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インフラのDXとは?業界の取り組みを解説

この記事では、あらゆるインフラ分野におけるDXへの取り組みを解説します。

インフラのDXとは?業界の取り組みを解説

この記事では、あらゆるインフラ分野におけるDXへの取り組みを解説します。

DX

2022/01/25 UP

社会の働き方に大きな変化が見受けられるなかで、インフラ業界ではDXへの取り組みが活発化しています。インフラ業界には人材不足や老朽化などの課題が山積しているため、速やかな対策が不可欠です。これらの問題を解消するためには、DXに取り組むことで生産性向上を目指すのが有効といえるでしょう。

この記事では、あらゆるインフラ分野におけるDXへの取り組みを解説します。DXがもたらす効果について、分野ごとに理解を深めましょう。

なお、DXについてより理解を深めたい方は、日本のDX推進のキーマンとして経済産業省の研究会委員も務める山本修一郎さんのインタビューも併せてご覧ください。
【インタビュー】DX時代に求められる人材とは〜日本のDXの課題とデジタルエンジニアの必要性

インフラのDXが必要な理由とは

生活に欠かせないインフラ業界において、DXを進めなければ多くの問題を生じさせる可能性があります。まずは、インフラ業界が解消すべき課題やDXが求められる背景について解説します。

インフラ業界が抱える課題

生活の基盤となるインフラの分野では、どのような状況にも対応できるよう災害時や老朽化における対策が不可欠です。そのためには、インフラを安定的に維持管理する人材を確保し、常に対応できる環境にしておく必要があります。

ここで浮き彫りとなるインフラ分野の問題は、日本の人口減少問題です。

生活に必要な水道や道路は、老朽化がないかなどを維持管理している人がいることで安全に利用できています。たとえ日本の人口が減少したとしても、維持管理の範囲が狭まったり管理コストが軽減されたりすることはありません。

そのため、人口の減少に歯止めがかからない場合、インフラ管理における1人当たりの負担が大きくなってしまいます。

インフラ業界がDXを進める背景

インフラ業界におけるDX推進を大きく後押しするきっかけとなった出来事として、新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化が挙げられます。

非接触での働き方として、テレワークやオンライン業務の導入が多くの企業で採用され始めました。これにより、生産性の向上だけでなく、感染症リスクに対応できる環境構築が実現すると考えられます。

しかしインフラ業界の場合、屋外での作業が多いことや一品生産などといった建設業ならではの特性があるため、速やかな生産性向上の実現は難しいでしょう。

建設業は災害時などの適切な対応が求められる重要な産業です。生産性のみならず、安心安全の側面からもスマート化やデジタル化の強力な推進が必要と考えられています。

国土交通省におけるインフラDX

国土交通省におけるインフラDX

ひとくちにインフラ業界といっても、DXに有効といえるアクションは業種によってさまざまです。ここからは、あらゆるインフラ業界のDXにおける取り組みについて解説します。まずは国土交通省の取り組みを解説します。

作業現場

インフラ業界のDXを進めることにより、AIやロボットが人間に代わってきつい作業や危険な作業を行なえるようになります。例えば、パワーアシストスーツなどを利用することで、作業員にかかる負荷を軽減したり、作業そのものを機械で代替することも可能です。

また、熟練技能をデジタル化することにより、効率的な技能の習得を実現し、経験の浅い作業員でも活躍しやすい環境を整えることもできます。具体的には、モーションセンサーなどの活用によって熟練技術の見える化を行ない、効率的な育成や伝承を実現します。

このように、作業現場での自律施工や無人化が可能になれば、安全性や生産性の向上につながるだけでなく、インフラ業界が抱える問題の解消にも貢献するでしょう。

デジタル技術

インフラ業界では、さまざまな場面において調査業務や監督検査業務が発生します。このような作業を効率化するためには、デジタル技術によるデータ活用や機械の自動化が有効です。

これまで現場で人が行なっていた監督検査業務において、TLS(地上型レーザースキャナー)やUAV(無人航空機)による3次元データを取得します。この方法で取得したデータを活用すれば、監督業務や出来形管理(意図通りに施工されているかの確認)といった検査業務の効率化、作業員の非接触化および省人化が可能です。

また、災害時における被災状況の把握には、衛星画像などによる変位の推定や計測、ドローンなどによる被災状況の確認など、調査業務の変革を実現します。

さらに、河川分野では堤防除草作業や出来高計測の自動化、道路分野ではパトロール車両の搭載カメラによる損傷判断の効率化などといった管理や点検が可能です。

行政手続き

行政手続きのオンライン化やデジタル化によって、手続きに要する時間の短縮を図ります。特殊通行手続きや港湾関連データの電子化により、手続きの迅速化や連携基盤の構築が実現するでしょう。

また、デジタルデータを適切に活用することで、国民の暮らしにおける安全性および利便性の向上が期待されます。

例えば、駐車場などといった高速道路以外の場所でもETCを設置することで、タッチレス決済の普及に貢献するでしょう。また、センシング技術を駅構内で活用すれば、視覚障害者の転落事故などを未然に防ぎ、利用客の安全と安心の担保が可能です。

農業分野におけるインフラDX

農業分野におけるインフラDX

農業分野のDXでは、労働力不足や高齢化といった顕在化した問題の解消や、経営スタイルの変革が求められます。ここでは、農業分野におけるDXの概要と具体的な内容について解説します。

農業分野が進めようとしているDXとは

農業におけるDXは、2021年3月に農林水産省から発表された「農業DX構想」に基づき実施されるDXです。デジタル技術を活用したデータ駆動で農業経営を進め、消費者ニーズに対応した価値の創造および提供する農業へと変革していくことを目的としています。

農業DX構想の適用対象は食関連産業までと幅が広く、生産現場から始まり流通や食品製造までの一連の流れでDXを目指すのが特徴です。

消費者への安定的な供給と求められる価値を提供するためには、新たな技術の導入により省力化と高い生産性の両方を実現する必要があると考えられます。そこで、AIやロボット、IoTなどの新たな技術を現場に実装し、データを活用した農業を行なうのが農業DXの目的です。

農業DXの具体的なプロジェクト内容

農業DXを進めていくためのプロジェクトは「行政実務」「現場」「基盤」の3つに分類されています。

行政実務的なプロジェクトで目指すのは、システムの標準化や統一を進めることで、課題となっているデジタル化の遅れに変革をもたらすことです。データの徹底活用や、農林水産省共通申請サービスの本格始動に向けた見直しなど、農業全体を間接的に支える要素となるでしょう。

現場におけるプロジェクトでは、生産から流通、小売りなどといったすべての現場を一貫したシステムの構築や、デジタル技術の活用を妨げる規制を見直す方針です。生産性の向上だけでなく、新たなつながりを生み出すことが期待されるでしょう。

基盤的プロジェクトでは、現場と農林水産省をつなぐ基盤を構築し、ダイレクトな情報提供と現場の状況をリアルタイムで収集することなどに取り組みます。データの収集から更新、分析と、オープンデータ化によって政策と現場の取り組みを結び付け、農業のDXに拍車がかかることが期待できるでしょう。

建設分野におけるインフラDX

建設分野におけるインフラDX

業務の構造上、生産性を上げるのが難しいと考えられる建設業界では、どのようなDXの取り組みが行なわれているのでしょうか。ここでは、どのような施策が打ち出されているのかを解説します。

デジタル技術の活用「i-Construction」

建設分野では、ICTの全面的な活用の導入や、建設生産システムの全体的な生産性向上を図るための「i-Construction」という取り組みが行なわれてきました。
DXが発端となった取り組みではありませんが、デジタル技術の活用という意味では似た方向性の施策です。生産性が高く魅力的で新しい建設現場を創出することを目的とします。

これまでのi-Constructionでは、ICTの導入が目的になっている側面が見受けられ、十分な導入効果を実感できないという問題がありました。

そこで、DX時代のi-Constructionでは、デジタル技術を導入する際の意義や目的を明確にし、デジタル化からシステム化、データの活用と、段階的な取り組みを行ないます。

i-Constructionにおける施策

DXに取り組むためには、場所や時間、環境に左右されないネットワークを構築するのが効果的です。

i-Constructionの導入により、これまでの建設業界からより良い環境を実現するため、以下3つの施策が掲げられています。

1つ目は、ICT技術の全面的な活用(土工)で、土木における測量、設計、調査、施工、検査といったあらゆるプロセスに全面的なICTの活用を目指すという方針です。これにより、UAVで取得したデータから設計図を作成するほか、ICT建機での施工の実現を目指します。

2つ目は、規格の標準化(コンクリート工)です。サプライチェーンの生産性向上や効率化を実現するため、プロセス全体の最適化を図ります。また、部材の規格を標準化したり、鉄筋をプレハブ化したりと、効率の良い工法で工期短縮(施工)や省力化を可能にするでしょう。

3つ目は、施工時期の平準化を目指す施策です。建設業では、工期の偏りが見受けられます。国債の発行などで発注者の計画性を高めるなどの対策によって、適切な工期を確保することを目指します。

インフラ分野のDXはあらゆる価値を生み出す

構造的に難しいと考えられてきたインフラ分野のDXは、着実に実現へと向かっています。DXが実現できれば、人口減少問題だけでなく、誰もが活躍しやすい環境を整えることが可能です。

産業競争力の強化や国民に提供する価値は大きいと考えられることから、早めに取り組むのが望ましいと考えられるでしょう。

なお、パソナテックでは、企業のDX推進をサポートするサービスも展開しています。
例えば、MicrosoftリモートヘルプデスクサービスはMicrosoft製品の導入後にうまく活用できない企業様に向けて、導入後の更なる社内活用を支援するサービスです。

DX推進の一環として、Microsoft製品を導入したが、社内活用が進んでいないといったお悩みがある場合、ぜひ一度ご確認ください。
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