心理的安全性とは?低い職場のデメリットや高める方法について解説
この記事では、心理的安全性の概要や、概要や注目されるようになった背景、メリットやデメリットについて解説します。心理的安全性を高める方法や注意点についても触れていくので、生産性の高い組織の構築を目指している方はぜひ最後までお読みください。
この記事では、心理的安全性の概要や、概要や注目されるようになった背景、メリットやデメリットについて解説します。心理的安全性を高める方法や注意点についても触れていくので、生産性の高い組織の構築を目指している方はぜひ最後までお読みください。
知識・情報
2022/11/22 UP
- 働き方
- 管理
生産性の高い組織は、ただ単にメンバーの能力が高いだけでなく、「心理的安全性」が高いことも影響していると考えられています。
心理的安全性について「言葉は知っているけれど、具体的にどのような状態かは知らない」「ぬるま湯につかるようなイメージを抱いている」という方も多いのではないでしょうか。
心理的安全性のある組織を目指す場合、心理的安全性について正しく理解しないまま取り組みを始めてしまうと、理想とかけ離れた状態になるリスクもあります。
この記事では、心理的安全性の概要や、概要や注目されるようになった背景、メリットやデメリットについて解説します。心理的安全性を高める方法や注意点についても触れていくので、生産性の高い組織の構築を目指している方はぜひ最後までお読みください。
心理的安全性とは
心理的安全性(psychological safety)とは、組織内で自分の気持ちや意見を発言しても、拒絶されたり罰せられたりする心配がない「自分の考えを安心して発信できる状態」のことです。
心理的安全性は心理学用語の一つであり、組織行動学の研究者であるエイミー・エドモンドソン教授によって、1999年に提唱されました。
心理的安全性は、チームメンバー同士で「メンバーの発言や指摘によって、人間関係の悪化を招くことはない」という安心感が共有されている状態で成立します。そのため、誰か一人だけが安心感を得ていたとしても、それは心理的安全性のある環境とはいえません。
心理的安全性が高い状態では、自分のアイデアや意見をオープンに伝えることができます。活発な意見のやり取りが日常的になり、その輪が広がることで組織が活性化するというメリットがあります。
心理的安全性が注目される背景
心理的安全性が注目されるようになった背景には、アメリカの大手企業Google社が実施した「プロジェクト・アリストテレス」の存在があります。このプロジェクトは、自社の生産性を向上させることを目標として、2012~2015年にわたり実施されました。
プロジェクト・アリストテレスは、生産性を向上させる働き方を明らかにすることを目的としており、統計や組織心理学、社会学などの専門家によって多角的な分析が行なわれました。
そして、さまざまな分析の結果「生産性の高さはメンバーの能力や働き方のほかに、自分の意見を安心して発信できるという心理要素も影響している」ということが判明したのです。具体的には、心理的安全性が確保されている環境では、離職率の低下、多様なアイデアを活かした収益性の向上、チャンスが増えることで評価の機会が多くなるなどの影響が見受けられました。
2016年にこの調査結果が発表されて以来、世界中で心理的安全性が注目されるようになったのです。
【デメリット】心理的安全性が低い職場で起こりうる「4つの不安」
心理的安全性が低い職場では、生産性が低迷するだけでなく、さまざまな負の影響が生じる可能性があります。心理的安全性が低い職場で起こりうる「4つの不安」について見ていきましょう。
「無知」だと思われる不安
心理的安全性が低い職場では、質問や確認をしたくても「こんなことも知らないのか」と思われるのではないかと不安になる状態が生じる可能性があります。
上司や同僚に対して必要な質問ができなくなり、相談すること自体も不安に感じるようになります。無知だと思われる不安を抱えた状態では、社内のコミュニケーションも減少していってしまいます。
「無能」だと思われる不安
心理的安全性が低い職場では、ミスや失敗をした際に「こんなこともできないのか」「仕事ができない人間だ」と思われるのではないかと不安に感じてしまいます。
無能だと思われる不安を抱えている場合、自分の失敗を認められなくなったり、些細なミスも報告せずに隠してしまったりする可能性があります。
「邪魔をしている」と思われる不安
ミーティングなどで、自分の発言によって議論が長引いたり、本題から外れたりした際に「議論の邪魔をしている」と思われないか不安になる状態です。
この不安を抱えていると、自分から提案や発言をしなくなります。新たなアイデアやイノベーションが生まれる機会が失われ、組織の成長力を低下させる要因にもなりかねません。
「ネガティブ」だと思われる不安
ネガティブだと思われる不安とは、現状をより良く改善するための意見を発言しようとしても「いつも他人の意見を否定する」と思われるのではないかと不安になる状態のことを指します。
自分の意見が他のメンバーの意見を否定する要素をわずかでも含む場合、意見を言い出せなくなってしまいます。議論が消極的になり、アイデアがブラッシュアップされる機会の損失にもつながります。
【メリット】心理的安全性が高まることによる効果
心理的安全性が高く活発に意見を出し合える環境を構築することは、働きやすさが改善されるだけでなく、職場の生産性を向上することにもなります。心理的安全性が高まることによって得られるメリットについて、具体的に見ていきましょう。
チームメンバーのパフォーマンスが向上する
心理的安全性が高い環境では、安心して仕事に取り組むことができます。業務に集中することができるため、個人のパフォーマンスの向上が期待できます。
従業員全員のパフォーマンスが向上すれば、職場全体の生産性も大きく向上することになるでしょう。
コミュニケーションが活発になる
心理的安全性が高い職場では、自分の意見を積極的に述べることができます。メンバー間の連携も良くなり、組織内のコミュニケーションも活発になります。
コミュニケーションが活発な組織では、情報の交換がスムーズに行なわれます。ミスが起きた場合も迅速にエスカレーションすることが当たり前となり、早期に対応できるようになります。
イノベーションが創造されやすくなる
心理的安全性は、自分の意見が否定されないという安心感をメンバー全員が共有している状態です。どのような意見を出しても受け止めてもらえるという安心感があることで、新しいアイデアが生まれやすくなります。
ゼロから何かを生み出すようなアイデアだけでなく、現状をより良くするための改善案なども積極的に出るようになるため、イノベーションが創造されやすくなるというメリットもあります。
エンゲージメントが向上する
心理的安全性の高い組織では、自分のアイデアを安心して発信することができます。すべての従業員が「自分の意見から新しい取り組みが始まる」という経験ができる可能性を秘めているのです。
個人の能力を活かせる環境があれば、従業員のエンゲージメントも高まります。また、組織への愛着が増すため、離職率を下げることにもつながります。
心理的安全性を高める方法
「だれもが安心して自分の意見を発信できる環境」を作るには、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。この章では、心理的安全性を高める方法について具体的に見ていきましょう。
心理的安全性を感じられる環境を整える
まず、心理的安全性を感じられる環境を整えることが大切です。
雑談や対話をする場を設け、メンバーが発言することに慣れる機会を用意します。例えば、
勉強会やディスカッションなどは普段の業務から少し離れた場のため、発言にともなう不安が軽減しやすいというメリットがあります。
いきなり仕事の場で発言を求めても、不安はなかなか拭えないものです。まずは気軽に発言できる場を設け、心理的安全性を感じやすくすることが大切です。
メンバー全員が発言できるようにする
ディスカッションでは、一見活発な意見交換が行なわれているように見えても、特定の人物ばかりが発言しているということも少なくありません。
心理的安全性の高い環境を目指す場合は、すべてのメンバーが安心して発言できるような環境を整える必要があります。発言を控えているメンバーに発言を促すなど、メンバー全員が発言できる機会をもてるように工夫するとよいでしょう。
発言を控えているメンバーは、何らかの不安を抱えている可能性もあります。出てきた意見は決して否定せず、一つの考えとして尊重する姿勢も重要です。
課題や問題に対してポジティブな反応をする
ネガティブな雰囲気が漂う職場では、メンバーのモチベーションが低下するだけでなく、誰かの意見に対しても否定的な考えを抱きやすくなってしまいます。
特に、上司やリーダーのもつ雰囲気は職場全体に影響をおよぼします。課題や問題が生じた際も、上司やリーダーはポジティブな意見や行動をとるように心がけましょう。上司のポジティブな姿を見ることで、メンバーにも物事をポジティブにとらえる習慣が身に付きます。
ポジティブな思考が習慣化することで、他者の意見を否定しない、自分の意見が否定されないという、心理的安全性の高い環境が作られていくのです。
役職や年齢を問わず意見を発信できる場を設ける
自分より立場が上の相手に対して意見を述べるのは、なかなか勇気がいることです。いざ意見を述べようとしても、うまく言葉にできなかったという経験のある方も多いのではないでしょうか。
心理的安全性の高い職場を目指す場合は、役職や年齢を問わず、安心して自分の意見を発信できるようにすることが重要です。
いきなり仕事に対する意見を求めるのではなく、まずは自由に考えを述べられる場をセッティングして、さまざまな属性の相手と対話することに慣れられるようにするとよいでしょう。意見を発するハードルを下げることで、不安も感じにくくなります。
「役職や年齢が自分より上の相手であっても、自分の意見を否定せず耳を傾けてくれる」という経験をすることで、心理的安全性が高まり、組織内の風通しを良くすることにもつながります。
価値観の多様性を受け入れる
心理的安全性を高めるには、すべてのメンバーが「自分の存在が受け入れられている」と感じていることが重要です。そのためには、メンバーの言動を否定することなく、個人を尊重する必要があります。
他者を受け入れるためには、まず多様な価値観が存在することを認めることが重要です。自分と異なる価値観を否定せず、そのような考え方もあるのかと受け止めたうえで、意見のすり合わせを行なうとよいでしょう。
心理的安全性の向上を成功させるためのポイント
心理的安全性の高い環境では、上司・部下などの立場に関わらず、発言や行動ができるようになります。
心理的安全性がある状態は、意見のやり取りが活発になり、組織内の風通しが良くなります。しかし、その状態を「仲が良いだけの環境」と勘違いして、ぬるま湯のような組織にしてしまわないよう注意しましょう。
心理的安全性の向上に取り組む際は、馴れ合う関係性を作るのではなく、自分の意見を率直に発信できる環境を構築することが重要です。
また、上司やリーダーは組織がより良い方向に進んでいけるように、メンバーへの助言や指導はしっかり行ないましょう。メンバーに寄り添う姿勢は大切ですが、優しいだけの存在とならないようにすることが大切です。
心理的安全性を高めることは組織の生産性向上につながる
心理的安全性とは、「自分の意見を安心して発信できる」とメンバー全員が感じている状態のことです。心理的安全性が高い職場では、些細な意見でも安心して発信することができます。コミュニケーションが活発になり、生産性の向上や、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなるというメリットがあります。
心理的安全性が低い職場では、自分の意見を述べる際にさまざまな不安が渦巻いてしまいます。このような環境では、個人の成長機会の損失や、ミスを認められなくなるなど、負の連鎖が生じかねません。
心理的安全性を高めるためには、まず安心して意見を述べられるという体験をすることが大切です。また、活発に議論しているように見えても、特定の人物だけが意見を発信しているというケースもあります。議論の場では、全員が考えを発信できるように配慮することも重要です。