す
コンポーザブル・アプリケーションでは、事前に重要な部分をPBCとして開発済みの場合も多いです。新たに開発すべき項目は、機能ごとの連携部分というケースも多いでしょう。
開発にはバグがつきものですが、コーディングの量自体を減らすことでバグの発生を抑制できます。PBCの活用により、品質の標準化も可能です。安心して使えるプロダクトを提供でき、貴社への信頼性を増す効果が期待できます。
市場の変化に対応できる
コンポーザブル・アプリケーションは短期間での開発を行ない、迅速なリリースを可能とします。変化の激しい市場や速やかな対応が求められる場面でも、ニーズに沿ったプロダクトをスピーディーに提供できます。もちろんスピードと引き換えに、品質の低下を気にする必要はありません。
スクラッチ開発では、市場や顧客のニーズに迅速な対応ができない場合も多いでしょう。競合他社よりも優位に立つことで、ビジネスチャンスを逃さず利益の向上につなげることが可能です。
コンポーザブル・アプリケーションで良質なシステムを短期間で開発できる
コンポーザブル・アプリケーションの活用により、良質なシステムを短期間で開発可能です。変化への迅速な対応と開発費用の低減が求められる時代にマッチした開発手法といえるでしょう。
開発エンジニアのなかには「開発作業の醍醐味が減る」など、残念に思う方もいるかもしれません。しかし業務での開発は、発注者のニーズにこたえることが第一。車輪の再発明を止めるためにライブラリが欠かせないものになっていったように、コンポーザブル・アプリケーションがこれからのエンジニアに欠かせないものとなる可能性は高いでしょう。