C#とC++はどう違う?それぞれの特徴と用途を把握しよう
本記事ではC#とC++の特徴や用途を解説し、学ぶ言語や開発に用いる言語の選定に役立つ情報を提供します。
本記事ではC#とC++の特徴や用途を解説し、学ぶ言語や開発に用いる言語の選定に役立つ情報を提供します。
知識・情報
2022/08/26 UP
- プログラミング
- 開発
- 技術
C#とC++は、どちらもシステム開発においてよく用いられる言語です。名称こそ似ていますが、両者にはさまざまな相違点があります。「C++を知っていればC#もOK」というわけにはいかないため、言語を選ぶ前には特徴をよく把握しておかなければなりません。
本記事ではC#とC++の特徴や用途を解説し、学ぶ言語や開発に用いる言語の選定に役立つ情報を提供します。
なお、C#については、こちらの記事でも詳しく解説しています。併せてご確認ください。
C#とはどんな言語?特徴やメリットを知ろう
C#とC++は別の言語
C#とC++は別の言語であり、互換性もありません。それぞれの言語はどのような特徴を持っているか、詳しく確認していきましょう。
C#の特徴
C#はMicrosoft社により開発された、オブジェクト指向型のプログラミング言語です。同じくMicrosoft社が開発する、.NET上で動作します。開発にはVisual StudioやXamarin、Unityがよく使われます。文法は、Javaの影響を大きく受けていることも特徴的です。
加えてC#は、.NET Frameworkが標準搭載されているWindowsとの親和性が高いことも知っておきたいポイントに挙げられます。
C++の特徴
C++は、C言語にオブジェクト指向の概念を付け加えた言語です。C++はC言語と互換性が高く、C++で書かれたプログラムからC言語を呼び出すことも可能です。信頼性の高さや処理速度の速さも、C言語の特徴を受け継いでいます。
またC++は、自由度の高さも特徴に挙げられます。一方で言語の仕様は複雑であり、マスターするまでには多くの事項を学ばなければなりません。
C++の開発環境にはいくつかの種類があります。代表的なものとして、「Visual Studio」や「C++ Builder」が挙げられます。
C#とC++に互換性はない
C#とC++は、どちらもオブジェクト指向に対応しています。また文法には、似た部分もあります。
しかしここまで解説したとおり、C++はC言語と互換性が高い一方、C#はC言語やC++と別系統の言語です。独自の機能もあることから、C#とC++の互換性はありません。例えば、C++で書いたソースコードをC#でコンパイルすることは難しいでしょう。
C#とC++には4つの違いがある
C#とC++の違いは、大きく4つに分けられます。それぞれの相違点を確認し、言語の特徴を活かしたコーディングに役立てましょう。
C++でポインタはよく使われるが、C#では制限される
メモリの値を直接操作できることは、C++の魅力的な機能です。メモリの節約や処理速度の向上など、多くのメリットが得られます。ポインタはこの機能を実現するうえで、欠かせない役割を果たしています。
一方でC#では、基本的にポインタを使えない仕様となっている点に注意が必要です。どうしてもポインタを使いたい場合は、以下の手順を踏む必要があります。
・ポインタを使いたいブロックに「unsafe」と記述する
・コンパイルの際には「AllowUnsafeBlocks」コンパイラ オプションを使う
C#ではガベージコレクションを使える
C#では、不要となったメモリ領域を自動的に開放する「ガベージコレクション(GC)」を使えます。これによりメモリ管理の手間を大きく軽減し、コーディングしやすくなるメリットは見逃せないポイント。メモリリークにより使えるメモリがなくなる事態を防ぎやすいため、システムの安定稼働に寄与します。
一方でC++には、ガベージコレクション機能が搭載されていません。このためメモリの確保と解放は、プログラマ自身で明示的にコーディングする必要があります。1行メモリを解放する文を書き忘れただけで、頻繁に止まるシステムになる可能性もあります。コーディングには十分な注意が必要です。
文法やデータ型にも相違点がある
C#とC++には、文法やデータ型にも相違点があります。代表的な例を、以下に挙げてみました。
・整数を示すデータ型
・Char型が確保するバイト数
・型情報を取得する際の構文
C#とC++で一見同様に記述できることもあります。しかし違いを理解してコーディングしないと、思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。C#とC++両方を扱う機会がある方は、混同しないよう十分注意しましょう。
C++よりもC#のほうが難易度は低い
言語の難易度は、C++はかなり難しく、C#はやや高めであるもののC++よりはやさしいといわれています。C#よりもC++の難易度が高い4つの理由を、以下に挙げました。
・ポインタのマスターが必須
・コーディングに際し、ハードウェアに関する知識が必須
・メモリの解放を意識したコーディングが必要
・言語そのものの仕様が複雑
C#は、初心者でも努力次第でマスターできます。一方でC++の習得には、心構えが必要。特に初心者が独学で身につけることは困難です。
C#とC++はどのようなシステムに使われる?
C#とC++には、言語の特徴を活かせるシステムにも違いがあります。ここからはよく使われるシステムの例を挙げ、C#とC++の違いを確認していきましょう。
C#がおもに使われるシステム
C#はさまざまなシステムの開発に使われます。なかでもUnityを使ったゲームの開発は代表的です。ほかにも以下のシステム開発によく使われています。
・Windowsで動作するデスクトップアプリ
・Webアプリ
・ポータルサイトや検索エンジン
・スマートフォンアプリ
・仮想現実コンテンツ(VR、ARなど)
適用範囲の幅広さは特徴的であり、汎用的な言語といえるでしょう。
加えて現在のC#はWindowsだけでなく、Macでも動きます。iOSやAndroidで動作するプログラムも作成可能なことは、強みの一つです。
C++がおもに使われるシステム
C++はC言語と同様に、機械語に近い特徴を持っています。大量のデータ処理を高速で行なう要求にもこたえられる言語であるため、以下のシステム開発に採用されやすくなっています。
・大規模なシステム
・OS
・IoTやロボット
・機械学習やデータ解析
社会を支えている、また今後の日本で広く普及するシステムの開発に使われやすいことが特徴です。C++は生活と経済を支えるうえで、欠かせない言語といえるでしょう。
C#とC++のどちらを選ぶべきか?
ここまで解説したとおり、C#とC++には多くの相違点があります。あなたの興味・関心や開発に携わりたいシステムを踏まえて、どちらを学ぶか決めると良いでしょう。
C#の選択をおすすめするケース
C#の選択をおすすめするケースには、以下の3つが挙げられます。
・ゲームの開発に携わりたい
・Windowsアプリの開発をしたい
・Javaを習得している
ゲームの開発でよく使われるUnityでは、C#がサポートされています。またWindowsの開発元は、C#と同じMicrosoft。これらに関する開発に、C#は有力な選択肢となっています。
またC#は、Javaの要素を取り入れてつくられた言語です。すでにJavaをマスターした方、Javaを使った開発経験がある方にとって、C#は学びやすい言語です。
C++の選択をおすすめするケース
C++は、C言語がもとになっています。C言語をマスターした方にとっては、習得しやすい言語となるでしょう。
また「C++だからこそ開発できる」システムも少なくありません。以下の分野を目指す方は、C++の習得をおすすめします。
・組み込みエンジニアや、IoTに携わりたい方
・ロボットや機械学習、AIエンジニアを目指す方
・大規模システムのプロジェクトに携わりたい方
・OSに関わりたい方
C++は難度の高い言語であるため、覚悟をもって学習に取り組むことが求められます。いきなりC++を目指すと挫折しやすいため、他の言語を習得した後に取り組むと良いでしょう。
特徴を把握し、携わりたい業務に合った言語を選ぼう
C#とC++は、異なる点も多いことがおわかりいただけたことでしょう。違いがあるからこそ両方とも廃れることなく、おもなプログラミング言語として使われ続けているわけです。
開発現場で活躍するためには、あなたが携わりたい業務に合った言語を選び学ぶことが欠かせません。まずはC#とC++、それぞれの特徴と違いを把握しましょう。そのうえでご自身の希望に沿った言語を習得することをおすすめします。