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メカニカルエンジニア(機械系エンジニア)とは?仕事内容や必要な資格

メカニカルエンジニアを目指している方に向けて、仕事内容、なり方について解説していきます。

メカニカルエンジニア(機械系エンジニア)とは?仕事内容や必要な資格

メカニカルエンジニアを目指している方に向けて、仕事内容、なり方について解説していきます。

キャリア

2019/11/18 UP

機械の設計や制作に興味があり、メカニカルエンジニアを目指している方に向けて、メカニカルエンジニア(機械系エンジニア)の概要や仕事内容、なり方について解説していきます。

メカニカルエンジニアとは

メカニカルエンジニアとは

メカニカルエンジニアとは、日本語で機械系エンジニアと呼ばれる分野に含まれるエンジニアを指します。主に工場設備や機器、自動車関連のプロダクトに携わる職業で、機械を製作・設置・運用するだけでなく、提案、設計、調達から、管理まで、幅広い分野の多岐にわたる作業内容全般を担当します。

宇宙開発や航空機、産業ロボット、自動車、家電、IT系など、機械類の製品が関わる多岐にわたる分野があるため、担当する範囲はプロダクトの規模にもよります。

求人でメカニカルエンジニアというと、製造ラインに関わる機器の設計開発や工場設備の配備に関する計画・設計のほか、近年ではロボット開発の分野が増えています。

求人の募集職種には構造設計・機構設計・筐体設計・樹脂設計・板金設計・金型設計・レイアウト設計などがあり、設計だけでも多岐にわたる分野が存在します。

そのため、単純にメカニカルエンジニアといっても、専門分野が異なると業務内容がまったく違うことも少なくありません。とはいえ「仕様を取りまとめ、設計し、要求どおりの機械部品を製造する」ということに違いはありませんので、分野をまたいで異なる分野へ裾野を広げるメカニカルエンジニアも一定の割合で存在します。

メカニカルエンジニアはどの業種でも仕事内容自体は変わらないため、業種に縛られずに仕事ができ、業界を横断するように転職することも多いです。

メカニカルエンジニアの仕事内容

メカニカルエンジニアの仕事内容

メカニカルエンジニアの仕事内容は、主に機械を作ること

食品生産用や運送用、移送、仕分け用、工業用など多くの開発分野が存在します。工場や倉庫など設置場所によってラインのカスタマイズが必要になるので、工業用の機械は基本的にオーダーメイドになり、その設計や設置を行うのがメカニカルエンジニアです。

すでに設置する機器の仕様が決まっている場合もあれば、最初からすべてを設計する場合もあります。また、導入する機器に対して必要な改良を加えるための設計も行います。ラインに合わせて改良する場合、人間工学を理解した上で、事故が起きにくいような動線を配慮した設計や、基本数値の計算力などが必要になります。

仕様が決まっている場合は機器の特徴を理解して、どのように設置し既存の機器と接続するのか、動線やラインを侵害しないかなど、立体的なセンスが必要になります。

具体的な仕事の流れ

例えば、駅の自動券売機の開発などは、ハードウェアである券売機本体の機械部分をメカニカルエンジニアが設計・開発し、タッチパネルから入力されたデータをもとに切符を発行して精算するソフトウェア部分はシステムエンジニアなどのIT系エンジニアが行います。

<企画立案>

まずクライアントの要望や課題に対し、克服・解決するためにどのような機械を作るべきか、コンセプトデザインを決定するための企画立案を行います。

企画立案は業種によって様々ですが、例に挙げた券売機であれば、設置する駅の利用者数や発券速度、クレジット決済機能や特急券などの精算方法や通常とは違うチケットの発行方法など、盛り込む機能と性能の選定などが含まれます。

また、消費者向けの機械では、マーケティングや商品企画・開発などの部署と協力して消費者ニーズや競合他社の類似製品を分析し、特許や意匠などの情報を調査します。

企画立案の段階では、メカニカルエンジニアよりも企画営業やプロダクトデザイナー、開発コンサルタントなどが主体です。券売機であれば鉄道会社の設備関係者になります。

<構想設計>

企画が決定すると、ざっくりとした形や使用するパーツや部材、素材、技術などを選定する構想設計の工程に入ります。構想設計の段階からはメカニカルエンジニアが主体となって進めていきます。手書きデッサンで具体的な形や構造を落とし込むポンチ絵や3DCADで作る立体的なイメージをもとに、実際の形を具現化していきます。ここでは券売機の大まかなUIデザインなども決められます。

<基本設計>

構想設計である程度の現実的なイメージが確定したら、基本設計で具体的な構造を決定していきます。CADを使用して設計の細かな製図を起こし、使用する部品の詳細な寸法を決定したり、パーツの接続方法や接続部の設計を決めていきます。

同時にパーツや基礎部分に使用する材料の選定を行い、必要とされる強度が担保できるか、耐久度に問題はないかなどを調べる強度計算を行います。

<レビュー・評価>

基本設計が完成し承認されると、デザインレビューを実施して設計内容の評価を行います。機能性、安全性、操作性、耐久性などを、要件に対してどれだけ満たせているか評価し、問題があれば再度修正して評価を繰り返します。問題がないと評価されると、具体的な図面を書き起こす詳細設計に進みます。

<詳細設計>

詳細設計では基本設計をもとに、詳細な構造や部品の寸法を決定します。この詳細設計には、生産時の品質を保持するために許容される最大値と最小値を記述する寸法公差、形状の許容値である幾何公差などの値を設定し、量産時に許容される数値の範囲も図面に記載します。詳細設計は量産する時に生産される部品の精度に影響するため、非常に重要な工程といえます。

<プロトタイプ作成>

詳細設計が完成し、シミュレーター上で問題がないことが確認できれば、性能評価試験を実施するためのプロトタイプの作成を行います。性能評価試験で期待された要件を満たしていれば合格となり、詳細設計をもとに量産体制に入ります。

メカニカルエンジニアの需要と将来性

メカニカルエンジニアの需要は今後も増えていく

メカニカルエンジニアに対する需要は、円安傾向や株価の回復で国内の製造業が活力を取り戻したことにより、追い風を受けて高まっています。しかし、近年では大手企業を始めとして海外進出をする企業が増え、国内のメカニカルエンジニアの人口は不足傾向にあります。

需要に対して供給が少ないことから、今後もメカニカルエンジニアに対する求人需要は増加していく傾向にあるといえるでしょう。

医療機器に関しては少子高齢化の影響もあり、需要が急増している

中でも、医療機器分野に関しては、日本の少子高齢化の影響を受けて需要が急増しています。同時に、日本の医療機器は安全面で高い信頼を得ており、海外でも人気があります。機械分野に対するメイドインジャパンのブランドは、綿密で丁寧な設計による精密さと耐久性から評価が高く、命を預かる医療分野では特にその傾向が強いです。

日本の自動車も安全性や性能面で高く評価されているため需要が高め

また、日本の自動車ブランドも安全性や機能面、デザインなどで高い評価を得ています。日本メーカーの車種は海外では高い需要があり、ハイブリッドカーや電気自動車の開発・普及に伴って、ますます自動車関係のメカニカルエンジニアが必要とされています。

日本の工場のライン設計技術も同じように海外の工場開発で評価が高く、海外進出をした企業の多くが日本からエンジニアを招いて製造ラインの設計開発を行っています。

産業用ロボットなどもメカニカルエンジニアの得意とする分野であり、ITに関するメカニカルエンジニアの業務も将来的になくなることはなく、安定した職業といえます。

メカニカルエンジニアになる方法

メカニカルエンジニアは専門性の高い職業であり、機械に関する豊富な知識と経験、高度な技術力が求められます。例えば、自動車関連のエンジニアを目指す場合は電子回路の設計や開発、カーナビやオーディオ、エアコン機器の操作パネルといった車載機器に関する知識を必要とされます。

また、使用する素材や強度などの法規に関する知識も求められます。目指す分野における幅広い知識を習得しなければ、メカニカルエンジニアとしてその分野で技術力を発揮することはできません。

さらに、場合によってはソフトウェアに関する知識も必要です。機器に組み込まれる組み込みソフトウェアはもちろん、ネットワークに接続される機器の情報や管理システムの開発に関する知識を求められることがあります。コンピュータ関係の知識もあったほうがより有利です。

資格面では、文部科学省が管理する国家資格の「技術士」や、一般社団法人 日本機械設計工業会が主催する民間資格である「機械設計技術者試験」などを所持していると、実務経験と併せて就職や転職で有利になりやすいです。

特に技術士は受験資格に実務経験が求められるため、資格があるだけで実務面での即戦力としての証明となります。

まとめ

メカニカルエンジニアは、様々な分野において必要とされる機械を設計し作ることが主な仕事です。必要とされる分野や業界は多岐にわたり、医療系・自動車製造・IT系のメカニカルエンジニアは特に将来性が高く、経験の多さと引き出しの豊富さを求められる場面も多いことから、年齢を重ねても安定して働くことができます。

メカニカルエンジニアを目指す場合は機械工学系の学校を卒業するほかに、目標とする分野の幅広い知識を身に付け、資格を保持していることが望ましいです。

一般的には未経験では難しいとされていますが、メカニカルエンジニアの人口は需要に対して供給が少ないため、意欲さえあれば基礎から教育する企業も多いので未経験であっても目指すことは不可能ではありません。