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ギグエコノミーとはなにか?意味や特徴、メリット・デメリットを紹介

この記事ではギグエコノミーについて、意味や特徴、メリット・デメリットについて解説します。

ギグエコノミーとはなにか?意味や特徴、メリット・デメリットを紹介

この記事ではギグエコノミーについて、意味や特徴、メリット・デメリットについて解説します。

知識・情報

2022/09/08 UP

新しい経済の回し方や働き方として「ギグエコノミー」が注目されています。「現状を変えたい」「自由に働きたい」といった希望を持つ方を中心に、活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか?

ギグエコノミーによる働き方は、これまでの「雇用」と大きく異なります。特徴をよく知ったうえで活用すれば、充実した社会人生活と収入アップにつながることでしょう。

この記事ではギグエコノミーについて、意味や特徴、メリット・デメリットについて解説します。

ギグエコノミーとは何か?概要や意味を解説

これからの時代、ギグエコノミーについて正しく知ることは重要です。まずギグエコノミーの概要や意味、注目されている背景を確認しておきましょう。加えてギグエコノミーに関連する用語も取り上げます。

「ギグエコノミー」とはどのような意味か?

「ギグエコノミー」とはどのような意味か? クリックして拡大

ギグエコノミーは、ギグワークにより成立する経済圏や経済活動を指します。ギグワークとは企業と雇用契約を結ばず、単発の仕事を請け負う働き方です。ギグエコノミーの活用により、従業員が少ない企業でも多くの業務をスピーディーに処理できます。

インターネットやスマートフォンアプリの普及により、企業は仕事の募集をスピーディーに行なえるようになりました。また働く方(ギグワーカー)はいつでもどこでも仕事を見つけて応募し、速やかに業務を遂行できます。情報化社会が生み出した、新しい経済活動といえるでしょう。

ギグエコノミーが注目される背景や理由

ギグエコノミーが注目されている背景には、さまざまなものがあります。働く側から見た理由には、以下の項目が挙げられます。

・フルタイムにこだわらず、多種多様な働き方を選べる時代になった

・子育てや介護に従事する方など、短時間勤務のニーズが増えている

・会社の枠や人間関係に縛られず、自由な働き方を選びたい

・副業をしたい

一方で企業にも、ギグエコノミーを後押しする理由があります。

・従業員への給与は固定費となるため、なるべく減らして外注したい

・労働力不足を迅速に補いたい

・季節や時期による業務量の変動に対して、従業員を増やさずに対応したい

・インターネットを介して仕事を仲介する仕組みが増え、迅速に依頼しやすくなった

ギグエコノミーは、働く方と企業の両方が持つニーズにこたえられる仕組みであることから注目されています。

ギグエコノミーと関わりが深いものの例

ギグエコノミーと関わりが深い仕事や用語を知ることも重要です。以下に挙げる仕事は、ギグエコノミーが選ばれやすい傾向があります。

・デリバリー配達員

・軽貨物の運送

・便利屋

・作業の代行

・記事の執筆

加えてWebを使ったサービス、特にクラウドソーシングサイトもよく使われます。この点でスマートフォンやWebは、ギグエコノミーの普及を後押ししたものといえるでしょう。

ギグエコノミーに特徴的な3つの項目

ギグエコノミーに特徴的な3つの項目

ギグエコノミーでは、一般的な雇用契約や業務委託契約と異なるポイントがいくつかあります。ここでは特徴的な3つの項目を取り上げ、内容を確認していきましょう。

自己実現と収入アップの両立が可能

自己実現と収入アップを両立できることは、ギグエコノミーのおもな特徴に挙げられます。企業では組織の都合上、安定した収入と引き換えにやりたい仕事ができない場合も多いものです。しかしギグエコノミーでの働き方を選べば、以下の2つを両立できます。

・やりたい仕事を選べ、多様な仕事を経験できる

・すき間時間を収入源にできる

ギグエコノミーでは組織の論理にとらわれることなく、「個」が持つスキルを最大限に発揮できます。

短時間で終了する仕事の発注が多い

ギグエコノミーでは、短時間で終了する仕事の発注が多くなっています。1~3時間といった極めて短い時間での仕事も、ギグエコノミーならば発注可能。就労時間を選べることも特徴的です。

業務委託契約では手間がかかり過ぎる小規模案件でも、簡単に依頼できます。また働く方は都合の良いタイミングだけ仕事ができ、収入のアップにつなげることが可能です。

業務委託契約を結ぶため、働く者は「労働者」ではない

皆さまのなかには、ギグワークはアルバイトや派遣に似た働き方と考えている方もいるかもしれません。しかしギグワークは、アルバイトや派遣のような「労働者」ではないという違いがあります。企業と業務委託契約を結ぶことがその理由です。このため、以下の点に注意が必要です。

・支払われるお金は「給与」ではなく「報酬」

・翌年3月までに確定申告が必要

・仕事に必要なものは、個々で用意しなければならない

ただし企業から具体的な指揮命令を受けており断れない、勤務場所や勤務時間が決まっているなどの事情があれば、労働者として扱われる可能性はあります。

類似する用語との相違点

類似する用語との相違点

ギグエコノミーは、しばしば以下の用語と混同、または比較されます。

・フリーランス

・シェアリングエコノミー

・クラウドソーシング

ここからは上記の用語との関連性や相違点について、確認していきましょう。

フリーランスとの相違点

フリーランスはギグエコノミーと比べて、以下の点に違いがあります。

・フリーランスの契約は、数ヵ月や数年にわたる場合も多い

・仕事の完成により報酬が支払われる「請負契約」を結ぶ場合も多い

・納期に間に合わせるため、寝る間を惜しんで仕事をしなければならないケースもある

良質の案件を獲得できれば、ある程度安定した生活が可能です。一方で、「すき間時間だけ働きたい」という要望にこたえられるとは限りません。

シェアリングエコノミーとの相違点

ギグエコノミーとシェアリングエコノミーとは、着眼点が異なります。前者は、すき間時間や労働力のシェアによって成り立つ経済です。一方で後者は物のシェアによって成り立つ経済であり、ギグエコノミーとは異なる概念です。

代表的なシェアリングエコノミーとして、以下のものをシェアすることが挙げられます。

・不動産

・空き部屋

・車

・自転車

このためシェアリングエコノミーとギグエコノミーは、分けて考える必要があります。

クラウドソーシングとの相違点

クラウドソーシングは、ギグエコノミーを実現する重要な手段の一つです。応募者個人のスキルをチェックしながら仕事を依頼できるため、良質の仕事を安価かつスピーディーに完了してもらえることが強みです。依頼する企業と働く方の両方がWin-Winになれる手法といえるでしょう。

一方でクラウドソーシングは、中長期的な仕事を請け負うフリーランスもよく使っています。ギグエコノミーを後押しする仕事仲介サイトであることは事実ですが、ギグエコノミー専用ではないことに注意が必要です。

ギグエコノミーを活用する4つのメリット

ギグエコノミーの仕組みを使って働く方が増えている背景には、4つのメリットがあります。それぞれについて何が支持されているのか、順に確認していきましょう。

ライフスタイルに合わせた働き方が可能

ライフスタイルに合わせた働き方の実現は、ギグエコノミーがもたらす大きなメリットに挙げられます。以下に挙げる方には、使い勝手の良い働き方となるでしょう。

・妊娠中、または子育て中の方

・家族を介護している方

・好きな地域に定住し、自由な仕事で生計を立てたい方

・ワーケーションを希望する方

また身体に不自由な部分や健康上の課題を抱える方でも、能力に応じた働き方を選べることはメリットといえるでしょう。

さまざまな仕事を経験できる

ギグエコノミーでの仕事は、複数持つことが可能です。さまざまな仕事も経験可能であることは、雇用される働き方との大きな相違点です。

新しい仕事に就きたいと思った場合は、実際に仕事をしながら適性があるかどうかチェックできます。本業を変える際のミスマッチ防止に役立つこと、経験を積んだ状態でスムーズに実務を行なえるメリットは見逃せません。

組織の制約や人間関係に悩まされずに済む

会社に雇用されていると、好きな仕事ができないケースはしばしばあります。やりたい仕事があっても組織の都合により、なかなか希望がかなえられないケースは代表的です。また人間関係が良くない職場ではあなたの良さを発揮できず、能力を十分に活かせないケースも少なくありません。

ギグエコノミーでの働き方ならば、人間関係に悩まされることはあまりありません。また仕事の募集内容も明確であることが多いため、適切な案件に応募すればあなたの実力をスピーディーに発揮できます。

高い能力を持つ方は、高い収入を得やすい

ギグエコノミーは、能力により報酬が変わる経済システムです。高い能力を持つ方は、スキルに見合うだけの高い報酬を得られます。これは社内ルールなどの縛りにより高い給与を出しにくい「雇用」と対照的です。

スキルが高い方は自由な働き方を選べるとともに、スキルを高い収入につなげる有効な手段となるでしょう。

ギグエコノミーにはデメリットもある

ギグエコノミーでの働き方は、メリットばかりではありません。以下に挙げるデメリットも認識しておきましょう。

・収入が不安定となりがち

・最低賃金の適用がないため、少ない収入に甘んじるリスクがある

・労働基準法や労災、給与所得控除など、雇用により得られるメリットがない

・毎年自分で確定申告を行なわなければならない

・福利厚生を受けられない場合も多い

・仕事がなくなっても失業給付を受けられない

上記のデメリットは、「組織に縛られず、自由に働く」ことの裏返しともいえます。高額の仕事を得られる方や安定収入を得られる工夫さえできれば、ギグエコノミーでの働き方は魅力的なものとなるでしょう。

ギグエコノミーの将来は明るいか?

ギグエコノミーの将来は明るいか?

ギグエコノミーの将来は明るい部分も多いものの、良いことずくめと言い切れるほど好材料がそろっているわけではありません。ここでは働く側の観点に立ち、2つの視点から解説していきましょう。

少子高齢化により、ギグエコノミーへの期待は高まっている

ギグエコノミーの将来を読み解くキーワードの一つに、少子高齢化による働き手の減少が挙げられます。採用難が続く時代、フルタイムでの働き手は少なくなる一方です。IT化が進んだとはいえ、人手を要する仕事がなくなるわけではありません。とにかく人手を確保して仕事を進めなければ業務がまわらないという、切実な事情を抱える企業も多いことでしょう。

このような企業にとって、ギグワーカーは救世主といえる存在です。ギグエコノミーはこれからの社会にとって、なくてはならない仕組みといえるでしょう。

将来は最低報酬額が導入される可能性がある

もう一つの観点には、最低賃金から見た視点があります。業務委託契約ならば最低賃金の縛りがないため、低い報酬で多くの作業を依頼できます。このことが「やりがい搾取」として問題とされています。

2018年に、政府はフリーランスの報酬に最低基準額を設ける検討を行なうことが報道されました。実現すれば、労力に見合った報酬を受け取れる可能性が高まります。最低賃金以下の水準で働く方には、朗報となるでしょう。

一方で「安く依頼できないなら、社内の要員でなんとかする」という選択を行なう企業も出る可能性があります。案件数が減少するリスクがあることは、手放しで喜べないポイントです。

ギグエコノミーは希望する働き方を実現する選択肢の一つ

ギグエコノミーの仕組みによるギグワークは、数ある働き方の一つです。万人に向いた働き方とはいえません。その一方、フルタイムでの仕事が難しい方や高いスキルをお持ちの方には適した働き方となるでしょう。

働き方の選択には、ギグエコノミーも含めて検討することをおすすめします。特徴とメリット・デメリットをよく把握したうえで、あなたに合った働き方を選びましょう。