ビジネスインテリジェンスとは?機能やメリット、選び方のポイントを紹介
ビジネスインテリジェンスの基本的な機能や得られるメリット、自社に適したツールを選ぶ方法などを解説します。
ビジネスインテリジェンスの基本的な機能や得られるメリット、自社に適したツールを選ぶ方法などを解説します。
知識・情報
2021/02/24 UP
- 技術
- メリット
近年、企業経営においてビジネスインテリジェンスが注目を集めています。ビジネスインテリジェンスは、企業のスムーズかつ迅速な意思決定を支援し、これからの企業経営を支えていくうえで重要な役割を果たします。
その効果を最大限利用するためには、自社のニーズを満たす機能を持ったツールを選定することが重要です。そこで今回は、ビジネスインテリジェンスの基本的な機能や得られるメリット、自社に適したツールを選ぶ方法などを解説します。
ビジネスインテリジェンスとは
ビジネスインテリジェンスは「Business Intelligence」と表記することから、頭文字をとって「BI」と呼ばれています。ビジネスインテリジェンスは、企業内に存在する膨大な量のデータを集約して分析し、企業経営における意思決定を助けるためのツールです。
現在は大企業での活用がメインですが、今後は中小企業にも浸透していくと予想されており、企業経営に必要不可欠なツールの一つになると考えられています。
注目される理由
ビジネスインテリジェンスが注目されている理由には、「顧客の行動を簡単に把握できる」という点が挙げられます。顧客の行動を詳細に分析してタイミングに応じた適切なアプローチを行なうことで、売上アップや利益向上につなげることが期待できます。
また、社内のあらゆる情報を複数のメンバー間で共有できることも、ビジネスインテリジェンスの特徴の一つです。従業員だけにとどまらず、経営陣とも売上データや生産データ、営業進捗率などのさまざまな情報を共有できるため、リアルタイムかつ迅速な経営判断を可能にします。
BIツールの基本的な機能とは
BIツールは企業が抱えるデータを集約・分析するうえで、なくてはならない存在です。
ここでは、基本の機能を3つ紹介します。
OLAP分析機能
OLAPは「Online Analytical Processing」の略称で、オンライン分析処理のことを指します。ビジネスを進めるうえで生じる課題を複数の視点で深く掘り下げて分析し、原因を探し出すのがOLAPの機能です。
例えば、これまで安定的に推移していた売上が急激に変動した場合、その原因を究明することが課題になります。
売上が増加しているのであれば、その原因を明確にすることで、より効果的な施策を打ち出し、ブランド力や認知度のさらなる向上につなげられます。逆に、売上が低下している原因が判明すれば、早急に状況を改善するための施策を講じることも可能です。
「何か問題や変化が起きている」という結果を見るだけでは、次につながる具体的な行動を起こすことはできません。結果に対してOLAPを活用し、課題に対する原因を探し出すことができれば、状況に応じた素早い経営判断を下せるようになります。
レポーティング機能
データの分析結果を可視化して、結果に基づいたパフォーマンスを継続的に計測・監視するのがおもな役割です。事前に設定された指標に対して明らかに変動があった場合に、兆候をいち早く発見することで、問題が大きくなる前に対処できます。
ビジネスを進めるなかで、どれほど注意していても何らかのトラブルが起こることは避けられません。しかし、トラブルが起こった際に迅速に対処できれば、被害の拡大を最小限に抑えて速やかに軌道修正することも可能です。
問題の発見が遅れて長時間放置することになれば顧客からの信頼を低下させるリスクもあるため、日頃からスムーズにトラブルに対応するための監視体制を整えることが大切です。
データマイニング
データマイニングは、さまざまな方法を用いて蓄積したデータの分析を行ない、「経営上の課題をどのように解決していくべきか」に対するヒントを見つけ出すための機能です。分析手法にはクロス分析や回帰分析、相関分析などがあります。
具体例を挙げて説明すると、以下のように課題の解決に導きます。
このように、蓄積されたデータを分析することで、事態の改善を図るための効果的な施策につなげることができます。
BIツールの導入により得られるメリットとは
BIツールの導入・活用は、企業に大きなメリットをもたらします。ここからは、BIツールの導入によってどのようなメリットが得られるかを具体的に紹介します。
現状把握できる
分析結果をグラフや図などの形でわかりやすく可視化できるため、自社の現状をひと目で把握可能です。売上やプロジェクトの進行状況、新規顧客の獲得実績など、ビジネスに必要不可欠なあらゆる情報が明確になり、自社の強みや弱み、改善点などを導き出しやすくなります。
また、情報はリアルタイムで反映され、刻一刻と変化する状況のなかでデータを常に最新の状態を維持できることから、信ぴょう性が高いことも大きなメリットといえるでしょう。古いデータをもとに情報分析を行なうと、効果的な分析結果が得られない可能性があるため、最新の情報を反映できることは重要です。
問題の早期発見
常に自社の状況に目を向け続けることで、企業活動における問題点や課題をすばやく発見して対処できます。トラブルが起きてしまってから事後対応すると、手遅れになるケースも考えられます。しかし、起こりうる問題を事前に予測できれば、発生リスクがどの程度あるのかを把握したうえで対処方法の準備ができるでしょう。
起こりうるすべてのトラブルに対処することが理想ではありますが、リスクが小さい問題に対処するためのリソースを確保できない場合もあります。そのような場合、ツールによって導き出されたリスクに優先順位を設定し、トラブルに発展した際に被害が大きくなりやすいものから順番に対処することで、最大限メリットが得られるでしょう。
トラブルを未然に防ぐために動けるようになると、リソースにも余裕が出るようになり、経営戦略上有利になります。
時間の短縮
データ収集や分析を手動で行なうには多大なコストと時間がかかりますが、BIツールを活用して作業を効率化することで、大幅に作業時間を短縮できます。問題の原因究明や解決にOLAP分析やデータマイニングを導入すれば、短時間かつスムーズに有効な解決策を見つけ出せるでしょう。
経営者には迅速な経営判断を求められる場面が多く、意思決定までの時間を短縮できる点はBIツールの大きなメリットといえます。
BIツール選びのポイント
近年はさまざまなBIツールがあり、備わっている機能も大きく異なります。選び方を誤るとデータを最大限に活用できなくなってしまうため、自社に合ったものを選ぶことが大切です。そこで、ツールを選定する際に注意したい3つのポイントを紹介します。
目的を明確にする
機能を最大限に活かすためには、導入の目的を明らかにしておかなければなりません。「BIツールを導入して何を実現したいのか」が明確になっていないと、必要な機能の見定めが難しくなるからです。
ツールによって機能は大きく異なるため、目的が不明瞭なまま導入すると機能不足で十分な成果が得られず、コストだけが膨らんでしまうことも考えられます。また、不要な機能が搭載されている影響で操作が複雑になり、利便性を損なうケースも少なくありません。
まずはBIツールを利用する目的を十分に整理し、目的に見合ったツールを選定することが大切です。
データの種類を確認する
ツールを選定する前に、分析対象となるデータの種類や量をあらかじめ把握しておきましょう。ツールによって連携可能なデータやアプリケーションは異なるため、自社の扱うデータに適しているかどうか、忘れずにチェックしなければなりません。
ただし、データ量がそれほど多くなく複雑でなければ、Excelを使用するほうがスムーズに結果を得られることもあります。BIツールを使用する場合、少量のデータをもとに分析すると期待どおりの効果を得られない可能性も考えられます。
操作性や見やすさ
BIツールは、専門知識を持たない方でも扱えるように設計されているものが多い傾向にあります。しかし、シンプルな分析だけでなく専門性の高い分析も行ないたい場合は、操作が複雑になります。そのため、できる限り見やすい可視化機能が実装されたツールを選定することがおすすめです。
ホームページの製品情報やパンフレットの紹介画像を参照するだけでなく、実際にデモ画面を確認し、使用感や画面の配置などを確認してから導入を決定しましょう。
ビジネスインテリジェンスは企業にとってますます重要に
ビジネスインテリジェンスは、現状を把握し、自社の問題や課題に対する迅速な対処を可能にするなど、企業にさまざまなメリットをもたらすツールです。経営層の意思決定に大きく貢献することから、今後は大企業だけでなく、中小企業でも導入の動きが大きく広がると予想されます。
BIツールを選定する際は、解決したい課題や導入目的を明確にすることが大切です。目的に沿った機能を持つBIツールを選ぶと得られる効果が高まり、企業の発展に大きく寄与するでしょう。