エンジニアが個人開発するメリットとは?注意点や事例についても解説
エンジニアが個人開発をするメリットやデメリットに加え、個人開発を行なうにあたり、前もって確認すべきことについて解説していきます。
エンジニアが個人開発をするメリットやデメリットに加え、個人開発を行なうにあたり、前もって確認すべきことについて解説していきます。
知識・情報
2020/07/07 UP
- メリット
- 開発
「副業で個人開発をすれば収入アップが期待できる」
「フリーランスとして、一人で開発を行なっていきたい」
など、エンジニアは会社員としてその仕事に従事するだけでなく、個人開発という手段で仕事と収入を得る選択肢があります。
その個人開発には、イメージだけではわからないメリットもあればデメリットもあります。「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、実際に個人開発を行なうまでに、あらゆる情報を把握しておくことが必要です。
この記事では、エンジニアが個人開発をするメリットやデメリットに加え、個人開発を行なうにあたり、前もって確認すべきことについて解説していきます。
エンジニアが個人開発するメリット
まずは、エンジニアが個人開発するメリットについて紹介します。やりがいを感じながら仕事をすることができる、自分自身の力を伸ばすというふたつの観点から解説します。
自分の意思を反映させやすい
会社勤めをしているエンジニアは、自社が開発しているシステムの構築などに参加します。プロジェクトはおおむねチーム制で進められ、分業による作業です。
それに対して個人開発では、完全に自分の力だけでシステムを作り上げていきます。
自分では「こうしたほうが良いのに」と思うことがあっても、組織のなかではそれを主張したり、実装したりすることはなかなか難しいものです。
しかし、個人開発では一切そういったことはありません。すべて自分の意志で構築することができるのです。
また、個人開発では、自分の力量では難しい技術や、まだ固まりきっていない先進的な技術に挑戦することもできます。これは、組織のように確実な結果を求められている環境では、できる機会が少ないでしょう。
このように、難しいことに自分の意志でチャレンジできることも、個人開発の良さといえます。
スキルアップにつながる
エンジニアが個人開発することは、スキルアップにつながるメリットもあります。
例えば、開発されて間もない技術は実績に乏しいため、大規模なシステムで試すにことになると大変な冒険になります。自社開発のプロジェクトでは、上役からの許可を得ることも難しいでしょう。
個人開発の場合は、そういった上からの声に縛られることなく、新しい技術を試すことができ、さらにその過程を試行錯誤することも確かな経験となります。
結果的には失敗に終わることもあるかもしれませんが、その失敗経験さえもスキルアップに値するものです。失敗が教訓になり、いずれの機会での成功へとつながっていくでしょう。
また、個人開発では企画から実装まで、一連の流れも経験できます。
組織においては、一つのシステム開発にあたってそれぞれの領域を効率的に分けて行なうため、まったく関わらない領域もあります。
しかし、個人開発においては、そういった領域もすべ自分の手で行なわなければなりません。
自社のシステム開発に携わっているだけでは経験できない領域にも触れることができ、自らのスキルアップにつながります。
プログラミングが「資産」になる
エンジニアが個人開発をしていくうえでは、さまざまなプログラムを記述していきます。それらはすべてオリジナルの「作品」であり、「資産」として活用することが可能です。
別の仕事で同じようなプログラミングが必要になったとしても、過去に書いたプログラムをモジュール化し、使いまわすことができます。その結果、1から新たにプログラムを記述しなくても、作業しやすくなっていくのです。
プログラムは自分で生み出したもののため、自らのものとして公開する権利があります。
例えば、新規のプロジェクトにおけるプレゼンテーションで、ポートフォリオとしてアピールすることも可能です。
個人で開発した具体的なアプリなどを提示すれば、プログラミングの力量が認められることにもつながるでしょう。
エンジニアが個人開発するデメリット
エンジニアの個人開発については、メリットばかりではありません。個人開発に挑戦しようと検討する場合、デメリットについても知っておく必要があります。
自分の時間が減る
職場でのエンジニア職と個人開発の「二足のわらじ」にしても、個人開発だけでエンジニアをしていくとしても、自分の自由になる時間が減る覚悟はしなければなりません。
企業に雇用されていないフリーランスや個人事業主などのエンジニアは、自己責任となるものの、自分の意思で24時間のスケジュールを組み立てることができます。
しかし、企業に雇用されている場合、就業中の時間帯はまず自由が利きません。そのため、就業後や週末の自由に過ごせる時間帯で、個人開発の仕事をしなければならないのです。
とにかくプログラミングが好きでずっと作業をしていたい、手がけているアプリをぜひとも完成させたい、といった強い気持ちでモチベーションが高い間は作業も続くでしょう。
しかしながら現実には、忙しさから一向に作業が完了しないという例も少なくありません。
費用が発生することがある
エンジニアの個人開発に関しては、完成したものを売り込んだり、契約に基づいた内容で納品したりしなければ売上になりません。それどころか、開発に際しての出費でかえってマイナスとなってしまうことも考えられるのです。
具体的に費用が発生する例としては、アプリを開発してGooglePlayやAppStoreへ公開する場合が挙げられます。
GooglePlayでは登録料25ドル(支払いは1回限り)、AppStoreになると年間で99ドル(日本では1万1,800円)の開発者登録費用を支払う必要があるのです。また、Webサービスの開発にあたって、公開するためにはレンタルサーバーやVPS、クラウドといったサービスを利用しなければなりません。
こういったものを利用するにも、利用先によっては費用が発生します。個人開発を行なうために必要な費用は、あらかじめ把握しておく必要があるでしょう。
エンジニアが個人開発するうえでの注意点
エンジニアの個人開発にはメリットとデメリットの両面があり、どちらも十分に承知したうえで取り組むことが大切です。その他にも、個人開発をするうえではさまざまな注意点があります。
モチベーションの管理
個人開発は、一人での作業です。職場において、チームで行なうプロジェクトへ取り組んでいると、苦しいときにも仲間と励まし合ってモチベーションを保つことができるでしょう。
一方、個人開発の場合、始めた当初はモチベーションが高い状態であるかもしれません。しかし、規模の大きな開発に携わるとゴールまでの時間が遠くなり、その分モチベーションの維持・管理が難しくなってきます。
休憩中に話せる相手や気分転換になるようなこと、その開発が一区切りしたらやりたいことなど、自分にとってモチベーションを高める事柄を探しておくとよいでしょう。
運用コストがかかることを知っておく
「個人開発」は、実のところ開発して完結するというものではありません。その後の運用についてまで、考えてく必要があります。開発したものは、他の誰かがメンテナンスをしてくれるわけではないため、運用までも個人で行なわなければなりません。
例えば、リリースされたサービスについて、開発途中には発生していなかったエラーが生じ、クレームが出てしまったとしましょう、その場合も、プログラムにミスがあって障害になっているとなれば、原因を探して対処することまで個人で対応する必要があります。そこに、膨大な労力を要することもあるでしょう。
その他、使い方などに関する質問が寄せられる場合もあり、開発者として対応すべき範囲は多岐にわたります。ですから、それらの対応のためにスケジュールが狂ってしまうことも考えて、作業の予定を組まなければなりません。
アプリの収益モデルを考えておく
エンジニアとしてアプリを個人開発し、収益へつなげようと考えるのであれば、より具体的な形で収益モデルを考えておく必要があります。
ユーザーがアプリを有料でダウンロードすることで収益を得る「アプリ購入型」の収益モデルは、収益を計算するうえで非常にわかりやすい例でしょう。
また、無料アプリの画面内に広告が表示される「広告型」では、広告から収益が得られます。ユーザーが広告にアクセスすることでスポンサーからの広告収入が発生するため、どういった形で広告を入れ込むかといった部分のセンスが問われます。
その他「ユーザー課金型」は、アプリ内で課金することによって収益になります。アプリ内で有料の要素を持たせるものであり、ゲームアイテムなどがおなじみです。
エンジニアの個人開発はチャンスが広がっている!
エンジニアとして個人開発をスタートさせても、形になって成果へつながるまでは苦しい時期が続くでしょう。大きな土俵で勝負することができる、失敗しても次へつながるといったメリットがあっても、最初から長い目で見る余裕はなかなかないものです。
ですが、自分の時間を削りながらも個人開発を続けていくと、スキルは向上していきます。自作のプログラムが増えると、開発も楽になっていくのです。最初は些細な開発であっても、そこから多くのユーザーに喜んで使われるようなサービスへ発展するかもしれません。
そうなれば、収入のアップも期待できます。
また、組織のなかで一部の仕事を担当していたところから、総合的な力をつけることができれば自信にもつながります。
エンジニアの個人開発は、可能性を広げるチャンスであるといえるでしょう。