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DX戦略が必要な理由とは?DX戦略を成功させるポイント・進め方について解説

DX戦略の必要性や、DX戦略を成功させるためのポイントのほか、DXの具体的なプロセスについて解説していきます。

DX戦略が必要な理由とは?DX戦略を成功させるポイント・進め方について解説

DX戦略の必要性や、DX戦略を成功させるためのポイントのほか、DXの具体的なプロセスについて解説していきます。

DX

2021/09/01 UP

近年DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が注目を集めています。

ビジネスにおけるDXとは、おもに「IT技術の導入によりビジネスモデルをより良い方向へ変革する」という意味で使用されています。経済産業省も推奨しているDX推進ですが、多くの企業がまだDXへの取り組みに着手できていないという状況にあります。

では、そもそも、なぜDXが必要なのでしょうか。

この記事では、DX戦略の必要性や、DX戦略を成功させるためのポイントのほか、DXの具体的なプロセスについて解説していきます。

なお、DXについての詳細は以下の記事も併せてご確認ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?取り組む際の課題とポイント

DX戦略とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、一般的にビジネスにおいて「IT技術の導入により事業をより良く変革し、市場競争上の優位性を確立すること」という意味で使用されます。

近年、IT技術を活用したビジネスモデルが急速に普及しています。市場での競争力の優位性を高め、日々変化する顧客ニーズに柔軟に対応するためにも、事業のDX推進は急務と考えられています。

DXを推進すること自体は目的ではありません。DXはあくまで「目的とする成果」を得るための手段の一つであり、DX戦略によりどのような成果を得たいのかを明確にしておくことが、DXに取り組む際は重要となります。

DX戦略はなぜ必要なのか?

DX戦略はなぜ必要なのか?

DX戦略への取り組みはなぜ必要なのでしょうか。

「2025年の崖」と直面する恐れがある

「2025年の崖」とは、経済産業省のDXレポートで使用された言葉です。

DXレポートによると、「複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まり等にともなう経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」とされています。

もし「2025年の崖」に直面した場合、企業は市場で勝ち抜くことができず、業務効率や競争力が著しく低下することが懸念されています。

一方でDXレポートでは、2025年までにDXを推進し、新しいビジネスモデルを展開することにより、2030年には実質GDP130兆円超の上積みを実現することも可能だとしています。

ニーズに柔軟に対応するため

日々変化する消費者のニーズに柔軟に対応するためにも、事業のDX推進は重要だと考えられています。

近年、私たちの生活の中にIT技術が急速に浸透してきています。そうした変化にともない、顧客の消費行動やコミュニケーションなどの大部分が、オンライン上で完結するようになりました。

また新型コロナウイルス感染症や災害により、リモートワークが必要になった場合でも、事業に最新のITシステムを導入しておくことで、業務をストップすることなく事業運営を続けることができるというメリットもあります。

経済産業省の『DX推進ガイドライン』

DXレポートの提言を受け、経済産業省は『DX推進ガイドライン(デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン)』を公表しました。

DX推進ガイドラインは「DX推進のための経営のあり方、仕組み」「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」の2つの内容によって構成されています。

DX推進のための経営のあり方、仕組み

DX推進ガイドラインの「DX推進のための経営のあり方、仕組み」では、以下の5項目が提示されています。

・経営戦略・ビジョンの提示

・経営トップのコミットメント

・DX推進のための体制整備

・投資等の意思決定のあり方

・DXにより実現すべきもの:スピーディな変化への対応力

「DX推進のための経営のあり方、仕組み」は、おもに経営者目線の構成となっています。DX戦略によるITシステム導入の前段階として「DXを推進することで、どのような成果を得たいのか」という点について深く考える内容となっていることが特徴です。

DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築

「DXを実現するうえで基盤となるITシステムの構築」では、「体制・仕組み」「実行プロセスに分けた各3項目が提示されています。

体制・仕組み

・全社的なITシステムの構築のための体制

・全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス

・事業部門のオーナーシップと要件定義能力

実行プロセス

・IT資産の分析・評価

・IT資産の仕分けとプランニング

・刷新後のITシステム:変化への追従力

新たなITシステムを導入する際は、DX推進の目的を明確にしたうえで、目的達成のために一貫性のあるシステムを構築していくことが重要となります。

またDXを推進し、継続的に企業を成長させていくためには、社内にIT技術に精通した人材を確保することと、新たに人材を育成していく環境を整えることが必要となります。

DX戦略を成功させるために押さえるべきポイント

DX戦略を成功させるために押さえるべきポイント

DX戦略を成功させるためには、いくつかの押さえるべきポイントがあります。

ただ闇雲にIT技術を導入してしまうと、DX自体が失敗してしまう危険性もあります。DX推進の際は、最初にしっかりとポイントを押さえたうえでDX戦略を組み立てることが大切です。

DX戦略の目的を明らかにする

DX戦略は、あくまで企業をより良くするための手段の一つにすぎません。そのため「IT技術を導入すること」だけが目的とならないよう注意する必要があります。

DX戦略を推進する際は、事前に「新しいIT技術を導入することでどのような成果を得たいのか」というビジョンを明確にし、そのためにどのようなシステムが必要になるかを検討していきます。

また、DX戦略のビジョンは経営陣だけではなく、社内全体に浸透させることが重要です。IT技術の導入時は、さまざまな業務に影響をおよぼす可能性があります。そのためDX戦略に関して社員一人ひとりの理解を得られるよう努め、全員でDXに取り組んでいくことが大切となります。

DX推進はスモールスタートを意識する

DX戦略を成功させるためには、社内のシステムすべてをいきなり見直し・刷新するのではなく、影響の少ない分野からITシステムの導入をスタートしていくことが重要です。

大きなシステム導入を先に行なった場合、トラブルが起こった際のリスクも大きくなります。また途中で方針転換をしようとしても、うまくいかない可能性が高くなってしまいます。

DX推進による混乱などを最小限にするためにも、まずは小規模なことからITシステムを導入するなど、段階的にDXに取り組むことが大切になります。

一貫性のあるシステム構築

DX推進では、会社全体で一貫性のあるシステムを構築することが非常に重要となります。

従来のシステムは老朽化や複雑化、ブラックボックス化してしまっているケースが多くあります。そのため旧システムの維持に多額のコストがかかり、またデータの連携ができずに、企業資産であるはずの各種データを有効活用できないでいる場合も少なくありません。

またITシステムの導入を事業部ごとに個別に行なった場合は、会社全体で見たときに一貫性のないシステムとなってしまう可能性があります。データをスムーズに使用できるようにするためには、いかに会社規模で一貫性のあるシステムを構築するかが大切となるのです。

IT技術に精通した人材の確保・育成

DX戦略に取り組むためには、社内にIT技術に精通した人材を確保することが求められます。またITシステムの活用を進めるなかで、新たなIT人材を育成していく環境を整える必要もあります。

しかしDX推進を担えるほどのIT人材は獲得することが難しく、IT人材がいないことが原因でDXを進めることができないというケースも多くあります。

もしIT人材が社内にいない場合は、外部から人材を招くことも検討するとよいでしょう。まずはDX推進の土壌を整え、徐々に社内でIT人材を育成するための環境を構築していったり、新たなIT人材を確保していくという方法もあります。

DX戦略の具体的な推進プロセス

DX戦略の具体的な推進プロセス

DX戦略はどのように進めていけばよいのでしょうか。この章ではDX戦略の具体的な推進プロセスについて解説していきます。

1. DX戦略によって目指すゴールを明確にする

最初に、DXを推進することにより、将来どのような結果を得たいのかというビジョンを明確にすることが重要です。

具体的には、DXを推進することで、企業がどのように変化し、どのようなメリットがあるかを明らかにしていきます。

DX推進は会社全体で取り組む必要があります。そのためビジョンは経営陣だけではなく、社員一人ひとりにも伝えて理解を得ることが重要となります。

2. 自社の課題・強みを把握する

DX戦略により目指すゴールを明らかにしたあとは、自社が抱えている課題を可視化し、目的達成のためにその課題をどのように解決するかを考えます。自社の課題・強みについて把握することは、今後の経営方針などを考えるうえでも重要な作業となります。

自社の目指すビジョンと、現状との間にはどのような乖離があるのか。乖離をなくすためにはどのようにDXに取り組めば良いのかを、よく検討していきます。

3. 自社の課題に合わせてDXを推進する

DX戦略の方針が決まったら、自社の課題に合わせてDXを推進していきましょう。

自社の課題・技術力を照らし合わせ、実現可能なものからIT技術の導入をスタートしていきます。なかでも、アナログデータをデジタル化する「デジタイゼーション」がDXでは非常に重要となります。

ITシステム化は、比較的小規模な範囲から進めていくことで、DX推進による混乱を少なくすることができます。

DX戦略はビジョンを明確化させることが重要!

「2025年の崖」問題や、顧客ニーズの変化などに柔軟に対応するため、企業のDX推進は急務となっています。

DXを推進するためにはいくつかのポイントがあり、なかでもDX戦略の目的を明確にすることは、DXを推進するうえでの核となる部分となります。またDX推進は会社全体で取り組むことになるため、DX戦略の意図については社員一人ひとりに浸透させ、理解と協力を求めることが重要です。

ITシステムの導入方法は、企業の課題や、既存システムの状況、達成したい目標などによって異なります。そのため、IT技術に精通した人材の知見をもとに、自社に合ったDX戦略を組み立てる必要があるのです。