あらためて確認したい、業務効率化の意味。個人と組織で行なえる11の手法を紹介
本記事では業務効率化について述べたのち、個人と組織で行なえる11の手法を紹介していきます。
本記事では業務効率化について述べたのち、個人と組織で行なえる11の手法を紹介していきます。
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2021/09/22 UP
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- 業務効率化
業務効率化は生産性の向上など、さまざまなメリットがあります。業務の遂行に重要ということはわかっていても、どのように進めれば良いかわからない。このような悩みをお持ちの方も、多いのではないでしょうか。
業務効率化は、さまざまな方法で実現できます。できるところから実践し、仕事を楽にすることと業績アップの両立を図りましょう。
本記事では業務効率化について述べたのち、個人と組織で行なえる11の手法を紹介していきます。
業務効率化とは?
業務効率化とは、事業運営における「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省く取り組みを指します。以下はその一例です。
・実現可能なスケジュールで業務を遂行する
・材料や機器、人員や時間を必要以上に使わない
・省略できる作業は省く
・月ごとの波を軽減する
・成果物のレベルを合わせる
このため、単に同じ作業を短時間で行なえるようにするという意味ではないことに注意が必要です。業務効率化を果たすためにはスケジュールの見直しや手待ち時間の削減、作業手順の標準化といった取り組みも必要です。
業務効率化を行なうメリット
業務効率化は、事業運営にさまざまなメリットをもたらします。代表的な例として、以下のものが挙げられます。
・業績が上がる
・今ある設備を有効活用でき、設備投資を抑制できる。経費も削減可能
・新規事業や既存事業の強化に人員を割ける
・従業員のやる気と努力、我慢に頼った経営から脱却できる
・残業代や休日出勤など、人件費を削減できる
・業務の属人化を防げる
・従業員のモチベーションをアップでき、より高いパフォーマンスを得られる
業務効率化はより少ない資金でより高い効果を上げられるだけでなく、ワーク・ライブ・バランスを重視した働きやすい職場づくりにも貢献できる手法です。
業務効率化は個人でも進められる
業務効率化は、組織で取り組むことが有効です。全社で取り組むとより大きな効果を上げられるため、できるだけ大きな組織の単位で行なうことがおすすめです。
一方で業務効率化は、個人での取り組みで一定の効果を上げられることも見逃せないポイントです。もし所属する組織が業務効率化に消極的な場合でも、あきらめる必要はありません。まずご自身でできる効率化に取り組み、成果が出た手法を他のメンバーなどへ横展開することも一つの方法です。
業務効率化は生産性向上を実現する手法の一つ
業務効率化と生産性向上は、よく似た使われ方がされます。しかしそれぞれの意味は、以下のとおり異なります。
・業務効率化は「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくし、コストを抑える
・生産性向上はより少ない経営資源で、より大きな成果をめざす
業務効率化は手段や手法、コスト削減に着目する一方で、生産性向上は成果に着目するものといえるでしょう。業務効率化は、それ自体が増収や増益に直結するものではありません。しかし実施することで生産性向上を実現しやすくなり、業績アップをもたらすきっかけとなります。
個人でも行なえる、4つの業務効率化の手法
さきに解説したとおり、業務効率化は個人でも行なえます。ここでは4つの方法を紹介し、それぞれのポイントを解説します。
業務やスケジュールを「見える化」する
業務効率化の第一歩は、任されている業務はなにか、また締め切りなどのスケジュールや発生する頻度を把握することにあります。そのためには以下の方法を用いて、ご自身が担当する業務を「見える化」することが有効です。
・紙などにリストとして書き出す
・図や表などを用いて、わかりやすく示す
「見える化」した結果、思った以上に多くの業務を担っていたことに気付く方も多いでしょう。現状を把握することはさまざまな業務効率化の手法を成功させる前提条件となりますから、大変重要です。
優先順位を決めて行なう
業務には、必ず締め切りがあります。一方で皆さまのなかには、日々のさまざまな業務を担当している方も多いでしょう。思いつくまま、またはやりやすい業務から進めていくと、締め切りに間に合わない業務が発生する可能性があります。その結果、他の部署や取引先に迷惑をかけてしまうことになりかねません。
このような事態を防ぐためには業務の重要度や締め切りまでの日数、完了までにかかる期間を考慮し、優先順位をつけて行なうことが重要です。
マニュアル化する
手順やノウハウをマニュアルにまとめ、可視化することも良い方法の一つです。以下のとおり、業務効率化に大きく貢献します。
・いつでも正しい方法で業務を行なえる。ミスも防止可能
・他の人に任せる場合も、マニュアルを渡せば済むためスムーズ
・新人への研修も楽になる
・業務の属人化を防げる
新しい業務をその都度マンツーマンで教えると、大きなタイムロスとなります。マニュアルがあれば「まず、このマニュアルを読みましょう」で済ませられることは大きなメリット。教育にかける時間を大きく減らせるとともに、作業の標準化という観点でもおおいに役立ちます。
自動化する
担当する業務が定型化されている場合は、自動化により大幅に効率化できます。Excelのマクロは代表的な方法であり、ボタン一つで何回でも正しく処理できることがメリット。同じ作業を繰り返し行なう苦痛から解放される点も、見逃せません。
最近ではITエンジニアに頼らず、現場で業務に必要なツールを作成できる「Power Apps」や、自動化ツールである「Power Automate Desktop」も活用できます。これらの活用も、業務効率化に大きく貢献します。
組織で取り組むべき7つの業務効率化の手法
業務効率化は組織で行なうことで、より多くの方法を選ぶことが可能です。加えてより大きな効果を上げられることも、多くの企業が取り組む理由の一つ。
ここでは7つの手法を紹介し、それぞれのメリットと実施する際のポイントを解説していきます。
業務の「ムリ・ムダ・ムラ」をチェックする
業務の「ムリ・ムダ・ムラ」は、業務効率を下げるおもな要因です。これらを減らすことで、従業員をより重要な業務に割り当てられるとともに、設備の有効活用も可能。収益のアップに貢献します。
このため企業や組織は、すべての業務について聖域なくチェックし、改善することが重要です。これは主要な、あるいは慣習として長年行なわれてきた業務も例外ではありません。もし効率化できる業務があれば、積極的に見直しましょう。
特に会議やミーティングは参加者が多いこと、事前の資料作成に時間を費やすことから、無駄となった場合の影響が大きいことが特徴です。重点的にチェックすることをおすすめします。
分業か多能工か、業務に応じて適切に選択する
製造現場で業務効率化を進める代表的な手法に、分業や多能工があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
・分業は工程ごとに担当者を分けることで、効率をアップする。大量生産に向く
・多能工は一人で複数の工程を担うことで、効率をアップする。多品種少量生産に向く
両者には一長一短があるため、どちらかが優れているわけではありません。それぞれの特徴やメリットを把握したうえで、貴社の業務や事情に合わせて適切な方法を選択しましょう。
社内のデータや情報を共有する
社内のデータや情報、ナレッジを共有することで、個々の持つ知識や知恵は組織知に変わります。事業の効率的な運営において、組織知を増やすことは重要です。
・仕事の属人化を防止でき、正確な対応をスピーディーに行なえる
・人により、やり方や顧客対応がばらばらという事態を招かない
・同じツールを複数の人がつくってしまう無駄を防げる
・「他のメンバーが失敗したところを、自分も失敗する」という事態を防げる
情報共有をする際にはファイルを使いがちですが、クラウドサービスやグループウェアを活用することもおすすめです。
ツールの導入やシステム化を行なう
ITが絡む業務の場合は、ツールの導入やシステム化を行ない、効率化を図ることも一つの方法です。積極的な導入により、以下の効果が得られます。
・人海戦術に頼らなくて済み、少人数で業務を遂行可能。24時間対応も行なえる
・短時間でアウトプットを得られる
・成果物が均質化され、ムラがなくなる
・原価を減らせる場合が多い
システム化は、オリジナルのソフトウェア開発で実現することも可能です。しかしより高い効果を上げるためには業務の見直しを行なったうえで、パッケージソフトやクラウドサービスの活用をおすすめします。
良好な職場環境を保つ
良好な職場環境を保つことで従業員のモチベーションが上がり、業務効率化の推進につながります。評価を公正に行なうとともに、活発なコミュニケーションを取り情報共有を行なうことも重要なポイントです。
とりわけ、ミスが起きた場合の対応は重要です。厳しく叱責するとミスを報告しなくなり、取り返しのつかない事態につながりかねません。このため、どうしたらミスを繰り返さないか考えることが重要です。ミスが起きた原因を突き止め再発防止策を検討し、適切なフィードバックを実施することが欠かせません。
適材適所の人員配置を行なう
それぞれの従業員には、得意な分野と不得意な分野があります。従業員本人が持てる能力を活かせない事態は、企業にとっても良い結果をもたらしません。その結果、社内を探せば適任者がいるにも関わらず、経験者の募集を行なってしまうおそれもあります。
業績アップには、従業員の得意なスキルを発揮してもらうことが欠かせません。この点で従業員の適性を把握し、適材適所の人員配置を行なうことは重要です。また社内に埋もれている人材がいないか、つぶさにチェックすることもおすすめします。
業務を外注する
事業運営に必要な業務のなかには中核業務でない一方で、専門的なノウハウが必要な業務もあります。このような業務は、外注することも一つの方法です。外注費は必要ですが、以下に挙げるメリットが得られます。
・自社にあらゆる分野の専門家を置く必要がないため、人件費を削減できる
・業者が持つスケールメリットを活かし、外注費を抑えられる場合がある
・スペシャリストの知見を活かせる
業務の内容と費用、人員とのバランスを考えたうえで、必要に応じてご検討ください。
適切な手法を選び、業務効率化の実現をめざそう
業務効率化は、さまざまな方法で実現できます。しかしいずれの方法も、貴社の業務にマッチし、従業員の力を活かせることが大前提です。
業績アップにつなげるためには業務の特徴を把握するとともに、すべての業務について「ムリ」「ムダ」「ムラ」がないか、しっかり点検することが欠かせません。加えて、従業員が持つノウハウやスキル、経験などを知り活用することも重要です。そのうえで実現可能な手法を選び、できるところから実施していきましょう。