カスタマーサクセスとは?KPIや成功のポイントについて解説
この記事では、カスタマーサクセスの概要や、近年注目されるようになった理由、カスタマーサポートとの違いについて解説します。カスタマーサクセスのおもなKPIや具体的な仕事内容についても触れていくので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事では、カスタマーサクセスの概要や、近年注目されるようになった理由、カスタマーサポートとの違いについて解説します。カスタマーサクセスのおもなKPIや具体的な仕事内容についても触れていくので、ぜひ最後までご覧ください。
知識・情報
2022/09/15 UP
- キャリアパス
- 仕事内容
近年、サブスクリプション型ビジネスの普及にともない、カスタマーサクセスという言葉が注目されるようになりました。
カスタマーサクセスについて漠然としたイメージはあるものの、具体的にどのようなものなのか、カスタマーサポートとどのような違いがあるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、カスタマーサクセスの概要や、近年注目されるようになった理由、カスタマーサポートとの違いについて解説します。カスタマーサクセスのおもなKPIや具体的な仕事内容についても触れていくので、ぜひ最後までご覧ください。
カスタマーサクセスとは
カスタマーサクセス(Customer Success)は直訳すると「顧客の成功」という意味になります。
サービスや商品を購入した顧客の成功体験を実現するために、積極的に顧客に関わっていくという考え方がカスタマーサクセスです。今後、顧客が直面する可能性のあるさまざまな課題に対して、課題解消を継続的に支援するための取り組みを行ないます。
カスタマーサクセスの特徴は、顧客の改題解消を継続的に支援しながら、自社の商品・サービスも改善・高度化していく点にあります。顧客のビジネスの成功をサポートしながら、自社のビジネスも成長させることができる仕組みといえるでしょう。
カスタマーサクセスが注目されるようになった背景
近年、SaaS(Software as a Service)事業をはじめ、サブスクリプション型のビジネスが次々と登場しています。
従来は「商品を販売して終わり」という売り切り型ビジネスが主流であり、新規顧客の獲得に重きが置かれていました。それに対し、サブスクリプション型ビジネスは、継続的に使用されることで利益を増加させることができるという特徴があります。
サブスクリプション型ビジネスは、契約期間が長くなるほど利益が大きくなりますが、ユーザーは簡単に解約や他社への乗り換えができてしまいます。そのためサブスクリプション型ビジネスでは、新規顧客の獲得だけでなく「いかに顧客に自社サービスを継続利用してもらうか」という中長期的な戦略が重要視されるようになりました。
商品・サービスの販売後も顧客のニーズを満たし続け、競合商品のなかから選ばれ続ける必要があることから、カスタマーサクセスが注目されるようになったのです。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
顧客を支援するという共通点があるため、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは混同されることが少なくありません。しかし、カスタマーサクセスとカスタマーサポートでは、顧客の支援方法に大きな違いがあります。
カスタマーサクセスは「能動的」
カスタマーサクセスの目的は「顧客を成功体験に導くこと」です。顧客の成功体験のために積極的に顧客に働きかけ、成功体験を実現するために伴走します。
つまり、アクション起点となるのはカスタマーサクセスのサービスを提供している側になります。顧客のビジネスの成功のために必要となる可能性のある支援を先回りして提案することで、顧客と継続的な接点を持ちます。
カスタマーサクセスの指標には、解約率の低下、アップセル率・クロスセル率、顧客満足度などが挙げられます。また、カスタマーサクセスはBtoB企業やSaaS企業にのみ必要となる役割という点も、カスタマーサポートと異なる点といえるでしょう。
カスタマーサポートは「受動的」
カスタマーサポートは、問い合わせやクレームなどが発生した際に、その都度対応します。アクション起点は顧客であり、受動的な対応がメインの仕事といえるでしょう。
カスタマーサポートのおもな指標は、顧客への対応件数、電話応答率、問題解決数などがあります。また、カスタマーサポートはあらゆる企業に必要な役割であるという点も、カスタマーサクセスとは異なります。
カスタマーサクセスのKPI
カスタマーサクセスは契約期間が長くなるほど利益を増加させられます。そのため、契約期間や解約率に注目したKPIが設定されることが多いという特徴があります。
カスタマーサクセスのおもなKPIについて、具体的に見ていきましょう。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(Life Time Value)とは、自社に対して顧客が生涯にわたりもたらす利益のことであり、顧客が商品やサービスに対して支払った金額の総額を指します。
カスタマーサクセスは、契約期間と売上が密接にかかわるサービスです。LTVを向上させるためには、顧客に長期的かつ継続的に自社商品・サービスを利用してもらい、取引を継続することが重要となります。
解約率(チャーンレート)
カスタマーサクセスでは、新規顧客と既存顧客による売上が加算されるという特徴があります。そのため、解約する顧客数が新規顧客数を上回ると、事業が立ち行かなくなってしまいます。
「長く契約を続けてもらうこと」と「解約されないこと」が売上を増加させるうえで重要なため、解約率をKPIに設定するケースが多々あります。
解約率を下げるには、料金に見合うサービスが提供できているか、顧客目線での提案ができているかなど、さまざまな観点からサービスを見直して対策を講じる必要があります。
オンボーディング完了率
オンボーディングとは、サービスを導入した顧客が、そのサービスを理解して正しく運用・定着するまでの状態のことを表します。
つまり、長期間オンボーディングが完了しない顧客は、サービスを使いこなせない状態が続いていることになります。定着しないサービスは顧客の要望を満たすことができず、不要なものと判断されて解約になる可能性が高まってしまいます。
カスタマーサクセスでは、顧客の意欲が高いうちにオンボーディングを完了させえることが重要です。サービス導入の支援や、ワークショップの開催など、顧客に対して能動的にアプローチすることが求められるのです。
アップセル率・クロスセル率
アップセルとは「契約サービスを上位モデルに乗り換える」ことを意味し、クロスセルとは「契約サービスとは別のサービスを新規契約する」ことを指します。アップセル率・クロスセル率を向上させることで、LTVの増加を見込むことができます。
アップセルやクロスセルの提案では、顧客が成功に近づくために、その提案が有効かどうかをよく検討することが重要です。顧客ニーズに合わない提案をした場合は解約リスクが高まる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
NPS(顧客推奨度)
NPS(Net Promoter Score)とは、顧客が「その企業や商品・サービスを他者にどのくらい勧めたいか」を数値化したものであり、カスタマーサクセスのKPIとされることの多い指標の一つです。
商品を他者に勧めるということは、その商品やブランドに対して信頼や愛着があり、顧客満足度が高い状態になると考えられます。顧客がサービスに対して信頼や愛着を持っている状態であれば、契約を継続してもらいやすくなります。そのため、NPSはカスタマーサクセスにおいて重要な概念といえます。
カスタマーサクセスの具体的な仕事内容
カスタマーサクセスは、顧客のビジネスの成功のためにさまざまな取り組みを実施します。そのため業務内容は多岐にわたりますが、ここではカスタマーサクセスならではの仕事について見ていきましょう。
サービスの販売、導入支援
カスタマーサクセスでは、自社商品やサービスの販売に加え、購入後の導入支援を行ないます。
顧客に対して直接営業するほか、サービスについての事前説明会や勉強会の開催なども行ない、顧客は商品を使いこなせるようにサポートします。
多機能なサービスの場合は、顧客が使いこなせるまでに時間がかかるケースも少なくありません。導入支援が長期におよぶ場合もあり、顧客の理解度に寄り添った丁寧なサポートが求められます。
サービスを継続利用しやすい環境づくり
カスタマーサクセスでは、いかにサービスを継続利用してもらうかが重要になります。
サービスを長期的に利用するためには、サービスを利用しやすい環境を整えることも大切です。例えば、サービスをどのように活用すれば良いかなど、顧客の成功体験のために有効な方法を提案することも、契約継続のための環境づくりの一環といえます。
また、サービスによっては顧客同士が交流できるコミュニティの運営を行なうこともあります。
商品・サービス活用度のモニタリング
カスタマーサクセスでは、顧客へのヒアリングを定期的に実施し、要望や改善点を聞き出してサービスに反映していきます。
サービスの利用頻度や利用人数・利用時間などをヒアリングし、サービスへの満足度や改良点などの分析を行ないます。モニタリングは積極的に行ない、要望や改善点があれば早急に対処することが重要です。
カスタマーサクセスを成功させるポイント
カスタマーサクセスのサービスを提供する際は、いくつかのポイントを押さえることが重要です。カスタマーサクセスを成功させるポイントについて、具体的に見ていきましょう。
自社サービスで課題解決できる顧客に提案する
カスタマーサクセスでは、自社サービスが「顧客の成功を支援するのに役立つ」ことを見極めたうえで提案することが重要です。
目先の売上のために導入を強引に進めてしまうと、導入後のミスマッチやクレーム、早期解約につながるだけでなく、悪評が広がる恐れもあります。
顧客の事業内容や経営状況を把握し、自社サービスの導入が顧客の成功につながるのかをよく検討することが求められます。
顧客がサービスを十分に活用できる状態にする
顧客がサービスを十分に活用できる状態にすることも大切です。
いくら高度で多彩なサービスを提供していても、顧客自身がサービスを適切に運用できなければ目標達成にはつながりません。顧客が求める成功体験に結びつかないサービスでは満足度も向上せず、早期解約のリスクも高まります。
サービスの利用状況と顧客の課題を照らし合わせて、どのような機能が課題解決に役立つのか、追加プランを提案した方が良いのかなど、顧客のことを考えた柔軟な提案をすることが重要です。
カスタマーサクセスは顧客の成功と自社の成長を結び付ける仕組み
カスタマーサクセスは、顧客のビジネスを成功に導くため、能動的にアプローチを続ける手法です。
カスタマーサクセスを成功させるためには、自社商品が顧客のビジネスの成功に役立つかをよく検討することが重要です。目先の利益を追求して強引に契約してしまうと、顧客に成功体験を提供することができず、早期解約やクレームにつながる可能性もあります。
また、顧客からの問い合わせを待つのではなく、商品の導入・運用や活用方法などを積極的に提案・支援することも求められます。能動的なアプローチを続けることで、顧客の満足度向上を図ることができるのです。