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RPA×AIが描く未来−それぞれの違いやメリット、導入における注意点とは

それぞれの概要や違いから解説し、組み合わせるメリットや導入における注意点を解説します。

RPA×AIが描く未来−それぞれの違いやメリット、導入における注意点とは

それぞれの概要や違いから解説し、組み合わせるメリットや導入における注意点を解説します。

DX

2021/11/08 UP

近年、働き方の改善やより効率的な業務の実現のためにRPAやAIの導入が進んでいます。RPAとAIは異なるものですが、組み合わせて利用されるケースも増えてきました。RPAとAIは何が違うのか、それぞれに何ができるのか、といったことが気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、それぞれの概要や違いから解説し、組み合わせるメリットや導入における注意点を解説します。

RPAとAIの概要、違い

RPAとAIの概要、違い

はじめに、RPAとAIの概要や必要とされる背景、両者の違いについて見ていきましょう。

RPAとAIは似て非なるもの

RPAとAIの最大の違いは、自ら判断ができるか否かにあります。RPAは定められたルールにしたがって自動的に処理を繰り返すものであり、AIは膨大なデータをもとに自ら判断をするものです。

RPAはソフトウェアロボットが人間の代わりにあらかじめ決められたルールに則って処理を行ないます。例えば、Excelファイルの資料から必要なデータを取り出し、システムに投入して自動的に処理を行なうなどが考えられるでしょう。

対して、AIは人間の考え方を模し、特定の条件にしたがって自ら判断して処理を行ないます。膨大なデータをAIに与えることで、予測や分類なども実現できます。近年AIが頻繁に活用される場面として画像認識が挙げられますが、これも膨大なデータをもとに分類を行なった結果実現しているものです。

このようにRPAとAIはコンピュータが自動的に処理を行なうという点は同じですが、自ら判断するか否かが大きな違いとなっています。

RPA、AIが必要とされる背景

RPAやAIが必要とされる背景には、現代の日本社会の問題点が挙げられます。日本の総人口は2008年をピークに減少を続けており、生産年齢人口に関しては1995年をピークに減少している 現状です。

総務省が公表した資料では、総人口は2030年に1億1,662万人、2060年に8,674万人にまで減少し、生産年齢人口は2030年に6,773万人、2060年に4,418万人にまで減少すると見込まれています。

2021年時点でも各種業界で人手不足が叫ばれていますが、今後はより状況が悪化すると見られているのです。業務に携わる人間の数が減るなかで、求められることは業務の効率化と自動化です。

昨今注目を集めるDXも根底には日本社会の問題点の存在があり、RPAやAIを用いた業務の効率化・自動化は必須のものとなっています。

RPA×AIがもたらす3つの段階

RPAとAIは異なるものですが、関係性がまったくないわけではありません。

RPAには3段階の自動化レベルがあり、現在の多くのRPAは1段階目のレベルに留まっていますが、今後AIと連携することでより広範囲の業務の効率化や自動化を実現できるようになります。

RPAの3つの段階 概要
クラス1(RPA) 情報取得、入力作業などの定型業務の自動化
クラス2(EPA) AIとの連携による一部非定型業務の自動化
クラス3(CA) 高度なAIとの連携によるプロセス分析・改善・意思決定の自動化

AIの開発も進んでいますが、現在は特定の問題を処理するために開発された“弱いAI(狭義のAI)”がほとんどです。人間の知能そのものを再現する“強いAI”に近づくことができれば、より業務自動化の幅が広がるでしょう。

しかし、現在のAIでも特定の問題を処理することに特化することで、RPAと連携して非定型業務の自動化が実現しつつあります。このようにRPAとAIの組み合わせは“RPAAI”や“RPAI”と表現されることもあるため、覚えておくとよいでしょう。

RPA×AIのメリット

RPA×AIのメリット

RPAとAIの組み合わせは、多くのメリットをもたらします。まず、RPAを導入することによって定型業務の自動化や業務効率化・高速化が実現でき、コストの削減にもつながるでしょう。

そこに、自ら判断するAIを組み合わせることで、一部非定型業務も対応できるようになり、自動化できる業務の範囲が広がります。例えば、商品の売上予測や業務効率化の提案なども実現できるようになります。

AIは膨大なデータから予測・分類などを行なうため、人間が判断するよりも正確かつ素早く実現できる可能性があります。現在は人間にしか行なえない非定型業務も、AIが対応できるようになれば人間よりも正確に素早く判断し、具体的な処理内容をRPAに任せることも可能です。

RPA×AIはあらゆる業務の自動化・効率化が実現可能性を持つ手段です。

RPA×AIの仕組み

RPA×AIの仕組み

RPAとAIによる業務効率化・自動化を理解するために、両者の仕組みについて簡単に見ていきましょう。

RPAは作業手順を可視化したシナリオを事前に作成し、実行することでソフトウェアロボットが人間の代わりに業務を行ないます。シナリオの作成はプログラミングなしでも可能ですが、複雑な作業や繰り返し処理、細かいカスタマイズを行なう場合にはプログラミングが必要です。

その際に利用される言語はさまざまですが、国内での導入事例が多いWinActorやUiPathで利用できる言語としては、VBScript/VB.NET/C#などが挙げられます。RPAとプログラミング言語の関係について詳しく知りたい方は「RPA、自動化のためのおすすめプログラミング5選とその理由」で解説していますので、こちらもぜひ御覧ください。

次にAIでは機械学習やディープラーニングなどの技術を利用し、自然言語処理や画像解析などを実現します。RPAと組み合わせることで、ヘルプデスク対応や経営判断、Webのレコメンド広告配信などの自動化が可能になります。

RPA×AIの導入における注意点

RPA×AIの導入における注意点

RPA×AIは多くの効果をもたらしますが、闇雲に導入するだけでは効果を発揮できません。ここでは、RPA×AIの導入における注意点や運用における注意点を紹介します。

目的・目標の明確化

RPAやAIを導入する際に最も重要なことは、目的と目標を明確にすることです。「なぜRPA/AIを導入するのか」「どのようなことを期待しているのか」といったことが明確になっていなければ効果を実感できません。

目的と目標が曖昧なままでは、自動化する業務の選定も曖昧になり、効果を最大限に発揮できるクリティカルな業務の特定が実現できません。導入における失敗事例でも、目的や目標が曖昧なまま導入したために効果が実感できなかった、というケースが多く見られます。

目的・目標の明確化は、例えば「業務の自動化による残業時間を月間○時間削減し、費用対効果を確認する」といったように具体的にすることが重要です。そうすることで、導入に最適なツールの選定やシナリオ・設定の方向性が明確になり、効果を得られやすくなります。

従業員に浸透するまでのタイムラグ

導入後に見落とされがちなものとして、従業員に浸透するまでのタイムラグが挙げられます。RPA×AIのシステムを従業員に浸透させるまでには時間がかかるものであり、初期には従来のやり方のほうがよいと思われることも多いでしょう。

しかし、導入に際して目的と目標を明確にしているはずであるため、成否の判断は目的・目標の達成可否によって下すべきです。従業員にはそのことをしっかりと説明し、マニュアルや運用体制を整えて従業員のサポートまで検討する必要があります。

実際に業務にRPA×AIを組み込み、従業員からのフィードバックをもらいながら改善を続けるため、浸透するまでに時間がかかる点は注意点として覚えておきましょう。

運用体制の維持

RPA×AIはシステムであるため、定期的なシステム点検や保守が必要になります。業務の自動化や効率化のために導入するものですが、運用体制を維持するための人員が必要です。

また、RPAの場合はシナリオにしたがって作業を行なうだけであり、誤ったシナリオを設定してしまうと業務に影響が出る可能性も考えられます。その際にも、適切に対応できるように運用体制を整えておく必要があり、運用体制の維持は導入前からしっかりと検討しなければなりません。

RPAとAIの活用はさらに進む!

RPAとAIはともに業務効率化・自動化を実現するための手段ですが、自ら判断できるか否かが大きな違いです。RPAではおもに定型業務の自動化で利用されますが、AIと組み合わせることで非定型業務の自動化だけでなく、プロセス分析や改善提案などまで実現できる可能性があります。

ただし、闇雲に導入するだけでは効果は発揮されず、「目的や目標を明確の明確化」「従業員に浸透するまでのタイムラグ」「運用体制の維持」といったいくつかの注意点があることは覚えておきましょう。

今後、RPA×AIの活用はさらに積極的になっていくと予想されます。この記事で紹介した注意点に留意しつつ、自社に最適なRPA×AIツールを選定し、業務の効率化・自動化を実現させましょう。