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SLAとは?定めるべき内容やポイントも解説

SLAとはどのような意味を持っているのでしょうか。またSLAは、なぜ重要な用語となったのでしょうか。この記事ではSLAについて、メリットや定めるべき内容、チェックすべきポイントなどを解説します。

SLAとは?定めるべき内容やポイントも解説

SLAとはどのような意味を持っているのでしょうか。またSLAは、なぜ重要な用語となったのでしょうか。この記事ではSLAについて、メリットや定めるべき内容、チェックすべきポイントなどを解説します。

知識・情報

2022/10/20 UP

現代ではさまざまなサービスを比較し、最適なものを選べる時代となりました。サービスの選定においては機能や性能、価格に加えて、SLAも注目されています。

SLAとはどのような意味を持っているのでしょうか。またSLAは、なぜ重要な用語となったのでしょうか。この記事ではSLAについて、メリットや定めるべき内容、チェックすべきポイントなどを解説します。

そもそもSLAとは

SLAの意味を正しく知ることは、適切な契約を行なううえで重要です。まずSLAとはなにか、また背景や活用されやすいサービスについて確認していきましょう。

サービスに関する品質保証を示す

SLAは「サービス・レベル・アグリーメント」の略語で、発注者と受注者が合意したサービスに関する品質保証を可視化した文書です。おもにSaaSやアウトソーシングなど、形のないサービスを契約する際に用いられます。「サービス品質保証」や「サービスレベル合意書」とも呼ばれます。

SLAでは受けられるサービスの項目や内容、サービスを提供できない事態に陥った場合のペナルティなどが明記されます。またSLAは、契約書の付属資料として扱われる場合が多いです。

なお3社以上にわたる場合は、「マルチレベルサービスレベル合意書」が取り交わされる場合もあります。

SLAが求められる背景

システムやIT・通信サービスでは、しばしば不具合が発生します。もちろん品質保証があるため、瑕疵があれば修繕の対象となります。しかし発生したトラブルに対して、以下のような争いが起こるケースも少なくありません。

・不具合か、そもそもの仕様(あるいは機能上の制約)か

・料金に見合わない過大な要求ではないか

・対応すべき内容は契約の範囲内か

SLAは争いを未然に防ぎ、責任を明確化する目的で活用されています。

SLAがよく活用されるサービス

SLAはさまざまな分野で活用されています。代表的なサービスの例を、以下に挙げました。

・通信サービス

・ITサービス(SaaS、レンタルサーバーなど)

・システムの運用保守サービス

・コールセンター、コンタクトセンター

なかでもネットワーク通信サービスは、通信品質を保証する目的でSLAを用いた先駆けの業界です。またSaaSは経済産業省から「SaaS向けSLAガイドライン」が出されるなど、SLAが用いられる代表的な業界となっています。

SLOとの相違点

SLAとよく似た用語に、SLOがあります。SLAとの違いは、以下の2つです。

・守れなくてもペナルティがない

・基準を外部に公表する必要がない

このためSLOは内部目標として、SLAよりも厳しい基準を設けられるケースが多くなっています。

「SLAを守れれば良い」とした場合、不測の事態によりSLAを守れないケースが発生するリスクは見逃せません。ふだんからより厳しいSLOを設定して守り続けることは、トラブルが発生してもSLAを守る結果につながります。貴社への信頼も高まることでしょう。

SLAで定められる4つの内容

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SLAで規定される内容は、大きく4つの項目に分かれます。それぞれについて、何を取り決めるべきか確認していきましょう。

サービス提供の前提条件

どの条件でも快適に使えるサービスは、残念ながら存在しません。このためSLAでは、保証の前提条件が設けられます。代表的な項目を、以下に挙げました。

・拠点数

・端末数

・業務量(たとえば会計システムの場合は、1ヵ月あたりの伝票明細数など)

・通信回線の速度

前提条件を細かく定めると、顧客からは煩わしいと思われるかもしれません。しかし企業の信頼を守ることにつながりますから、手間を惜しまずに進めましょう。

保証対象となるサービスの内容や責任範囲

サービスは単一に見えても、細かく見ると多数のサービスの集合体であるケースも少なくありません。個々のサービスごとに保証の対象とするか否か、どこまで保証するかを定める必要があります。

サービスの提供者と利用者の責任範囲を明らかにすることも、将来のトラブルを未然に防ぐうえで欠かせません。この過程で、それぞれの役割分担を決める場合もよくあります。

提供されるサービスの品質水準

いわゆる「サービスレベル」を指します。SLAの中核となる、重要な項目です。品質水準の設定しだいで、顧客満足度が大きく左右されることに注意しなければなりません。また基準があいまいではトラブルのもととなるため、定量的な指標を用いるなど、客観的なチェックが求められます。

代表的な項目を、以下に挙げました。

・サービス停止時間やシステムの稼働率

・オペレーターの応答率

・トラブル発生時の復旧時間

上に示した項目は一例です。SLAで定めるべき項目は、サービスの特性に合わせて定める必要があります。

取り決めを守れなかった場合に課せられるペナルティ

SLAでは、取り決めが守られなかった場合のペナルティを定めることも重要です。料金の減額や返金などは、代表的な方法に挙げられます。収入が減るリスクを避けるべく、全力で取り組む動機の一つとなるでしょう。

ただしペナルティは利用料金の一部など、上限額を設けるケースが多くなっています。

SLAを取り決めておく4つのメリット

SLAを取り決めておく4つのメリット クリックして拡大

SLAの取り決めは、事業運営にさまざまなメリットをもたらします。おもな4つのメリットについて、順に確認していきましょう。

サービス内容を可視化できる

サービス内容の可視化は、SLAを取り決める最大のメリットです。あらかじめ文書化することで、サービスの内容と提供範囲が明確となります。特にサービスを受ける側は、大きなメリットを感じることでしょう。またサービスの提供者も責任範囲が明確になるため、過剰なサービスを提供せずに済むメリットは見逃せません。

サービスの品質を客観的に示せる

SLAではいくつかの指標を定めて、数値をもって品質を示すことがよく行なわれます。測定値のチェックは煩わしいものですが、一方でサービスの品質を客観的に示すうえで有効な手段です。

顧客のなかには一度悪い対応をされただけで、「あの会社はいつもサービスが悪い」と印象づける方もいるかもしれません。ここで客観的な数値を提示できれば、正当な評価をされやすくなります。

安心感と信頼を得られる

SLAは契約の当事者を拘束します。顧客は運営会社から、SLAで定めたサービスを確実に受けられることは大きなメリットです。必要なときに必要なサービスを得られる安心感は、ビジネスの遂行において欠かせません。

近年ではできることとできないことをはっきり明示することが、信頼を得るコツとなっています。SLAを定めることで顧客の言いなりにならなくても信用されることは、運営会社にとって見逃せないメリットです。

損害が起きた際の補償も受けやすくなる

SLAでは通常、守られなかった場合のペナルティが設けられます。条件は数値で示されるケースが多いため、守られたか守られなかったかは明白です。

これにより、不毛な争いを避けられます。顧客は「自社に損害があった」などの説明をする必要はあるものの、SLAを定めない場合と比べてスムーズな補償を受けやすいことはメリットといえるでしょう。

SLAに含まれる指標を紹介

SLAに含まれる指標を紹介

SLAの要件には、さまざまな指標が含まれる場合も少なくありません。なかでも数値など定量的に測定できる項目は、わかりやすさの観点からよく選ばれます。

ここからは3つのケースに分けて、SLAにどのような指標が含まれるか確認していきましょう。

コールセンターやコンタクトセンターの場合

コールセンターやコンタクトセンターのSLAでは、以下の指標がよく選ばれます。

・応答率(顧客からの問い合わせに対応できた比率)

・一次解決率(エスカレーションや再度の問い合わせなく、解決できた比率)

・ミス率(対応ミスをした比率)

・AHT(問い合わせあたりに要する平均処理時間)

・CPC(問い合わせあたりにかかるコスト)

・稼動率(業務時間のなかで、オペレーターが顧客対応業務にあてた比率)

クラウドサービス事業者の場合

クラウドサービス事業者のSLAでは、以下の指標がよく使われます。

・サービス時間(サービスを提供する時間帯。曜日ごとに異なる場合もある)

・稼動率(サービス時間中、実際に使えていた割合。停止時間が無ければ100%)

・ダウンタイム(サービスが停止していた時間)

・同時アクセス数

・バックアップ方法や頻度、対象となる機器

・顧客が取得できるログの種類、および提供方法

・アップグレードの頻度や通知方法

システム運用の場合

システム運用でよく使われるSLAは、以下のとおりです。

・死活監視の間隔(稼働状況を定期的にチェックする間隔)

・サーバーの可用性(全時間帯のなかで、サーバーが使える時間の割合)

・サーバーの稼働時間帯や稼働する曜日

・バックアップを保存する期間

・データリカバリを行なう際の復旧時間

・サービス要求が行なわれた際の応答時間

・障害が発生した際の復旧時間

サーバーの可用性は、稼働率やダウンタイムで示されます。稼働率が99%の場合、年間で3日半のダウンタイムが許容されます。一方で稼働率が99.999%の場合、ダウンタイムは年間で5分程度しか許されません。

SLAを作成する際に押さえておきたい5つのポイント

SLAを作成する際に押さえておきたい5つのポイント

顧客が満足し運営会社を守れるSLAの作成には、押さえておきたいポイントが5つあります。どのような点に注意すべきか、またどのような項目を盛り込むべきか、確認していきましょう。

必要かつ十分な項目を盛り込む

SLAには顧客がスムーズにシステムを使ううえで必要かつ十分な項目を選定し、盛り込むことが重要です。

皆さまのなかには、できるだけ多くの項目をSLAに含めたい方もいるかもしれません。しかしあれもこれもとたくさん盛り込むと監視の手間が増え、コストアップにつながるデメリットがあります。一方で手間を省きたいばかりに、業務に必要な項目を盛り込まないSLAに意味はありません。

SLAに盛り込むべき項目は、ケースバイケースです。事前に顧客と運営会社がよく協議し、決めることが重要です。

実現可能な数値や基準を取り決める

実現可能な数値や基準を取り決めることも、適切なSLAの作成には欠かせません。そもそも顧客は、コストパフォーマンスを求めるもの。「ちょっと無理かもしれない」という基準でも「頑張ればできる」と思い、顧客の要望に押されて高いSLAを設定するケースもあるかもしれません。しかしこのような決め方は、極力避けるべきです。

なぜならトラブルが発生した場合、契約どおりのサービスを提供しているかどうかはSLAにより判断されるためです。この際、SLAを決めた経緯は考慮されません。達成しにくい基準であったとしても、SLAを守れなければ貴社の信用や評判を落とす結果につながります。

顧客の言いなりになってSLAを決めることは、貴社の企業価値を毀損しかねません。信頼を守るためにも、実現可能な数値や基準をもとにSLAを取り決めましょう。

利用者側の責任範囲も明確にする

顧客のなかには、「システムのことはよくわからないので、貴社に全部丸投げ」という方もいるかもしれません。トータルソリューションを売りにする運営会社ならばともかく、限定的なサービスを提供する会社にとって、顧客がこのような認識を持つことはトラブルの元です。

このためSLAでは、利用者側の責任範囲も明確にすることが勧められます。これにより顧客も安定的な利用に向けて、積極的に責務を負ってもらえることが期待できます。

SLAの例外とするケースを定める

SLAは、運営会社に責任がないにも関わらず守られないケースもあります。以下は代表的な例です。

・地震や豪雨による建物への被災

・落雷や暴風、計画停電による停電

・政府などによる営業停止命令

上記のように運営会社に落ち度がないケースまで、補償を求めることは酷です。しかしSLAで免責事項と定めておかないと、賠償を求められかねません。不可抗力がなにか洗い出し、免責事項に定めておくことが運営会社の事業を守ります。

補償の上限額を決めておく

補償すべき事態になった場合でも、SLAで上限額を決めることは重要なポイントです。もし上限額を定めない場合、顧客がこうむった損害のすべてを背負うことになり、補償額が青天井となるおそれもあります。多額の補償金を支払った場合は、運営会社が倒産しかねません。

補償の上限額を定めておくことで、このようなリスクを防げます。一般的には、利用料金を上限額とするケースが多くなっていますから、参考にしてください。

SLAはサービスの信頼と企業の発展に不可欠な取り決め

SLAの締結により、以下のメリットが得られます。

・顧客は提供されるサービスの内容を可視化でき、安心して利用できる

・運営会社は提供できるサービスや補償範囲を限定でき、事業を安心して運営できる

契約内容が明瞭となり、サービスの信頼も高まることでしょう。

SLAはサービスが信頼を得る際、重要となる取り決めのひとつです。サービス提供の際は、SLAについてもぜひ検討してみてください。