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データサイエンティストになるには?必要スキルや学習方法を紹介

本記事では、データサイエンティストを目指す方に向けて、業務に携わるうえで求められるスキルや就職に向けた勉強方法などを解説します。

データサイエンティストになるには?必要スキルや学習方法を紹介

本記事では、データサイエンティストを目指す方に向けて、業務に携わるうえで求められるスキルや就職に向けた勉強方法などを解説します。

キャリア

2023/07/12 UP

近年IoTやビッグデータなどの技術革新が進み、業務上のデータを大量かつ容易に集められるようになりました。客観的な判断材料となるデータを分析し、ビジネスの判断に活用しようとする動きも生まれています。

このような流れにともない、ビジネス目線でデータ分析ができる人材である、データサイエンティストのニーズが高まっています。本記事では、データサイエンティストを目指す方に向けて、業務に携わるうえで求められるスキルや就職に向けた勉強方法などを解説します。

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、ビジネス上の課題に対しビッグデータを分析して解決策を見出し、ビジネスの課題解決を行なう職種です。

近年はIT技術の発達によって収集可能なデータ量が莫大に増え、世界のデータ量は2025年に180ゼタバイト(1ゼタバイト=1テラバイトの10億倍)に達する予測もあります。SNSでやり取りされるテキストデータや、スマートフォンに装着されたセンサーデータなど、私たち自身もさまざまなデータを日々生み出しています。

日々増大する大量のビッグデータを分析すれば、既存のビジネスに対する新たな洞察が得られ、これまで経験や勘で行なわれてきた仕事を改善できるかもしれません。データサイエンティストは、統計的な分析手法や機械学習などのAI技術を活用して、ビッグデータから新たな知見を導き出し、ビジネスに役立てる存在なのです。

ただし、データサイエンティストという言葉の定義は曖昧で、業務内容は多岐にわたります。大量のデータを収集、加工するための環境構築などの業務に携わる場合もあるでしょう。雇用主と求職者で想定するスキルが異なる場合もあるため、注意が必要です。

なお、データサイエンティストについては、こちらの記事も合わせてご確認ください。
データサイエンティストとは?スキルや需要、将来性について徹底解説!

データサイエンティストに求められるスキル

データサイエンティストに求められるスキル

ここでは、一般社団法人データサイエンティスト協会が定める3つのスキルセットを紹介します。各スキルセットの内容は範囲が広く、すべてを身に付けるのは容易ではありません。

各スキルについて最低限の知識は持ちつつ、自分の得意分野を持つことを目指すとよいでしょう。

データサイエンス

「情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力」がデータサイエンス力です。分析の基礎となる数学、自然言語処理や画像・音声認識、統計学に基づいたデータ解析スキルが求められます。データの特性を正確に理解し、解析結果のなかに意味合いを見出すには、統計の考え方を熟知しなければなりません。

また、機械学習や深層学習に用いるモデルの作成や評価も、データサイエンスの一つです。近年のAI関連の話題として、ChatGPTをはじめとするAIチャットボットなどの生成型AIが注目されるようになりました。AIチャットボットには、Transformerや、そのコア技術であるAttentionなどの自然言語処理に関連した技術が背景にあります。このような技術の理解には、統計学や数学、情報工学などの学術的な専門知識があると強みになるでしょう。

データエンジニアリング

「データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力」がデータエンジニアリングです。具体的には、データを収集してデータベースに蓄積し、データの欠損や漏れを修正して分析を行ない、分析結果を可視化します。この一連の作業は、データ分析に不可欠なプロセスといえるでしょう。

さらに、データベースの環境構築やAIシステムの運用、ITセキュリティなどの運用面にもかかわります。例えばAIシステムを運用する場合、入力されるデータの分布が変化すると学習したモデルのパフォーマンスが低下する恐れがあるため、自動的にモデルの更新を行なう仕組みづくりが必要です。データエンジニアリングを強みとするなら、プログラミングのほかにインフラ運用などの実務的スキルが役立つでしょう。

ビジネス力

「課題背景を理解したうえで、ビジネス課題を整理し、解決する力」がビジネス力です。ビジネスの現場では、直面する課題に対し、データ分析を活用して問題解決に導くことが求められます。そのためには、適切な課題定義、必要なデータの把握、分析結果を事業に実装する力が必要です。

ビジネス上の課題を解決するには、データ分析のスキルだけでなく、分析対象となるビジネスに関する深い専門知識が必要です。例えば、センサーで取得したデータの異常値が発生したとき、統計的にありうる異常値なのか、センサーの故障であるのか、通信状況の異常なのかを見抜くには、センサーが置かれている現場の知識が必要となります。経験年数が長く、業界知識が豊富であればビジネス力を強みにできるでしょう。

データサイエンティストに求められるスキルについては、詳しく解説しているこちらの記事も合わせてご確認ください。
データサイエンティストに必要なスキルとは?3つのスキルセットについて解説

データサイエンティストに就職するには

データサイエンティストに就職するには

データサイエンティストとしてのスキルを学び、就職に至るまでのロードマップを紹介します。実務経験を通じて必要とされるスキルを学び、そのスキルを示すポートフォリオを作成すると就職や転職の場で有利になるでしょう。

実務経験や自己学習を通してスキルを習得する

最初のステップは、データサイエンティストとしての職務で必要となるスキルの取得です。日常の業務で何らかのデータを扱う機会があれば、データ分析を通じて業務の改善を試みると、スキルアップにつながります。

実際にデータを分析して何らかの洞察を得ようとすると、手持ちのデータだけでは不十分なケースも少なくありません。このような場合、適切なデータの選択や、データ収集手法の検討もスキルが必要です。自分が普段から携わっている業務であれば興味を持って取り組めるうえ、必要なデータの入手も容易でしょう。

また、就職や転職を視野に入れた場合、実務経験があると評価されやすくなります。業務のなかでどのような課題があり、どのような方針でデータ収集やデータ分析を進めたか、その結果どのようなアウトプットを生み出せたか、などを確実に説明できるようにしましょう。

ポートフォリオを作成する

自分のスキルをアピールするためには、データ分析に関するポートフォリオを作成することが有効です。具体的には、データ分析に関するレポートや有益な情報を提供するWebサービス、データ分析結果を可視化したダッシュボードなどが考えられます。可能ならポートフォリオはWeb上に公開すると、他人に成果を見せやすくなるでしょう。

特に実務経験がない場合、ポートフォリオが就職・転職時の重要なアピール材料です。ポートフォリオを作成することで、自身のスキルや考え方が、どのようにビジネスの課題解決に結びつけるのかを伝えやすくなります。

就職、転職活動に臨む

現在、国内企業におけるデータサイエンティストの採用ニーズは高く、目標の人員を確保できない企業も多く存在します。特にビジネス課題の解決を得意とする人材や、複数の分野を大局的に見てデータ分析を戦略的に活用できる能力を持つ人材への需要は非常に高くなっています。中途採用では経験者のみを採用する企業が7割を超えるというデータもあり、ビジネスへの貢献が強く求められていることがわかります。

他社への転職だけでなく、自社内でデータ分析に関する業務を見つけるという方向性もあります。自社であれば転職よりもハードルが低く、社内でどのようなスキルが求められているかも把握しやすいでしょう。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉も話題になっており、IT技術を活用して業務改善を行なえる人材には高いニーズがあります。

データサイエンティストに向けた学習方法

データサイエンティストに向けた学習方法

データサイエンティストになるために必要なスキルを身に付ける方法について紹介します。自分が強みとする分野を明確にし、データ分析の実践経験を積むことが重要です。

強みとする分野を決める

データサイエンティストに求められるスキルは幅広く、すべてを網羅的に習得するのは困難でしょう。大切なのは、自分自身が強みとする分野を絞ることです。得意分野が明確になっていれば、学習の方針が立てやすくなり、就活時もスキルをアピールしやすくなります。

データサイエンティスト協会のWebサイトでは、必要なスキルについてのチェックリストを公開しています。ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力の3つの分野について、レベル別にスキルを定義しています。このチェックリストを参考に、自身の経験や得意分野を踏まえたうえで、習得すべきスキルについて判断するとよいでしょう。

参考:2021年度版「データサイエンティスト スキルチェックリストver.4」およびデータサイエンス領域タスクリスト ver.3」を発表

オープンデータを利用する

データ分析について学ぶには、何らかのテーマに関するデータを入手して、実際に分析してみることが効果的です。しかし、データ分析に適したデータの入手は難しい場合があります。

そのようなときに役立つのが、国や地方公共団体が無償で公開しているオープンデータです。オープンデータには、データの欠損やデータフォーマットの不一致といった問題もありますが、不完全データの処理もデータサイエンティストの業務の一部です。

例えば、政府統計ポータルサイトの「e-Stat」では、ExcelやCSV、PDFなどのファイル形式でさまざまな分野の統計データが公開されています。分析にはExcelやGoogleスプレッドシートのような表計算ソフトを利用すると便利です。また、MySQLやPostgreSQL、BigQueryなどを使用すれば、データベース言語であるSQLを使ったデータ操作もできます。

参考:政府統計の総合窓口

学校教育を活用する

データサイエンティストへの需要の増加にともない、データサイエンスが学べる学部や学科を新設する大学が増えています。社会人向けのデータサイエンス講座を設置する大学もあり、数十時間分の講義をオンラインで受講するコースもあります。ある程度の費用はかかりますが、基礎からしっかりと学びたい人にはおすすめです。

また、民間のスクールでも、データサイエンスに関する講座が増えています。しかし、どのスクールを選ぶべきかわからなかったり、講座の質に不安があったりする場合もあるでしょう。

経済産業省では、ITやデータ分野を中心とした、専門的・実践的な教育訓練講座に対する認定制度を設けています。認定を受けた講座も公開されているので、参考にしてみてください。

データ分析の経験を積んでスキルアップを目指そう

データサイエンティストに求められるスキルは多岐にわたりますが、すべてを習得するのは困難です。そのため、自分の得意分野や過去の経験から、強みとする分野を絞り込むとよいでしょう。

データサイエンティストとしてキャリア形成を考えているなら、実務経験を積む・ポートフォリオを作成するなど、自分のスキルをアピールする方法を考えることが重要です。スキルを高めるには、無償で公開されているオープンデータを分析する、大学やスクールに通うなどの方法もおすすめです。

IoTやビッグデータなどの技術革新が進んでいる現代では、データを活用して自社にとって最適な選択肢を考えられる人材が求められています。その一端を担うデータサイエンティストを目指してみてはいかがでしょうか。