マネジメントはエンジニアに必要か?メリットや必要なスキルも紹介
この記事では、エンジニアにマネジメントは必要かという点に触れたのち、マネジメントのメリットや必要とされるスキルについて紹介します。
この記事では、エンジニアにマネジメントは必要かという点に触れたのち、マネジメントのメリットや必要とされるスキルについて紹介します。
キャリア
2023/08/04 UP
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マネジメントスキルは、エンジニアに求められるスキルの一つです。上位の職種になるほど、マネジメントに携わる立場となりやすいことがおもな理由に挙げられます。一方で、すべてのエンジニアに対してマネジメントスキルは必要なのか、と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、エンジニアにマネジメントは必要かという点に触れたのち、マネジメントのメリットや必要とされるスキルについて紹介します。
エンジニアにマネジメントスキルは必要か?
近年では、エンジニアのキャリアパスが豊富となったため、誰もがマネジメント業務を担当するとは限りません。マネジメントスキルが必要かどうかは、所属する企業や目指すキャリアなどによりケースバイケースです。ここでは2つのケースに分けて、その理由について確認しましょう。
プロジェクトや人を管理する職種に就く方は必須
チームやプロジェクトを率いる、または人を管理する職種に就く方は、部下の管理や指導が業務に含まれます。任される業務も、複数人で力を合わせてやり遂げることが求められます。マネジメントスキルがなければ組織として成果をあげられず、自身の評価を上げることもできません。
以下は代表的な職種です。
・プロジェクトリーダー(PL)
・プロジェクトマネージャー(PM)
・管理職
これらの方は職務の遂行に、マネジメントスキルが必須です。
スペシャリストを目指す方は必須ではない
近年のキャリアパスは、スペシャリスト(専門職)を選ぶ道も用意されています。スペシャリストは、ほかのエンジニアにアドバイスを行なうことはあっても、管理や指導を行なうとは限りません。そのため、業務の遂行において他者をマネジメントするスキルは必ずしも求められません。マネジメント業務を避けたい方にとっては適した道となるでしょう。
ただし、自らを管理する「セルフマネジメントスキル」は、どの職種でも求められます。もちろん、スペシャリストも例外ではありません。
マネジメントは3種類に分かれる
マネジメント業務は、大きく3種類に分かれます。それぞれ何を行ない、何を目的とするものか、順に確認していきましょう。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントは、案件ごとに立ち上がるプロジェクトに関し、マネジメントを行なうことです。期間はプロジェクトの立ち上げから完了までです。代表的な業務を、以下に挙げました。
・予算や人員の管理
・スケジュールの作成
・タスクや進捗の管理
・品質の管理
上記のとおり、プロジェクトにおける「ヒト・モノ・カネ」を管理し、品質の高い成果物を納期までに納品することが仕事です。
チームマネジメント
チームマネジメントは、チーム単位で成果をあげるために行なうマネジメントです。個々のメンバーが持つ強みを活かし、メンバーが主体的に考え動きやすい環境を作ることで、目標の実現につなげることが目的です。うまくマネジメントできれば、生産性の向上につながることでしょう。
プロジェクトマネジメントと異なり、以下のようなプロジェクトに属さない組織でも適用できることが強みです。
・社内のシステム部門
・製品のサポートチーム
・自社開発のチーム
・技術研究に携わるチーム
プロダクトマネジメント
プロダクトマネジメントは、製品にフォーカスしたマネジメント手法で、製品の価値を最大化することが目的です。製品のリリース後も、より良くするための業務が続くことが特徴的です。
プロダクトマネジメントを指揮する方は、「プロダクトマネージャー」と呼ばれます。一例として、以下の業務が挙げられます。
・顧客ニーズの調査
・仕様書や試作品の作成
・製品の価値やコンセプトの明確化
・リリース後の分析や強化すべき機能の選定
なお、プロダクトマネージャーに関しては、以下の記事もご参照ください。
プロダクトマネジメントとは?プロダクトマネージャーの仕事内容や必要スキル・資格について
エンジニアがマネジメントするとなぜ良いのか?
IT企業やIT部門のマネジメントは、他の業界でマネジメント経験が豊富な方よりも、エンジニア経験者に任せるケースがよくあります。エンジニアがマネジメントを行なうことには、以下のメリットがあります。
・技術的な難易度や課題を適切に把握でき、実現可能な手法を決定できる
・豊富なエンジニア経験をもとに、適切なスケジュールを立てられる
・専門用語で会話できるため、意思疎通がしやすい
・メンバーからの信頼や理解を得やすく、組織を動かしやすい
エンジニアによるマネジメントを行なうことで、目標に向かって団結する組織を作り、成果につなげやすくなります。
マネジメントがエンジニアにもたらす3つのメリット
エンジニアはマネジメント業務を担当することで、3つのメリットを得られます。メリットの内容についてそれぞれ詳しく確認しましょう。
大規模プロジェクトなど、責任の重い役割を担える
どれだけ優秀なエンジニアであっても、一人でできることには限りがあります。マネジメントスキルの習得により、単独ではとてもこなせないような大規模プロジェクトの指揮を執り、本稼働へ導けます。
責任の重い役割を担ったという実績は、技術的なスキルと人を動かすスキルの両方を高いレベルで発揮した証です。自身の評価を高めるとともに、今後のキャリアにも有利に働くでしょう。
収入が上がりやすい
収入が上がりやすいことは、マネジメント職に就くおもなメリットの一つです。例えば、マネジメントスキルを必要としない職種の参考年収は以下のようになります。
・SE/プログラマ:400万円
・ネットワークエンジニア:440万円
・セキュリティエンジニア:460万円
一方で、マネジメントスキルが必要なプロジェクトマネージャーの参考年収は700万円と、上記に挙げた職種よりも200万円以上高くなっています。収入も裁量も増えることに、喜びを感じるエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
さまざまな職種への道が開ける
さまざまな職種への道が開けることも、メリットの一つに挙げられます。IT系職種のなかにも、マネジメントスキルを求める職種は多いためです。本記事で触れた「プロジェクトマネージャー」や「プロダクトマネージャー」のほかにも、以下の職種があります。
・テックリード
・エンジニアリングマネージャー
・管理職
いずれも組織のなかで、ほかのエンジニアをマネジメントする職種です。今後、さらにステップアップしやすくなることは、大きなメリットといえるでしょう。
エンジニアがマネジメント業務に後ろ向きとなる3つの理由
ここまでの内容を見ると、マネジメントはエンジニアにとって良いことずくめのように見えます。しかし、実際にはマネジメント業務に対し後ろ向きの姿勢を示すエンジニアも少なくありません。ここからは、エンジニアがなぜマネジメントを避けるのか、その理由について3点挙げて確認しましょう。
そもそも人付き合いが不得意
エンジニアのなかには、対人コミュニケーションを苦手とする方が一定数います。このような方は、マネジメントにかかわる業務を極力避けたいと思うでしょう。マネジメントには対話や交渉が欠かせず、コミュニケーション能力を発揮することが求められるためです。
このような方に対して無理にマネジメント業務を任命すると、苦痛を感じてしまいがちです。仕事への意欲やパフォーマンスも下がるかもしれません。
現場から遠ざかりたくない
現場の第一線から遠ざかりたくないことも、マネジメントを積極的に行なえない理由の一つに挙げられます。
技術が好きな方、自らの手でシステムを作り上げたいエンジニアは多いでしょう。しかし、マネジメント業務を担当すると、必然的に第一線での業務は減ります。自らの技術力を示す機会が減るため、エンジニアとしての能力が下がるのではないかという不安にかられるかもしれません。
書類作成や調整などが面倒
マネジメントは組織のリーダーとしての働きも求められるため、多くは以下の業務もセットでついてきます。
・報告書など、組織に関する書類の作成
・社内外の関係者との調整や交渉
技術力を直接発揮しにくい仕事に時間を取られるため、「私はエンジニアなのだろうか」と疑問を持つかもしれません。時にはシビアな交渉を余儀なくされるケースもあるでしょう。顧客や上司、部下との板挟みとなり、大きなストレスを感じるかもしれません。
エンジニアに求められる6つのマネジメントスキルや取り組み
プロジェクトマネージャーや管理職をはじめとして、多くの職種でマネジメントスキルが求められています。ここからは、エンジニアに求められるマネジメントスキルや取り組みを6つ取り上げます。どのような努力を行なえば良いかを決める参考にしてください。
チームを統率し管理するスキル
マネジメントの重要な業務の一つに、チームを統率し管理するスキルが挙げられます。計画を立てて予実管理(予算と実績を比較・管理すること)を行なうことはおもな管理業務の一つですが、マネジメントの仕事はこれに限りません。
全体を見渡し、スムーズに仕事を行なえるようチェックすることは、マネジメントならではの役割です。例えば、手待ちの人がいないか、特定のメンバーに負荷がかかっていないかなどをチェックすることは代表的な例です。もし、問題がある場合は、適切な対応策を作り、実行しなければなりません。
コミュニケーションスキル
会話のキャッチボールを行なうコミュニケーションスキルは、相互理解に不可欠であり、マネジメントの基本です。このスキルは、聞くスキルと伝えるスキルに分かれます。
相手の話を聞き取るスキル
話を聞くことは簡単なように思えますが、高度なスキルです。以下の環境を作らないと相手は安心して話せないため、正確な情報が得られません。
・話し手が持つ「伝えたい気持ち」にしっかりと向き合ってくれる
・伝えたい情報を最後まで聞き取ってくれる
マネジメントする側は話の聞き手として、信頼を得ることが不可欠です。じっくりと聞く姿勢が大事です。
話の最後に、重要な情報が隠れているかもしれません。途中で結論がわかっていたとしても、最後まで聞き取りましょう。途中で話を遮る、話の腰を折ることは、信頼を失うだけでなく、正しい判断の妨げにもなってしまいます。
正確に伝えるスキル
コミュニケーションには、聞くスキルに加えて相手に正確に伝えるスキルも重要です。誤解を招かないようはっきりと示しつつ、簡潔にまとめて話すとよいでしょう。結論から先に述べ、理由や詳細はあとで話す方法も有効です。あいまいな表現はトラブルのもとになるため避けましょう。
また、会話の相手はエンジニアばかりとは限りません。IT技術をよく知らない方に対して専門用語を多用すると、相手に正しく伝わらないかもしれません。相手のレベルに合わせて話すことも、正確に伝える重要なポイントです。
課題を発見し解決に向けて動く姿勢
マネジメントに携わると、問題に直面する場面も多いでしょう。問題は早期に発見するほど解決への選択肢が多くなり、適切な方法を選びやすくなります。
例えば、マネージャーなら問題が起こる前にどのような課題があるかを整理し、対策を考えます。対応方法が決まったら、率先して解決に動く姿勢が重要です。マネージャーが率先して取り組むことは、メンバーにも良い刺激となるでしょう。
優先順位をつけて対応できるスキル
チームやプロジェクトが持つリソースには限りがあります。最大の効果を発揮するためには、優先順位をつけて物事に対応するスキルが必要です。重要な事項や組織の改善に寄与する事項、放置するとトラブルにつながる事項を中心に、優先順位を高めて対応するとよいでしょう。
一方で、マネージャーに寄せられる意見のなかには、以下のものもあります。
・組織の改善に寄与しない意見
・実現不可能な意見
・枝葉末節で、解決しなくてもほとんど影響がない問題
・個人的な苦情
このような意見に自らのリソースを割くことはおすすめしません。必要に応じて、個別対応を行なうとよいでしょう。
メンバーの成長を意識し適切にアサインできるスキル
適切なマネジメントには、メンバーの成長を意識したアサイン(役職を割り当てること)も重要です。人は「自分の成長につながる」と思うと積極的に取り組み、力を発揮するものです。また、一人ひとりのスキルが上がれば組織全体がレベルアップし、会社の成長にも貢献します。
このように、成長を意識したアサインは、所属するメンバーのみならず、会社の成長に寄与します。そのため、できる限りメンバーの希望に沿ったアサインを行ないましょう。
マネジメントに関するIT業界標準の知識
マネジメントにはPMBOK(Project Management Body of Knowledge)と呼ばれる、確立された知識体系があります。PMBOKを学べば業界標準のプロジェクトマネジメント手法を知ることができます。組織知に頼らず、効率的・効果的なマネジメントを行なえることはメリットとなるでしょう。
マネジメント能力を認定する資格もあります。PMP(Project Management Professional:プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)やプロジェクトマネージャ試験(PM:IPA)は代表的な資格です。これらの資格を取得することにより、自身の価値を上げることが可能です。
マネジメント能力を身に付けキャリアの可能性を広げよう
今の時代はマネジメント能力がなくても、キャリアアップは可能です。しかし、マネジメント能力を身に付けることは、キャリアの選択肢を広げることにつながります。マネジメント業務では人を動かすことにはという苦労がともないますが、スケールの大きな仕事ができる、収入がアップするといったメリットが得られます。マネジメント能力を身に付け、活躍の場やキャリアアップの可能性を広げましょう。
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