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プロジェクトマネージャ試験(PM)の出題範囲と合格するための勉強方法・対策

本記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要と出題範囲をふまえたうえで、合格を目指すための勉強方法・対策などについて紹介します。

プロジェクトマネージャ試験(PM)の出題範囲と合格するための勉強方法・対策

本記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要と出題範囲をふまえたうえで、合格を目指すための勉強方法・対策などについて紹介します。

スキルアップ

2023/06/22 UP

「プロジェクトマネージャ試験(PM)」への挑戦は、IT人材としてのスキルアップやキャリアアップにつながります。しかし、合格するには幅広い知識が求められるため、試験対策をどのように行なえば良いものかと迷っている人がいるかもしれません。

そこで本記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要と出題範囲をふまえたうえで、合格を目指すための勉強方法・対策などについて紹介します。

プロジェクトマネージャ試験とは

プロジェクトマネージャ試験とは

まず、プロジェクトマネージャ試験とはどのようなものなのか、試験の位置付けと難易度について説明します。

高度な知識を問われる国家試験

プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。「情報処理技術者試験」における区分の一つとして、高度な知識や技能が要求される「高度試験」に分類されています。試験は毎年秋期(10月)に実施され、受験できるタイミングは年に1回です。

「プロジェクトマネジメント業務を単独またはチームの一員として担う人」が対象者とされていることから、本試験はプロジェクトマネージャを目指す人に適したものだといえるでしょう。IPAによる「ITプロジェクトの成功請負人」というキャッチフレーズからも、同様のことがわかります。ITシステムの開発プロジェクトを「確実に成功に導く」マネージャを目指す者のための試験です。

独学でも受験できるが難易度は高い

プロジェクトマネージャ試験は、特別な受験資格がないため誰でも受けることができます。しかし、高度な知識・スキルが求められる「レベル4」の試験内容となっており、独学のみで合格を目指すのは簡単ではないかもしれません。

毎年の合格率(実際に試験を受けた人に対する合格者の割合)は、10%を超える程度で推移しています。令和4年度秋期試験の実績は14.1%でした。基本情報技術者試験の35.6%、応用情報技術者試験の26.2%と比較しても、狭き門だということがわかるでしょう。

また、同年における合格者の平均年齢は38.0歳でした。これは、基本情報技術者試験の25.3歳、応用情報技術者試験の28.1歳よりも高いことがわかります。プロジェクトの中心人物として、一定の経験を経た人が合格している様子がうかがえます。

プロジェクトマネージャ試験の実施方式と出題範囲

プロジェクトマネージャ試験は、知識を問う「午前の試験」と、技能を問う「午後の試験」に分けて実施されます。詳しい実施方法や出題範囲については「試験要綱」に記載されていますので、一度は目を通しておくとよいでしょう。

ここでは、それぞれの概要について説明します。

午前の試験

午前の試験は、全30問の「午前I試験」と、全25問の「午前II試験」に分かれています。いずれも多肢選択式(四肢択一)で出題され、全問解答しなければなりません。それぞれ100点満点の配点で、合格に必要な基準点はともに60点と決められています。

「午前I試験」は高度IT技術者に求められる「共通知識」を問う内容となっており、出題範囲は応用情報技術者試験、およびプロジェクトマネージャ試験以外の高度試験と共通です。応用情報技術者試験に合格するなど一定の条件を満たしている場合は、「免除制度」により「午前II試験」からの受験も申請できます。対象となる人は、免除制度の利用を検討してみてください。

「午前II試験」の内容は、高度試験それぞれの「専門知識」が問われるものです。プロジェクトマネージャ試験では、「プロジェクトマネジメント」と「セキュリティ」が重点分野に指定されています。特に「プロジェクトマネジメント」の分野については「レベル4」相当として出題されるため、専門的な知識が問われるといえるでしょう。

午後の試験

午後の試験は、記述式の「午後I試験」と論述式の「午後II試験」に分かれています。出題範囲として指定されているのは、以下の3点です。プロジェクトマネジメント全般について問われる内容であることがわかるでしょう。

・立ち上げ・計画:プロジェクトの目標設定やチーム編成、リスクの特定と品質の計画、各種見積もりなど

・実行・管理:ステークホルダやチーム、スケジュール、機密・契約の管理など

・終結:プロジェクトの評価手法や完了基準、プロジェクトを通して得た教訓の収集など

「午後I試験」では3問の長文問題が出題され、そのうち2問を選んで解答します。合格基準点は、100点満点中60点です。

「午後II試験」では2問が出題され、いずれか1問を選んで解答します。こちらは論文形式のため、「午後I試験」までとは採点方法が異なる点に注意しましょう。A~Dの4段階評価で、「ランクA」と評価されれば合格です。

プロジェクトマネージャ試験に合格するための勉強方法・対策

プロジェクトマネージャ試験に合格するための勉強方法・対策

プロジェクトマネージャ試験は難易度が高いため、しっかりと準備して本番に臨むことが大切です。ここからは、プロジェクトマネージャ試験への合格を目指す人におすすめの勉強方法について紹介していきます。

過去問で試験本番のイメージをつかむ

IPAは、過去の試験で実際に出題された問題の一部を公開しています。プロジェクトマネージャ試験については「午前I試験」から「午後II試験」まで、すべての問題が公開されているのでぜひ活用しましょう。

プロジェクトマネジメントについて十分な実務経験がある人でも、何も対策せずに試験に合格するのは簡単なことではありません。試験当日は決められた時間内に問題に目を通し、ハイペースで解答する必要があるためです。過去問で本番さながらに問題を解いてペース配分をつかむ練習をすることが、試験対策として効果的です。

なお、本記事の執筆時点では、平成21年度以降の過去問が公開されていることが確認できました。試験区分や出題範囲はたびたび変更されているので、新しいものを優先的に利用するとよいでしょう。

「午前I試験」対策:テクノロジ系の知識も押さえておく

試験要綱によると、「午前の試験」の出題範囲は以下の3つの分野に大別されています。

・テクノロジ系

・マネジメント系

・ストラテジ系

ここでは、「午前I試験」で問われるのが「共通知識」だという点に留意しましょう。プロジェクトマネジメントに関する知識はマネジメント系に含まれるものですが、プロジェクトマネージャ試験ではそれ以外の知識も問われるということです。

具体的には、応用情報技術者試験に合格できる程度の知識が求められており、実際の出題でもテクノロジ系の問題が半数以上を占めています。合格に必要な基準点を超えるには、コンピュータの理論や技術の知識についても押さえておかなければなりません。

なお、条件を満たしているのであれば、「午前I試験」の免除制度を利用してみてください。免除されたからといってテクノロジ系やストラテジ系の知識が不要になるわけではありませんが、「午前II試験」以降の対策に力を入れやすくなります。

「午前II試験」対策:プロジェクトマネジメントの知識を中心に

試験要綱によれば、「午前II試験」は以下の7つの分野から出題されます。

・レベル4:プロジェクトマネジメント(重点分野)

・レベル3:セキュリティ(重点分野)

・レベル3:システム開発技術

・レベル3:ソフトウェア開発管理技術

・レベル3:サービスマネジメント

・レベル3:システム企画

・レベル3:法務

ここでは、プロジェクトマネージャとしての「専門知識」を問うような問題が、上記の分野を中心に出題されると考えればよいでしょう。そのため、プロジェクトマネジメントの分野は、最も深い知識が求められる「レベル4」に指定されています。

問われるのは知識であるため、まずはテキストで学習するのが基本です。そのうえで、過去問も同時に活用しながら苦手分野を把握し、取りこぼしをなくしていくことが有効な対策です。

「午後I試験」対策:出題意図を考えて答える練習を

「午後I試験」は長文問題です。解答も記述式のため、何が問われているのかを理解しなければ答えられません。プロジェクトマネジメントの知識をベースにした、国語の問題のようなイメージです。

試験対策としては、ここでも過去問の活用が重要になります。出題の意図を理解したうえで、解答欄に書く短い文章を素早く組み立てられるようになるまで練習しましょう。

また、試験本番で余裕を持って解答を終えるには、多少の受験テクニックを取り入れるのもおすすめです。例えば、最初にすべての問題文を斜め読みして解答しやすそうな問題を素早く選択すれば、限られた試験時間を有効に使えます。設問を先に読んでおき、答えを探しながら長文を読む方法も試してみるとよいでしょう。

「午後II試験」対策:評価要素を意識し文章で表現する練習を

「午後II試験」でも、長文の問題が出題されます。ただし、解答欄に記入する文章量が「午後I試験」よりも多くなっており、設問ごとに「800字以内」や「800字以上1,600字以内」などの指定に沿って文章を組み立てなければなりません。

対策としては、やはり過去問の活用がおすすめです。実際に出題された問題文を読んで、試験時間内に文章を書き上げられるようになるまで練習しましょう。

このとき、ただ文字数を埋めるだけではなく、合格基準である「ランクA」評価をもらえる内容にする必要があります。どうすれば「ランクA」になるのかについては「試験要綱」でも簡単に説明されていますが、以下のような点が評価要素になるようです。

・出題意図を満たす結論が述べられているか

・プロジェクトマネジメントの観点から論理的で妥当性のある判断をしているか

キャリアプランに合わせてステップアップしていく方法も

プロジェクトマネージャ試験に合格するには、テクノロジ系も含む広範囲の知識と、プロジェクトマネジメントの専門知識が必要です。さらに、長文から意図を理解したり、論文として表現したりする能力も求められます。

まずは基本情報技術者試験や応用情報技術者試験に合格し、ある程度の実務経験を積んでおくことがプラスになるかもしれません。キャリアプランについて考えながら、徐々にステップアップしていく計画を立てるのもよいでしょう。

プロジェクトマネージャ試験の合格に向けて準備を整えよう

プロジェクトマネージャ試験は、ITプロジェクトのマネージャに適した国家試験です。誰でも受験はできますが、出題範囲が広く難易度も高いため、合格するにはしっかりとした試験対策が欠かせません。

ハードルが高い分、プロジェクトマネージャ試験に合格すれば、ハイクラスなIT人材としての専門知識や技能があることが客観的に認められます。就職・転職をする際には、スキルの証明としても役立つでしょう。

なお、当社ではハイクラスなIT人材が活躍できる、豊富な求人情報をご紹介しています。キャリアプランの実現に、ぜひご活用ください。