C言語プログラミング能力認定試験とは?各級の出題内容や勉強方法を紹介
本記事では、「C言語プログラミング能力認定試験」を紹介します。試験内容やメリットのほか、合格を目指して学習を進める際におすすめの方法についても説明するので、ぜひ役立ててください。
本記事では、「C言語プログラミング能力認定試験」を紹介します。試験内容やメリットのほか、合格を目指して学習を進める際におすすめの方法についても説明するので、ぜひ役立ててください。
スキルアップ
2022/09/30 UP
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C言語は、約半世紀にもわたって用いられているプログラミング言語です。後発のプログラミング言語に多大な影響を与えるとともに、現在でもさまざまな分野のソフトウェア開発に利用されています。開発の現場で必要となる知識を得たり、スキルを向上させたりするために、C言語に関する資格の取得を考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「C言語プログラミング能力認定試験」を紹介します。試験内容やメリットのほか、合格を目指して学習を進める際におすすめの方法についても説明するので、ぜひ役立ててください。
C言語プログラミング能力認定試験とは
C言語プログラミング能力認定試験は、株式会社サーティファイが実施する認定試験の一つです。関連分野の第一線で活躍するメンバーから組織された「情報処理能力認定委員会」が主催するもので、実務に役立つ知識・スキルの習得を目指せる試験内容となっています。
1〜3級の3段階があり、受験者のレベルに応じてC言語の知識やプログラミングのスキルを測れるのが同試験の特徴です。3級からはじめれば、初学者にも挑戦しやすいでしょう。最も高度なのが1級で、合格するには実務に近いスキルが求められます。
合格基準と合格率
C言語プログラミング能力認定試験の出題形式や試験時間、出題範囲などは1〜3級でそれぞれ異なりますが、合格基準は共通です。各級とも「得点率が60%以上」という条件をクリアすれば合格となります。ただし、問題ごとの配点は非公開とされているため、必ずしも6割の問題に正解すれば合格というわけではありません。
合格率については、2020年度の平均が64.0%だったことが公開されています。
受験方法
3級と2級の試験は、リモートで受けられます。ブラウザ上に多岐選択式の問題が表示され、解答していく方式です。ただし、団体受験の場合はマークシート方式になることもあるので、会社などで試験を受ける際は事前に確認しておきましょう。
1級については、受験会場で実施される実技試験となります。パソコンを使用して、その場でプログラムやドキュメントを作成する方式です。
各級とも、受験資格は特に設けられていません。学歴や年齢などの制限なく、誰でも申し込むことが可能です。申し込みは、サーティファイの公式サイトからオンラインで行なえます。
C言語プログラミング能力認定試験を受験するメリット
C言語プログラミング能力認定試験への合格を目指すことで得られる、おもなメリットについて説明します。
C言語に関する能力の証明になる
資格試験や認定試験には、国が実施する信頼性の高いものもあります。これに対し、C言語プログラミング能力認定試験は民間が実施するものですが、「実務的な試験」として評価を得ている点が特徴です。2級以上に合格すれば、そのことを履歴書などでアピールして就職・転職を有利に進めやすくなるでしょう。
また、合格者には、試験に合格したことを示す「オープンバッジ」と「デジタル認定証明書」が発行されます。これにより、C言語について水準以上の能力があることをオンラインで証明可能です。
仕事でC言語を使う機会が多い場合や、そのような現場で働きたいと考えている人には、同試験を受けるメリットは大きいといえるでしょう。下記の記事ではC言語でできることや、どのような分野でC言語が用いられているのかについても説明しています。併せて参考にしてください。
【初心者向け】C言語とは?できることや他言語との違いなどをわかりやすく解説
理解度を把握しながらステップアップできる
C言語プログラミング能力認定試験のための学習は、3級から1級へと難易度を上げながら進めていけます。C言語についての理解を深めながら、実務レベルの知識・スキルを段階的に身につけやすいでしょう。
また、より高度な資格・試験への足がかりとして同試験を活用することも可能です。例えば、「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」では、C言語に限定されない広範な知識が問われます。これらに挑戦するには、C言語プログラミング能力認定試験を通して実務的な理解を深めておくことが役立つでしょう。
こうしたステップアップは、エンジニアとしての仕事内容やキャリアプランに合わせて考えることが大切です。どのような資格・試験があるのかを知ることで、選択肢はさらに広がります。下記の記事も参考にしながら、ぜひ自分に合うプランを考えてみてください。
システムエンジニアにおすすめの資格8選
<3級>C言語プログラミング能力認定試験
ここからは、C言語プログラミング能力認定試験の各級における詳しい内容について説明していきます。まずは、3級からみていきましょう。
3級の出題形式と認定基準
3級ではテーマ別の大問が6問出題され、それぞれにC言語の基礎知識や、短いプログラムを読んで理解できるかどうかを問うような設問が含まれます。すべて解答必須となっており、試験時間は60分です。
認定基準は「C言語による簡単なプログラムが書けること」とされています。初学者が最初に合格を目指すのに適した試験だといえるでしょう。
3級の出題範囲
3級の出題内容は、C言語の基礎的な部分のみに絞られています。具体的な出題範囲は以下のとおりです。
・整数や文字、文字列などの定数の書き方
・加減乗除を含む基本的な演算子の使い方
・intやcharなどの型と、それらを指定した単純変数や配列
・ifやwhileなどの制御構文
・#includeなどのプリプロセッサ機能
また、問題文中には基本的なライブラリ関数も登場します。その範囲も決められており、以下のものを押さえておくことが必要です。
・printf()やscanf()などの入出力関数
・islower()やtoupper()などの文字操作関数
上記のほか、3級ではC言語そのものの歴史や特徴についての出題もあります。
<2級>C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験の2級は、3級を応用したような内容の試験です。詳しくみていきましょう。
2級の出題形式と認定基準
2級では、テーマ別の大問が8問出題されます。すべて解答必須で、試験時間は90分です。問題数と試験時間は3級より増えますが、出題形式については大きく変わりません。ただし、出題内容は2級のほうが高度です。
2級の認定基準は、「500行程度のプログラムを適切に書く能力があること」とされています。ここで「適切に」とは、「理路整然と、簡潔に、正しく、速く」という意味です。
2級の出題範囲
2級の試験では、3級の出題範囲に加えて以下からも出題があります。
・浮動小数点定数の書き方
・ビット演算やアドレス演算、キャストなどを含む演算子の使い方
・構造体(struct)や共用体(union)、列挙型(enum)などを含む型と変数
また、ライブラリ関数についても、3級より多くのものを押さえておく必要があります。
・fprintf()やfscanf()などを含む入出力関数
・sin()やcos()などの数学関数
・strcpy()やstrlen()などの文字列操作関数
・rand()やabs()などのユーティリティ関数
受験前に頭に入れておかなければならない知識が、3級よりも多いことがわかるでしょう。併せて、プログラミングの基本となる各種アルゴリズムについての理解も求められます。
<1級>C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験の1級は、2級・3級よりも実務に近い試験になっています。どのような内容なのか、詳しくみていきましょう。
1級の出題形式と認定基準
1級の試験では、1,700行程度の「テーマプログラム」に対して仕様の追加・変更を行ない、そのプログラムと変更仕様書を作成する実技の問題が出されます。解答必須の2問が出題され、試験時間は150分です。
1級の認定基準は、「C言語のコンパイラとテキストエディタを駆使してプログラムを作成できる能力があること」とされています。試験の本番中に、実際にコンパイラを使用してデバッグまで行なう必要がある点に留意しましょう。このとき使用する環境はCUIベースとなっているため、コマンドラインからコンパイラを操作するスキルが必要となります。
1級の出題範囲
1級の試験は「テーマプログラム」をベースに出題されるため、2級・3級のようにC言語の機能や使用するライブラリ関数の範囲は制限されていません。また、主要なライブラリ関数の説明などが記載された「受験者用リファレンス」が用意されており、これを試験中に閲覧して良いとされています。一定範囲の知識を問うよりも、実技に重点を置いた試験だということがわかるでしょう。
問題を解くためにはC言語の知識に加えて、OSについての理解もある程度必要となります。試験に使用する「テーマプログラム」と「受験者用リファレンス」は公開されているので、事前に内容を確認しておくとよいでしょう。
C言語プログラミング能力認定試験のための学習方法
C言語プログラミング能力認定試験は、3級から1級へと段階を踏むことで、より実務的な内容へとステップアップしていける試験です。実力に合わせて合格を目指すために、おすすめの学習方法を紹介します。
参考書で基礎を押さえる
C言語の知識を基礎から身につけるには、網羅的に学ぶことが大切です。そのためにはWeb教材を活用したり、スクールに通ったりする方法が考えられるでしょう。
しかし、C言語プログラミング能力認定試験を実施しているサーティファイは、公式サイトで推薦書籍を紹介しています。まずは、そちらを参考書とするのもおすすめの方法です。
同サイトでは、以下の3冊が推薦書籍に挙げられています。
・「新訂 新C言語入門 シニア編」ソフトバンク クリエイティブ
・「わかりやすいC 入門編」株式会社秀和システム
・「スッキリわかるC言語入門」株式会社インプレス
実際にプログラミングをしてみる
C言語の知識を定着させるには、手を動かすのもおすすめの方法です。自分でプログラムを作成し、動作させてみる練習をしましょう。
参考書による学習を「インプット」とするなら、こちらは「アウトプット」にあたります。インプットとアウトプットをバランス良く、交互に行なうことで、より実践的な力が身についていくのです。
C言語プログラミング能力認定試験の2級・3級では、プログラムの穴埋め問題も出題されます。そのため、実際のプログラムに触れておくことは、有効な試験対策にもなるでしょう。
過去問題集で実力を確認する
本番と同じように問題を解いてみて、合格できる実力があるかどうかを確認するのもおすすめの試験対策です。そのために活用できるC言語プログラミング能力認定試験の過去問題集が、サーティファイの公式サイトで販売されています。
この過去問題集を使えば、1〜3級それぞれで実際に出題された問題で、試験当日を想定した練習と自己採点が可能です。解けなかった問題については参考書などで復習して、効率的に学習を進めましょう。
C言語プログラミング能力認定試験を通して実務レベルの力をつけよう
さまざまな分野のソフトウェア開発に、C言語が広く用いられています。エンジニアとして開発の現場で通用する知識とスキルを獲得するために、C言語プログラミング能力認定試験が役立つでしょう。受験者のレベルに応じて3級から1級へと段階的に学習を進めることで、実務に求められる力を身につけやすい試験です。
なお、パソナテックでは、業務に必要な資格・試験に合格すると受験料が還付される「資格取得支援制度」を設けています。C言語プログラミング能力認定試験に挑戦する際は、ぜひ活用を検討してみてください。