今注目されているDX人材に必要なスキルや育成方法は?
DX人材に必要なスキルや育成方法についてご紹介します。企業の経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
DX人材に必要なスキルや育成方法についてご紹介します。企業の経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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2021/02/19 UP
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ビジネス業界において注目されるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業が今後生き残っていくために避けては通れない課題です。DXによる高い成果を得るためにはDX人材の確保・育成が必要不可欠でしょう。
しかし、日本では深刻な少子化により労働人口が減少し、ビジネス業界においてはIT人材の不足が問題となっています。そのような現状のなか、DX実現に向けてどのようなスキルを持った人材を育成していけば良いのか、悩んでいる企業も少なくありません。
こちらの記事では、DX人材に必要なスキルや育成方法についてご紹介します。企業の経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
DX人材とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、最新のデジタル技術を導入・活用して新規事業を立ち上げ、企業をより良い方向へと変革していくことをいいます。そして、DX人材とは、このDXを実現するためのデジタルビジネスの企画・立案・推進を主体的に行なうことができる人を指します。
人材不足の現状と未来
2019年に経済産業省が発表したDXレポートによると、今後IT人材の不足問題はますます深刻化していくと想定されています。2015年の時点では、すでに約17万人ものIT人材が不足していましたが、2025年にはさらに人材不足が拡大し、約43万人の不足になると予想しています。
このようなIT人材不足が起きる理由としては、メインフレームの担い手の退職や高齢化、古いプログラミング言語を理解できる人材の不足、先端IT人材の供給不足などが挙げられています。
DX人材がなぜ重要なのか?
DXの重要性は理解されているものの、実際にDX推進に踏み出している企業はほぼ大企業のみといった現状です。中小企業においては、まだまだ浸透しているとはいえません。
このような現状に危機感を抱いた経済産業省は、DXレポートにおいて「2025年までに日本の企業すべてがデジタル化に取り組まなければ、2025年から2030年にかけて年間最大12兆円の経済的損失を被る危険性がある」ということを強く明示しています。
そのような事態を避けて企業がデジタル時代を生き抜いていくためには、DX人材育成が重要なカギとなるといわれています。
DX推進に必要な人材とそのスキル
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、企業においてDX推進を担う人材の種類に、6つの職種を定義しています。
ここでは、それぞれの人材の役割と必要となるスキルを解説します。どの人材の不足も深刻化しているため、早急に確保する必要があるでしょう。
プロデューサー
DXやデジタルビジネスをリードして推進する人材です。別名、プログラムマネージャーとも呼ばれ、DX推進のためのプログラムを指揮します。なお、ここにはCDO(最高デジタル責任者)も含まれます。
プロデューサーはDX推進に必要不可欠な存在であり、ビジネス・マネジメント力、外部環境把握力、組織牽引力などのスキルが求められます。
ビジネスデザイナー
DXやデジタルビジネスの立案・企画・推進などを行なう人材です。おもに、プロデューサーの構想を具体化する役割があります。
ビジネスデザイナーには、ビジネスにおける着想力、企画構築力、場をデザインしてチームとしてつなぎあわせるファシリテーションスキルが必要です。
アーキテクト
DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計する人材です。プロデューサーやビジネスデザイナーの下で、おもに技術的な面で詳細をデザインするポジションです。
アーキテクトには、コンサルティング、標準化と再利用、アーキテクチャ設計、設計技法などのスキルが必要となります。
データサイエンティスト/AIエンジニア
DXに関するIT技術やデータ解析に精通している人材です。データを収集・分析し、DX設計へと結びつけていきます。
データサイエンティストやAIエンジニアには、ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力のスキルが必要です。近年、テクノロジーの発達によりデータ分析の重要度が高まっていることから、より高度なデータ分析スキルが求められるでしょう。
UXデザイナー
DXやデジタルビジネスのシステムにおけるユーザー体験をデザインし、提供する人材です。プログラマやビジネスデザイナーのもとで、技術面をサポートします。
UXデザイナーには、Webデザイン技術、Webビジュアルデザイン、Webサイト設計、構築技術などのスキルが必要です。
エンジニア/プログラマ
上記以外に、デジタルシステムの実装やインフラ構築などを担う人材です。
エンジニアやプログラマには、アプリケーションスペシャリスト、ITスペシャリストのスキルが必要となります。
DX人材に求められるマインドセット
上記で紹介したようなハードスキルはもちろん必要ですが、DX推進ではマインドセットが重要視されています。
ここでは、DX人材に必要なマインドセットがどのようなものかを解説します。
現状をかえたい欲求
DX推進は、既存のビジネスや業務に新しい変革をもたらす取り組みであり、推し進めていく過程には数々の困難が待ち受けているでしょう。それでもなお、変革を成し遂げるためには、強い意志や行動力が必要となってきます。
現状に満足せず疑問を抱き、新しいことへと挑戦し続けたいという意志はとても重要です。
課題を見つける
DXを推し進めていくには、最初に既存のプロセスのなかで抱えている課題を洗い出し、解決のための道筋を作ることが大切です。
それらを解決することで、新しいビジネスモデルの構築をスムーズに行なうことができます。また、広い視野で物事をとらえ、消費者の行動変化をすばやく先読みすることは、他社よりも先に進むために必要不可欠です。
周囲を巻き込む
個人としての意見も大切ですが、DX推進による成果を出すためには、チーム全員の意見を尊重し、まとめていくことが大切です。また、新しいビジネスモデルや新規事業のためには人材を集める必要があり、周囲の人たちを巻き込んで、より良いものを作り上げていかなければなりません。
DX人材を育成するメリット
上述のとおり、DX推進のためにはさまざまな職種が必要になるため、新しい人材を採用するよりも社内の人材を育成してDX人材にしていくことが重要となります。
ここでは、社内でDX人材の育成を行なうことにより、企業が得られるメリットをご紹介します。
既存システムの特長を効果的に引き出せる
企業がデジタル化を進める目的は、既存のシステム改善や新しいビジネスの構築などがメインでしょう。その目的を達成するには、既存システムの問題点を把握することが必要です。
社内で育成を行なったDX人材が開発に参加すれば、既存システムの特長を効果的に引き出して効率良く動かせるようになるでしょう。
とはいえ、社内の人材がシステム開発を担えるようになるには、多くの時間が必要です。長期的な視点で社内システムのデジタル化を推進するためには、人材育成をいち早く始めなければならないでしょう。
システムの一貫性が保てる
開発業務をベンダー企業のIT人材に任せると、エンジニアの技術力やコスト面での理由から、システムの一貫性が保てなくなる可能性があります。
しかし、社内のDX人材が新システムの企画の段階から開発に携われば、一貫性のあるシステム構築ができるようになるでしょう。人材を社内で育成することは、課題の早期発見や、現場の人間との意識共有が可能になり、スムーズな運用へとつながります。
DX人材育成のポイント
ここまで解説したように、DX推進には社内での人材育成が重要になります。ここで、そのポイントを押さえておきましょう。
学べる環境を整える
企業がDX人材を育成していくためには、資格取得や学習支援などを積極的に行ない、意欲ある若者に学べる機会を提供することが大切です。さらには、OJTなどで現場での雰囲気を直接経験し、実践のなかで新しい自分を発見できるような場を設けることも必要となります。
DX人材が失敗を恐れず、新しいことに挑戦できるような環境を整えることで、将来的に企業はより良い方向へと進むでしょう。
人材を見極める
人材育成にかかる費用を無駄にしないためには、DX人材に最適な人材かどうかを見極める必要があります。その人が持っているスキルだけではなく、マインドセットを十分考慮して採用・配属を決定することが重要です。
デジタルリーダーを確保する
デジタルリーダーは、DX推進になくてはならない人材です。デジタルリーダーには、最先端テクノロジーに関して深い知識や技術をどのように活用していくかを検討する力、他の人からアイデアを引き出せる能力が求められます。
外部の経験者に任せることもできますが、できればデジタルリーダーになりうる人材を社内で見つけるのが理想でしょう。
DX人材の早急な育成が求められている
ここまで、DX人材の重要性やDX人材に必要なスキル、育成のポイントなどをご紹介してきました。
少子化の影響を受けてIT人材の減少が進む一方で、企業が今後生き残っていくためにはDXの実現が重要とされています。企業がDX推進に踏み出すためには、DX人材はなくてはならない存在です。
しかし、DX人材に求められるスキルやマインドセットは簡単なものではなく、すぐに身に付けられるものではありません。理想の企業を実現するために、企業はDX人材を早急に育成する必要があるといえるでしょう。