パソナについて
記事検索

AIに不可欠な機械学習とは?概要・学び方・仕事内容を解説

AIのもつ可能性が連日さまざまなニュースメディアで見かけることも多くなりました。しかし、AIがそもそもどういう仕組みで動いているのかまでは、あまり知られていないように思われます。AIの基本的な仕組みは「機械学習」という統計学の考え方を応用する形で成り立っています。

AIに不可欠な機械学習とは?概要・学び方・仕事内容を解説

AIのもつ可能性が連日さまざまなニュースメディアで見かけることも多くなりました。しかし、AIがそもそもどういう仕組みで動いているのかまでは、あまり知られていないように思われます。AIの基本的な仕組みは「機械学習」という統計学の考え方を応用する形で成り立っています。

知識・情報

2019/10/02 UP

AIのもつ可能性が連日さまざまなニュースメディアで見かけることも多くなりました。しかし、AIがそもそもどういう仕組みで動いているのかまでは、あまり知られていないように思われます。AIの基本的な仕組みは「機械学習」という統計学の考え方を応用する形で成り立っています。機械が何かを学習するとはどういうことなのでしょうか。以下に、機械学習の基本を踏まえつつ、機械学習エンジニアの仕事などについても一緒に見ていくことにしましょう。

AIの技術に不可欠な機械学習とは?

AIの実装・開発に用いられる技法は、機械学習です。つまり、AIがどのような仕組みで作られ、そして動いているのかを理解するためには、機械学習の何たるかを知らなければならないのです。

そもそもAIというものの凄さの本質は、それがまるで人間などと同じように、新しいものを学習しながら成長していく力を持っていることにあるといえます。「コンピューターは人間などと違って、言われたことを言われた通りにしかできない」などというようなIT技術に対する一般的な理解は、AIの登場によって一変しました。それは芸術なども含め、これまで人間にしかできないと思われていた領域への応用にむけた可能性をもつものとして大きな注目を集めるに至ったのです。

もっとも、「人間のように新しいことを学習する」といっても、そのプロセスは人間のそれとは異なり、統計学をはじめとする数学的な手法によるものです。すなわち、アルゴリズムを用いて特定の分野を対象としたデータ解析を大量に行い、そしてデータごとに法則性や規則性を機械に見出させるのです。マシンの計算処理の性能が目覚ましい向上を見せた今日だからこそ、こうした膨大な量のデータ解析も可能となり、AI の誕生を促しました。これがすなわち機械学習です。

機械学習の種類は、以下の種類のものがあります。

教師あり学習

教師あり学習とは、機械になにかを学習させるための学習用のサンプルデータをあらかじめ用意して行うという手法のものです。たとえば迷惑メールを自動で判別するようなAIを作る場合、すでにあるメールのデータをあらかじめ迷惑メールと通常のメールに分けておくとします。

そこから迷惑メールに共通する特徴、通常のメールに共通する特徴を解析し、新たに届くメールに対する判別も機械に行わせるというやり方が考えられます。このように、事前にサンプルデータを用意することが教師あり学習の特徴です。教師あり学習の場合、事前にすぐれたサンプルデータを用意しておくことが、高精度のAI(つまりここでは、高い精度で迷惑メールを自動振り分けしてくるAI)を作る際のポイントとなってきます。

教師なし学習

一方、教師なし学習は、事前にサンプルデータのようなものを用意せずに、いきなり大量のデータを解析する手法を言います。先ほどの迷惑メールの振り分けの例に即していうなら、事前に迷惑メールと通常のメールの区別さえ一切ついていないようなデータをいきなり解析し始めるのです。人間が目を通して内容を把握するのが困難なデータにはこうした手法を用いることもあるのです。

まだ人間がカテゴリー別の分類を一切行えていないようなデータの蓄積に対し、さまざまな指標から類似度を機械に解析させ、グループを作らせるのです。言い換えるなら、グルーピングのやり方そのものを機械に任せてしまうということだともいえます。

強化学習

ほかには強化学習というものもあります。これは解決方法が未知の課題を機械にいきなり提示して、人間には到底行えないような量の試行錯誤をひたすら機械に行わせるというものです。つまり、機械が試行錯誤を続ける中で、大量のデータが徐々に蓄積することによって、徐々に機械による判断の質も向上させていけるというわけです。

強化学習が用いられた例としては、人間の名人を上回る囲碁のAIが開発された話が有名です。囲碁のルールの制約に沿った配石の仕方を予めプログラムしておき、どういった状況下でどこに打てばより勝ちにつながるかという点については、機械がこれまでに行ってきた試行錯誤の蓄積をサンプルデータとして、統計的に判断されることになります。

ビジネスで機械学習が活用される具体的なシーン

ビジネスで機械学習が活用される具体的なシーン

以上のような手法を応用できる領域は数多くあります。例えば以下のようなものです。

マーケティング

マーケティング経験者の直観やセンスに基づく需要の掘り起こしではなく、過去の消費のとってきた行動パターンをすべてデータ化することにより、効果的な販売促進の試作をAIに作らせることが考えられます。通販サイトなどでサイト閲覧者に適切な商品をおすすめしたり、適切な広告をホームページの閲覧者に表示したりするなどの応用はすでに始まっています。

企業の管理部門の機能向上

また、マーケティングや販路の拡大といったところだけでなく、企業のバックオフィスの効率化、内部の体制の強化にも役立てることが考えられます。たとえばコールセンターのオペレーターの仕事などは、やりとりの種類に一定のパターンがあることから、過去の会話履歴をもとにした機械学習などを行う余地はあるでしょう。また、情報セキュリティといった話題にもAIは密接に絡んでいます。通常のアクセスとサイバー攻撃を目論む人の判別といった点についても、機械学習のメカニズムはすでに応用されています。ほかにも製造過程で生まれる不良品の検知や、退職検討者の事前の発見など、大量のデータを処理しきれるようになった今日だからこそできるようになったことは、数えればキリがありません。

機械学習のために必要な数学の知識とは?

機械学習のために必要な数学の知識とは?

機械学習の概要にとどまらず、その詳細にわたる話の全容を理解しきろうと思えば、そこでは一定程度の数学的なリテラシーが要求されます。具体的には、以下のような内容です。

微分・積分

未知の事例に対する予測の精度を向上させる際に、これらの考え方を応用していくことが必要となります。

線形代数

機械学習では大量のデータを用いた解析が必要となることから、大量のデータを記述するための枠組みとして、行列が用いられます。

統計

機械学習において予測モデルの確立という形で、直接的に用いられます。線形代数と組み合わさることで、大量のデータが関連しあうような複雑な課題も扱うことが可能となります。

もし数学が苦手な人であれば、まずは数式の詳細に入り込むというよりは、どんな分野でどんな考え方が要求されるのかという点について、先に概要把握を優先すると良いでしょう。これらはたしかに大学数学の内容を含んだ高度な内容も多いですが、概要さえ知っていればプログラムを書く際には支障がないということも多いものです。

機械学習エンジニアの仕事、年収、将来性とは

機械学習エンジニアは、AI エンジニアを統括するような役割を担うことが多いものです。すなわち、機械学習のプロセスはAI開発のコアに位置する分野であり、全体的な開発プロジェクトのデザインにかかわる仕事が多くなりがちであるということです。そのため、ITスキルに加えて、マネージャーとして人をまとめる仕事も多くなりがちであると考えられます。

Pythonエンジニアの平均年収は現在およそ500万円代後半といった状況ですが、機械学習を専門とする人であれば一層高い水準であると予想されます。こうした意味でも、機械学習の知見をもつ人はきわめて高い待遇の仕事を得られることが期待できるといえます。

もっとも機械学習と一口にいっても、求められるスキルセットは各業界・各企業に異なってくることも事実です。業界によって変わるところのない機械学習の基礎は固めつつも、実際に機械学習の考え方をどんな分野で生かしていきたいのか、目標を明確にしていくことも重要だと考えられます。

まとめ

機械学習はAI開発のコアに位置する、きわめて重要な技術です。機械学習のスキルを身に付けることができれば、ビッグデータの分析やマーケティングをはじめとした様々なビジネスの分野で活躍のチャンスも得られるようになるでしょう。

一方で機械学習のスキルを身に着けるためにはプログラミングや数学の知識やスキルが必要となります。特に文系からエンジニアになったような人の場合、数学の学習を続けるモチベーションの維持は簡単ではないため、なにより勉強を継続していくための工夫が非常に重要となるでしょう。

パソナテックでは、機械学習の求人案件も掲載しています。この中には未経験者も含めた機械学習エンジニアの求人もあります。機械学習という分野では、理論を勉強することと、仕事で実践することの両方が重要となります。パソナテックもこうした点を踏まえて、初学者の学びにはじまり、仕事探しをして実務経験を積むまでをワンストップで支援を行っていけるサービス作りを行っています。