ハイブリッドクラウドとは何か?特徴やメリット・デメリットを徹底解説
ハイブリッドクラウドとは、どのような特徴を持つサービスなのでしょうか。またメリットやデメリットには、どのような点があるのでしょうか。この記事で、しっかり確認していきましょう。
ハイブリッドクラウドとは、どのような特徴を持つサービスなのでしょうか。またメリットやデメリットには、どのような点があるのでしょうか。この記事で、しっかり確認していきましょう。
知識・情報
2022/07/08 UP
- クラウド
- 技術
近年よく聞かれるようになったクラウドサービスの一つに、「ハイブリッドクラウド」が挙げられます。従来から使われているクラウドサービスの弱点を解決した、メリットの多いサービスです。
ハイブリッドクラウドとは、どのような特徴を持つサービスなのでしょうか。またメリットやデメリットには、どのような点があるのでしょうか。この記事で、しっかり確認していきましょう。
ハイブリッドクラウドとは何か?
まずハイブリッドクラウドとはどのようなサービスなのか、概要と仕組みを確認していきましょう。
オンプレミスやさまざまな種類のクラウドを組み合わせたシステム構成のこと
ハイブリッドクラウドはパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスのうち、複数の環境を組み合わせて構築するシステム構成を指します。実際には、以下のどちらかに挙げるケースが多いでしょう。
・パブリッククラウドとプライベートクラウド
・パブリッククラウドとオンプレミス
ハイブリッドクラウドでは単に複数の環境を用いるのみならず、それぞれの強みを活かし、有機的に結合していることも特徴に挙げられます。セキュリティを確保しつつ、スケーラビリティも実現可能な方法です。
なお、ハイブリッドクラウドについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
ハイブリッドクラウドとは何か?特徴やメリット・デメリットを徹底解説
代表的なハイブリッドクラウドの内部構成
ハイブリッドクラウドの内部は、構成に含まれるシステムの強みを活かし、役割分担をしています。代表的なケースを、以下に示しました。
・機密情報や個人情報など高いセキュリティの確保が求められる処理、高いパフォーマンスが求められる処理は、プライベートクラウドやオンプレミスで実施
・機密性の低い処理、負荷が頻繁に変動する処理は、パブリッククラウドで実施
・カスタマイズが必要となる部分は、プライベートクラウドやオンプレミスに集める
機密情報や個人情報を保管するストレージ、データ処理を行なうアプリサーバーはプライベートクラウドやオンプレミスに、Webサーバーをパブリッククラウドに置く方法は、よく使われます。
ハイブリッドクラウドが使われる場面
ハイブリッドクラウドは「大切な情報を守りつつ、快適なアクセスも実現したい」業務に適しています。代表的な例を、以下に挙げました。
・速度やセキュリティの確保に加えて、大量アクセスへの対応が求められるシステム
・機密情報や個人情報を扱いつつ、アクセスや負荷の変動も激しいシステム
・懸賞など、一時的に使うシステム
・BCP(事業継続計画)の一環として
上記に挙げた業務は、貴社にも存在するのではないでしょうか。ハイブリッドクラウドは、多くの企業で活かせるサービスです。
他のクラウドとの相違点
クラウドサービスにはハイブリッドクラウド以外にも、いくつかの種類があります。特徴を把握することは、適切なクラウドサービスを選ぶうえで重要なポイントです。
実際にハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドやプライベートクラウド、マルチクラウドとよく比較されます。どのような相違点があるか、確認していきましょう。
パブリッククラウドやプライベートクラウドとの相違点
パブリッククラウドやプライベートクラウドは、ハイブリッドクラウドを構成する要素です。パブリッククラウドのみで構成されたシステムではセキュリティに、プライベートクラウドのみで構成されたシステムではスケーラビリティやコストに難点が生じがちです。
両方を組み合わせることで、長所を活かし短所を補うことが可能。セキュリティを確保しつつリクエストの変動にも対応可能なシステムを、比較的安価なコストで実現できます。
マルチクラウドとの相違点
マルチクラウドは、複数の事業者が運営するクラウドサービスを併用することが特徴です。パブリッククラウドのみで構成されるため、特定のベンダーに依存しにくいことは特徴に挙げられます。
ハイブリッドクラウドには、パブリッククラウド以外のシステムが混在します。たとえばマルチクラウドにプライベートクラウドを加えると、ハイブリッドクラウドになります。セキュリティや速度の確保とリクエストの変動に対応できることが特徴です。
なお、マルチクラウドについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
マルチクラウドとは何か?特徴とメリット・デメリットを徹底解説
ハイブリッドクラウドを使う4つのメリット
ハイブリッドクラウドの活用には、4つのメリットがあります。それぞれについて、詳しく確認していきましょう。
柔軟性のあるシステムを低コストで実現できる
低コストで変化に柔軟なシステムを実現できることは、ハイブリッドクラウドの代表的なメリットに挙げられます。一例として、時々大量のアクセスが見込まれるシステムを考えてみましょう。高い機密性を求められない部分にパブリッククラウドを使えば、アクセスが急増してもシステム全体を増強する必要がありません。少ない追加負担で大きな効果を得ることが可能です。
またカスタマイズが必要な部分をプライベートクラウドに実装することで、システム全体に手を加えずに済みます。負担を抑えられることも、メリットといえるでしょう。
セキュリティを強化できる
セキュリティの強化も、ハイブリッドクラウドを選ぶ動機の一つに挙げられます。パブリッククラウドのみで運用する場合、他のユーザーとリソースを共用することはセキュリティリスクとなりかねません。外部から情報を盗まれるリスクもアップします。
これに対してプライベートクラウドやオンプレミスは利用者専用であるため、悪意のある者からもたらされるリスクを大きく減らせます。少ない費用で高いセキュリティを確保できることも、メリットといえるでしょう。
メインフレームやオンプレミスのシステムとも連携可能
クラウドを積極的に活用する企業でも、すべてのシステムをクラウドに移行できるとは限りません。以下の理由により、クラウドに移せない場合も考えられます。
・セキュリティの課題がある
・システムの仕様がクラウドに対応していない
・ライセンスに関わる問題がある
・移行コストが莫大
ハイブリッドクラウドならば、メインフレームやオンプレミスとの連携が可能。移行できる部分はクラウドの恩恵を受けつつ、システムの継続利用が可能。古い情報資産を持つ企業にとって、うれしいポイントといえるでしょう。
BCPを実現する有効な手段
ハイブリッドクラウドは、BCPを実現する手段としても活用できます。遠隔地にあるクラウドにバックアップを保存する方法は、代表的な手法に挙げられます。
特にオンプレミスの場合、地震や水害などに遭うと社内サーバーが壊れてしまい、修理不可能な状況に陥るおそれがあります。この場合もバックアップさえあれば、クラウド上にセットアップを行ない、データを復元することで業務を再開可能。いざというときに会社を守れることは見逃せません。
ハイブリッドクラウドを使うデメリット
ハイブリッドクラウドにはさまざまなメリットがありますが、万能ではありません。ここからは2つのデメリットについて解説します。内容を把握し、ハイブリッドクラウドの有効活用にお役立てください。
システム構成が複雑となり、トラブル解決に時間を要する場合がある
ハイブリッドクラウドは他のクラウドと比べて、システム構成が複雑になることは否めません。日常的に管理すべき項目も、増えることでしょう。またシステム間の通信回線にも、目を配らなければなりません。
加えてクラウド側の機能強化があった場合は、システム全体への影響もチェックしなければなりません。トラブルが発生した際は原因の特定に手間がかかり、解決に時間を要するケースがあることも見逃せないデメリットに挙げられます。
ITに詳しい人材が必須
ハイブリッドクラウドを活用する場合、トラブルの原因調査をクラウド運営会社に丸投げするわけにはいきません。トラブルが発生した際は自社で以下の項目をチェックし、原因を切り分けたうえで調査の依頼先を決める必要があります。
・どのシステムにトラブルがあるか。または原因があるのか
・システム間の連携部分に問題はないか
このためクラウドやオンプレミス、ネットワークをはじめ、ITの広い分野に精通した技術者を雇用する必要があります。代わりの方法として、システム専門会社へ管理業務の委託もできますが、相応の費用がかかることを認識しておきましょう。
適材適所のシステム活用に、ハイブリッドクラウドは適している
ハイブリッドクラウドの活用により、クラウドとオンプレミスの持ち味を活かしたシステム構成が可能です。すべてをクラウド化することは難しい場合でも、クラウドに移行できる箇所から活用し始め、メリットを享受できることは大きなメリット。オンプレミスとクラウドの良さを活かせます。
適材適所のシステムを活用するうえで、ハイブリッドクラウドは適しています。クラウド化が難しいとあきらめていた方も、ハイブリッドクラウドならば実現できるかもしれません。この機会に、検討してみてはいかがでしょうか。