データベースエンジニアとは?仕事内容やキャリアパスについても解説
キャリアアップの一つとして目指すことも多いデータベースエンジニアについて紹介します。
キャリアアップの一つとして目指すことも多いデータベースエンジニアについて紹介します。
キャリア
2022/05/12 UP
- キャリアパス
- 仕事内容
エンジニアのなかでも専門性が高いといわれているのがデータベースエンジニアです。複数のデータベース製品を理解し、場合によってはシステムごとで異なる製品をメンテナンスすることもあります。
データの動きを事前に理解して、テーブルやリレーションでその流れを作っていく必要があり、ある程度経験を積んだデータベースエンジニアでないと、新規構築やメンテナンスの業務フローなど重要なところは任せられません。
ここではキャリアアップの一つとして目指すことも多いデータベースエンジニアについて紹介します。
データベースエンジニアとは?
データベースエンジニアとは、文字通りデータベース全般を担当するエンジニアです。
データベースとは、コンピューターで利用する膨大なデータを整理・統合し、さらに利用しやすくしたシステムのことを指します。データベースエンジニアは、データベースの設計・構築・管理・保守を担当することに特化した仕事といえるでしょう。
Oracle Database、Microsoft SQL Server、PostgreSQL、MySQLなどの製品を理解し、SQLを使ってデータベースの操作をするのが簡単な仕事内容となります。
近年、データのビジネス活用が注目されており、データベースエンジニアを求める声も高まっています。
データベースエンジニアの仕事内容
データベースエンジニアは、膨大なデータを効率よく活用できるようにデータベースを構築することが求められます。またシステムを開発するだけでなく、実装後の運用・保守も重要な業務です。
データベースエンジニアの仕事内容について、詳しくみていきましょう。
【仕事内容1】データベースの設計と構築
新規システムを開発するときや、リプレースの際の再設計など、仕様書の条件をデータベースに落とし込んでいきます。他システムとの連携の兼ね合いで使うデータベースソフトが決まっている場合にはそれに従いますが、決まっていない場合は選定からスタートします。
リレーショナルデータベースだけでも複数製品あるうえに、NoSQLと呼ばれるリレーショナルデータベース以外のソフトを使うことも増えました。データの整合性優先、処理速度優先などシステムによって重視することが変わるので、仕様書を落とし込む際には選択肢を柔軟に持っておく必要のある仕事です。
ソフトを決めたらテーブル構造を確認していきます。だいたいは設計工程でシステムエンジニアが作っていますが、ログデータや変換途中の作業用テーブルまで無理なく実装できそうかはデータベースエンジニアも確認します。この際、より良い作り方があれば設計を行ったエンジニアに提案して変更することもあります。
業務で必要なデータがプログラムで使えるように記載されてくるのが仕様書なので、処理速度が落ちないか、不必要にデータが増える形ではないかも見ていきます。
【仕事内容2】データベースの管理と保守
運用中に停止するようなバグがないか、パフォーマンスが低下していないかを監視するのもデータベースエンジニアの仕事です。試験の時には想定していなかったデータが流れ込んできてシステムが止まることがあります。データ自体は正しくても大量データが一気に流れ込んでくると、処理が重くなり結果的に止まってしまうこともあります。
こういった不測の事態の原因を突き止め、可能な限り早く対応することが求められます。処理するデータの量が日々増えている点などは、毎日のデータ量を監視していれば確認できるため、多くなってきた兆候が見られた時点で事前に対処できるのがベストです。
データベースの情報を連携して他システムでも利用していることは多く、一度止まると他システムにまで影響をおよぼすことがあります。その分慎重に正確にならざるを得ない仕事といえます。
また、データ量が増えるにつれてバックアップなどの難易度も上がっていきます。規定時間内にバックアップを終わらせるなどの要件も徐々に難しくなっていくので、関わるシステムの規模によっては非常に経験やスキルが要求されることになります。
データベースエンジニアに求められるスキル
データベースエンジニアは、データベースに関する知識のほか、システムの設計を円滑に進めるための対人スキルなども求められます。
データベースエンジニアに求められるスキルについて、具体的に解説します。
データベースシステムに関する知識
前提として、データベースシステムに関する知識・スキルは必須です。業務では、世界中で利用されているOracle Database、Microsoft SQL Server、PostgreSQL、MySQLなどの製品に精通していることが求められます。
特にSQLを書く技術が求められるため、SQLになれることがデータベースエンジニアの第一歩ともいえます。その上で、設計、管理、運用などの知識を増やしていくのがよいでしょう。
なお、SQLは、多くの部分がデータベースシステム間で共通です。もちろん個別に追加された仕様、コマンドなどもありますが、SQLの基本を学べば、複数のデータベースシステムで活用ができます。
コミュニケーションスキル
データベースエンジニアには対人スキルも求められます。
データベースの設計では、どのようなシステムを構築するかをクライアントと打ち合わせます。提案の際は、専門的な内容をわかりやすく、なおかつ認識に誤差が生じないよう解説する必要があります。
また、システム開発に伴って他部署との連携が必要になったり、プロジェクトメンバーに詳細を説明したりすることも少なくありません。
円滑なコミュニケーションは、開発をスムーズに進めるために非常に重要となります。
経営戦略に関する知識
データベースのシステム設計では、「データをビジネスでより効率よく活用するためにはどうすれば良いか」という視点が大切になります。
データベースエンジニア自身も経営戦略に関する視点をもつことで、クライアントにより説得力のある提案をすることも可能です。
物事を多角的に捉え、ビジネス全体を俯瞰してみることができれば、データベースエンジニアとしてさまざまなシーンで活躍できるでしょう。
データベースエンジニアのキャリアパス
このように重要な役割を担うデータベースエンジニアですが、この先のキャリアパスとしてはどのようなものがあるのでしょうか。ここではデータベースエンジニアのキャリアパスについて見ていきます。
データを活用するデータサイエンティスト
データベースエンジニアはデータベースを構築、運用することがおもな仕事ですが、データサイエンティストは集めたデータを解析することに重きを置きます。PythonやR言語などを使ってデータ解析モデルを構築するなど、新しい技術は必要ですが、データベースを扱うスキルがある分、馴染みのある仕事になるはずです。
データサイエンティストを目指す方にとって、データベースエンジニアで培ったデータベースの知識は大きな強みになります。
データサイエンティストについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
データサイエンティストとは?スキルや需要、将来性について徹底解説!
経営にアプローチするコンサルタント
企業の課題解決のために、IT技術を活用することは珍しくありません。マーケティングの分野では顧客情報や自社製品情報を集めて分析することはほぼ当たり前になりつつあります。
こうしたデータを集め、分析し、提案する人材がコンサルタントです。集めたデータの活かし方を学び、ビジネスに役立てる提案をすることができれば、データベースエンジニアからコンサルタントへのキャリアパスをつなぐことができます。
データベースエンジニアになるには
専門性の高いデータベースエンジニアの仕事ですが、他のエンジニアからステップアップするルートがあります。
プログラマー(PG)、システムエンジニア(SE)からのステップアップ
PGやSEとして仕事を始められれば、データベースはかなりの確率で触ることになるはずです。基本のSQLやデータの考え方を身につけることができれば、データベースエンジニアも目指しやすくなります。
業務系のエンジニアで何件かシステムに関われば、そのとき満たしたい要件や必要なこともだんだん分かってきます。そこでつかんだ何となくの要件を、きちんと体系化して適切に対応できるようになれば、データベースエンジニアとして活躍することが可能になります。
保守業務からのステップアップ
保守フェーズはマニュアルに沿ってやれる作業が多く、キャリアが浅い人でもできる作業があります。日次の作業などはある程度自動化されていますが、どうしても人の手の必要なところは何か所もあります。決まったSQLを流すだけの作業かも知れませんが、そのSQLを修正する作業を割り当ててもらえば、直し方と直す理由を少しずつ学んでいけます。
監視作業以外にも保守はデータベースを操作する作業が含まれていることも多いので、まずはここから経験していくと早く学べます。
こうして保守の業務からステップアップして、次第に構築なども携わるデータベースエンジニアになることも十分可能です。
データベースエンジニアが取っておきたい資格
ここからは、基礎知識を身につけるときや、キャリアアップに役立つ資格を紹介します。
データベーススペシャリスト
情報処理推進機構が実施している試験です。難易度は高いですが、データベースについて一通りの知識があることを証明できます。要件定義から保守まで全工程の知識を習得でき、なかなか携われない要件定義まで学習できるので、受けておいて損はありません。
直近で応用情報技術者試験や他の高度試験に合格している場合は、合格から約2年間、共通知識を問われる午前Ⅰ問題の免除が受けられます。該当するものに合格した人は、連続して合格を目指すと学習の負担が少なくて済みます。
オラクルマスター
オラクル社が提供している資格システムで、2020年1月よりORACLE MASTER2019が導入され、実務のロールと必要なスキルが明確化されました。認定資格は4種類に分かれており、まずはBronzeDBAの取得を目指しましょう。日常の業務担当者はSilverDBAまでは持っていることが推奨されます。
DBAとは異なり、ORACLE MASTER Sliver SQLというスキルも新設されました。データ分析をより深く学びたいならこちらの取得を先に目指すルートも存在します。GoldDBAはSliverDBAを持っていることが受験の前提条件となりますが、それ以外は受験資格がないため、自分のタイミングで受けられます。
専門性が高い分スキルを要求される仕事
データベースエンジニアは、必要な知識が多く難易度も高いものの、努力して身につけたものはすべてスキルとなっていきます。強みが確実に増えていくので目指すために勉強しがいのある仕事です。技術自体も進化していき、求められるものも刻々と変化しています。データベースエンジニアになるためにはもちろんですが、なったあとも自分で勉強して研鑽を積んでいく必要があります。
自分で勉強できる習慣を持っていると何事も早く習得できるので、情報収集を怠らず気になるものがあれば調べてみるところから始めましょう。