プロダクトマネジメントとは?プロダクトマネージャーの仕事内容や必要スキル・資格について
この記事では、プロダクトマネジメントの概要や、プロジェクトマネジメントとの違いについて解説します。プロダクトマネージャーの役割や仕事内容、必要なスキルについても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。
この記事では、プロダクトマネジメントの概要や、プロジェクトマネジメントとの違いについて解説します。プロダクトマネージャーの役割や仕事内容、必要なスキルについても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。
キャリア
2022/11/22 UP
- 仕事内容
- キャリアパス
- 働き方
インターネットを介してプロダクトを提供するビジネスモデルが増えています。従来の売り切り型ビジネスとは異なり、顧客に商品を継続利用してもらうための工夫が求められるようになりました。
顧客に長期的にプロダクトを利用してもらうには、顧客満足度を継続的に向上させることが重要です。このような背景から、プロダクトのリリース後も商品を成長させ続ける「プロダクトマネジメント」の手法が注目されるようになりました。
この記事では、プロダクトマネジメントの概要や、プロジェクトマネジメントとの違いについて解説します。プロダクトマネージャーの役割や仕事内容、必要なスキルについても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。
プロダクトマネジメント(PM)とは
「プロダクト」とは、製品、商品、制作物、成果物という意味の言葉です。ビジネスシーンにおける「プロダクトマネジメント」とは、単に製品を管理することではなく、製品開発やビジネスモデルの設計、価格設定、マーケティングなど、製品を中心としたあらゆるマネジメントを担う組織機能のことを指しています。
近年、SaaS型ビジネスが普及したことにより、製品を販売・契約した後にどのようなマネジメントを行なうかが重要視されるようになりました。変化し続ける顧客ニーズを把握し、クライアントの抱える課題を解決して、満足度を向上させ続けることが求められるようになったのです。
そのような背景から、「製品のリリース後も継続して製品を成長させていく」というアプローチ手法のプロダクトマネジメントが注目されるようになりました。
プロダクトマネジメントを担う人材は一般に「プロダクトマネージャー」と呼ばれ、事業の成長において重要な役割を担っています。
プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントとの違い
プロダクトマネジメントと混同されることの多い仕事に「プロジェクトマネジメント」があります。
プロジェクトマネジメントは、プロジェクトを管理・推進することがおもな役割です。そのため、品質やコスト、スケジュール管理が業務の重点であり、限られた期間や予算のなかで、高いクオリティの成果を収めることが求められます。また、プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの完了とともにその案件の業務は終了します。
一方、プロダクトマネジメントは、製品が市場に存在する限り仕事が継続するという特徴があります。製品の価値を最大化することを目的とし、製品のリリース後も、顧客の課題解決のために必要な機能を探求し続けます。そのため、プロダクトマネジメントを担う人材には製品開発や専門知識が求められるのです。
プロジェクトマネジメントは、チームメンバーを束ねてプロジェクトを推進することが求められるため「いつまでに作るか(when)」「どうやって作るか(how)」を考えることが重要となります。
プロダクトマネジメントは、製品に対するアプローチが中心となるため「何を作るか(what)」「なぜ作るのか(why)」から検討する傾向にあるという点も、それぞれの業務の大きな違いといえるでしょう。
プロダクトマネージャー(PdM)の役割
プロダクトマネージャーとは、製品の開発、戦略立て、実行、意思決定など、プロダクトマネジメントを指揮する責任者のことです。プロダクトの成長を主導する存在であり、「PM」もしくは、プロジェクトマネージャーと区別するために「PdM」と呼ばれます。
プロダクトマネージャーは、製品を中心とした戦略を立案・実行し、顧客の課題解決や目標達成に寄与することで、自組織の成果へとつなげることを目指します。
プロダクトマネージャーは非常に業務範囲の広い仕事です。そのため、製品の開発や管理に関する知識はもちろんのこと、顧客の事業に関する理解、課題発見力なども求められます。
また、プロダクトマネジメントは製品に関するさまざまなプロジェクトが組み合わさって成立していることも多く、プロジェクトマネジメントのスキルが要求されることもあります。
プロダクトマネージャーの仕事内容
プロダクトマネージャーは製品を継続的に成長させるため、開発から戦略立案、リリース後の分析まで総合的に携わることになります。プロダクトマネージャーの仕事内容について、具体的に見ていきましょう。
プロダクトのターゲットを設定する
まずは開発するプロダクトのターゲット層を設定します。ターゲット層を定めたあとは、マーケティング戦略を立案し、製品のアプローチ手法を具体化していきます。
製品の価値を最大化するために、ターゲット層の設定では「顧客ニーズの理解」「抱えている課題の把握」などを、市場分析をとおして客観的に分析することが重要です。また、顧客が抱えている課題はそれぞれ異なるため、洗い出した課題ごとにアプローチ手法を検討する必要があります。
プロダクトの企画を立案する
プロダクトの機能や仕様を、仕様書に落とし込み、試作品の作成に取りかかります。試作品の作成では、組織の開発部や工場との連携も必要になるため、各部署とのスケジュール調整も行ないます。
試作品ができたら、それをもとに製品化を再検討します。製品化しても問題ないと判断された場合は、本格的な生産の段階へと進みます。
プロダクトの戦略を策定する
プロダクトの戦略を策定するため、プロダクトのコンセプト、顧客に提供できる価値、市場優位性などを明確化していきます。
ターゲット層の顧客がプロダクトを実際に利用した場合を想定し、プロダクトの訴求方法を検討します。また、プロダクトをリリース後にどのように成長させていくのかも決めていきます。
具体的なKPIを策定することで、客観的な分析が可能となり、必要な施策を打ち出せるようになります。プロダクトのマーケティング戦略も策定して、売上を伸ばす方法についてもこの段階で検討していきます。
プロダクトリリース後の効果測定をする
リリース後もプロダクトを成長させ続けるため、効果測定と分析を実施します。
単純に売上だけを見るのではなく、KPIの達成率や、顧客の要望の声なども参考にし、より良いプロダクトにするための改善点を探ります。もし改善点があれば、その都度プロダクトの戦略を見直して、次のアクションへとつなげていきます。
プロダクトマネージャーの将来性
プロダクトマネージャーは、商品の開発における計画立案・実行を主導する重要な存在です。
インターネットが普及したことで、市場や顧客ニーズはこれまでより速いペースで変化するようになりました。変化の激しい市場で競争力を強めるには、市場ニーズを正確に把握し、最適な計画を立案することが求められます。
インターネットを利用したビジネスも増えており、プロダクトマネジメントの重要性も高まっています。いかに顧客満足度を向上させ、顧客に自社サービスを長期的に使い続けてもらうかが課題となっているのです。
顧客視点で物事を考え、利益を上げるための戦略を立案する能力を持ったプロダクトマネージャーは、事業成長の鍵を握っている存在なのです。
プロダクトマネージャーは、事業を成長させるための重要なポジションとして、今後さらに需要が高まっていくことが考えられます。
プロダクトマネージャーになるには?
プロダクトマネージャーは資格が必須の職業ではなく、「この資格を取ればプロダクトマネージャーを名乗れる」ということはありません。
プロダクトマネージャーには、製品開発やマーケティングなど、幅広いスキルが要求されます。そのため、多くの場合は営業やエンジニアなどの経験を経てからプロダクトマネージャーに就任します。未経験ですぐにプロダクトマネージャーになるのは難しいでしょう。
プロダクトマネージャーを目指す場合は、まず自社でプロダクト開発をしている企業に就職し、入社後にプロジェクトマネージャーなどを経て、自社でキャリアアップを希望するのが一般的です。
プロダクトマネージャーに必要なスキル
プロダクトマネージャーには、プロダクトマネジメントのほかにプロジェクトマネジメントのスキルも要求されます。プロダクトマネージャーに求められる知識・スキルについて、具体的に見ていきましょう。
柔軟な発想力
顧客が求めているプロダクトを生み出すための、柔軟な発想力が求められます。
独自性の高いプロダクトを考案する力に加え、これまでになかった新しい視点で物事をとらえる能力や、コンセプトを具体的な商品として落とし込むスキルも重要です。
観察力・洞察力
企業と市場のニーズを正しく把握したうえで、適切なターゲットを設定する観察力や情報収集力が求められます。
また、ターゲットがどのような課題を抱えているのか、課題解決のためにどのようなアプローチが可能かを考える能力も、プロダクトマネージャーには欠かすことができません。
開発スキル
新しいプロダクトを開発する際は、試作品を作り出す開発スキルも必要です。
ニーズをプロダクトに反映するには、プロダクトの設計や計画立案に関する知見が求められます。そのため、プロダクトマネージャーが直接開発しない場合でも、開発に関する知識や経験は必須のスキルといえるでしょう。
コミュニケーションスキル
プロダクト開発は、経営陣、開発部門、営業、協力企業など、さまざまな部署・チームとの連携が求められます。
新しいプロダクトの開発では、企画への理解を得られるまで何度も説明が必要になることもあり、開発段階に至るまで時間がかかるケースも少なくありません。企画したアイデアをわかりやすく解説する説明力も大切です。
プロダクト開発は、多くの人に協力を仰いで進めることになります。高いコミュニケーションスキルがあることは、プロジェクトマネジメントを円滑に遂行するために非常に重要といえるでしょう。
マネジメントスキル
プロダクトマネージャーはプロダクトだけでなく、プロダクト開発に関連する人材、コスト、情報など、あらゆることを管理する役割を担います。
そのため、スタッフを管理するスキルに加え、プロダクトの開発を推進し、リリース後もプロダクトを成長させていくための計画を進めていくという、総合的なマネジメント能力が求められます。
プロダクトマネージャーにおすすめの資格
プロダクトマネージャーは資格がなくても就くことのできる仕事です。しかし、資格があればスキルを客観的に証明することができるため、キャリアアップや転職の際に役立ちます。
プロダクトマネージャーを目指す方におすすめの資格について、具体的に見ていきましょう。
基本情報技術者試験
「基本情報技術者試験」は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する国家試験です。高度IT人材に求められる、ITに関する基礎知識や技能、それを活用するスキルを有していることが認定されます。
資格の学習をとおして、IT技術を活用した戦略立案や、システムの設計・開発、マネジメント知識など、IT技術に関する基本的な知識を体系的に学習することができるというメリットがあります。
より高度な資格取得を目指す場合も、まずは基本情報技術者試験で基礎をしっかり固めておくとよいでしょう。
なお、基本情報技術者試験については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
新しくなった基本情報技術者試験とは?合格を目指すメリットや勉強法も紹介
ITストラテジスト試験
「ITストラテジスト試験」も、IPAが主催する国家試験の一つです。
システム開発スキルのほか、企業の経営戦略に基づいた戦略立案・推進、IoTを利用したシステムの企画・開発をマネジメントするスキルなど、企業の経営陣と連携して高度なIT戦略を推進する能力が問われます。
ITを活用して事業を成長に導くためのコンサルタント能力があることを証明できる資格です。難易度の高い試験ですが、プロダクトマネージャーへの転職やキャリアアップを目指している場合は、心強い武器となることでしょう。
ITストラテジスト試験の概要や勉強方法について詳しく知りたい方は、『ITストラテジストとは?仕事内容・必要スキルや資格試験対策を徹底解説』も併せてご覧ください。
プロジェクトマネージャ試験
「プロジェクトマネージャ試験」もIPAが実施する国家試験です。資格を取得することで、プロジェクトを成功に導く責任者としてのマネジメント能力を有していることが認定されます。
プロジェクトの計画作成、チームメンバーを支援・管理するスキル、コミュニケーション能力、リスクや問題への対策、プロジェクト終了後の分析・評価など、幅広いスキルが求められます。
プロダクトマネジメントは製品の価値を高める重要な役割
これまでのビジネスでは、製品を開発・販売して売上を作る、いわゆる「売り切り型」のスタイルが一般的でした。
それに対し、近年普及したSaaS型ビジネスでは、収益を上げるために自社サービスを継続利用してもらうための戦略が必要とされています。
SaaS型ビジネスは顧客が気軽に使えるサービスが多いものの、ニーズにマッチしていなかったり、顧客満足度が低かったりする場合は、ユーザーは簡単に他社製品へと乗り換えてしまいます。
このような背景から、継続して利用してもらえる満足度の高いプロダクトを生み出すための手法として、プロダクトマネジメントが注目されているのです。
プロダクトマネージャーには、プロダクトの知識だけでなく、プロジェクトを管理するスキル、開発能力も要求されます。幅広い知識・スキルが必要ですが、事業を成長させるために欠かせない人材として高い需要があり、将来性のある仕事といえるでしょう。