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SIerとは?需要が高まる理由や今後求められる役割について解説

この記事では、SIerの仕事内容や今後の需要などについて解説しますので、SIer企業への就職や転職を考えている方、SIer業界に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

SIerとは?需要が高まる理由や今後求められる役割について解説

この記事では、SIerの仕事内容や今後の需要などについて解説しますので、SIer企業への就職や転職を考えている方、SIer業界に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

知識・情報

2022/05/20 UP

システム開発の専門家であるSIerは、IT技術の進化やDX推進を支えるうえで不可欠な存在です。今後あらゆる場面でIT化が進み、企業もより高度なシステムが必要になるでしょう。しかし、システムの性能が向上すれば専門性も高まるため、SIerには運用の支援などといった新たなニーズが予想されます。

この記事では、SIerの仕事内容や今後の需要などについて解説しますので、SIer企業への就職や転職を考えている方、SIer業界に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

SIerとは

そもそも、SIerの読み方や言葉の意味をご存じでしょうか。ここでは、SIerの意味や担っている役割について解説します。

SIerはシステム開発を請け負う企業

SIer(エスアイヤー)の意味は、システムインテグレーター(System Integrator)に由来する和製英語です。ITシステムの設計や開発などを行なう意味のシステムインテグレーション(System Integration)の語尾が「~er」になれば、それを行なう人という意味になります。

要するに、SIerは設計や構築、さらには保守や運用まで、ITシステムに関わるすべての工程を一貫して請け負ってくれる企業という意味です。システムに関するすべての工程を依頼することも可能ですが、一部の工程のみの依頼でも引き受けてもらえます。

仕事内容

SIerが請け負う仕事は業務システムの他にもアプリケーションの開発、完成したシステムの運用や保守など、内容は多岐にわたります。SIerに依頼すれば、官公庁や金融機関など、エンジニアを抱えない非IT企業でも自社の要望に沿ったシステムの導入が可能です。

システムを完成させるまでには、要件定義や基本設計から始まり、詳細設定、コーディングなど、複数の工程をこなさなければなりません。そのため、大手SIerが上流工程(要件定義や基本設計)を担当し、下流工程(開発や運用保守)を下請けに依頼するなど、複数のSIerが連携するケースが多いでしょう。

SIerの分類

SIerの分類

SIer企業は4つに分類されており、SIerについて理解を深めるためには違いを把握しておくことが重要です。ここでは、SIerの種類や特徴について解説します。

メーカー系

メーカー系のSIer企業とは、ネットワーク機器やパソコンなど、IT関連機器を製造販売するメーカーの系列企業です。本来は親会社にあった情報システム部などの規模が大きくなり、別会社として独立させるケースで多く見受けられます。

親会社の基盤があることから、案件数が安定していることや大規模案件に携われるなど、メリットのある企業といえるでしょう。しかし、上流工程は親会社の担当であることや、仕事内容が限定的になってしまうことなど、デメリットに感じられる要素もあります。

ユーザー系

ユーザー系のSIerもメーカー系と同様に、親会社の情報システム部から独立した企業です。メーカー系の親会社はIT関連企業ですが、ユーザー系の親会社はIT以外のさまざまな業界であることが特徴といえるでしょう。

案件の受注は親会社やグループ企業からがメインのため、メーカー系との共通点も多く見受けられます。しかし、ユーザー系SIerの親会社はあらゆる業界とつながっているケースが多いことから、他分野の業界に領域を広げているSIerが存在するのも特徴の一つです。

外資系

外資系SIerは、グローバルに事業展開している海外大手企業の日本法人を意味します。システム開発はもちろん、コンサルティングに強い企業が多いことや、グローバルな案件に携わる機会があるのが特徴です。

外資系SIerは比較的給与水準が高く、年功序列も関係ありません。日本企業の文化とは異なる環境のため、成果を重要視されたい人にとっては非常に魅力的といえるでしょう。一方で、合併や買収など、労働環境が変化しやすい一面もあります。

独立系

独立系SIerの大きな特徴は、親会社を持っていないことです。親会社の影響を受けないため、顧客それぞれに適した柔軟な開発が行なえます。また、システム開発に重点を置いている企業が多いことから、開発スキルの向上も目指せるでしょう。

しかし、基盤となる親会社がないため、経営状況は安定しないことも考慮しなければなりません。また、独立系SIerは下請けという立場上、上流工程に携わる機会は少ないと考えられます。要件定義や設計などにも挑戦したい場合には、不利な立場といえるでしょう。

SIerに将来性はない?なぜそう思われるのか

「SIerに将来性はあるのか?」一部ではこのような意見もあるようです。なぜ将来性が不安視されているのか、その原因について解説します。

高品質なクラウドサービスの普及

近年、SaaS(Software as a Service)など、クラウド上で利用できるソフトウェアサービスが普及しています。利便性の高いサービスであり、自社専用のシステムを開発しなくても業務効率化や生産性の向上を図れるのが魅力の一つです。

しかし、クラウドサービスを活用する企業が増加すれば、SIerが得意とするスクラッチ開発(ゼロからのシステム開発)を採用する企業は減少する可能性が考えられます。導入コストなどを考慮しても、クラウドサービスにシフトする企業は増加するのではないでしょうか。

多重下請けの常態化

SIer企業の大きな特徴は、元請けから下請けへ、さらに孫請けへといった多重下請けの常態化です。委託するごとに中間マージンが発生するため、下請けになればなるほど給与は少なくなる構造といえるでしょう。

下請けで給与が低いとしても、クライアントからの厳しい要望には応えなければなりません。また、案件には納期があるため、スケジュールがタイトになることもあります。このような状況のためか、人材の定着率は高くありません。

IT人材の不足

前述した多重下請けの常態化は、現場の人材不足に大きな影響をおよぼしています。より良い条件や環境の企業が見つかれば、当然そちらに流れていくのは想像に難くありません。

企業はそれでも売り上げを伸ばさなければならないため、受注件数を増やす必要があるでしょう。しかし、受注案件が増えたとしても、既存社員の負担が増すことでさらなる人材流出の可能性も考えられます。SIerを不安視する意見がある原因は、このような悪循環か環境も影響しているのでしょう。

SIerは今後も不可欠な存在!その理由とは

クラウドサービスなどの普及により、スクラッチ開発を必要としない企業が存在するのも事実です。しかし、今後のIT業界において、SIerの存在は不可欠であると予想されます。ここでは、その理由について解説しますので、SIerの重要性について理解を深めましょう。

DXの推進やIoTの普及でIT活用の活発化が見込めるため

近年、DXの推進にともない、多くの企業ではITを活用して業務効率化に取り組んでいます。また、AIによるビッグデータの分析が可能になったことで、IoTを活用した生産性の向上にも取り組めるようになりました。

これまではSIerが開発したシステムを利用してきた企業でも、前述したクラウドサービスなどに切り替えて効率化を図ることは可能です。しかし、SaaSやクラウドを運用するためには、ITを活用する知識やスキルがなければ実現しません。

そもそもSIerは、ITシステムの開発だけでなく、運用や保守なども請け負う企業です。その能力を武器に、利益をあげるクラウドサービス活用のコンサルティング依頼など、新たな需要が見込めるでしょう。

アジャイル開発への移行やハイブリッド開発の採用

従来のシステム開発では、完成品のクオリティが担保できるウォーターフォール開発が採用されてきました。開発に必要となるリソースをある程度把握できることもあり、顧客にとっても開発側にとってもメリットのある手法といえるでしょう。

しかし、品質重視による開発期間の長期化や仕様変更における費用増加など、デメリットになりうる要素もあります。このような要素を解消した手法として採用されているのが「アジャイル開発」です。設計やテストの単位を小さくすることで段階的なリリースが可能となり、成果物を迅速に納品できます。

また、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の両方を採用した「ハイブリッド開発」という手法であれば、各工程に適した開発手法の採用が可能です。顧客の要望に応えられる要素が多くなるため、顧客満足度の向上が見込めるでしょう。

大口顧客のシステムにSIerは不可欠

官公庁や大手企業などの大規模案件は、簡単にクラウドへと移行できるような規模ではないため、今後もスクラッチ開発が必要と考えられます。また、システムを運用していくためには、定期的にメンテナンスを行なうことが重要です。開発もメンテナンスも高度な専門知識が必要なため、信頼できるSIerの存在は不可欠といえるでしょう。

大口顧客である官公庁や大企業は、中小企業よりも存続する可能性が高く、今後も継続して案件を受注できるクライアントの一つです。信頼関係を築くことができれば、長期的に案件がもらえるベンダー的存在も目指せるでしょう。

充実した研修制度により活かせるスキルが身に付く

SIerの特徴の一つに、充実した研修制度が挙げられます。現場での対応力が身に付けられるよう、座学とOJTの両方を取り入れているため、スキルの高いエンジニアの育成が可能です。

研修の種類は新人向けにとどまらず、ポジションや年齢応じた研修制度も設けています。そのため、転職した際でも安心してスキルの向上を目指せるのが魅力です。

なかには退職して他分野や他社に移る人もいるでしょう。しかし、ITに関わる企業でその能力は活かされます。SIer企業の研修制度は、高度なIT人材を育成する役割を果たしているともいえるため、ITの活用が活発化している現代において不可欠な存在といえるでしょう。

SIer企業に就職や転職する際のチェックポイント

SIer企業に就職や転職する際のチェックポイント

SIer企業への就職や転職を考えるうえで重要なのは、応募する企業について理解を深めることです。SIerは企業によって携われる工程や顧客などに違いがあります。どこのSIerでも同じだろうと安易に決めてしまえば、入社後のミスマッチにつながりかねません。

例えば、メーカー系の企業なのか外資系の企業なのかでは、企業文化や環境が異なります。長期的に安定した環境で働きたいと考えている場合はメーカー系、成果を評価に直結させたい場合は外資系など、目的を明確にして企業を選ぶ必要があるでしょう。

また、どのような親会社なのかによって、業務内容や取引先にも違いがあります。親会社の取引先がわかれば、案件規模や携わる分野などが明確になり、自身が挑戦したい業務内容の企業で働くことが可能です。

官公庁などの案件では、安全性が担保された品質の高いシステムを開発しなければならないため、専門性の高い能力が求められます。取引先によっては、既存システムの関係で古い技術の知識が求められるかもしれません。事前に取引先を確認し、自身の理想をかなえる働き方を目指しましょう。

SIerは新たな技術の登場でさらに需要が高まる

クラウド移行が難しい企業やオリジナルシステムを導入したい企業にとって、信頼できるSIerの存在は不可欠です。また、クラウド移行が実現している企業のなかには、適切な運用方法がわからず、活用できていないケースも考えられるでしょう。

SIerはシステム関連の専門家であることから、運用や保守、メンテナンスを含めたコンサルティングなど、これまでとは異なる需要があると予想されます。新たな需要を考慮し、求められる能力を磨くことで今後も活躍の幅は広げられるでしょう。