Kotlinとは?Androidアプリ開発で注目の言語をJavaとの違いやメリットも併せて紹介
アプリエンジニアの注目を集めるKotlinについて、メリット・デメリットや、Javaとの記述方法の違いを詳しく解説していきます。
アプリエンジニアの注目を集めるKotlinについて、メリット・デメリットや、Javaとの記述方法の違いを詳しく解説していきます。
スキルアップ
2022/08/26 UP
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KotlinはチェコのJetBrains社が開発したオブジェクト指向のプログラミング言語です。現在人気のある言語の中では比較的新しく、GoogleがAndroid向けのアプリ開発言語として公式採用したことで脚光を浴びました。
Javaを簡潔かつ安全に記述できるように改良されたKotlinはJavaとの相互運用が可能で、互いのプログラムを呼び出すことができます。
今回はアプリエンジニアの注目を集めるKotlinについて、メリット・デメリットや、Javaとの記述方法の違いを詳しく解説していきます。
なお、Kotlinを実際始めてみたいという人は、下記のKotlinの入門記事も併せてご参照ください。
Kotlin(コトリン)とは? - Android開発で脚光!
Kotlinは2011年にJetBrains社が開発した、JVM(Java仮想マシン)上で動作するオブジェクト指向のプログラミング言語です。Javaの記述を簡潔にしながらJavaと100%の相互運用性を維持していることから、他のJVM言語と異なりJavaとKotlinが混在するプログラムを作成できます。
2019年5月7日にGoogleによってKotlinはAndroidアプリデベロッパーの推奨言語にすると発表されました。これによって、それまでJavaが推奨言語とされていたAndroidアプリの開発言語にKotlinが加わり、Googleからより強いサポートを受けることとなりました。
大手SNSの公式アプリなど、Kotlinを採用したアプリはGoogle Play上でその数を増やしています。また、簡潔で洗練された記述方法によってJavaよりもコーディングしやすく習得難易度が低いKotlinは、使用するエンジニアも急速に拡大しています。
なお、Kotlinの由来は言語の開発地であるサンクトペテルブルクに近いバルト海フィンランド湾にあるコトリン島です。コトリンとはフィンランド語で「やかん」を意味し、言語のロゴマークにも、かつてはやかんのデザインが採用されていました。
Kotlinのメリット・デメリット
Javaと100%の相互運用性を持つKotlinには、Androidアプリを開発するための言語として優れた特徴があります。Javaをより簡潔・安全に改良した産業利用向け汎用言語であるため、Javaの良い点を活かしながらさらにより有用な機能を採用しています。
具体的にKotlinが持つメリットとデメリットについて見ていきましょう。
【メリット1】Kotlinはコードが簡潔
簡潔な記述と安全・安定の向上を目的として改良されたKotlinは、元となったJavaと比較してコードがシンプルでわかりやすく、システム構築の際の負担も軽減されています。同じ命令をJavaよりも簡潔な記述で実行できるため、プログラミングをする人の負担も少なく、工数も圧縮されています。
また、構文構造や文法がシンプルなため、習得難易度が高いJavaと比較すると難易度は格段に下げられています。
【メリット2】高い安全性
産業利用向けの汎用言語として開発されているため、不具合になるようなコードが書きづらい文法を採用しています。また、実行時に例外を起こしにくいコードが書きやすいため、想定外のバグが発生してシステムダウンに繋がるような問題が起きにくい安全性の高さが特徴です。
KotlinにはNull safetyという言語仕様があります。Javaでは頻繁に発生することで有名な、システムに障害をもたらすnull参照による実行時エラーを未然に防げるコードを書きやすくなっているため、安全で安定したシステムを構築しやすいメリットもあります。
【メリット3】Javaからの移行がしやすい
JavaからKotlin、KotlinからJavaを相互に呼び出して使用が可能です。そのため、既に開発が進んでいる古いコード部分はJavaのまま、新しく開発する機能はKotlinを使用して記述し、置き換える、というハイブリッドな開発が可能になります。
Kotlinはデメリットがほとんどない
Kotlinは、Javaの持つデメリットを解消するよう開発されているので、デメリットがかなり少ない言語と言えます。ライブラリもJavaのものをそのまま利用できるほか、Javaとの相互運用性があるためKotlinでは難点がある部分はJavaで開発する形でカバーもできます。
強いて挙げるとするなら、まだ新しい言語であるため、開発に関するドキュメントが少ない点があります。しかし、GoogleがAndroidデベロッパーに向けてKotlinの学習環境やオンライン学習コース、参考情報の資料などを日本語でも提供しているため、Android Studioと併せて活用することで不足を十分補えます。
【比較】KotlinとJavaのコードの違いについて解説
KotlinはJavaと比べてコードがシンプルに記述できるのが特徴です。そこで実際に同じような結果になる処理を2つの言語でそれぞれ記述し、、コードの違いを見ていきましょう。
for文
ループ処理の基本であるfor文です。
今回は0から5まで1ずつ加算して結果を表示しながらループ処理を繰り返します。
Javaで記述すると次の通りになります。
Javaの場合
for (int i = 0; i < 5; i++) { System.out.println( i + "です"); }
これをKotlinで記述すると、次のようになります。
Kotlinの場合
for (i in 0..5) { println("${i}です") }
Kotlinでは「変数名 in 範囲」で処理を繰り返す条件を定義できます。
when 文
Javaには条件分岐として、ifとswitchがありますが、Kotlinにはswitchがありません。そのかわりにwhenがあります。
次のサンプルでは0〜3と現在の数値が一致すれば数値を表示し、どれとも一致しなかった場合は「その他の数字です」と表示します。
Javaのswitchの場合
int i = 1; switch(i) { case 0: System.out.println("0"); break; case 1: System.out.println("1"); break; case 2: System.out.println("2"); break; case 3: System.out.println("3"); break; default: System.out.println("その他の数字です"); }
Kotlinのwhenの場合
val i = 1 when(i) { 0 -> println("0です。") 1 -> println("1です。") 2 -> println("2です。") 3 -> println("3です。") else -> println("その他です。") }
switchと同等の処理を行なっていますが、Javaと比較すると格段にシンプルで読みやすいコードになっていることがわかります。
List文
次にList文を見てみましょう。ListにString型の値を3つ初期値として入れ、さらに値を1つ追加して、最後にListに格納した値を全て表示するサンプルコードです。
Javaの場合、コードは以下のようになります。
JavaのListの場合
List<String> list = new ArrayList<>(Arrays.asList("aaa", "bbb", "ccc")); list.add("ddd"); for(String s : list){ System.out.println(s); }
これをKotlinで記述すると以下の通りになります。
なお、KotlinのListには、後から変更ができない「List」と、後から変更ができる「MutableList」の2種類あります。
まずはListを見ていきましょう。
KotlinのListの場合
var list = listOf("aaa", "bbb", "ccc") // list.add("ddd") // listの場合は値を追加できないため、このコードはエラーとなるのでコメントアウトします。 for (s in list) { println(s) }
続いてMutableListです。
KotlinのMutableListの場合
var list = mutableListOf("aaa", "bbb", "ccc") list.add("ddd") // ←MutableListは変更可能なため、この値を追加できます。 for (s in list) { println(s) }
このように、Javaと比較するとKotlinでは半分程度のコード量で済みます。
初心者にもオススメのKotlinでプログラミングを始めよう!
Kotlinはシンプルなコードで記述できる文法を持つ安全性の高いプログラミング言語です。まだ登場してから日が浅い言語ですが、GoogleがAndroidアプリ開発言語として公式採用したことから今後需要は大きく拡大していくことが想定されています。それに伴い、KotlinでAndroidアプリを開発できるエンジニアへの求人需要もますます増加していくと考えられています。
習得難易度が高いと言われているJavaと比較すると、同等の処理を行なえるにも関わらずシンプルで書きやすく、学習難易度も低いだけでなく、Googleによる言語学習者へのバックアップ体制も整っていることから、プログラミング言語を学習しようと考えている人にはオススメの言語です。初心者にもオススメのKotlinで、Androidアプリエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか?