パソナについて
記事検索

プロジェクトマネージャ試験とは?試験の内容や出題形式、2022年の改訂について解説

本記事では試験の内容や出題形式を中心に解説します。また2022年10月に実施される試験から、試験内容が一部改訂されました。改訂の内容についても解説しているので、今後受験を検討している方は参考にしてください。

プロジェクトマネージャ試験とは?試験の内容や出題形式、2022年の改訂について解説

本記事では試験の内容や出題形式を中心に解説します。また2022年10月に実施される試験から、試験内容が一部改訂されました。改訂の内容についても解説しているので、今後受験を検討している方は参考にしてください。

スキルアップ

2022/12/26 UP

プロジェクトマネージャ試験は、おもにシステム開発におけるマネジメント業務の知識を問う試験です。本記事では試験の内容や出題形式を中心に解説します。また2022年10月に実施される試験から、試験内容が一部改訂されました。改訂の内容についても解説しているので、今後受験を検討している方は参考にしてください。

プロジェクトマネージャ試験とは

プロジェクトマネージャ試験とは クリックして拡大

はじめに、プロジェクトマネージャ試験の概要および試験の合格者に期待される役割について解説します。

試験の概要

プロジェクトマネージャ試験とは、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験のことです。情報処理技術者試験のスキルレベル1~4のうち、高度な知識や技能を要求されるレベル4に相当する内容となっています。本試験はITシステム開発のプロジェクトにおいて、おもにマネジメント業務を行なう人を対象としています。

プロジェクトの目的の実現を目指し、業務を遂行していく知識や実践能力を測る試験です。実際に業務でマネジメントに携わるような役職者も受ける試験であり、他の情報処理技術者試験と比べて受験者のスキルが高い傾向にあります。

プロジェクトマネージャに期待される役割

IPAが設定している試験の対象者像は、システム開発プロジェクトにおいてマネジメント業務を単独またはチームで行なう者です。プロジェクト計画の作成および目標設定、チーム編成やメンバーの成長の支援といった業務があります。またリスクや不確かさへの対処、ステークホルダーとの関係構築、プロジェクトの実績の分析や評価のスキルが求められます。

管理者としてメンバーを統率しつつ、プロジェクトの目的の実現を目指すという重要な役割といえるでしょう。現時点でマネジメント業務に携わっている人だけでなく、今後マネジメントスキルを身に付けて業務で役立てたいと考えている人にもおすすめできる試験です。

プロジェクトマネージャ試験の内容

試験時間や出題形式など、試験の内容について紹介します。本試験には時間で区切られた4つの試験で構成され、それぞれの内容や傾向について解説します。

試験時間・出題形式

本試験は例年通りであれば10月中の日曜日に実施されます。午前と午後に分かれた4つの試験で構成されており、すべての試験で合格する必要があります。

試験区分 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30-10:20 10:50-11:30 12:30-14:00 14:30-16:30
出題形式 多肢選択式 多肢選択式 記述式 論述式
出題数 30問 25問 3問 2問
解答数 30問 25問 2問 1問

本試験は多段階選抜方式が採用されています。前の時間の試験が基準点に達しなければ、その後の時間の試験は採点されずに不合格となるというものです。難易度の高い午後試験の勉強だけでなく、午前試験も確実に点が取れるよう準備しましょう。

午前Ⅰ・Ⅱ試験

午前Ⅰは応用情報の午前問題と同等の内容で、テクノロジ・マネジメント・ストラテジの全分野が出題範囲です。IT分野全般から出題されるともいえるので、覚えるべき内容が多くなります。応用情報技術者試験に合格していたり、他の高度試験に合格していたりすると午前Ⅰ試験は免除されるため、積極的に狙っていきましょう。

午後Ⅱは午後Ⅰの範囲のうちの7分野から出題されますが、特にプロジェクトマネジメント分野からの出題が多いです。午前Ⅰ試験と同様に選択式の問題ではありますが、難易度はさらに高度になります。午前Ⅰ、Ⅱはどちらも過去問に類似した問題が出題される傾向であるため、過去問を用いた演習が欠かせません。

午後Ⅰ・Ⅱ試験

午後問題はどちらもプロジェクトマネジメントに特化した内容となり、プロジェクトの「立ち上げ・計画」「実行・管理」「終結」の3分野が出題範囲です。午後Ⅰは記述式の問題で、試験時間内に長文問題を読み解き、回答しなければなりません。

一方、午後Ⅱは論述式の問題です。例年は1000字前後で回答する設問が3つ出題されています。論述試験であるため過去問と同じ問題が出ることはまずありませんが、テーマに沿った文章を作成する訓練はぜひ実施しましょう。時間配分の練習にもなるはずです。論述の内容が主題と外れていたり、システムの開発状況の説明に終始していたり、といった回答は減点対象となるのでご注意ください。

試験の難易度

試験の合格率や受験者の情報はIPAの公式サイトで公開されています。試験の合格率は15%前後であり、他の高度情報技術者試験と比べると同等もしくは若干低い水準です。例えば、基本情報処理技術者試験は20~40%、応用情報処理技術者試験は20~30%の合格率となっています。

試験の難易度 クリックして拡大

また受験者の経験年数の割合は10年以上が大半で、無記名を除くと、令和4年度の試験で最も多いのは経験年数が24年以上のゾーンです。本試験はプロジェクトのマネジメント業務に関する試験なので、他の情報処理技術者試験の受験者と比べて、経験年数が長い受験者が多い傾向にあります。経験を積んだ受験者が受けて合格率が15%前後と考えると、試験の難易度は高いといえるでしょう。

2022年の改訂の内容

プロジェクトマネージャ試験は、2022年10月の試験から内容が改訂されました。改訂の背景および内容について解説します。

改訂の背景

2022年5月に試験内容の改訂が発表され、2022年10月の試験から適用されています。その背景として、多くの企業でDXの取り組みが推進されていること、開発プロジェクトにてデジタル技術を活用する機会が増えていることが挙げられます。

またプロジェクトマネジメントの役割も、以前のものから変化が生まれています。市場の環境変化への柔軟な対応、ステークホルダーの期待に迅速に応じることなどが求められるようになりました。変化に柔軟に対応しながら迅速に開発を進める手法として、アジャイル型開発が注目されています。改訂後の試験範囲にもアジャイル型開発の内容が含まれています。

改訂の内容

アジャイル型開発プロジェクトの増加や、マネジメントに関わる者の業務と役割の変化を踏まえて、試験の出題範囲およびシラバスが変更されています。おもな変更点として、システム開発のアプローチの選択、プロジェクトの不確かさや変化への適応などの内容が挙げられます。

令和4年度の午後Ⅱ試験では、事業環境の変化への適応、ステークホルダーとのコミュニケーションといったテーマに関して出題されました。例えば、実際に受験者が携わった開発プロジェクトについて、目標達成のためにどのようなコミュニケーションを行なったか論述するような内容となっています。

プロジェクトマネージャ試験に合格するメリット

プロジェクトマネージャ試験に合格するメリット

プロジェクトマネージャ試験に合格することのメリットを解説します。試験勉強を通じて身に付けた知識を普段の業務で活用でき、昇進や転職につながる可能性も出てくるでしょう。

プロジェクトマネージャの知識が身に付く

本試験は、プロジェクトの立ち上げ、計画、実行、管理、終結という一連の流れが出題範囲となっています。プロジェクトの管理者として必要な知識を体系的に学べることが大きな利点です。すでに業務でマネージャー職に就いているのであれば、普段の業務を見直し改善するきっかけになるでしょう。

また、これからマネージャー職を目指す人にとっては、試験勉強を通じて目指すべき目標が明確になるはずです。マネジメントの能力を高めることで業務改善の提案ができるようになるなど、プロジェクトを成功に導くためのスキルが身に付けられます。

昇進や転職で有利

プロジェクトマネージャ試験に合格することで、マネージャーとしての資質をアピールできる材料となるでしょう。得られた知識をもとに社内の業務改善に取り組むことも、自身の実力を示す良い方法です。

社内の昇進だけでなく、転職の場合でもスキルを示すアピール材料になります。資格だけでなく、実際にマネジメントに取り組んだ実務経験があるとなお良いでしょう。年齢を重ねるほど、転職の際にマネジメント経験が求められる傾向です。マネジメントのスキルは机上だけで身に付くものではありませんが、基礎知識があれば習得の速度は速いでしょう。

プロジェクトマネージャの知識を深めるには

プロジェクトマネージャとしての知識をさらに深める方法について紹介します。試験勉強になるだけでなく、合格後にさらにマネジメントスキルを学びたい人にもおすすめです。

PMBOKについて学ぶ

PMBOKとはProject Management Body of Knowledgeの略であり、プロジェクトマネジメントの知識を体系的にまとめた世界標準です。2021年に最新の第7版がリリースされ、第6版とは大幅に内容が変わりました。

第7版のなかではプロジェクトの目的を価値の提供とし、12の原則と8つの行動領域を提示しています。アジャイル開発手法や、プロジェクトの不確実性とそれに対する柔軟性といった内容が取り入れられました。IPAのプロジェクトマネージャ試験でも同様の内容が取り入れられており、PMBOK第7版を意識したためと考えられます。

なお、PMBOKについては、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、併せてご確認ください。
PMBOKとは?プロジェクト管理における基礎や活用方法!

他のプロジェクトマネジメント資格

プロジェクトマネジメントに関する他の資格として、国際資格のPMP(Project Management Professional)があります。米国に本部を持つプロジェクトマネジメント協会であるPMI(Project Management Institute)が、プロジェクトマネジメントに関して一定の知識をもつと認定します。

PMP試験の出題はPMBOKに基づいており、プロジェクトマネジメントのスキルを証明するものです。資格取得後も一定期間ごとにプログラムを履行する必要があり、パスしないと認定を消されてしまいます。一度取得したら一生使えるプロジェクトマネージャ試験とは異なり、定期的に更新が必要であることは欠点かもしれません。しかし逆に考えれば、PMP試験が現時点である程度のマネジメントスキルを持つことの証明になるといえるでしょう。

システム開発プロジェクトのマネージャーにおすすめの資格

プロジェクトマネージャ試験では、プロジェクトの目的を実現するため業務を遂行していく知識や実践能力が要求されます。試験は午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱの4つに分けられ、午後Ⅱ試験では論述式の問題が出題されます。

2022年には試験内容の改訂が行なわれ、今の時代の開発プロジェクトの実態に合わせた内容が追加されました。例として、アジャイル開発やプロジェクトの変化への適応に関する内容が挙げられます。さらに学びたい人はプロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKや、国際資格のPMPに挑戦するとよいでしょう。