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ITストラテジストとは?仕事内容・必要スキルや資格試験対策を徹底解説

今回はITストラテジストが担う具体的な仕事内容や将来性、求められるスキルについて解説します。また、資格獲得のための勉強法・試験の対策方法についても紹介するので、ITストラテジストに興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

ITストラテジストとは?仕事内容・必要スキルや資格試験対策を徹底解説

今回はITストラテジストが担う具体的な仕事内容や将来性、求められるスキルについて解説します。また、資格獲得のための勉強法・試験の対策方法についても紹介するので、ITストラテジストに興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

キャリア

2022/06/17 UP

ITストラテジストは、複雑化するシステム開発の超上流工程において、企業のトップマネジメントとともに事業戦略や事業計画の段階から参画するエンジニア系上級職の一つです。高度な経営戦略と知識を用いてIT戦略の立案と実行を期待されています。

ITストラテジストは、求められるスキルや知識は高いものの、高年収が期待され、エンジニアのキャリアパスとして高い魅力がありますが、一体どのような仕事を行っているのでしょうか。

今回はITストラテジストが担う具体的な仕事内容や将来性、求められるスキルについて解説します。また、資格獲得のための勉強法・試験の対策方法についても紹介するので、ITストラテジストに興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

ITストラテジストとは

ITストラテジストとは、システム開発の超上流で事業計画段階から参画して、経営者目線でIT戦略の立案と実行を主導するストラテジスト(戦略家)です。

ITストラテジストはエンジニア系上級職の一つですが、職種名ではなく、組織におけるIT分野の戦略・提案を担うポジションや肩書を指して使われることもあります。

ITストラテジストには国家資格が存在します。ITストラテジスト試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)によって2009年から認定が開始された高度情報処理技術者試験の一つです。スキルレベル4に相当する難関資格で、「ITを活用して経営戦略を実現するための人材」であることが認定されます。

ITストラテジストは必ずしも資格を必要とする職種ではありません。しかし資格を取得することで、ITストラテジストに期待される「ITを活用した事業戦略の策定・実施」「ITシステム開発の統括」などのスキルを有していることを客観的に証明することが可能となるのです。

ITストラテジストの仕事内容

ITストラテジストは、おもに以下の5つについて期待されます。

・事業戦略、IT戦略の策定

・全体システム化計画の作成

・個別システム化計画の作成

・モニタリングとコントロール

・技術関連動向のキャッチアップと分析

事業戦略、IT戦略の策定

既存の事業の調査・分析を行い、課題の抽出を行います。これと併せて、IT業界全体の動向を調査し、新しいビジネスモデルの在り方や、実現可能性などを考慮して事業戦略、IT戦略を策定します。作成した戦略は正しく評価を行い、経営陣に対してフィードバックも行います。

全体システム化計画の作成

戦略を実現するためのアーキテクチャ(基盤構成)を検討します。併せて、中長期的な計画を策定し、評価方針、品質統制、運用方針、リスク、ディザスタリカバリ(災害時復旧計画)なども検討します。

個別システム化計画の作成

全体システム化計画で対象となった業務の分析を行い、業務モデルを作成、プロセスの再設計を行い、実現可能なサービスレベルやコスト、スケジュールなどを検討します。システムの調達方法の検討や新しくできたシステムの評価についても業務の範疇となります。

モニタリングとコントロール

ITストラテジストは、システム全体のモニタリングとコントロールも行います。リスクの分析、管理、対処といったリスクマネジメントから、プロジェクト全体の評価や運用推進なども行います。

技術関連動向のキャッチアップと分析

ITストラテジストが必要とする知識やスキルは多岐にわたります。プログラミング以外にもソフトウェア、ハードウェア、知的財産から法律まで幅広い知識を求められるため、常に最新の情報をキャッチアップしていく姿勢が求められます。

ITストラテジストの需要・将来性

近年、IT技術を事業戦略に活用する企業が急増しています。IT企業だけでなく、一般企業やコンサル企業においても、ITを活用した経営戦略の提案や策定ができる人材を求める声が高まっています。

ITストラテジストはその専門性の高さから人材不足の状態が続いています。スキルの習得や資格取得にも時間がかかるため、ITストラテジストは非常に市場価値の高い存在なのです。

また、ITストラテジスト資格を取得している場合は、転職やキャリアアップの際にも大きなアピールポイントになります。

ITストラテジストは今後も高い需要が見込める、将来性のある仕事といえるでしょう。

ITストラテジストのキャリアパス

ITストラテジストは高度な専門知識が求められる仕事であり、スキルを活かして多種多様なキャリアプランを形成することができます。

企業の課題解決のために、より組織の中核を担うポジションを目指すことも可能です。ITストラテジストのスキルを活かし、CIOや開発部リーダーなど各部門の責任者へのキャリアを歩む道もあります。

また、ITストラテジストとして活躍している人の多くは、すでにプロジェクト管理やシステムエンジニアとして現場経験を積んでいるケースがほとんどです。それらの経験を活かし、プログラミングやITコンサルタントなど、得意分野に特化したエンジニアとして活躍することもできるのです。

ITストラテジストは、まだまだモデルケースの少ない職種です。模範となる例が少ない分、自分自身のライフスタイルに合わせてさまざまなキャリアプランを描くことができる仕事といえるでしょう。

ITストラテジストに必要なスキル・能力

ITストラテジストに必要なスキル・能力

経営戦略に関わるITストラテジストは大きく2つあります。順番に見ていきましょう。

テクニカルスキル

ITストラテジストは、開発に携わって実際にプログラミングを行う必要場面は少ないとされています。そのため、なかにはエンジニア経験がないという人も存在します。一方で、必要とされるものとしては、IT技術に対する深い知見と、それをどう活用すれば企業活動と経営に寄与する改善が行えるかという知識です。

また、企業が置かれている環境の分析と調査のスキル、全体システム化計画の実現に必要な品質統制やディザスタリカバリの知識、個別システム化計画の実現に必要な業務分析と可視化のスキルなども必要となります。

ヒューマンスキル

ITストラテジストは、新しい戦略の提案以外に、分析結果や評価の報告などのタイミングで、経営陣に対してプレゼンテーションができる提案力が必要となります。

また、現状の分析と可視化の際に現場でヒアリングを行う能力や、新しいシステムの運用推進の際に現場を巻き込んでいく能力など、コミュンケーションスキルを中心とした、ヒューマンスキルも高いものが求められます。

ITストラテジストの資格取得に向けて

ITストラテジストの資格取得に向けて

ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験の区分のなかでも最高難度に位置するものです。非常に高い水準での知識と能力を求められる試験であり、令和2年の合格率は15.4%となっています。

ただし、下位の有資格者が受験することもあるため、すでにある程度の実力を持って実務経験がある有資格者のスキルアップ受験も含んだ数値となります。そのため、実際の出題内容の難易度は合格率よりも難しいものとなっていると予想されます。

ITストラテジストの前身であったシステムアナリスト試験の合格率が9.7%(2001年~2008年の平均)であったことを鑑みると、その難しさが伺えます。一方で最年少合格記録は19歳と、必要とされる条件を満たした実力がある人材であれば、年齢を問わず取得が可能な資格でもあります。

ITストラテジスト試験の概要

各試験は基準点以上で試験通過となり、不合格の場合、以降の試験は採点されません。

・午前1

50分間で四肢択一式の30問の出題を全問解答します。他の高度情報処理者試験と共通したスキルレベル3相当の問題が出題され、満点の60%が基準点となります。

・午前2

40分間で四肢択一式の25問の出題を全問解答します。ストラテジ系全般から出題され、特に経営戦略マネジメントの出題比率が高い傾向にあります。60%が基準点となります。

・午後1

90分間の記述式。4題から2題を選択して解答します。うち1題は組み込みシステムになります。2020年の試験からは、組み込みシステムの出題のなかでAIやビッグデータ、IoTの活用についての内容が強化されます。

・午後2

120分間の論文課題式で、3題から1題を選択して解答します。課題について自身の実務経験をもとに2000~3000文字程度の小論文を書き、内容をA~Dで採点されます。A以外は不合格となります。

ITストラテジストの難易度

論文試験があり、A評価以外は不合格となるため、勉強によって身につけた知識だけでは合格できない難しい試験といえます。スキルレベル4に相当するため、問われる内容の知識の深さも重要で、合格率は15%前後ですが出題内容自体はかなりの難易度で設定されています。

ITストラテジスト試験の勉強法

ITストラテジストの資格を取得する際に重要になるのは、総合的な知識、読解力、文章力、そして実践力です。各試験の対策について具体的にみていきましょう。

午前1

午前1の試験問題は、応用情報技術者試験や基本情報技術者試験の午前試験からの流用問題が大部分を占めます。

そのため対策としては、応用情報技術者試験や基本情報技術者試験の直近3〜5年分の過去問を繰り返し演習することが有効です。

午前2

午前2の試験問題は、ITストラテジスト試験の過去問からの出題が多くなります。過去問演習を繰り返し行うとよいでしょう。

実際の試験では、過去問と違う問われ方をされる場合もあります。過去問に取り組む際は、答えを暗記するのではなく、問題や選択肢の意味をしっかり押さえるようにしましょう。

午後1

午後1の試験は記述式の長文問題です。一から自分で記述するのではなく、問題文の中から解答の要素を探し出し、限られた文字数に収まるように要約しながら記述していきます。過去問演習で、記述問題に慣れておくようにしましょう。

また解答時に問題文を引用する際は、意味を正しく伝えるために、問題文のフレーズをそのまま使用するとよいでしょう。

午後2

午後2の試験は論文課題式です。定番問題の対策は過去問演習を行なうとよいでしょう。

またITストラテジスト試験の論文演習をする際は、論理的な記述ができているかという点に加え、経営者の立場を意識した論述ができているかという点も意識する必要があります。ニュースや雑誌で情報収集を行なう際は、商品の販売戦略についても確認するようにしましょう。

ITストラテジスト試験は合格してからがスタート!

そもそもITストラテジストの資格は、資格を持つことで業務が可能なのではなく、実力を有するという保証をする種類の資格です。そのため、仮に実際の業務での経験がないままに資格を取得できたとしても、ITストラテジストとしての業務にいきなり携われる可能性は低いでしょう。

実践のなかで経営的な視点を持って幅広いIT知識を学び、最適なシステムや機能を選択するための知見、経営層を含めた社内の関係者に納得させる提案力、実際に実現に導くリーダーシップやコミュニケーション能力などを身につけてから資格を取得することをおすすめします。

机上の空論にならないよう、さまざまな業務を幅広く経験して知見を広めていくだけでなく、企画や運用など、幅広く業務に携わり、実際の工程を把握していくことが重要です。

ITストラテジストに最も大切なのは実戦経験!

ITストラテジストの資格取得は、身につけてきたスキルの集大成です。資格を取得することは重要ですが、取得にはそれまでの実務における経験やプロセスを含めたしっかりとした実力が必要となります。実際のゴールは取得後に資格を活かしながら、戦略的な立場で業務を行い、結果を評価されるところにあります。

ITストラテジストは、実戦経験をしっかりと積んだうえで資格を取得することで、転職で非常に有利に働く職種といえるでしょう。