JANOG56 NOCチーム参加体験記~ネットワークエンジニアの非日常~
年に2回開催されるJANOG(Japan Network Operators' Group)は、日本のインターネットを支える技術者たちが集う一大イベントです。今回、このイベントの会場ネットワークを構築・運用するNOCのL2/L3チームとして参加し、イベントの裏側でネットワークを支えたメンバーと共に得た体験談と共に、コミュニティを通したエンジニアのキャリア形成のあり方についてご紹介します。

年に2回開催されるJANOG(Japan Network Operators' Group)は、日本のインターネットを支える技術者たちが集う一大イベントです。今回、このイベントの会場ネットワークを構築・運用するNOCのL2/L3チームとして参加し、イベントの裏側でネットワークを支えたメンバーと共に得た体験談と共に、コミュニティを通したエンジニアのキャリア形成のあり方についてご紹介します。
知識・情報
2025/09/05 UP
- 仕事内容
- ネットワークエンジニア
JANOGとは
JANOGは特定の製品やサービスを展示するイベントでもあり、インターネットの技術や運用に関わるプロフェッショナルたちが集い、議論を通して各企業の知見やニーズを深めるための「場」を提供することに大きな特徴があります。特定の企業や団体に属さず、有志による活動と協賛企業の支援によって運営されている、日本のインターネット技術者とネットワーク運用者のコミュニティです。今回開催されたJANOG56は延べ5,870名もの来場者がありました。
▶詳細はこちらから:https://www.janog.gr.jp/meeting/janog56/
※会場の様子(JANOG56ミーティング フォトアルバムより)
なぜ参加したのか?
私が普段の業務で手掛けるのは、お客様の要件に合わせたインフラのシステム構築です。構築業務には、決まった手順があり、設計書通りのネットワークを組み上げることが求められます。しかし、業務として決められた範囲内でのスキルは身に付きますが、範囲外のスキルはなかなか身に付きません。
このNOC活動では、メンバー同士が綿密なコミュニケーションをとり、来場者が快適にネットワークを利用できるように、ゼロから自分たちの手で設計・構築・運用、そして撤収まで一連の流れを短い期間で経験することができます。
この経験は通常業務ではなかなか得られない貴重なものだと考え、ぜひ参加したいと思い、今回応募しました。
参加して見えた景色
会場NWを担当するNOCは役割毎にチームが分かれています。今回はL2/L3担当として活動したことで、技術的な学びはもちろん、それ以上の価値を得ることができました。
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知識の実践:今ある知識を実際に試す
ネットワークの基礎的な知識は持っていましたが、実際に機器に設定を投入し、機器同士をLANケーブルで接続、リアルタイムで監視、トラブルシューティングする経験は、自主的に学ぶ書籍や研修では得られません。特に、複数の機器との接続や冗長構成の設計、予期せぬトラブルに対応する能力は、このNOC活動を通じて飛躍的に向上したと感じています。
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チームワーク:異なるバックグラウンドを持つ仲間との協力
L2/L3チームのメンバーは、社会人と学生で構成しており、所属や年齢もバラバラです。異なる視点や技術背景を持つメンバーと密に連携し、一つのイベントネットワークを完成させる過程は、非常に刺激的でした。技術的な課題を解決するだけでなく、互いの得意分野を尊重し、円滑なコミュニケーションを取る重要性を改めて認識しました。
※交流の様子(左:パソナ 木村、右:L2/L3リーダ 阿部さん)
苦労した話
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準備段階の苦労:設計通りにはいかない
設計段階では完璧に見えても、実際に機材を繋げてみると様々な問題が発生します。
特に苦労したのは、「機器の設置」と「接続作業」です。
準備段階では順調だった構成も実際に会場へ機器を設置し、ケーブルを接続させると疎通がうまくできないことがありました。
時間の制約が付きまとうため、少ない時間でトラブルを解消しなければならず大変頭を悩ませました。
また、会場のレイアウト変更や、物理的なケーブルの長さが足りないといった予期せぬ事態にも遭遇しました。
こうしたトラブルは、チーム全員で知恵を出し合い、一つずつ潰していくしかありません。他チームとも連携し協力して解決をしていくことで普段の業務では得られない貴重な学びがありました。
※構築している様子(左:L2/L3チーム 山口さん、右:パソナ 木村)
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トラブルと対応
イベントが始まってしばらく経った頃、NOCの監視ツールにアラートが上がりました。特定の会場で、AP機器がうまく接続されていない状態が発生しているというアラートです。
来場者用にWi-Fiを提供していたので、すぐに復旧しなければいけない状況です。
私たちはすぐにAPを担当しているチームと連携し、原因究明にあたりました。
- ・問題の切り分け
- AP側か、L2/L3側か?ソフト側か、ハード側か?
- ・原因の特定
- 対象のAP機器が接続されているスイッチのポートがシャットダウンされており、参加者がNOCチームで提供していたWi-Fiに接続できない事象となっていた。
- ・対処内容
- APに接続されている対象のポートの設定を修正し、復旧したことを確認。APチームへ連携し、動作確認を実施しました。
この一連の対応は、ほんの数分間の出来事でした。
監視ツールのアラートから原因を特定し、チーム全員で連携して迅速に対応する。この臨場感と一体感は、普段の業務では決して味わえない、ネットワークエンジニアにとって最高の瞬間でした。
最後に
今回JANOG56 NOCチームへ参加させていただき、ネットワークエンジニアとしてのスキルアップはもちろん、コミュニティへの貢献や、様々な業種・職種の方々との出会いといった、多くのメリットがありました。
この経験は、私のエンジニアとしてのキャリアに大きな自信を与えてくれるものになりました。今後もこのようなNOC活動を継続的に行い様々な経験をしていきたいと考えています。
もしこれを読んでいるあなたが「何か新しいことに挑戦したい」「自分の技術を試したい」と考えているなら、ぜひ今後も募集があればJANOG NOCチームへの参加を検討してみてください。
あなたの知識と経験が、日本のインターネットコミュニティを支える力になります!
この記事を書いたメンバー
ITサービスチーム 木村 智仁