プロジェクトマネージャ試験(PM)とは?難易度や勉強方法を解説
この記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要や難易度、資格を取得するメリットについて解説します。試験に合格するための勉強方法にも触れていくので、資格取得を目指している方はぜひ参考にしてください。
この記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要や難易度、資格を取得するメリットについて解説します。試験に合格するための勉強方法にも触れていくので、資格取得を目指している方はぜひ参考にしてください。
スキルアップ
2023/06/21 UP
- キャリアパス
- 勉強・学習法
開発プロジェクトを取りまとめるプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーを目指す方のなかには、キャリアアップのために資格取得を考えている方も多いのではないでしょうか。
プロジェクトマネジメントに関するスキルを認定する資格に「プロジェクトマネージャ試験(PM)」があります。プロジェクトマネージャ試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家資格試験です。日本国内での認知度も高く、資格を取得できればキャリアの選択肢の幅も広がります。
この記事では、プロジェクトマネージャ試験の概要や難易度、資格を取得するメリットについて解説します。試験に合格するための勉強方法にも触れていくので、資格取得を目指している方はぜひ参考にしてください。
なお、プロジェクトマネージャーの仕事内容やスキルなども詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。
【PM向き】プロジェクトマネジメントに必要なスキル・資質
プロジェクトマネージャ試験(PM)とは
※プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験とは、その名のとおり「システム開発のプロジェクトを管理する責任者」としてのスキルがあることを認定する資格試験です。まずはプロジェクトマネージャ試験の概要について見ていきましょう。
試験概要
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家試験である「情報処理技術者試験」の一つです。英語名称の「Project Manager Examination」を略して「PM」と呼ばれることもあります。
プロジェクトマネージャ試験に合格することで「プロジェクトを成功に導くために、多様な要求に柔軟に対応できる」という、プロジェクトの責任者に欠かせないスキルがあることを証明できます。
試験は年1回、10月(秋期)に実施されます。2023度の試験は10月8日(日曜日)に開催予定です。受験手数料は消費税込みで7,500円となっています。申し込み受付期間や試験の詳細は決まり次第広報されるため、公式サイトでこまめに情報をチェックするとよいでしょう。IPAのメールニュースに登録しておけば、申し込み漏れの防止に役立ちます。
試験の対象者像
プロジェクトマネージャ試験には、年齢制限や業務経験などの特別な受験資格はありません。そのため、受験に向けた準備が整えば、年齢性別問わず誰でも受験することが可能です。
受験資格を設けない代わりに、IPAは試験の対象者像を明記しています。
プロジェクトマネージャ試験の対象者像は「高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者」とされています。
つまり、プロジェクトマネージャ試験は、ITシステムの開発プロジェクトにおいて責任者としてプロジェクトの計画・実行・管理などを担う人材を対象とした試験であるといえます。
プロジェクトマネージャーにはITに関する幅広い知識やスキルに加え、現場を統括するマネジメントスキルも求められます。そのため、試験ではプロジェクトの立ち上げ、計画の作成、作業管理など、プロジェクトマネジメントに関する幅広い知識が問われます。
2022年10月に試験内容が一部改訂された
近年、アジャイル型開発を用いるプロジェクトが増加しており、プロジェクトマネージャーに求められる役割も変化しています。
プロジェクトマネージャーには、プロジェクトにおける環境変化への柔軟な対応や、ステークホルダーの期待に迅速に対応することが強く求められています。また、プロジェクトマネジメントにおける業務も、特定の人物が遂行する場合や、チームメンバーで分担する場合など、業務の遂行方法も多様化がみられます。
このような状況を踏まえ、2022年にプロジェクトマネージャ試験は対象者像や技術水準、出題範囲、シラバスの内容を一部改訂しました。今後も出題範囲やシラバスの内容は追加・変更が行なわれる可能性があるため、受験前に必ず最新情報を確認するようにしましょう。
プロジェクトマネージャ試験(PM)の難易度
IPAが主催する情報処理技術者試験には、スキルに応じて1~4のレベルが設定されています。プロジェクトマネージャ試験の難易度や合格率について詳しく見ていきましょう。
スキルレベル4の高難易度試験
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験のなかで最高難度の「スキルレベル4」に相当する試験です。
合格率は例年12~15%程度です。2022年度は受験者7,382人、合格者1,042人、合格率14.1%という結果でした。
試験方式は午前と午後で異なっており、午前はマークシート方式、午後は記述式で実施されます。午前は基礎知識を問う問題が多く、択一式のため答えがわからない場合でも無回答は避けられるでしょう。
しかし、午後は記述・論述形式のため、実践的な知識が身に付いていなければ合格できません。また、手書きで論述することにも慣れておく必要があります。
未経験者の試験合格は難しい
プロジェクトマネージャ試験では、ITの基礎知識やマネジメントに関する知識はもちろんのこと、データベース・ネットワーク・セキュリティなどの専門性の高い知識、関連法規に関する知識など、非常に幅広い知識が問われます。
特に午後の試験では実務経験に基づいた知識を問われることが多く、未経験者が頻出問題を暗記したとしても、合格ラインに到達するのは難しいでしょう。
もし未経験からプロジェクトマネージャーを目指す場合は、将来的にプロジェクトマネージャーにキャリアアップできるよう、段階を踏んでいくのが一般的です。まずはプログラマやシステムエンジニアなどで現場経験を積むことからスタートし、開発プロジェクトの流れを理解しながら試験勉強を進めていくのがおすすめです。
プロジェクトマネージャ試験(PM)に合格するメリット
資格がなくてもプロジェクトマネージャーにはなれます。しかし、資格を取得することで、自分のスキルに箔を付けたり、キャリア構築に役立てたりできます。
プロジェクトマネージャ試験に合格するメリットについて、詳しく見ていきましょう。
プロジェクト管理スキルがあることを証明できる
知識やスキルを証明する方法として、資格取得は非常に有効な手段です。開発プロジェクトに携わった経験や実績は事実として残りますが、身に付けた知識やスキルは証明するのが難しいものです。
プロジェクトマネージャ試験に合格すれば、プロジェクトマネジメントに必要なスキルが身に付いていることを客観的に証明できます。
キャリアアップに役立つ
資格があれば、転職やキャリアアップの際に武器になります。人事評価の材料となるケースもあり、給与アップを目指している方にも資格取得はおすすめです。
また、資格取得がきっかけで大規模プロジェクトの管理を任されるなど、プロジェクトマネージャーとして活躍の舞台が広がる可能性もあります。
試験範囲は実践的な内容が多いため、資格勉強を通してプロジェクトマネジメントスキルを強化するのにも役立ちます。
ほかの資格試験で免除される項目がある
プロジェクトマネージャ試験の合格者は、ほかの資格試験で免除される項目があります。将来的に複数の資格取得を目指している方は、以下の資格も視野に入れておくとよいでしょう。
<試験と免除される試験内容>
・中小企業診断士試験:第一次試験科目の一部免除
・弁理士試験:論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ・情報)が免除
・技術士試験:第一次試験の専門科目(情報工学部門)が免除
・ITコーディネータ(ITC)試験:ITC試験の一部が免除される専門スキル特別認定試験を受験可能
プロジェクトマネージャ試験(PM)の試験内容
プロジェクトマネージャ試験は、午前と午後で4つの試験が行なわれます。それぞれの試験の内容について解説します。
午前Ⅰ
午前Ⅰ試験では、ITに関する基礎知識が問われます。基礎とはいえ、技術、経営、法務など幅広い分野から出題されるため、試験に向けてしっかり勉強しておく必要があります。
・試験時間:9:30~10:20(50分)
・出題形式:多肢選択式(四肢択一)
・出題数:30問
・回答数:30問
・配点:100点(合格基準点は60点)
午前Ⅰ試験は免除制度があります。以下のいずれかの条件を満たしてから2年以内の場合は、受験申し込み時に試験免除の申請をしましょう。
・応用情報技術者試験(AP)に合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
・情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
午前Ⅱ
午前Ⅱ試験では、システム開発、ソフトウェア開発、セキュリティ、マネジメントなど、プロジェクトマネジメントに必要とされる専門性の高い知識が問われます。
・試験時間:10:50~11:30(40分)
・出題形式:多肢選択式(四肢択一)
・出題数:25問
・回答数:25問
・配点:100点(合格基準点は60点)
午後Ⅰ
午後Ⅰ試験は記述式の試験です。2022年度は、プロジェクトに関する記述を読み、記述に対する3つの設問に短文で回答するという形式で出題されています。記述部分が問題用紙3~4枚分とかなりの長文のため、内容を理解するのに時間がかかる傾向にあります。
・試験時間:12:30~14:00(90分)
・出題形式:記述式
・出題数:3問
・回答数:2問(選択)
・配点:100点(合格基準点は60点)
午後Ⅱ
午後Ⅱ試験は論述式で、プロジェクトマネジメント業務に関する専門性の高い文章を読み、経験と考えに基づいて論述することが求められます。3つの設問に対し、それぞれ600~1600文字で回答します。試験対策では、手書きでの論述に慣れておくことが重要です。
・試験時間:14:30~16:30(120分)
・出題形式:論述式
・出題数:2問
・回答数:1問(選択)
・合格基準:A評価(合格水準にある)のみ
※B評価(合格水準まであと一歩である)以下はすべて不合格
プロジェクトマネージャ試験(PM)の勉強方法
プロジェクトマネージャ試験は合格難度が高く、たとえ実務経験者であってもしっかり試験対策をしておく必要があります。
午前Ⅰ・Ⅱ試験は多肢選択マークシート方式のため、1問に対して時間をかけずに回答する訓練が大切です。試験勉強の際は、参考書で知識を深めつつ、公式サイトで公開されている過去問を繰り返し解き、テスト慣れしておくとよいでしょう。
午後Ⅰ試験は、専門性の高い長文を読み、内容を理解したうえで設問に回答することが求められます。午後Ⅰ試験のコツは、先に設問を読むことです。設問に目を通して「何について問う問題なのか」を把握し、そのうえで本文を読むと意味を把握しやすくなります。
午後Ⅰ試験の対策では、過去問を繰り返すのがおすすめです。文章を素早く読み解き、簡潔に回答する訓練を重ねることで、時間配分もできるようになるでしょう。
午後Ⅱ試験は、制限時間内に指定された文字数で論述する必要があります。要点をまとめつつ、自分の考えや経験に基づいたわかりやすい文章を書く訓練をしておくことが重要です。
試験当日は、3つの設問に対してそれぞれ600~1600文字を筆記することになります。書き始めた内容を途中で修正していては、時間切れになる可能性もあります。試験対策では、過去問での訓練を通して、手書きで論述する訓練を重ねておきましょう。
プロジェクトマネージャ試験はスキルの証明に有効な国家資格
プロジェクトマネージャーはIT知識やマネジメントスキルなど、幅広いスキルが求められる仕事です。転職やキャリアアップの際に、プロジェクトマネジメントの経験を活かしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
プロジェクトマネージャ試験に合格すれば、プロジェクトマネジメントに必要な知識・スキルが身に付いていることを客観的に証明できます。
プロジェクトマネージャーは資格が必要な職種ではありませんが、自身のスキルに箔を付けるためにも資格の取得はおすすめです。