ノーコード開発とは?特徴とメリット・デメリット、上手に選ぶポイントを解説
本記事ではノーコード開発の特徴やメリット・デメリットに加えて、適切なノーコード開発ツールの選び方を取り上げ解説します。
本記事ではノーコード開発の特徴やメリット・デメリットに加えて、適切なノーコード開発ツールの選び方を取り上げ解説します。
知識・情報
2022/11/18 UP
- メリット
- 技術
IT技術者でなくても業務に必要なアプリを作成できる「ノーコード開発」。言葉は聞いたことはあるものの、内容はよくわからない方も多いのではないでしょうか。ノーコード開発は実務で適切に活用することにより、業務効率化だけでなくより良い業務の遂行に役立つ優れた手法です。
本記事ではノーコード開発の特徴やメリット・デメリットに加えて、適切なノーコード開発ツールの選び方を取り上げ解説します。
なお、ローコード開発については、こちらの記事をご確認ください。
ローコード開発の特徴とメリット・デメリットを解説。開発に活かすポイントも解説
ノーコード開発とは
そもそもノーコード開発とは、どのような手法なのでしょうか。本記事ではまずノーコード開発の概要と、混同されがちな「ローコード開発」との違いについて解説します。
ノーコード開発は画面でアプリを開発できる手法
ノーコード開発はプログラミングの代わりに開発ツールを活用し、画面での操作でアプリを開発する手法です。あらかじめ用意されたパーツやテンプレートを組み合わせることで、ITエンジニアの経験がない方でも業務に必要なアプリを簡単に製作できます。操作もクリックやドラッグ&ドロップで済むため、Officeの操作が行なえるレベルで十分なことも魅力です。
ノーコード開発が注目される理由
ノーコード開発が注目される理由は、いくつかあります。最も重要なメリットは、システム部門が関わることなくアプリを製作できる点です。業務部門のメンバーだけで製作できれば他部門と打ち合わせる必要もなく、要件が固まりしだいすぐに作り始めることが可能です。
近年ではノーコード開発ツールにより、多種多様なアプリを製作できるようになりました。システム部門やIT企業が関与しないぶん、開発コストの抑制も可能。低コスト・短期間で製作できる特徴は、費用も時間もあまりかけられないスタートアップやベンチャー企業との相性が良いことも特徴に挙げられます。
上記に挙げるメリットがあるため、ノーコード開発ツールの市場は急成長しています。今後も市場拡大によりさまざまなツールが登場し、ますます使いやすくなることが期待されます。
ローコード開発との相違点
ノーコード開発と似た言葉として「ローコード開発」があります。このローコード開発は、ノーコード開発と以下のような違いがあります。
・ノーコード開発:コードを一切記述しない
・ローコード開発:最小限のコードを記述できる
もちろんローコード開発でも、画面の操作だけで開発することは可能です。しかしローコード開発ツールを使うならば、搭載されている機能を十二分に活かしたいものです。他のシステムとの連携機能は、代表的なものに挙げられます。
そのためノーコード開発ではOfficeを扱えるレベルで良い一方で、ローコード開発の場合は多少なりともプログラミングスキルを求められる場合が多いです。
ノーコード開発の3つのメリット
ノーコード開発を活用してシステムを作ることには、さまざまなメリットがあります。ここでは3つのメリットを取り上げます。それぞれの内容を確認していきましょう。
ITエンジニアでなくても、業務に必要なアプリを製作できる
ノーコード開発は、システム開発につきもののソースコードを書く必要がありません。このためプログラミング言語のスキルを持たない方でも、ノーコード開発ツールを活用することで業務に必要なアプリを手軽に製作できます。
操作の手軽さに、驚く方も多いでしょう。「システム開発なら専門のITエンジニアに依頼しなければならない」という制約を気にする必要は、もうありません。現場で必要なアプリを製作できることは、大きな魅力です。
業務の要件が正しく反映されやすい
業務の要件が正しく反映されやすいことも、ノーコード開発の魅力です。通常のシステム開発では、業務担当者から開発者に仕様を伝える際、どうしても認識の相違が発生してしまうことが難点です。
これに対してノーコード開発では、業務のプロフェッショナルが自らアプリの製作を行なえます。業務の仕様をアプリに正しく反映させることができ、イメージ通りのアウトプットも実現しやすくなることは大きなメリット。システム開発によくありがちな「業務をよく知らないエンジニアのせいで仕様が歪められる」リスクも低減できます。
短期間で製作可能。費用も抑えられる
ノーコード開発は、短期間で製作できることも魅力です。アプリによっては、着手から1日程度でリリースすることも可能です。システム会社に開発を依頼すると、完成まで数ヵ月かかる場合も珍しくないことを考えると、大きなスピードアップといえるでしょう。もちろん修正も簡単かつ短時間で可能。事業環境の変化や法令改正にも迅速な対応を行なうことは、競合他社よりも優位に立つ結果につながります。
また開発期間の短縮と外注が不要なことは、開発費用の抑制にもつながります。浮いた費用を他の有効な用途に使えることも、資金を効果的に使う点で見逃せないメリットです。
ノーコード開発の3つのデメリット
ノーコード開発を活用する際には、事前にデメリットを把握することも重要です。ここからはぜひ知っておきたい3つのデメリットを取り上げ、詳しく解説していきます。
自由度や拡張性が低い
自由度や拡張性が低いことは、ノーコード開発が抱えるデメリットの一つです。それはノーコード開発が、プログラミングによって制御できる部分に制限があるためです。もし開発ツールの設定項目で調整できなければ、やりたいことは難しいでしょう。
この点はプログラミングに慣れた方にとって、もどかしく感じることでしょう。加えて開発ツールにより、搭載されている機能も異なります。開発ツールの選択により、思い通りのアプリを製作できるか決まることも知っておくべき重要なポイントです。
大規模開発には不向き
大規模な開発に不向きな点も、意識しておきたいデメリットに挙げられます。実装作業自体が大変という点もありますが、大規模開発は得てして複雑となりがちな点も見逃せません。ノーコード開発はあらかじめ用意された機能でしか対応できない場合が多いため、大規模なシステムで要求されることの多い複雑な機能が、実現できない場合もあります。
このような場合は無理に進めず、通常のシステム開発を依頼するほうが安全・確実です。事前にノーコード開発の活用が可能か専門家のアドバイスを受けることも、良い方法の一つです。
英語が苦手な方にはハードルが高め
ノーコード開発には、海外製のサービスが多いという点も見逃せないデメリットです。多くのサービスは英語で書かれているため、最低でも記載内容を理解できる程度の英語力は求められます。加えて不明な点は、英語で問い合わせをしなければならない可能性もあります。英語が苦手な方には、ハードルが高い方法といえるでしょう。
もちろんECサイトを構築する用途を中心に、国産ツールや日本語対応をしているツールもあります。しかし「日本語で使えるサービス」に限定すると、選択肢が狭まることは否めません。
ノーコード開発ツールを選ぶ3つのポイント
ノーコード開発を行なうならば、適切な開発ツールを選ぶことが欠かせません。ここからはツールを選ぶために必要な3つのポイントを取り上げ、どのような点に着目して選べば良いか考えます。
用途に合った開発ツールを選ぶ
用途と目的に合った開発ツールを選ぶことは、極めて重要なポイントです。なぜならノーコード開発ツールには幅広い用途に使えるものもありますが、それ以上に用途が限定されたツールが多いためです。例えば業務改善を目的とした開発ツールをECサイトの作成で使おうとしても、うまくいかない場合もあることに注意しなければなりません。
そのうえで搭載されている機能やサポートの内容を比較し、目的に合った開発ツールを選ぶと良いでしょう。
できるだけ無料のものを選び、十分な試用を行なう
ノーコード開発ツールは、無料で使えるものも多数あります。このようなツールを選ぶことで、試用期間を気にせず納得がいくまでチェックを行なえます。目的に合ったツールを選びやすくなることも、メリットといえるでしょう。将来は有料のメニューに移行する予定であっても、まずは無料で提供されている機能を十分にチェックしたうえで選ぶことがおすすめです。
セキュリティへの対応やデザインにも注目を
セキュリティの強度やデザインは開発ツールに大きく左右されることも、知っておきたいポイントに挙げられます。良いサービスを選ぶことは優れたデザインを選べるとともに、セキュリティリスクの軽減にも役立ちます。試用する際には、以下の点もチェックしておくと良いでしょう。
・気に入ったデザインがあるか
・テンプレートは豊富か
・ストレスなく使えるか
・脆弱性のないツールか
ノーコード開発ツールのなかには、デザインに関する「レコメンド機能」が搭載されているものもあります。うまく活用することで、デザイナーがいなくてもUIやUXの向上に役立ちます。
ノーコード・ローコード開発ツールのご紹介
ノーコードおよびローコード開発のツールは数多くありますが、ここでは「Adalo」と「FlutterFlow」の2つをご紹介します。
Adalo
「素材をドラッグアンドドロップする」という操作で開発を進めていく、わかりやすいローコード・ノーコード開発ツールです。開発画面がシンプルでわかりやすいのが特徴で、直感的な操作でアプリのデザインや機能を実装することができます。
後述するFlutterFlowと比較すると細かい調整が効きにくい印象がありますが、一方でデフォルトの機能が充実しているため、シンプルなアプリを作るのであれば十分な可能性もあります。
Adaloについては、以下の記事で実際に画面を見ながら作る工程をご紹介しています。合わせてご覧ください。
【サンプル有】Adaloとは?話題のローコード・ノーコードツールについて、メリットや5つの料金プラン・使い方を解説
FlutterFlow
FlutterFlowはモバイルアプリの開発に特化したノーコード・ローコード開発ツールです。Adalo同様ドラッグアンドドロップで多くの機能を実装可能です。iOSとAndroidの両方のアプリを同時に作成でき、デプロイも自動化可能なので、Macを持っていなくてもiOSアプリが作成できます。
FlutterFlowはAdaloと比較してより細かい調整が効きやすい印象があります。プログラミング言語Flutterを利用して外部モジュールを作成するのが簡単なので、求めている機能がない場合自分で実装してしまう、ということが可能です。
また契約プランによってはソースコードとしてダウンロードが可能なので、どうしても詰まってしまった場合でもコードで落として直接編集ができるという点もメリットといえます。
FlutterFlowについては、以下の記事で、実際の画面を見ながら作る工程をご紹介しています。合わせてご覧ください。
ノーコードツール「FlutterFlow」とは?特徴や使い方について解説
ノーコード開発は手軽にアプリを製作できる便利な方法
ノーコード開発はプログラミング言語を知らなくても、業務改善やサービス向上に役立つアプリを製作できる便利な方法です。より現場にフィットしたアプリを、画面の操作だけで作成できることが特徴。短期間かつ安価で作成できる点も、企業にはありがたいメリットといえるでしょう。
ノーコード開発はITエンジニアの経験がない方にこそおすすめできる、強力な業務改善の手法です。無料で始められるサービスも多いため、この機会に使ってみてはいかがでしょうか。