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プロジェクトマネージャー(PM)とは?仕事内容やスキル・キャリアパスを解説

将来的にプロジェクトマネージャーになってみたいと考える皆さんに、マネージャーとしてプロジェクト管理をする上で欠かせない素質や専門性、キャリアパスなどを詳しく紹介していきます。

プロジェクトマネージャー(PM)とは?仕事内容やスキル・キャリアパスを解説

将来的にプロジェクトマネージャーになってみたいと考える皆さんに、マネージャーとしてプロジェクト管理をする上で欠かせない素質や専門性、キャリアパスなどを詳しく紹介していきます。

キャリア

2023/07/07 UP

プロジェクトマネジメントの仕事を目指す上で、どんな人がこの職種に向いているのかという資質やスキルは、多くの人が気になるポイントだと思います。また今現在、プログラマーやシステムエンジニアとして開発現場にいる場合、プロジェクトマネージャー(PM・プロマネ)と一緒に仕事をしていても、この職種の具体的な業務内容や作業範囲が掴みきれないこともあるでしょう。

そこで今回は、将来的にプロジェクトマネージャーになってみたいと考える皆さんに、マネージャーとしてプロジェクト管理をする上で欠かせない素質や専門性、キャリアパスなどを詳しく紹介していきます。

プロジェクトマネージャーとは

プロジェクトマネージャーとは、システム開発のプロジェクトが成功するよう、プロジェクト全体を管理する職種です。

プロジェクトチームの責任者のポジションであり、企画から計画立案、人材や資材の確保、工程管理など、幅広い業務を担当します。また、プロジェクトの進行管理、問題発生時の対応、クライアントとの交渉、開発部署への対応も行ないます。

プロジェクト完了後の事後処理も担当範疇です。例えば、プロジェクトを管理するうえで発生した課題・問題、その解決や評価をまとめた報告書を作成することも、プロジェクトマネージャーの重要な仕事の一つとなります。

プロジェクトマネージャーの仕事内容・役割

プロジェクトマネージャーの仕事内容・役割

プロジェクトマネージャーの仕事はまず、クライアントのニーズを聞き、その実現に必要な予算や納期の調整・交渉をすることから始まります。希望納期までに作業を完了させるために、人員確保や資材などの環境を整えるのも、プロジェクトマネージャーがおこなう重要な役割です。

実際にプロジェクトが稼働すると、まず要件定義、基本設計、詳細設計をおこないます。開発自体はエンジニアやプログラマーに任せることが多いものの、テストの確認やリリースまでの実務なども担当し、進捗状況や品質、トラブル対応などの全体的な管理もおこないます。

要件定義

プロジェクトマネージャーの仕事で、一番重要になるのが要件定義です。クライアントにヒアリングをおこない、解決する課題と想定しているイメージ、スケジュールや費用などをまとめていきます。

プロジェクトのゴールである「どんなシステムを作るのか」など、プロジェクトの基盤になる部分を定めていくのです。

基本設計

定義した要件をもとに、システム全体の設計図を書いていきます。共通モジュール、機能などを具体的に設計していくのです。

誰が書くかは決まっていませんが、プロジェクトの全体を把握しているプロジェクトマネージャーがおこなうこともあります。

詳細設計

基本設計をもとに、画面などの詳細設計をしていきます。この工程は多くの場合、システムエンジニアが担当します。

全体を把握しているプロジェクトマネージャーは、出来上がった詳細設計の確認と修正をおこないます。

テスト

構築したシステムが正常に動くかをチェックし、評価していきます。プログラマーやエンジニアがおこなうことが多い工程で、テストで発見した問題の対応策を検討します。

想定外の課題が発見されることもあるので、マネージャーの能力が試されることもあります。

保守・運用

無事完成し、リリースされたシステムは保守、運用フェーズに入ります。ここまでくるとプロジェクトマネージャーは別の人に変わることが多いです。

要件定義書、設計書などを取りまとめて、運用担当に保守運用に必要な資料として渡すところまでをおこないます。

プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違い

規模の大きなプロジェクトに置かれるプロジェクトリーダーは、プロジェクトマネージャーとは役割の全く異なる職種です。プロジェクトの推進役となるプロジェクトリーダーには、開発現場での経験豊富なシステムエンジニアやプログラマーなどが就くことが多いです。

一方、予算やスケジュール管理などのマネジメントが中心となるマネージャーの場合は、プロジェクト全体の責任を負うことも大切な仕事となります。そのため、システム開発のスケジュール遅れや、品質などの問題でクライアントに迷惑がかかったときには、プロジェクトを代表するマネージャーが最後まで責任を持ってお客様対応をするのが一般的です。

なお、プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違いについては、こちらの記事も合わせてご確認ください。
プロジェクトマネージャー(PM)とプロジェクトリーダー(PL)の違いとは?

プロジェクトマネージャーに求められる5つのスキル

プロジェクトマネージャーに求められる5つのスキル

総合的な責任を負うプロジェクトマネジメントでは、次のスキルのどれか1つが重要というわけでなく、バランス良く全ての知識や経験を持つ人材であることが理想となります。

管理スキル

システム開発などのプロジェクトを成功させるには、スケジュールや予算、人材などの計画を立て、状況に合わせて調整をする管理能力が必要不可欠です。マネージャーの工夫でコスト削減に成功すると、それだけ会社の利益がアップします。

テクニカルスキル

各工程の担当者やお客様と話をする機会も多いプロジェクトマネージャーには、クライアントの業務内容や、開発に使われている技術知識なども欠かせないスキルです。また、コストの算出や人員計画などをきめ細やかに進めるには、各工程でどんな作業をおこなっているかを把握しておく必要もあるでしょう。

分析、問題解決スキル

プロジェクト全体の舵取りをするプロジェクトマネージャーには、問題発生時に原因を想像し、的確な分析により理想的な打開策を考える能力も求められます。そしてコストや人員の負担を軽減するためにも、現状のプロジェクトの問題点を常に分析し続ける姿勢も必要です。

コミュニケーションスキル

調整役も担うこの職種には、プロジェクトに携わるメンバーやクライアントといった多くの人と円滑なコミュニケーションを図るスキルも欠かせません。メンバーとの間では、ただ仲良く会話をするのではなく、リーダーシップを発揮する能力も求められます。

ビジネススキル

開発現場の代表としてクライアントと話をするプロジェクトマネージャーには、業界内における動向やITソリューション全般をわかりやすく説明できるだけの知識が必要です。また日進月歩の勢いで技術革新が進むIT業界で活躍するには、専門メディアなどに目を通し最新情報を収集する姿勢も求められます。

プロジェクトマネージャーに向いている人・必要となる素質や適性5つ

プロジェクトマネージャーに向いている人・必要となる素質や適性5つ

円滑なプロジェクト管理のできるプロジェクトマネージャーは、次のような資質や適性を持っています。

プロジェクトを俯瞰的に見られる

プロジェクトを成功に導くためには、常に全体を見渡しながら管理・分析を続ける姿勢が求められます。また最終目的地に向けてチームを引っ張る存在となるプロジェクトマネージャーの場合、1つの物事に集中しすぎない性格が理想です。

そのため、現段階で1つの問題に携わるとまわりが見えなくなる傾向のある人は、今のうちから物事を俯瞰して見る習慣を付けるトレーニングをしてみてください。

クライアント目線を持っている

クライアントに最も近い存在となるプロジェクトマネージャーは、お客様が求めるニーズを迅速に汲み取り、形にする役割を担います。そのため、システムなどを作る側の視点だけでなく、「クライアントが何を考えているか?」を想像する素質も必要です。

人間関係の構築に長けている

クライアントやメンバーといったそれぞれの立場による考え方の違いを受け止め、双方が納得できる道を模索する調整力や交渉力も、プロジェクトマネージャーに欠かせない資質です。

プロジェクト内でより良い人間関係が構築できれば、現場で生じた問題もスムーズに解決しやすくなります。また当然のことながらこの適性に長けたプロジェクトマネージャーは、プロジェクトに関わる多くの人から信頼を得られやすいです。

抽象的な事項を具体化することができる

この職種の権限や役割は、プロジェクトの中でも曖昧になりやすい傾向があります。そのため自分の立場を具体化し、強い推進力で業務を進めるリーダーシップも欠かせない適性です。

またIT技術に詳しくないクライアントの場合、要望や意見を抽象的な表現で伝えてくることもあります。この場合は、お客様の話を自分なりに噛み砕き、現場で対応作業をおこなうメンバー向けに落とし込むスキルも円滑なプロジェクト管理には欠かせません。

変化に対して柔軟に対応できる

システム開発などのプロジェクトでは、必ず何らかの問題や例外が発生します。トラブルにより作業が計画通りに進められなくなったときに、その状況に合った対応を柔軟に見つけ出す素質もプロジェクトマネージャーには必要です。

プロジェクトマネージャーの年収

プロジェクトマネージャーの年収

経済産業省の『IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(2017年)』では、プロジェクトマネージャーの平均年収は「891.5万円」とされています。

国税庁の『民間給与実態統計調査(2021年)』では日本の給与所得者の平均年収は443万円という結果が出ており、プロジェクトマネージャーの平均年収は高水準であることがわかります。

※参照
IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経済産業省)

プロジェクトマネージャーは開発プロジェクトを主導する立場であり、プロジェクトの成功を左右する重要な決断を下すこともあります。仕事の責任が重いことに加え、幅広いスキルを持つ人材は市場価値が高いため、プロジェクトマネージャーは年収が高くなる傾向にあるのです。

なお、プロジェクトマネージャーの年収については、こちらの記事も合わせてご確認ください。
プロジェクトマネージャーの平均年収は?高年収の人材の特徴について

プロジェクトマネージャーへのキャリアパス

プロジェクトマネージャーへのキャリアパスは、IT業界におけるほかの仕事と比べて多様化している傾向があります。ここでは、以下の3職種からプロジェクトマネージャーへのキャリアパスについて解説します。

・プログラマー・システムエンジニアからのキャリアパス

・プロジェクトマネージャー補佐(PMO)からのキャリアパス

・スペシャリストからのキャリアパス

プログラマー・システムエンジニアからのキャリアパス

プロジェクトマネージャーへのキャリアパスとして一般的な流れは、大規模プロジェクトの多い会社でプログラマー経験を積み、そこからシステムエンジニア、プロジェクトリーダーと徐々にステップアップして、最終的にプロジェクトマネージャーになるというものです。

この場合は、同じ会社のなかで先輩たちの指導を受けながら、少しずつプロジェクトマネージャーの役割を学べるという利点があります。

プロジェクトマネージャー補佐(PMO)からのキャリアパス

プロジェクトマネージャー補佐(Project Management Office、PMO)とは、プロジェクトマネジメントをサポートする職種や組織のことです。

プロジェクトマネージャー補佐からプロジェクトマネージャーを目指す場合は、まず議事録作成やスケジュール管理、お客様とのコミュニケーションなどを学びながら、管理者としての役割をより深く理解していきます。

将来的には、プロジェクトマネージャー間の調整もできる「シニアマネージャー」になれる可能性もあります。

スペシャリストからのキャリアパス

ソフトウェア開発から、アプリケーションなどの技術職のスペシャリストになり、開発経験を活かしてプロジェクトマネージャーを目指すケースもあります。

スペシャリストとして専門分野や最新技術に関する提案ができれば、クライアントからも信頼され、プロジェクトをより円滑に遂行できるでしょう。さまざまなプロジェクトに参加してきた経験は、現場のエンジニアとスムーズにコミュニケーションを図るのにも役立ちます。

プロジェクトマネジメントに特化した資格

さまざまな資格試験でプロジェクトマネジメントの知識は問われますが、ここではプロジェクトマネジメントに特化した資格について詳しく見ていきましょう。

【国家資格】プロジェクトマネージャ試験(PM)

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プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する「情報処理技術者試験」の一つで、日本国内での知名度の高いプロダクトマネージャー資格です。

システム開発におけるマネジメントスキルを問う試験となっており、組織運営、プロジェクトの計画立案・予算・工程、品質管理、リスクの把握など、幅広い知識が問われます。

合格率は例年10%台の高難易度試験で、2022年度は受験者6680人、合格者959人、合格率14.4%という結果でした。専門書や過去問での入念な準備が必要な試験です。

なお、プロジェクトマネージャ試験については、以下の記事も合わせてご確認ください。
プロジェクトマネージャ試験(PM)とは?難易度や勉強方法を解説
プロジェクトマネージャ試験(PM)の出題範囲と合格するための勉強方法・対策

【民間資格】P2M試験

【民間資格】P2M試験 クリックして拡大

P2M試験について

日本プロジェクトマネジメント協会が主催する、マネジメントスキルに関する民間資格です。P2Mとは「プログラム&プロジェクトマネジメント」を略したものです。

プロジェクトマネージャーに必要とされる知識やスキルを認定する試験で、エンジニアだけでなくさまざまな業種の管理者も受験しています。

試験は「PMC(プロジェクトマネジメント・コーディネーター)資格試験」「PMSプログラム試験」「PMS(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト)資格試験」「PMR(プログラムマネジャー・レジスタード)資格試験」「PMA(プログラムマネジメント・アーキテクト)資格試験」の5種類あります。

試験合格後は、PMCは5年、PMS資格試験とPMSプログラム試験は3年ごとに資格を更新する必要があります。

【国際資格】PMP試験

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PMP®資格について | 一般社団法人 PMI日本支部

PMP試験は、アメリカの非営利団体であるPMI(Project Management Institute)が主催する、プロジェクトマネジメントの国際資格です。試験はプロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKに基づいており、世界中で認知されている資格の一つです。

受験資格が定められており、プロジェクトマネジメント業務の経験者を対象とした試験となっています。

プロジェクトマネージャーに転職するには

近年、大規模プロジェクトが増えたことで、プロジェクトマネージャーの需要が高まっています。プロジェクトマネージャーを求める企業は増えており、求人も比較的容易に見つかります。

しかし、プロジェクトマネージャーには、高度なマネジメントスキルと開発に関する専門知識が要求されるため、転職ハードルは高めです。

プロジェクトマネージャーやシステムエンジニアなどの経験者の場合は、経験を活かせる業務内容の求人に募集するのがおすすめです。また、AIやDXなど需要の高い分野の知識を習得すれば、転職が成功する可能性も向上するでしょう。

異業種・異業界から、いきなりプロジェクトマネージャーに転職するのは非常に難しいでしょう。ただし、リーダーシップやコミュニケーション能力に優れている場合は、プロジェクトマネージャーになるチャンスも存在します。

プロジェクトマネージャーは全体の責任を負う大切な仕事

プロジェクトマネージャーとして開発現場で活躍するには、技術職とは大きく異なるマネジメントにかかるスキルが求められます。また、一定以上の技術職経験や知識も必要となるこの職種へのキャリアアップを図るには、プログラマーやシステムエンジニアといったプロジェクトマネージャーよりも下流工程の作業に携わりながら、幅広い仕事を覚えていく必要があるでしょう。

将来的にプロジェクトマネージャーになりたいと考えている人は、まず自分に今備わっている知識や性格面を徹底的に見直し、若いうちから足りない部分を少しずつ補う取り組みを実践してみてください。