クリティカルシンキングとは?思考方法、メリット、トレーニング方法やロジカルシンキングの違いも紹介
この記事では、クリティカルシンキングの概要を踏まえ、身につけることのメリット、具体的なトレーニング方法について解説します。
この記事では、クリティカルシンキングの概要を踏まえ、身につけることのメリット、具体的なトレーニング方法について解説します。
知識・情報
2022/06/13 UP
- 技術
- 業務効率化
ビジネスに必須とされる思考法の一つとして、クリティカルシンキングの注目度が高まっています。クリティカルシンキングになじみがない方にとって、ロジカルシンキングと何が違うのか?という疑問があるでしょう。クリティカルシンキングとロジカルシンキングは関連性のある思考法であり、両者を上手に使い分けると相乗効果が期待できます。
この記事では、クリティカルシンキングの概要を踏まえ、身につけることのメリット、具体的なトレーニング方法について解説します。
クリティカルシンキングとは?
クリティカルシンキングの直訳は「批判的思考」です。ただし、クリティカルは否定や粗探しという意味ではなく、「なぜ?、どうして?、これは本当に正しいのか?」といった疑問を自分に問うことを指します。理論を支える事実と矛盾する事実はないか、という思考により、物事の本質を見極められるようになります。
また、クリティカルシンキングは、これまで経験や直感、無意識にとる行動や考え方に影響されない、客観的な視点を身につけられます。1つの物事を多角的に見ることができ、かつ論理的に考えられるため、問題解決、計画立案、意思決定などの主体的な実施が可能です。
クリティカルシンキングが注目されているのは、ビジネスを取り巻く環境が急速に変化していることです。今までのやり方でうまくいっている、という過去の経験が、現代のビジネス環境で通用しないことも珍しくありません。環境の変化に取り残されないための新しいアイデア、別の切り口が必要なときに、クリティカルシンキングが役立つためです。
また、価値観の多様化により、物事の本質がわかりにくくなっていることも理由の一つです。物事の見極めることに役立つクリティカルシンキングの重要性は、今後も続くことが予想されます。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いとは?
ロジカルシンキングの概要、クリティカルシンキングとの違い、使い分け方法について解説します。
ロジカルシンキングとは?
論理的思考であるロジカルシンキングは、問題に対し筋道を立てて、何らかの意味合いをえる考え方のことです。問題が発生した際、問題の原因を整理し、解決までの道筋を立てることで、分析力や問題解決力が養われます。
また、理論立てた説明ができるため、相手に物事や考え方をわかりやすく伝えられるメリットもあります。ビジネスシーンにおいては、ロジカルシンキングは話すスキルとして必須の思考法です。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは両方必要
「疑い」を前提にするリティカルシンキングは、物事の正誤を検証し、物事の本質を見極めることです。一方、ロジカルシンキングは物事を結論と根拠に分解し、筋道を立てて物事を解決します。
ロジカルシンキングは与えられた前提情報の正誤を検証するため、前提が誤っていると論理展開が偏ったものになります。ロジカルシンキングは論理的に整合性がとれていれば、思考の偏りまで考慮しないためです。過去の経験や成功体験がバイアスとなり、誤った結論に至るのはこのためです。
一方、クリティカルシンキングだけでは、物事を論理的かつわかりやすく説明できないうえに、具体的な行動までつながりません。
クリティカルシンキング、ロジカルシンキングは相反するものではなく、お互いを補完し合うものです。2つの思考法を交互に実施すると、問題解決の相乗効果が期待できます。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングは上手に使い分け
クリティカルシンキング、ロジカルシンキングを上手に活用するには、段階により使い分けることが大切です。
問題解決するにあたり、まずはクリティカルシンキングで全体像を客観的にみて、問題と考えるゴールを検証します。問題が明確になったら、ロジカルシンキングのフレームワークで問題を整理し、課題を洗い出しましょう。
先に述べたように、ロジカルシンキングで導き出した課題は、思い込みや無意識の制限が含まれる可能性があります。再度クリティカルシンキングを実施し、無駄な要素を省きましょう。
ただし、検証は1回ではなく、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングで検証をくり返すことが大切です。前提にとらわれずに視野を広げ、自由に思考するようにしましょう。
問題に整理がある程度ついたら、クリティカルシンキングで道筋や要素に誤りがないか再度検証します。解決策を見出すことができた際は、ロジカルシンキングで実行方法を整理しましょう。
クリティカルシンキングで得られるメリット
クリティカルシンキングを身につけるメリットは、次のものが挙げられます。
データや事実を根拠に判断できる
クリティカルシンキングを実践すると、過去の経験や周囲の感情に惑わされず、事実やデータを根拠にした判断が可能です。さらに、必要のない情報、根拠のない事実、データの矛盾点を見つけられます。
さらに、状況の分析力も向上するため、問題やリスクを未然に防ぐことにつながります。クリティカルシンキングによって無駄な情報や議論を排除でき、本質的かつ簡潔な議論を展開できます。
発想力の向上
クリティカルシンキングでは、意見や考え方に対して常に疑問を投げかけます。1つの解決方法しかないと思っていた問題であっても、問題の本質を突き詰めることで、新しい解決方法を発見できます。
また、問題や物事を多角的に見られるため、新たな視点に基づく発想力も向上します。革新的なアイデアを生み出せるようになり、ビジネスチャンスを獲得できる可能性も高くなるでしょう。
コミュニケーション能力の向上
事実を根拠とするクリティカルシンキングにより、スムーズにコミュニケーションがとれるようになります。クリティカルシンキングは私情を含まないことが基本のため、話し合いの際にお互いが感情的になることもありません。
また、事実に基づく説得力のある主張ができ、自分の意図を正確に伝えられます。相手の話を聞く際も、発言の意図をくみ取ることが可能です。つまり、自分と相手の認識のズレが生じなくなるため、円滑なコミュニケーションができるのです。
クリティカルシンキングのトレーニング方法
クリティカルシンキングという思考法を身につけるには、以下の3つのトレーニングを実践しましょう。
第三者の視点から物事を見る
過去の経験や価値観など、誰しも思考のくせや偏りがあるものです。主観だけで物事を見ていると、思考の偏りに影響され、適切な結論に到達できません。
思考の偏りが潜んでいることを前提とし、第三者の視点から、物事を見たり考えたりすることを意識しましょう。客観的に考える習慣が身につくと、主観で見たときの違いを理解できます。
常に疑問を問いかける
結論に到達できたとしても、常に疑問を問いかけることが大切です。本当にこの方法でいいのか?という問いをくり返し考えることで、物事の本質がより明確になり、より適切な解決方法にたどり着けるでしょう。
また、前提や習慣だけでなく、常識を疑うこともクリティカルシンキングに必要です。誰かの話を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考え、疑問を問い続けるようにしましょう。
感情ではなく事実を根拠にする
思い込みや感情ではなく、事実やデータなどの根拠をもとに思考し、発言することが大切です。普段の会話ではなるべく具体的に話すこと、具体例を挙げることを意識しましょう。
ただし、根拠とする情報に信憑性がない場合、誤った方向に向かってしまいます。正しい情報を集めるため、思い込みや願望を捨てて情報収集する必要があります。
クリティカルシンキングは物事の本質をつかむ思考方法
クリティカルシンキングは批判的思考といい、常に疑問を問いかけ、物事の本質を見極める思考法です。ビジネス環境の変化が目まぐるしい現代では、過去の習慣や成功体験が通用しない可能性があります。習慣や前提に疑問を呈し、なぜ?本当に?という問いをくり返すことで本質へと導かれるのです。
クリティカルシンキングを身につけると、データや根拠をもとにした会話や議論、問題解決が可能です。発想力やコミュニケーション能力の向上にもつながるため、トレーニングの積み重ね、クリティカルシンキングを身につけましょう。