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システムの概念を変える「オートノミックシステム」。特徴やメリットを解説

本記事ではオートノミックシステムの特徴やメリットについて、詳しく解説します。

システムの概念を変える「オートノミックシステム」。特徴やメリットを解説

本記事ではオートノミックシステムの特徴やメリットについて、詳しく解説します。

知識・情報

2022/09/22 UP

皆さまのなかには、「オートノミックシステム」という言葉を耳にした方も、いるのではないでしょうか。オートノミックシステムは、コンピューターが自らどう動作し、トラブルを修復するシステムです。今までのシステムで当たり前とされていた「コンピューターは人間の指示や操作によって動くもの」という常識を覆す、画期的な特徴を持っています。

本記事ではオートノミックシステムの特徴やメリットについて、詳しく解説します。

オートノミックシステムとは

オートノミックシステムはコンピューターが状況を自ら判断したうえで、以下の動作を行なえるシステムです。

・システムの操作や、応答内容の決定

・システムの管理(構成の最適化やパフォーマンスの調整など)

・問題点の修復

・攻撃からの防御

適切な動作を人の手を介することなく、自律的に行なえることは画期的といえるでしょう。変化の激しい状況下でも、適応し続けることができます。

上記の特徴を持つオートノミックシステムは、ガートナージャパンが公表する「2022年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の一つに挙げられています。

オートノミックシステムが持つ3つの特徴

オートノミックシステムが持つ3つの特徴

オートノミックシステムには、特徴的な3つのポイントがあります。それぞれの特徴を確認していきましょう。

自ら判断し、適切な方法を選んで動かせる

1つ目の特徴は、システム自身が状況を把握したうえで適切な方法を自ら選び、動作を行なう点です。いちいち技術者やオペレーターによる入力や操作を待つことなく、対応すべき選択を行なえます。未知の状況に対しても、ある程度までは対応可能です。

自律的な対応が可能となるため、管理コストを低減できます。対応する技術者を減らすことができ、そのぶんを他の業務にまわせることも見逃せないメリットです。これらの取り組みにより、顧客満足度の向上も図れます。

システムの管理や修復・防御も自律的に行なえる

2つ目の特徴には、システムの管理や修復・防御を自動的に行なえることが挙げられます。オートノミックシステムは、以下に挙げる4つの特徴を持っています。

・自己構成(自らのシステムを動的に構成できる)

・自己修復(不適切な動作を検出し、自動的に修復する)

・自己最適化(システムやパフォーマンスを最適化する)

・自己防御(外部からの攻撃から防御する)

上記の特徴を発揮することにより、人手を介することなく24時間365日、自動での運用を可能としています。

AIとRPAの組み合わせと同等の機能を持っている

ここまでの説明を読んだ方のなかには、「良さそうなことはわかるが、イメージがわかない」という方もいるのではないでしょうか。オートノミックシステムの仕組みは、以下の2つに分解できます。

1.現状に基づき、何をすべきか適切な判断を行なう

2.システムの変更や修正を行なうプログラムを自動で作成し、実行する

1番はAI(人工知能)、2番はRPAと同じ役割を果たします。オートノミックシステムは、AIとRPAの組み合わせと同じ機能を持つシステムといえるでしょう。

オートノミックシステムが求められる3つの背景

オートノミックシステムは、社会でなぜ必要とされるのでしょうか。ここからは3つの背景を取り上げ、必要とされる理由を解説します。

システムの複雑化により、保守の難易度が上昇

保守の難易度が上昇していることは、おもな理由の一つです。高度情報化社会に対応するため、ITシステムの機能も高度化。内部も複雑となり、他機能との関連も密接となっています。またIT業界は、人手不足が顕著です。保守においても人員不足のため、理想とする管理業務を行なえないケースもあります。

このような状況からITシステムの保守はより難しくなっており、原因の調査や対処にかかるコストも増大しています。

変化にもトラブルにも迅速な対応が必要

ビジネス環境が変化するスピードは増しており、顧客もクイックレスポンスを求める時代となっています。加えて24時間365日の運用が求められるシステムも増加しました。

これらのシステムでトラブルが発生した場合は、夜間や休日でも迅速な復旧が求められるケースも少なくありません。一方で技術者を常時待機させる体制は、大幅なコストの増加につながります。もし外注した場合は、多額の外注費が必要です。このため人員や人件費を増やすことなく、保守業務を行なえる仕組みが求められています。

外部からの攻撃にも適切な対応が求められる

情報セキュリティも、迅速な対応が求められる項目の一つです。セキュリティに関する脅威はより巧妙さを増し、影響範囲も大きくなり得るものとなりました。これまでのように「定期的に定義ファイルをアップデートする」「脅威が判明してから対処する」といった手法では、攻撃を防げないかもしれません。

これからのシステムでは怪しい動作を迅速に検知し、自動で対処する機能が求められています。

オートノミックシステムを活用する4つのメリット

オートノミックシステムを活用する4つのメリット

オートノミックシステムの活用により、4つのメリットが得られます。それぞれについて、順に確認していきましょう。

管理コストを抑えられる

オートノミックシステムを導入すると、システムが自らの状況を診断し、適切な対応を自動で実施します。日々の運用は、技術者の手を介することなく可能。技術者が直接操作してトラブルに対応する機会は、大きく減少することでしょう。

オートノミックシステムの導入により、担当者の削減や管理の無人化などを実現可能です。システム管理にかかる工数を減らすことができ、管理コストも抑制できます。ランニングコストの削減に結びつくことは、大きな効果となるでしょう。

自動でリソースを調整し動作を最適化できる

オートノミックシステムは以下の対応を、システムを止めることなく動的に行なえます。

・システム構成の変更

・リソースの調整

・パフォーマンスの管理

・動作の最適化

適切な値や構成は、システムが自動で算出します。技術者の手を煩わせる必要はありません。

これにより24時間365日、いつでも安定した稼動を実現します。顧客満足度の向上にも結び付くことでしょう。

営業時間外のトラブルにも素早く正確な復旧が可能

システムトラブルは、営業時間外に起こるケースも多いもの。サービス時間外の場合ならば、復旧まで時間を取れる場合もあるでしょう。しかし24時間365日動作するシステムの場合は、休日や深夜に関わらず迅速に復旧しなければなりません。

オートノミックシステムならば技術者を呼び出すことなく、システムが自ら最適な復旧方法を見つけ、実行します。いつトラブルが起こっても最適の方法を取れることは、大きなメリットといえるでしょう。また休日や夜間に技術者を常駐させずに済むため、職場環境の改善にも貢献します。

未知のセキュリティリスクにも適切に対応可能

オートノミックシステムは通常時から逸脱した動作が確認された時点で、異常を検知し必要な対処を行なえます。未知のセキュリティリスクにさらされた場合でも、ベンダーや技術者による解析を待つことなく、アラートの発生や修復など、適切な対応を実施できます。

オートノミックシステムの活用により、有事の際もシステムへの被害を最小限に抑えることが可能です。貴社の大切な情報資産を守れます。

オートノミックシステムの活用が期待される分野

オートノミックシステムは、さまざまな分野での活用が期待されています。以下に挙げる項目は、代表的な例です。

・自動運転

・ロボット

・ドローン

・産業機械

近い将来、オートノミックシステムは広く使われると見込まれます。業務の遂行や日々の生活に、なくてはならないものになるかもしれません。

オートノミックシステムは今後広がりが期待される

オートノミックシステムの活用により、技術者の有効活用と利便性の向上、安定したシステムの提供を実現できます。運営会社と顧客それぞれにとって、メリットの多いシステムといえるでしょう。少子化による採用難の時代でもあるため、今後の広がりが期待されます。

ITエンジニアはお持ちの技術を有効に活かすためにも、オートノミックシステムに関する情報をチェックすることをおすすめします。