リバースプロキシとは?プロキシとの違いや仕組み、利用するメリットを解説
この記事では、リバースプロキシの概要から仕組みやメリットに加えて、通常のプロキシとの違いについて解説します。
この記事では、リバースプロキシの概要から仕組みやメリットに加えて、通常のプロキシとの違いについて解説します。
知識・情報
2022/05/25 UP
- 開発
- 技術
- ネットワークエンジニア
近年のインターネットコンテンツの主流は動画となり、トラフィック量は増加傾向にあります。動画を扱わないWebサイトでも、利用者の増加にともないトラフィックの処理について悩んでいる担当者の方は多いのではないでしょうか。そんな状況に対して有効な技術がリバースプロキシです。
この記事では、リバースプロキシの概要から仕組みやメリットに加えて、通常のプロキシとの違いについて解説します。
リバースプロキシとは
はじめに、リバースプロキシの概要と併せて通常のプロキシとに違いについて見ていきましょう。
サーバーのためのプロキシ
まずプロキシとは、代理で通信を中継する機能や役割をもつサーバーを表します。
リバースプロキシはインターネットとサーバーの間に立ち、ユーザーからのリクエストを一手に引き受け、サーバーへリクエストを送信する役割を持ちます。一般的なプロキシはユーザーのためのプロキシであり、リバースプロキシはサーバーのためのプロキシといえるでしょう。
サーバーの負荷軽減やセキュリティ対策として利用されるものであり、増加するトラフィックをより効率的に処理するために活用されます。
一般的なプロキシとの違い
一般的にプロキシと呼ばれるものはフォワードプロキシであり、ユーザーの代理でサーバーと通信を行ないます。
フォワードプロキシを利用すると、サーバーの通信相手はユーザーの代理であるフォワードプロキシとなり、リバースプロキシの場合はユーザーの通信相手はサーバーの代理であるリバースプロキシです。
フォワードプロキシはユーザーと同じネットワーク内に設置され、リバースプロキシはサーバーと同じネットワーク内に設置されます。通信の代理を担う存在として双方は同じ役割を持ちますが、インターネットを挟んでユーザー・サーバー側のどちらに存在しているかが大きな違いです。
フォワードプロキシはキャッシュなどの技術を使い、企業ネットワークなどの多くのユーザーが利用する環境で効率的な通信を実現し、回線の混雑緩和などに役立てられます。
フォワードプロキシが一般的なプロキシとして普及した後に、その仕組みを逆転(リバース)して活用したものがリバースプロキシです。
リバースプロキシの仕組み
ここではリバースプロキシの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
リバースプロキシはサーバーの前段に設置され、ユーザーからのアクセスを一手に引き受けます。通信の流れとしては、“ユーザー→インターネット→リバースプロキシ→サーバー”となります。より具体的な流れは次のとおりです。
1.ユーザーからサーバーに対する通信をリバースプロキシが受け取る
2.リバースプロキシからサーバーに通信を中継
3.サーバーからの応答をリバースプロキシが受け取る
4.サーバーの代わりにリバースプロキシがユーザーに応答する
ユーザーからの通信はリバースプロキシに集められ、その後サーバーに中継する仕組みです。ユーザーからするとサーバーと直接通信しているように見えますが、実際にはリバースプロキシが相手となるため、サーバーのIPアドレスはわかりません。
ユーザーはIPアドレスの代わりにドメイン名を使ってサーバーにアクセスすることがほとんどですが、その通信を受け付けるものがリバースプロキシです。リバースプロキシとサーバーの通信は内部ネットワークによって実現しているため、安全に通信できます。
この仕組みを利用することで、サーバーに対する負荷分散やセキュリティ対策などが実現可能です。ユーザーからの通信に対して高速に応答し、サーバー自身を守りながら運用も効率化するためにリバースプロキシは活用されています。
リバースプロキシを利用するメリット
リバースプロキシを利用するメリットは大きく次の3点が挙げられます。
サーバーの負荷分散
リバースプロキシを経由することで、例えば2台あるWebサーバーのうち、より負荷の少ないサーバーに通信を振り分ける、といったことが可能です。また、リバースプロキシを複数台用意することで、リバースプロキシ自体の負荷分散も可能です。
また、サーバーの故障やメンテナンス時でも、リバースプロキシ側で対象のサーバーへの振り分けを停止するだけでよくなるため、効率的な運用を実現できます。加えて、キャッシュ機能によって複数のユーザーから同様の通信要求があった際には、サーバーと通信せずに応答することでWebサイトの高速化にも貢献します。
トラフィック量が増加傾向にある昨今、ユーザーの快適性を損なわないためにはWebサイトの高速化が必須です。そのためにサーバーの負荷分散は欠かせないものとなっています。
セキュリティ対策
リバースプロキシはインターネットを境界としてサーバー側に設置されますが、DMZ(非武装地帯)に設置することが多くあります。DMZはインターネットなどの外部ネットワークと社内ネットワークなどの内部ネットワークの中間に存在するネットワークであり、公開用のWebサーバーなどもDMZに設置されます。DMZにリバースプロキシを設置することで、Webサーバーは内部ネットワークに設置することも可能です。
仮にDMZ内のサーバーが攻撃を受けたとしても、内部ネットワークとは異なるネットワークであるため被害範囲の拡大を防げます。さらに、リバースプロキシを利用することで、公開サーバー自体のIPアドレスはユーザー側からは確認できないため、外部からの攻撃を受けづらくなります。
サーバーに対するファイアウォールのような効果が期待でき、リバースプロキシはセキュリティ対策における入り口対策としても有効です。
柔軟な環境の構築
リバースプロキシがユーザーからの通信を一手に引き受けることで、後段のサーバー側では柔軟な環境を構築できるようになります。
例えば、サーバーごとに静的コンテンツやPHPなどの異なるアプリやプラットフォームを構築していても、リバースプロキシによって一つのWebサイトとして運用できます。
また、近年のWeb通信はSSL化(暗号化)することが一般的ですが、リバースプロキシを利用せずに複数のサーバーでSSL通信を実現しようとすると、証明書の発行も複数必要になり作業コストが発生します。
リバースプロキシを利用する場合はリバースプロキシのみがSSL通信を実現できればよいため、複数のサーバーを運用する場合でもコストをおさえることが可能です。リバースプロキシによってユーザーからの通信をまとめることで、より柔軟なサーバー環境が構築できます。
リバースプロキシは負荷分散やセキュリティ対策などで欠かせない存在
リバースプロキシはユーザーからの通信を一手に引き受け、サーバーにリクエストを送信するプロキシです。インターネットを境界線として、一般的なプロキシ(フォワードプロキシ)はユーザーネットワーク側、リバースプロキシはサーバーネットワーク側に配置されます。
フォワードプロキシはユーザーのためのプロキシですが、リバースプロキシはサーバーのためのプロキシです。負荷分散やセキュリティ対策、柔軟なサーバー環境の構築が実現できるメリットがあり、トラフィック量が増加傾向にある近年では欠かせない存在となっています。
Webサイトを運営する際には、リバースプロキシの導入も検討してみてはいかがでしょうか。