クラウドコンピューティングの特徴とは?おもな用途や代表的なサービスを紹介
本記事では、クラウドのおもな用途やメリット・デメリットについて解説します。クラウドサービスのシェアでトップ3であるAWS、Microsoft Azure、GCPの特徴についても紹介するので、参考にしてください。
本記事では、クラウドのおもな用途やメリット・デメリットについて解説します。クラウドサービスのシェアでトップ3であるAWS、Microsoft Azure、GCPの特徴についても紹介するので、参考にしてください。
知識・情報
2022/11/10 UP
- クラウド
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クラウドコンピューティングは多くの企業で活用されており、個人での利用者も増えています。本記事では、クラウドのおもな用途やメリット・デメリットについて解説します。クラウドサービスのシェアでトップ3であるAWS、Microsoft Azure、GCPの特徴についても紹介するので、参考にしてください。
クラウドコンピューティングとは
まず、クラウドコンピューティングの概要について説明します。クラウドと比較されることの多い、オンプレミスと呼ばれる運用方法との違いについても解説します。
クラウドコンピューティングの概要
クラウドコンピューティングとは、ネットワークを経由してコンピュータ資源を利用するサービスのことです。ハードウェアやソフトウェアを自社で用意する必要がなく、使いたいリソース分だけ料金を支払って利用できるというメリットがあります。大人数での情報共有がしやすくなるといったメリットもあり、さまざまな領域で活用されています。
クラウドを利用する企業の割合は年々増加しており、総務省が公開している「令和3年版 情報通信白書」によると、2020年には約7割に達しました。クラウドを活用した多くの種類のサービスが提供されており、特にファイル保管やデータ共有、メール、社内における情報共有などの利用が多いです。
オンプレミスとの違い
必要なハードウェアやソフトウェアを自社で保有、管理運用する運用方法をオンプレミスと呼びます。2000年頃にクラウドが登場するまでは一般的であった運用方法です。クラウドという運用が広まったことから、従来の方式をオンプレミスと呼んで区別するようになりました。
自社ですべてのコンピュータ資源を管理するため、ネットワーク環境の設定やセキュリティ管理が自由にできることがメリットです。一方で、設備導入による初期投資が高くなること、保守や障害対応をすべて自社で担うため運用面でも金銭的負担が大きいというデメリットがあります。管理や運用のための人材を常に用意しなければならないこともコスト増になります。
クラウドコンピューティングの用途
クラウドコンピューティング技術はさまざまな領域や業界に広まっています。クラウドを活用できる代表的な用途について紹介します。
ファイルの保存や共有
パソコンやスマートフォンのファイルをクラウド上に保存、共有できます。ビジネスの場面だけでなく、個人でプライベートな情報の管理を目的に利用している人も多いです。クラウドが一般的になったことでハードウェアの制約が大きく緩和され、インターネットにつながる機器であればどこからでもアクセスできるようになりました。
クラウド上に保存したデータは、場所を問わず任意のデバイスで確認できます。自宅のパソコンを利用して作業したファイルをクラウド上に保存し、外出中にスマートフォンを用いてファイルを修正することも可能です。また他者との共有も簡単で、同じファイルにそれぞれのパソコンからアクセスして編集できます。
データストレージ
個人のパソコンの容量では足りないほどの大規模データの保存先として、クラウドを利用できます。大規模データはビッグデータとも呼ばれますが、ビッグデータを分析して業務改善のヒントを得たり、機械学習に応用したりするなどビジネスで活用されるようになりました。ビッグデータは大容量の保存領域を必要とするため、クラウド上で管理されることが主流となっています。
クラウドでは課金して必要な容量だけを確保できるため、データの容量に応じて柔軟にスケーリングできます。またデータは企業にとって貴重な財産であり、ハードとソフトの両面で長期間における安定運用が可能でなければなりません。クラウド上のデータを管理するサーバーが置かれているデータセンターは、耐震性を考慮して建設されていることが多く、セキュリティ面も対策されています。
アプリ・システム開発
AWS(Amazon Web Services)をはじめとする、クラウドベースの統合開発環境が提供されています。このようなサービスの活用により、アプリケーションやシステムの開発をクラウド上で実施できるようになりました。ローカル環境ではなく、インターネットを経由して開発作業を行ないます。
自社内で開発環境を整える必要がなく、クラウドサービスに関する最小限の設定のみで開発作業が可能です。ハイスペックな環境が必要になっても、プラン変更のみでスケールアップでき、自社で新たな設備導入を検討する必要はありません。常に最新のバージョンを利用できるなど、クラウドサービスならではのメリットもあります。
クラウドコンピューティングのメリット
クラウドコンピューティング技術を活用するメリットを3つ紹介します。
柔軟なスケーリングが可能
クラウドのプランを変えるだけで、必要なだけのリソースを入手可能です。自社のみで運用するオンプレミスの場合、リソース変更はハードウェアとソフトウェアの両面でコストがかかってしまいます。クラウドであればサービスの契約のみですぐに使い始められます。
またアップデート時の対応も不要で、常に最新バージョンのサービスを利用できるため、運用に関する手間がかかりません。管理や運用のための人員を用意する必要がなく、開発業務などに人員を集中させることができます。
ビジネスのスピードが加速できる
サーバーやソフトウェアの導入費用が必要ないため、少ない予算からスモールスタートが可能です。ビジネスを撤退する際にも金銭的な損失を最小限に抑えられるため、変化の激しい現代においても柔軟にビジネスを進められるでしょう。
大人数のチームでも共通のサーバーを利用して情報共有が容易になります。外出先からもアクセスできるため、入手した情報を他のメンバーに迅速に展開することが可能です。またクラウドでは自動的にバックアップを取るシステムとなっているため、誤ってデータを消去しても復旧できます。
安全なデータセンターで管理される
クラウドのデータを管理するサーバーはデータセンターに置かれています。データセンターは冗長性や可用性に優れた施設であり、障害時の備えも万全です。建物自体が防火、防水、耐震対策がとられ、停電に備えた電源設備も用意されています。
サイバー攻撃から守るためのセキュリティ対策は、一般的で実施される対策よりはるかに厳しいものです。ネットワーク上のみではなく、データセンターの施設の周囲にカメラと警備員を配置するなど、物理的な面でもセキュリティ対策が実施されています。
クラウドコンピューティングのデメリット
ここまでクラウドコンピューティングのメリットを紹介しましたが、反対にデメリットを3つ紹介します。
ネットワーク環境がなければ利用できない
クラウドへのアクセスはネットワーク環境があることが多くの場合で必須となります。外出先でネットワークが使えない場合もあるでしょう。会社もしくは自宅におけるトラブルでインターネットに接続できなくなれば、当然クラウドも利用できません。
外出先でネットワークが使えない場合に備えてモバイルルーターを用意するとよいでしょう。またネットワークのトラブル時に備えた対策は検討しておく必要があります。本当に必要なデータはローカルにバックアップを取っておくのが安心です。
カスタマイズや社内システムとの連携に課題がある
クラウドサービスを提供する企業のプランと適合しなければ、社内システムとの連携はできません。オンプレミス環境を用意したほうがカスタマイズの自由度は高いでしょう。クラウドを利用する場合は、あらかじめ必要な機能を明確にしておき、要求仕様を満たすサービスを選定することをおすすめします。
サービス終了のリスクがある
クラウドサービスが終了し、機能が使えなくなるリスクがあります。大手企業のサービスであれば突然終了するリスクは低いものの、バージョンアップなどで必要な機能の削減や、使い勝手が悪化する場合もあるでしょう。
クラウドサービスを選定する際には、サービスが今後も継続されるかという観点も大事です。使用中のサービスより、もっと使い勝手の良いサービスが今後生まれることもあります。他のクラウドサービスの情報もチェックし、代替案は常に検討しておきましょう。
代表的なクラウドコンピューティングサービス
クラウドコンピューティングのサービスのなかで代表的なものを紹介します。クラウド専門の調査会社Synergy Research Groupが発表した、世界シェアのトップ3であるAWS、Microsoft Azure、GCPについて解説します。
AWS(Amazon Web Services)
アマゾンが提供するAWSは、2022年第2四半期時点でクラウドサービスのシェア1位となりました。近年はシェア30%以上をキープし続けており、2位以下を10%以上引き離してシェア1位を独走し続けています。
AWSではストレージやデータベースなどのインフラ、AIやデータレイクなどの最新技術といった、200以上のサービスを提供しています。公開年は2006年と他のサービスと比べて歴史が長く、AWSを扱える技術者も多いため日本語の情報が多いことも特徴です。
AWSについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
AWSとは?クラウドサーバーでできることやメリットをわかりやすく解説
Microsoft Azure
Microsoftが提供するAzureは、2022年第2四半期時点でのシェアは2位となっています。2018年初期のシェアは13%程度でしたが、現在は20%以上にまで拡大し、シェアの増加率はトップ3のクラウドのなかで最も大きいです。
Azureは100を超えるサービスを提供しています。WindowsやOfficeとの親和性が高いこと、SQL Serverとの連携に強いことが特徴です。Office系のソフトウェアを利用している業務はクラウドへ移行しやすいでしょう。特に大企業や官公庁で採用されることが多いです。
Azureについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
Azureとは何か?初心者向けにわかりやすく解説
GCP(Google Cloud Platform)
Googleが提供するGCPは、2022年第2四半期時点でのシェアは3位です。2018年初期のシェアは6%程度でしたが、現在は10%まで拡大しました。シェア4位以下のクラウドサービスと徐々に差をつけています。
YouTube、Gmailといったインフラがベースであり、Googleのサービスとの連携が可能です。データ分析や機械学習が得意であり、画像分析やテキスト翻訳といったサービスを提供しています。Google独自のデータセットでAIモデルの学習が可能であることも特徴といえます。
Google Cloud Platformについては、こちらの記事もご覧ください。
Google Cloud Platformとは?特徴やサービスを具体的に解説
クラウドにより低コストで豊富な機能を活用できる
クラウドコンピューティングとは、ネットワークを経由してコンピュータ資源を利用するサービスのことです。多人数でのファイルの共有やデータストレージ、アプリ・システム開発など、ビジネスの場面で多く活用されるようになりました。個人向けの用途としても使い勝手が良く、プライベートなファイルをクラウドで保存している人も多いでしょう。
必要となるリソース分だけ課金して利用できるためコスト効率が良く、ビジネスのスピードアップにつながります。各社のクラウドサービスは特徴や課金システムに違いがあるため、自分の使いたい用途に合ったサービスを探してみると良いでしょう。