フルスタックエンジニアとは?仕事内容・必要スキルについて解説
この記事では、フルスタックエンジニアの概要や、具体的な仕事内容、求められるスキルについて解説します。フルスタックエンジニアに興味のある方、ITエンジニアとしてマルチに活躍していきたいという方は、ぜひ参考にしてください。
この記事では、フルスタックエンジニアの概要や、具体的な仕事内容、求められるスキルについて解説します。フルスタックエンジニアに興味のある方、ITエンジニアとしてマルチに活躍していきたいという方は、ぜひ参考にしてください。
キャリア
2023/08/02 UP
- キャリアパス
- 仕事内容
ITビジネスの急増にともない、IT製品を開発・管理するエンジニアの需要も高まっています。
ITエンジニアは業務範囲によって、SEやプログラマー、ネットワークエンジニアなどさまざまな職種が存在しています。そのため、複数のエンジニアがそれぞれの専門スキルを活かし、協働しながらプロジェクトを遂行するのが一般的です。
「フルスタックエンジニア」は、開発業務を幅広く担当できるエンジニアです。近年、ITエンジニアが慢性的に不足していることもあり、一人で複数の開発工程を受け持つことができるフルスタックエンジニアに注目が集まっています。
この記事では、フルスタックエンジニアの概要や、具体的な仕事内容、求められるスキルについて解説します。フルスタックエンジニアに興味のある方、ITエンジニアとしてマルチに活躍していきたいという方は、ぜひ参考にしてください。
フルスタックエンジニアとは?
フルスタック(full-stack)とは、複数の技術分野において、知識・スキルに深い理解があることを意味しています。つまり、複数のIT分野に精通しており、複数の開発工程を一人で担当できるマルチなエンジニアのことを、一般に「フルスタックエンジニア」と呼んでいるのです。
担当業務やスキルの組み合わせに決まりはありません。
例えば「フロントエンド開発とバックエンド開発ができる」「Webサイト制作とWebアプリケーション開発ができる」「アプリケーション開発とインフラ開発の両方ができる」「上流工程から下流工程の業務を一貫して担当できる」など、これらの人材はいずれもフルスタックエンジニアに該当します。
フルスタックエンジニアは、設計から開発・運用・保守・アップデートなどを一手に引き受けられる、高度で幅広いITスキルを有しています。ITシステムの開発工程におけるオールラウンダーともいえるでしょう。
また、フルスタックエンジニアは職種名ではなく、「複数の役割を担えるエンジニア」という業務におけるポジションを指す場合に使用されることが多いという特徴もあります。
近年、IT業界全体でエンジニア不足が叫ばれています。そうした背景から、一人で複数の開発工程を受け持つことができるフルスタックエンジニアは、非常に市場価値の高い存在といえるでしょう。
フルスタックエンジニアの仕事内容
フルスタックエンジニアの業務範囲
フロントエンドの開発 | コーディング・実装 (HTML、CSS、JavaScript) |
バックエンドの開発 | 設計、プログラミング (Java、PHP、Ruby、Python、GO、その他フレームワークなどプロジェクトに応じて) |
アプリの開発 | 設計、プログラミング (Java、Kotlin、Swift、C#、その他フレームワークなどプロジェクトに応じて) |
インフラの構築・保守 | サーバーの設計・運用、ネットワークの構築、OSやミドルウェアのバージョンアップやバックアップ、トラブル発生時の復旧作業など |
Webデザイン | デザインやコーディングの修正 (HTML、CSS、JavaScript) |
フルスタックエンジニアはさまざまな開発工程に携わるため、プロジェクトの内容や個人のスキルによって仕事内容が左右されます。
ここでは、フルスタックエンジニアが担当することの多い仕事内容について解説します。
フロントエンドの開発
WebサイトやWebアプリケーションにおいて、ユーザーの目に触れる部分のことを「フロントエンド」と呼びます。例えば、Webブラウザ上でユーザーが文字を入力したり、ボタンをクリックしたりするなどの操作を行なう部分がフロントエンドにあたります。
フルスタックエンジニアは、フロントエンドの開発において、Webデザイナーの作成したUIデザインに基づいたコーディング・実装を担当します。
フロントエンドの開発では、おもにHTML、CSS、JavaScriptなどの言語を使用するため、これらの知識を身に付けておくとよいでしょう。
なお、フロントエンドを主に担当するフロントエンドエンジニアについては、こちらの記事をご覧ください。
フロントエンドエンジニアとは?仕事内容や求められるスキルを紹介!
バックエンドの開発
バックエンドとは、Webシステムにおける、ユーザーの目に触れない裏側の部分を指します。
フルスタックエンジニアが担当するバックエンド開発には、ECサイトの受注処理、クレジットカード決済、発送管理などがあります。ユーザーから直接見える部分ではないですが、Webサービスを提供するうえで非常に重要となる部分です。
開発にはJava、PHP、Ruby、Python、GOなどのプログラミング言語のほか、フレームワークやライブラリを使用します。
なお、バックエンドを主に担当するバックエンドエンジニアについては、こちらの記事をご覧ください。
バックエンドエンジニアとは?必要なスキルや、なるためのポイントを紹介
アプリの開発
フルスタックエンジニアは、スマートフォンアプリやWebアプリの開発を一手に担うこともあります。
スマートフォンアプリはOSと連携して動作します。おもな使用言語にはJava、Kotlin、Swift、C#などがあります。一方で、WebアプリはWebサイトと連携して動作します。開発ではJavaScript、PHP、Javaなどの言語をおもに使用します。
また、スマートフォンアプリと一口にいっても、iOSとAndroidではそれぞれの挙動に合わせた開発が必要となります。フルスタックエンジニアにアプリ開発の幅広い知識があり、開発を一手に引き受けることができれば、より連動性・親和性の高いアプリを開発することが可能となるでしょう。
インフラの構築・保守
フルスタックエンジニアは、サーバーやネットワークなどITインフラの構築・管理・保守などを担当することもあります。
具体的には、サーバーの設計・運用、ネットワークの構築、OSやミドルウェアのバージョンアップやバックアップ、トラブル発生時の復旧作業などの業務があります。
これらは通常、インフラエンジニアが担当する領域の仕事です。しかし幅広い知識・スキルを有するフルスタックエンジニアがインフラ管理に携わることで、障害発生時の原因究明や復旧作業を効率的に行なうことができるというメリットがあります。
近年はクラウドサービスを導入する企業も増えており、クラウドに関する知識が求められることも多いでしょう。
なお、インフラを主に担当するインフラエンジニアについては、こちらの記事をご覧ください。
インフラエンジニアとは?仕事内容から取得するべき資格までわかりやすく紹介!
Webデザイン
あまり多くはないものの通常Webデザイナーが担当するデザイン業務の一部を、フルスタックエンジニアが担当するケースもあります。
1から担当する場面は多くないものの、デザインの修正やコーディングに必要なHTML・CSS・JavaScriptなどのプログラミング言語のスキルが求められる場面はあります。
フルスタックエンジニアに必要なスキル
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、どのようなスキルが必要となるのでしょうか。
プログラミング言語の知識・スキル
フルスタックエンジニアは、開発過程でプログラミングを担当することも少なくありません。
開発システムごとに使用する言語が異なるため、複数の言語を扱えるようにする必要があります。JavaScript、Java、Pythonなど、代表的な言語に関するスキルは、最低でも1つは身に付けておくべきでしょう。
OS・ミドルウェアに関するスキル
バックエンドやインフラに関する開発では、Windows、iOS、Android、Linuxなど、主要OSに関するスキルが求められます。すべてを網羅するのは難しいものの、現在のプロジェクトで使用しているものは理解する必要があります。
また、OSとアプリケーションの中間にあるミドルウェアも、さまざまなシステムで利用されています。そのためミドルウェアに関する知識も必須といえるでしょう。
クラウドサービスの知識・スキル
クラウドサービスの導入には、コストの削減や、システム開発をスピーディーに行なえるというメリットがあります。そのため、近年クラウドサービスを事業に導入する企業が増えています。
システム開発において、フルスタックエンジニアがクラウドサービスに関する知識やスキルが求められることも少なくありません。
クラウドサービスには、サービスの提供を行なうSaaS、プログラム・データベースなど実行環境の提供を行なうPaaS、インフラの提供を行なうIaaSの3種類があります。このなかでもIaaSであるAWSやAzureなどは、近年使う場面が多いため、習得しておくとよいでしょう。
フルスタックエンジニアの年収
フルスタックエンジニアは定義があいまいで、企業や開発現場ごとに必要なスキルや経験が異なります。そのため、具体的な年収相場を挙げるのは難しいものです。
参考として、フルスタックエンジニアに相当するスキルを有する人材の年収をまとめると、想定年収は「500万円〜1000万円」となります。担当業務やスキルによって、年収には大きく幅があります。
フルスタックエンジニアには、複数の業務を一手に担える経験とスキルが求められます。市場価値が非常に高いため、平均年収も高くなる傾向にあります。
フルスタックエンジニアになるには
フルスタックエンジニアを目指すには、以下の4つのステップが重要です。
1.自分の専門分野を作る
2.専門分野から手を広げていく
3.実績を作る
4.最新情報をキャッチアップする
自分の専門分野を作る
まずは自分の専門分野を作りましょう。幅広い知識を持っていたとしても、コアなスキルが信頼されていなければ、業務範囲を広げていくのは困難です。
核となるスキルを磨き、フルスタックエンジニアとしての価値を向上させることから始めていきましょう。
専門分野から手を広げていく
自分の専門分野ができたら、それに関連する業務にも触れ、徐々にスキルの幅を広げていきましょう。
例えば、フロントエンドエンジニアであれば、担当案件のサーバサイドやデータベースの開発にも携わることなどが挙げられます。専門分野に関連する業務に触れることで、専門分野の知識が深化され、関連業務のスキルやノウハウも蓄積できます。
実績を作る
専門分野や周辺技術の習得がある程度進んだら、実績を作っていきましょう。
スキルを活かせる開発プロジェクトがあれば、積極的に手を挙げて参加していきます。一度実績ができれば、次の開発ではより幅広い業務を担当できる確率が向上します。徐々に業務範囲を広げ、フルスタックエンジニアとしての経験を積んでいきましょう。
最新情報をキャッチアップする
IT業界は技術革新のペースが早いため、常に最新情報をキャッチアップする必要があります。
特にフルスタックエンジニアは担当範囲が広いため、市場ニーズの高い技術の情報を意識的に収集することが重要です。必要に応じて、新しいスキルを習得し、フルスタックエンジニアとしての価値を高めていきましょう。
フルスタックエンジニアの将来性
フルスタックエンジニアは将来性の高い仕事です。
現在、あらゆる業界で生産性の向上が求められています。複数のスキルを持つフルスタックエンジニアがいれば、より効率的なシステム開発が実現可能です。また、多くのエンジニアを採用しなくてよいため、人材コストの適正化にもつながります。
また、ベンチャー企業の増加にともない、フルスタックエンジニアの活躍の場も増えていくことが予想されます。ベンチャー企業は、限られた予算で新しいビジネスを創出していく必要があります。一人でさまざまなシーンに対応できるフルスタックエンジニアは、ベンチャー企業に欠かせない存在といえるでしょう。
フルスタックエンジニアは市場価値が高く将来性のある仕事
フルスタックエンジニアはITシステム開発における幅広い領域の知識やスキルを備えた、オールラウンダーとも呼べるエンジニアです。
近年、ITビジネスを始める企業も増えており、さまざまな事業でエンジニアを求める声が高まっています。しかし、IT業界全体でエンジニア不足が叫ばれており、国内で優秀なエンジニアを確保することが困難な状況が続いています。
そのため、フルスタックエンジニアのように、一人で開発業務を幅広く受け持つことのできるエンジニアは非常に市場価値の高い存在といえるでしょう。