パソナについて
記事検索

プラットフォームエンジニアリングとはなにか?求められる背景とメリットも解説

この記事ではプラットフォームエンジニアリングについて、背景やメリットも含めて詳しく解説します。インフラ業務を担うエンジニアはもちろん、開発エンジニアの方もぜひお読みください。

プラットフォームエンジニアリングとはなにか?求められる背景とメリットも解説

この記事ではプラットフォームエンジニアリングについて、背景やメリットも含めて詳しく解説します。インフラ業務を担うエンジニアはもちろん、開発エンジニアの方もぜひお読みください。

知識・情報

2023/01/26 UP

新しい用語の一つに、「プラットフォームエンジニアリング」が挙げられます。基盤に関係しそうな用語であることはわかるものの、意味をよく理解していない方も多いのではないでしょうか?今後IT業界で活躍したい方は、ぜひ知っておきたい用語です。

この記事ではプラットフォームエンジニアリングについて、背景やメリットも含めて詳しく解説します。インフラ業務を担うエンジニアはもちろん、開発エンジニアの方もぜひお読みください。

プラットフォームエンジニアリングとはなにか?

そもそもプラットフォームエンジニアリングとは、どのような意味を持つ用語なのでしょうか。ここでは2つの観点から概要を解説しますので、イメージをつかんでください。

開発者がアプリケーション開発環境を自律的に作成できる

プラットフォームエンジニアリングは、開発者がクラウド環境において、アプリケーションの開発環境を自ら作成できる仕組みを提供します。セルフサービスで使えるツールや環境の自動化は、代表的な項目です。

インフラに関する多種多様な知識を、開発者が覚える必要はありません。またシステムの運用部門やインフラ部門による環境構築を待つ必要もありません。開発者自身が簡単に開発環境を構築できるため、適時適切なタイミングでソフトウェアを提供できることは大きなメリットです。

専門のチームが作られ、ツールが提供される場合もある

プラットフォームエンジニアリングを実現する目的で専門のプラットフォームチームを設け、開発チームを助ける場合があります。プラットフォームチームは内部開発者プラットフォーム(IDP)をつくり、アプリケーションの開発者に対してツールを提供します。

これにより多くの開発者はインフラを気にせず、アプリケーションの開発に集中できるわけです。数十人規模のプロジェクトでも、プラットフォームチームやIDPは役立ちます。目立たない役割であるものの、迅速なシステムの提供には重要です。

プラットフォームエンジニアリングが求められる3つの背景

プラットフォームエンジニアリングが求められる3つの背景 クリックして拡大

プラットフォームエンジニアリングが求められるようになった背景は、3つあります。いずれも現代の開発現場における重要な項目が関連しています。時代にこたえる手法であることを確認してください。

クラウドサービスの普及

かつての環境構築は高価なハードウェアを用意しなければならず、作業も大変でした。ハードウェアの設置はもちろん、メモリなど部品を取り付けることは、インフラエンジニアのおもな作業です。専門性が高い業務であるため、インフラ業務はインフラエンジニアに任せるケースもよくありました。

クラウドサービスの普及は、この状況を変えました。インフラエンジニアでない方でも画面で必要な設定を行ない、開発に必要なサーバーをセルフサービスで用意できます。また高価なハードウェアを用意しなくても、必要な期間だけ使えば良いため価格も抑えられます。多くの開発者が環境づくりに携われるようになったことは、おもな背景の一つです。

スピーディーな開発が求められている

情報化が進んだ結果、多くの業務を迅速に進められるようになり、より速く情報を提供できるようになりました。社会全体のスピード化により、変化に対して迅速な対応が求められます。システム開発においても、より短い期間で充実した機能を提供する必要があるわけです。

開発環境の構築を専門のエンジニアに任せず、簡便化した方法で自ら行なうことは、開発期間の短縮につながります。このことも、プラットフォームエンジニアリングが求められる背景に挙げられます。

ITエンジニアの不足

慢性的なITエンジニアの不足も、プラットフォームエンジニアリングが求められる背景の一つです。人が足りないからといって、システムに求められる品質は下がりません。むしろIT技術の進化にともない、求められる品質は上がっています。

皆さまのなかには、「人が足りないならば、優秀なエンジニアを多く採用しよう」と考える方もいるかもしれません。しかし優秀なエンジニアやフルスタックエンジニアは特に不足しており、各社で取り合いとなっているため、思うように人を採れない企業も多いことでしょう。

開発エンジニアに比重を置いた採用をするならば、できるだけ開発業務に専念できる仕組みづくりが必要です。インフラの手間を軽減する仕組みが求められるでしょう。

DevOpsやSREとの相違点

よく使われる開発の手法には、DevOpsやSREなどが挙げられます。プラットフォームエンジニアリングとの相違点に加えて、どのような課題を解決しているのかについて確認していきましょう。

DevOpsよりも開発者の役割を軽減できる

DevOpsとプラットフォームエンジニアリングは、効率的な開発により生産性を上げる点が共通しています。一方で開発者への負担は異なります。DevOpsでは、環境構築にかかる負担が開発者にのしかかるためです。開発業務を行ないながら、環境構築や運用に関する多種多様な業務をこなさなければなりません。優秀なエンジニアは他のエンジニアの支援を行なわなければならず、パフォーマンス低下の要因となりかねません。

プラットフォームエンジニアリングでは、開発者の負担軽減がコンセプトです。専門のチームやIDPなどの活用により、開発業務に集中して取り組める環境を提供できます。

SREとは着眼点が異なる

SRE(サイト信頼性エンジニアリング)とプラットフォームエンジニアリングは、着眼点が異なります。SREの目的は、プロダクトやサービスの信頼性を上げることです。品質の向上により開発期間の短縮につながる可能性はありますが、おもな目的ではありません。

一方でプラットフォームエンジニアリングは、効率的な開発を目的としています。環境構築の標準化・簡素化により、品質アップにつながる可能性はあります。しかしおもな目的は開発者の負担を軽くして、開発業務にリソースを集中させることです。

プラットフォームエンジニアリングを活用する4つのメリット

プラットフォームエンジニアリングを活用する4つのメリット クリックして拡大

プラットフォームエンジニアリングの活用により、さまざまなメリットが得られます。おもな4つの項目について、どのようなメリットがあるか確認していきましょう。

開発期間を短縮でき生産性も向上する

開発期間を短縮でき生産性も向上できることは、おもなメリットの一つです。IDPの活用により、開発環境の構築においてプラットフォームに強いエンジニアの手を煩わせる必要がありません。待ち時間がなくなることで開発期間を短くできるとともに、優秀なエンジニアへの集中を防ぎ開発業務に専念させることで生産性が上がります。

また開発業務の多くで、自動化技術が採用されるでしょう。標準化される業務も増え、短期間でのリリースが可能となります。本番環境への移行が楽になることは、代表的なメリットの一つです。

保守開発も迅速に実施し顧客に提供できる

どれだけシステムを完璧に作ったとしても、環境の変化に対応するなどの理由で修正が入ることは避けられません。このような保守開発のフェーズにおいても、プラットフォームエンジニアリングならば迅速に実施し、顧客に提供できます。開発者は数回のクリックにより、現在の環境に適したシステムを作成できるためです。環境作成の手間が減り、少ない作業で短期間での対応が可能となることは大きなメリットといえるでしょう。

経験の少ないエンジニアでも開発現場で活躍できる

プラットフォームエンジニアリングでは、さまざまな自動化技術が活用されています。開発環境や開発業務の遂行における業務の多くが自動化されます。覚えるべき項目が減るため、スキルによる差は縮まることでしょう。

このため経験の少ないエンジニアであっても即戦力になりやすく、開発現場での活躍がしやすくなります。しかるべき品質のソフトウェアを作りやすくなることも、メリットといえるでしょう。

優秀なエンジニアをレベルの高い業務に集中配置できる

優秀なエンジニアをレベルの高い業務に集中配置できることも、見逃せないメリットに挙げられます。そもそも慢性的な採用難のなか、優秀なエンジニアの確保や育成は簡単ではありません。エンジニアの負担を軽くする工夫が必要ですが、DevOpsでは開発以外のさまざまな業務に時間を割かれがちとなり、逆に優秀なエンジニアほど忙しくなる事態を招きかねません。

プラットフォームエンジニアリングならば、開発以外の負担を軽減する仕組みが整えられています。高いレベルのエンジニアがさまざまな業務に忙殺されることを防ぎ、難しい業務を集中して任せられるため、人材の有効活用も行なえるでしょう。

顧客にフィットするシステムを迅速に開発できる方法

プラットフォームエンジニアリングは、顧客にフィットするシステムを迅速に開発できる方法です。この方法は新規開発だけでなく、保守開発にも有効です。ツールの活用により、限られた人材を開発業務に集中させることが可能となります。適時適切なソフトウェアの提供につながり、より良いビジネスにつながることでしょう。

これは近年よく聞かれる「フルスタックエンジニア」と逆行する動きのように見えますが、エンジニアのキャリアパスが多様化する現れともいえるでしょう。一般の開発エンジニアがインフラを意識しなくて良い時代となれば、開発スキルをより一層磨き続ける必要に迫られそうです。