初心者エンジニアのロードマップ - ロードマップの概要と実際の例を紹介
この記事では、ロードマップの引き方やゴールとなるなりたい姿の情報を集めました。今後のキャリア形成に迷いがある初心者エンジニアの方は、ぜひご覧ください。
この記事では、ロードマップの引き方やゴールとなるなりたい姿の情報を集めました。今後のキャリア形成に迷いがある初心者エンジニアの方は、ぜひご覧ください。
キャリア
2023/06/22 UP
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エンジニアとして長く働くためには十分なレベルの知識や経験が必須です。ですが、どのような種類のものを身につければよいか迷う方もいるでしょう。そんな方は、一度自分のロードマップを描き、なりたい姿を明確にしてみましょう。ゴール地点が明確になれば、踏むべきステップがわかり、計画的にスキルアップを進めることができます。
この記事では、ロードマップの引き方やゴールとなるなりたい姿の情報を集めました。今後のキャリア形成に迷いがある初心者エンジニアの方は、ぜひご覧ください。
エンジニアに必要なロードマップの概要
最初に、エンジニアにおけるロードマップとはどんなものなのかを解説します。
ロードマップとは
ロードマップとは目標達成までの大まかな道筋を示すものです。キャリア形成に限らず企業経営や製品開発の現場でも使われる言葉ですが、キャリアアップしていく道筋としてもよく使われます。
ロードマップを作れば、目標が可視化され、いつまでに何をすべきなのかが明確になります。モチベーションの維持にもつながるでしょう。ロードマップは、たとえ仮であっても目標と期限が設定されることで、今やるべきことがわかりやすくなるメリットがあります。
ロードマップの書き方
エンジニアとしてのロードマップを作るなら、まずゴールとなるなりたい姿を決めましょう。どのようなエンジニアになりたいか決まっていない場合は、基礎を浅く広く学習することから始めて、なりたい姿を決めてから書くほうが書きやすいはずです。情報収集として先輩エンジニアの話を聞くほか、好きなものや興味を持てるものから初めてみても構いません。
なりたい姿が決まっている場合は、目標達成の期日を設定しましょう。このあと、現状を把握し、やるべきことを洗い出して計画を立てていきます。期間が足りないと思った場合は、期日を延長しても構いません。細かく厳密なロードマップを立てようと思うのではなく、全体感を把握することを重視しましょう。
なお、指標となるロードマップがあるのであれば、参考にしてもよいでしょう。初期段階で学ぶべきことがほぼ同じ職種もあるため、どれか一つに絞り込めていないときでも共通のものから始めれば無駄になりません。
行き詰まった場合は、やりたいことを中心に考え直してみるのも選択肢の一つです。同時にやりたくないこともリストアップできれば、自分の強みや弱点を見直す機会にもなります。やりたいことに近い仕事ができる環境を探し、あらためて情報収集することも必要です。
転職時にも役立つ
転職するか迷ったときにもロードマップは有効です。転職すべきかの判断や転職先を選ぶ基準の一つとして、ロードマップが達成できるかを確認します。ロードマップが達成できる会社を探すことを目的にすれば、数ある求人情報のなかから、自分に合った会社を選びやすくなるでしょう。
また、転職活動時は職務経歴書で自分の強みをうまくアピールしていく必要がありますが、ロードマップを目印に積んできたキャリアであれば、目的に沿って一貫性がある職務経歴書が作れます。
転職時は、収入額や福利厚生の充実度ももちろん大事ですが、転職先でスキルアップできるかの判断も大切です。自身のロードマップで必要なスキルアップが可能であれば、多少それ以外の面で希望に満たなくても、最適解である可能性はあります。
エンジニア職種別 - ロードマップの例
ここからは、エンジニアが目指すことが多い職種のロードマップを紹介します。Webエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニア、セキュリティエンジニアの4職種を例として取り上げます。
Webエンジニアの例
フロントエンジニアやバックエンドエンジニアなど、ほかの職種に共通する部分が多いのがWebエンジニアの特徴です。なりたい姿が明確に決まっていない方は、まずWebエンジニアを目指してもよいでしょう。エンジニアとして知っておくべきことを学んでいく意味でもおすすめです。
1.Webシステムの基本的な仕組みの理解
WebエンジニアはWebシステムの基本的な仕組みを学ぶ必要があります。IP、ドメイン、Webサーバ、DBサーバなどシステムを構成する要素とデータの流れなどを理解しないことには、開発を始めるのは難しいでしょう。また合わせてシステム開発の基本であるGitなどのバージョン管理ツールの操作なども覚えておくとよいでしょう。
2.フロントエンドの学習
次にHTML、CSSやJavaScriptなどの比較的触りやすいフロントエンドから学習するのがおすすめです。JavaScriptは、サーバサイドJSなども触れ始めるとかなり奥が深くなってしまいますので、まずはHTMLとセットで使用するフロントエンドなどを理解するレベルでよいでしょう。
3.サーバサイドの学習
慣れてきたら、PHPやPythonなどのサーバサイドが扱えるプログラミング言語を学んでいきましょう。PHPはWebアプリケーション開発でよく使われ、Pythonは機械学習に強いといわれています。どの言語を選ぶかはロードマップのなりたい姿次第で変わります。
サーバサイドと合わせてデータベースも触れるようになる必要があります。サーバサイド言語の多くでは、データベースからデータを取得し加工する処理ことが求められます。
4.全体的に理解を深めていく
ここまでで一通り開発の基礎的な部分が理解できましたので、このあとは全体的により理解を深めつつ、よく利用されるフレームワークやセキュリティなどの商用システムでも重要となる部分の理解を進めましょう。
特にセキュリティに関しては、近年ではセキュリティエンジニアという専門職種もでてきているほど重要です。将来的にキャリアパスの選択肢とすることも可能なので、ぜひここにも力を入れてください。
バックエンドエンジニアの例
バックエンドエンジニアは、Webシステムの見えない部分の処理を担うエンジニアです。大規模システムになるとフロントエンジニアやサーバエンジニアが投入され、細かく分担されていきますが、小規模開発の場合はバックエンドエンジニアが開発のすべてをカバーします。
そのため、期待される業務が多岐に渡るうえに、プロジェクトによって範囲が異なるため、バックエンドエンジニアは広く浅くさまざまな知識を必要とします。
1.サーバサイドの学習
まずはバックエンドエンジニアの主担当である、サーバサイドのシステムを理解する必要があります。プログラミング言語ももちろんですが、IPやドメイン、使用しているWebサーバについても理解する必要があります。
2.データベースの学習
サーバサイドプログラミングではデータベースはきってもきれません。データベースを理解しSQLでデータを取得できるようになる必要もあります。
プログラミング言語で使用するフレームワークによっては、SQLを書かなくてもデータベースにアクセスできるORマッパーなどがある場合もありますが、最終的にどのようなクエリが投げられているのかを理解するためにもSQLはきちんと理解しておきましょう。
3.インフラの理解
ある程度プログラミング言語を利用してシステムを作れるようになったら、インフラ周りの理解も進めましょう。OS、Webサーバ、ネットワークの知識や、モジュールを組み込んだり、Cronを活用したりと、サーバサイドプログラミングだけでは対応が難しいものもインフラの機能を利用することで実装が楽なる場合もあります。
4.フロントエンドの学習(必要に応じて)
1-3が終わったら、全体的にブラッシュアップしていくフェーズになりますが、必要に応じてフロントエンドの理解も進めるとよいでしょう。
近年ではサーバサイドJSなど、サーバサイドとフロントエンドが密接に結びついたフレームワークなどもあり、フロントエンドを理解することで、より柔軟に要望に答えることができるようになります。
セキュリティエンジニアの例
セキュリティエンジニアはシステムのセキュリティを担保するために必要なところにはすべてかかわることになります。そのため、企画から運用まで一通り網羅していなければなりません。
1.サーバサイドの学習
セキュリティはシステム全体にかかわる問題ですが、このなかでも特に重要なのはサーバサイドの知識です。
サイバー攻撃にはさまざまなパターンがありますが、そのなかには開発したプログラムに起因したものも多くあります。サーバサイドがまったくできない場合、この攻撃に対応するのが難しいため、まずはサーバサイドを理解するところから始めましょう。
2.インフラの学習
続いてインフラを理解します。サーバサイド同様にインフラで対応できるサイバー攻撃も多くあります。またシステムが使用しているインフラのどこに問題があるかを早めに理解するためにもインフラの知識は重要です。
3.サイバーセキュリティに関する学習
サーバサイドやインフラを理解した段階でサイバーセキュリティに関する情報に触れると、理解も早いでしょう。こうした情報は、ウィルス情報や脆弱性情報だけでなく、法律や担当システムの変更情報なども含まれます。
問題がどこにあるのか。どこにどう対処すればいいのか。これらを理解できるようになり、アクションをとれるようになれることを目標にしましょう。
4.常に情報を最新にし続ける
1-3までの段階を踏んだ後は、最新情報をすばやくキャッチする体制を作っていくことが重要です。
サイバーセキュリティは、日々変化しています。そのため、一度理解すればおしまいということはなく、日々常にアップデートし続ける必要があります。ゼロデイ攻撃と呼ばれる、スピードが非常に求められる事案も増えてきています。
常に情報を最新にし続けるための体制づくりは、セキュリティエンジニアにとっては生命線ともいえるかもしれません。
エンジニア初心者が始められること
ロードマップを作ったあとは、それに沿ってスキルや経験を積んでいかなければなりません。IT系の業務に携わっていたとしても、身に着くスキルは業務に関連したものに偏ってしまうため、その業務でロードマップが達成できるかは一度考えてみましょう。
ここでは、エンジニア初心者がロードマップで立てた道筋をたどるためにできることをご紹介します。
興味のあるジャンルを見つける
エンジニアと一口に言ってもさまざまな職種があります。目指す方向によって学習する内容の優先度が変わるため、興味のあるジャンルを見つけましょう。「サーバを触るのが好き」「プログラムを触るのが好き」といった程度のレベルから始めて構いません。
学習するプログラミング言語に迷った際は、求人情報サイトを見てみましょう。募集要項の応募条件や歓迎の条件を見てみると、今業界が必要としているスキルを確認できます。流行りの言語にもなるため、募集の多い言語を身に着けておくと参画できるプロジェクトが増えます。
自分のやりたいことや興味のあることから始めれば、学習自体もそれほど苦になりません。趣味と近い感覚になれば、平日日中帯は仕事をしながら、空き時間でスキルアップの習慣がつくかもしれません。
スクールや書籍で勉強する
スクールや書籍から学べる内容は体系化されており、基礎から順番に学習を進めていけます。どこから手を付ければよいかわからない人でも一通り学べるのがメリットです。
ただし、書籍の場合は、掲載されている情報が古くなっていないかを確認しましょう。過去のバージョンや今提供されていないサービスを学んでも意味がありません。
スクールの場合は、校舎へ受講しに行く形式からオンライン形式まで選べます。自分で学習を進めるか、しっかりサポートしてもらうかのレベル感もスクールによって濃淡があるのが特徴です。入学を決める前に見学や説明会でスクールの特性をつかみましょう。自分の学習スタイルに合っていれば、複数のスクールを組み合わせても構いません。
資格取得を目指す
資格はわかりやすくスキルを示してくれるため、持っていて損はありません。実際に知識が身に着いたかを確認できる機会にもなります。初心者で経験が少なく、職務経歴書の内容が薄くても資格が知識を証明してくれます。
国家資格は多くの会社が取得を奨励しており、知名度の高いものが多くなっています。内容もエンジニアとして仕事をするのに必要な基礎的な内容が大半を占めるため、取得しておいて損はありません。よく使われるツールのベンダー資格を取得すれば、資格取得のために勉強した内容が実務ですぐに役立つでしょう。
また、プロジェクトのなかには、指定の資格を持っていないと携われないものもあります。資格を取得すれば、それだけ選択肢が広がります。
エンジニアのロードマップはまずは直近の目標からでもOK!
ロードマップは、自分がエンジニアとしてどうなっていきたいかを決めるものです。収入アップやスキルアップを目的とした転職など、働く環境を変える際の指標にもなります。
イメージがわかないときは、エンジニア中途採用の情報などを確認して、必要とされるものをロードマップのいったんのゴールにしてみる手もあります。
いきなり一生分をすべて考える必要はありません。直近の目標をロードマップとして作るだけでも意義があります。自分が進む方向が明確になり、やるべきこともわかりやすくなるはずです。