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WBS(Work Breakdown Structure)とは?メリットや作り方・注意点について

この記事では、WBSの概要や、WBSの目的、WBSを導入することのメリットについて解説します。WBSの作り方や注意点についても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。

WBS(Work Breakdown Structure)とは?メリットや作り方・注意点について

この記事では、WBSの概要や、WBSの目的、WBSを導入することのメリットについて解説します。WBSの作り方や注意点についても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。

知識・情報

2022/11/22 UP

プロジェクトを遂行する際は、作業や役割の重複が起きないようにしなければいけません。また、必要な作業を明確にし、納期に遅延が起きないようにスケジュール管理を行なうことが求められます。なかには「工数が多く複雑なプロジェクトの管理に手間取った」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

近年、ITシステム開発などのプロジェクトの管理方法として「WBS」が注目されています。WBSはプロジェクトの作業を細分化・構造化することで、それぞれのタスクを管理しやすくする手法です。

WBSはツリー構造をしており、一見すると簡単に作成できるようにも思えます。しかしWBSを作成する際は、各段階で押さえるべきポイントがあります。

この記事では、WBSの概要や、WBSの目的、WBSを導入することのメリットについて解説します。WBSの作り方や注意点についても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。

WBSとは

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトのスケジュール管理に使われる手法の一つです。WBSには、日本語で「作業分解構成図」という意味があります。

つまり、プロジェクトの作業工程を「作業要素ごと」に細かく「分解」し、「構造化」することで管理しやすくするという考え方なのです。

WBSを作成する際は、それぞれの作業に必要な人員やコストを割り出し、全体の作業計画を決めていきます。

また、タスクレベルで進捗管理ができるため、遅れている作業も一目でわかります。遅延の影響が大きくなる前に、迅速かつ柔軟なフォローが可能となるのです。

WBSの目的

WBSの目的

WBSは、プロジェクトの作業を明確化することを目的としています。

WBSの手法では、プロジェクトの目標達成に必要なタスクを明確にし、タスクごとにスケジュールを設定していきます。タスクを細分化することにより、各タスクに要する期間やリソースを細かくみることができます。

タスクレベルの必要な人員と所要時間を積み上げていくことで、高精度のスケジュール設定をすることができるのです。

また、タスクを細分化することで、タスクごとの作業工数が明らかになります。すべての工数を足し合わせることで、全体の工数を割り出すことも可能です。

WBSでは、プロジェクト全体の作業を把握し、作業内容を明確化したうえでスケジュール設定や役割分担をすることができます。そのため、精度の高い見積もりを用意することができるのです。

また、メンバーもプロジェクトの全体像を把握することができるため、不要なタスクの削除や、タスクの抜け漏れ防止にも役立ちます。作業同士の相関関係もわかりやすいため、関連する作業を意識しながらスケジュールを調整することもできます。

WBSを導入するメリット

プロジェクト管理では、スケジュールの管理・調整、メンバーの状況把握、コスト面など、さまざまな業務が発生します。WBSは全体の作業工数を把握しやすく、進捗管理をするうえでも役立ちます。

この章では、プロジェクト管理にWBSを導入するメリットについて、具体的に見ていきましょう。

やるべき作業が明確になる

WBSを作成すると、タスクごとにどのような作業が必要になるかを、細かく把握することができます。作業内容が明確になるため、タスクの抜け漏れや重複が起こりにくくなります。

また、メンバー全員がプロジェクトの全体像を理解したうえで作業を進めることができます。そのため、作業が遅れた際のフォローなどもスムーズに対応することが可能となります。

綿密なスケジュールを組むことができる

綿密なスケジュール設定ができる点も、WBSの魅力です。

WBSではプロジェクト全体の作業を細分化し、タスクごとに分担や手順などをガントチャートに展開していきます。タスク単位で作業期間をみることができるため、より綿密なスケジュールを組むことが可能となります。

役割分担がしやすくなる

WBSは、タスクを分解することで役割分担がしやすくなるため、各自の責任範囲を明確にできるというメリットがあります。

責任範囲が曖昧な状態では、タスクの抜け漏れや重複を招く恐れがあります。WBSでは、タスクを明確にしたうえで人員配置を行なうため、責任範囲の重複を回避することができるのです。

工数の見積もりの精度が向上する

タスクを細分化して抽出することで、工数の見積もりの精度を向上させることができます。全体工数を正確に把握できるため、スケジュール計画や進捗管理もしやすくなります。

タスクが十分に分解できていない場合は、おおざっぱな見積もりとなり、誤差が大きくなる可能性があります。

進捗管理がしやすくなる

WBSの手法を用いることで、プロジェクトの進行状況を最小単位(タスクレベル)で把握できるようになり、進捗管理がしやすいというメリットがあります。

状況を細かく知ることができるため、もし作業に遅延が生じた場合でも、割り当て人数の変更やスケジュールの調整など、迅速かつ柔軟に対応することができます。

WBSの作り方

WBSの作り方 クリックして拡大

WBSはプロジェクト全体の状況を把握しやすく、精度の高いスケジュール管理が可能となります。WBSを成功させるためには、作業を適切に細分化・構造化することが重要です。

この章では、WBSの作り方について、順を追って見ていきましょう。

作業をすべて洗い出す

WBSを作成するには、作業内容をすべて洗い出す必要があります。作業工数が明らかになっていない状態から、作業の内容や範囲を明確にしていきます。

まず、全体作業をタスクが可視化できるまで細分化します。作業期間は、最小レベルのタスクが数時間~数日の作業に収まるように調整するとよいでしょう。タスクの可視化では、作業の漏れや重複がないかよく確認します。

あまりに細分化しすぎると、実際の作業とはかけ離れた状態になる可能性があります。作業の洗い出しでは、全体的な流れを押さえながら、各フェーズで必要な作業はなにかを考えることが重要です。

作業の順序を決める

タスクの細分化ができたら、次は作業の順序を決めていきます。

「他の作業の進捗の影響を受けないもの」と「特定の作業が完了してから着手することになるもの」を分け、作業同士の関連性を意識しながら順序を設定します。

細分化した作業を組み合わせていくことで、プロジェクト全体に影響をおよぼす「クリティカルパス」の存在も明確になります。クリティカルパス内にある作業が遅れてしまうと、プロジェクトそのものが遅延してしまいます。

クリティカルパスは誰が見てもわかるように表記しておくようにしましょう。

作業を構造化する

決定した作業の順序をもとに、作業を構造化していきます。

まず、抽出した作業を階層(レベル)別に分解し、それぞれ並べていきます。同じ階層で隣り合う要素同士は、同程度のサイズ感になるように調整します。

タスクを階層ごとにまとめることで、作業の抜け漏れを防止する効果もあります。

作業ごとの担当者を設定する

作業を構造化したら、各タスクに担当者を設定していきます。1つのタスクにつき一人の担当者を設定するのが基本です。

1つのタスクに複数担当者を設定すると、責任範囲が曖昧になる可能性があります。適切な作業分担ができず、トラブルや作業の遅れが生じる場合もあるため注意が必要です。

作業の時間を見積もる

最後に、タスクごとにどの程度の作業時間が必要なのかを見積もり、それを積み重ねることでプロジェクト全体の作業時間を割り出します。

作業時間の見積もり方に決まりはありません。過去の類似ケースを参考にしたり、チームメンバーと相談したりして決めていきましょう。

WBSを作成する際の注意点

WBSを作成する際、必ずしもきれいに構造化できない場合があります。タスクの分解がうまくいかなかったり、情報不足によって不明確なタスク残ったりすることも珍しくありません。

もし不明確なタスクがある場合は、無理に分解するのではなく、作業を進めながら徐々に詳細化していくことがポイントです。実際の作業内容と合わなくなる可能性があるため、無理な分解はしないよう注意しましょう。

また、WBSを導入する際は、プロジェクトごとにWBSを新規作成するのではなく、類似ケースで使いまわせる汎用性の高いテンプレートを用意しておくと便利です。

テンプレートは、実際に使用しながら改善を繰り返します。テンプレートを改良していくことで、WBS自体の品質を向上させることにもつながります。

WBSはプロジェクト管理を効率化するための手法!

WBSは、作業を細かく分解し、構造化することで、プロジェクト全体の作業を詳細に把握するという手法です。

作業の相関関係も理解しやすく、各作業の役割分担がしやすくなるというメリットもあります。また、タスクレベルで状況を把握できるため、もし作業に遅れが生じた場合でも柔軟かつ迅速にフォロー計画を立てることが可能です。

WBSを作成する際は、作業の細分化を適切に行なうことが重要です。タスクを漏れや重複なく分割し、分割したタスクをさらに細分化していきます。最小レベルのタスクにかかる作業期間は数時間から数日程度に納まるようにし、タスクを細かくし過ぎないよう注意します。

タスクの細分化がうまくいかない作業がある場合は、無理に分解しようとせず、構造化をしながら徐々に詳細化していくとよいでしょう。

WBSの手法を使うたびに、ゼロから手順を踏んでスケジュール計画を立てるのは重労働です。あらかじめ、WBSのテンプレートを用意しておくと、効率良く運用することができるでしょう。また、テンプレートは作って終わりではなく、改良を重ねることでより精度の高いWBSを作成することができるようになります。