アプリケーションエンジニアとは?仕事内容・キャリアパス・将来性についても解説
この記事では、アプリケーションエンジニアの業務範囲や将来性、開発分野ごとの特徴、アプリケーションエンジニアへの転職に役立つ資格をご紹介します。
この記事では、アプリケーションエンジニアの業務範囲や将来性、開発分野ごとの特徴、アプリケーションエンジニアへの転職に役立つ資格をご紹介します。
キャリア
2022/06/17 UP
- キャリアパス
- 将来性
- 仕事内容
アプリケーションエンジニアとは、一般に、アプリケーション開発を行なうシステムエンジニアのことを指します。一口にアプリケーションエンジニアといっても、開発するアプリケーションの分野によって、開発手順や使用言語などが大きく異なります。
この記事では、アプリケーションエンジニアの業務範囲や将来性、開発分野ごとの特徴、アプリケーションエンジニアへの転職に役立つ資格をご紹介します。
アプリケーションエンジニアとは
アプリケーションエンジニアの「アプリケーション」とは、目的を据えて開発されるソフトウェアのことを全般的に指します。
アプリケーションエンジニアの業務範囲
基本的に、アプリケーションエンジニアは、アプリケーション開発全般を担います。要件定義、設計、開発・テスト、運用・保守といった一連の開発工程すべてが業務範囲です。
ただし、システムエンジニアとアプリケーションエンジニアを区別して呼ぶ場合は、要件定義〜設計の上流工程を担う存在をシステムエンジニア、開発以降の下流工程を担う存在をアプリケーションエンジニアとすることが多いようです。
開発工程は同じでも、開発の流れは、アプリケーションの種類やアサインされるプロジェクトによって異なります。代表的な開発モデルとしては、システム全体で各工程を着実に進めていくウォーターフォールモデル、サブシステム単位でスピーディーに工程を進めてリリースするアジャイルモデルなどがあります。
アプリケーションエンジニアの将来性
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタルによるビジネスの変革)など、ITに対する需要は高まり、アプリケーション市場は拡大の一途をたどっています。
市場拡大に反して不足しているのが、国内のIT人材です。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、不足数は年々増加し、2030年には約45万人が不足する見込みとなっています。このなかには、もちろん、アプリケーションエンジニアも含まれています。
アプリケーションエンジニアは、将来性の高い職業といえるでしょう。ただし、ITは技術革新の著しい業界です。スキル保有とともに、技術革新のスピードについていける柔軟性が求められます。
アプリケーションエンジニアのキャリアパス
アプリケーションエンジニアは、ほかのシステムエンジニアと同様に、開発以降の下流工程や運用・保守からキャリアをスタートし、スキルや経験を培って、上流工程に携わっていくのが一般的です。
アプリケーション開発の全般を担えるようになったあとは、プロジェクトを統括・指揮するプロジェクトマネージャーにキャリアアップしたり、ITを活用して企業の経営課題解決を支援するITコンサルタントに転身したりする人も少なくありません。
その他、事業会社のDX推進部門に転職する人、フリーランスのエンジニアとして独立する人、アプリケーション開発の実績やノウハウを活かして実業家として活躍する人もいます。
アプリケーションエンジニアのキャリアパスは、実力次第で多岐にわたります。
アプリケーションエンジニアに求められるスキル
アプリケーションエンジニアとして仕事をしていくには、開発スキル、ビジネススキル、業務スキルが必要になっていきます。
開発スキルは、アプリケーションを開発するプログラミングスキルや設計スキルに加えて、ネットワーク、データベース、サーバーなどのインフラ分野の知識・スキルも身につけておくと、活躍の幅が広がるでしょう。
これらは、現時点で十分なスキルを会得していなくても、向上心があれば、業務や自主学習でキャッチアップしていくことも可能です。むしろ、IT業界では日々新しい技術や潮流が生まれるため、スキルを蓄積したあとも、常に最新情報にアンテナを張っておかなければなりません。
コミュニケーションや提案といったビジネススキルも、開発チームで協働したり、クライアントと相対したりして業務を進めていくアプリケーションエンジニアには、欠かせないスキルです。チームリーダーやプロジェクトリーダーとして組織を率いていく際には、マネジメントスキルも求められます。
上流工程を担うにはアプリケーションが稼働する業務の知識も必要になるため、下流工程を担当しているうちから、設計書を読んだり人脈を広げたりして、積極的に吸収しておくことをおすすめします。
アプリケーション開発の分野
アプリケーション開発の特徴として、開発分野が多岐にわたること、開発分野によって使用言語や開発環境などが大きく異なることが挙げられます。
ここでは、代表的な4つの分野をご紹介します。
業務系アプリケーション
おもに企業で、経営課題の解決や業務の効率化を目的に構築されるアプリケーションです。一口に業務系アプリケーションといっても、事業活動と密接に関わる基幹系システム(売上管理、財務会計など)と、円滑な業務遂行を支える情報系システム(営業支援ツール、グループウェアなど)に分けられます。
代表的な使用言語は、Java、C/C++、C#、Pythonなどです。金融業界の勘定系システムなどレガシーシステムでは、60年以上前に開発されたプログラミング言語であるCOBOLが、今なお現役で使用されていることも多いです。
Webアプリケーション
ECサイト、SNS、ソーシャルゲームをはじめ、Webブラウザを介して利用するアプリケーション全般を指します。
Webアプリケーションのエンジニアは、業務範囲の違いによって、アプリケーションのUI/UXを整える「フロントエンドエンジニア」と、アプリケーションが稼働するサーバーサイドの作業を行なう「バックエンドエンジニア」に分けて呼ぶ傾向があります。
フロントエンドとバックエンドでは、使用する言語も異なります。おもに、フロントエンドではHTML、CSS、JavaScriptなど、バックエンドではPHP、Ruby、Java、Go、Pythonなどが使われています。
スマートフォンアプリ
スマートフォン端末やタブレット端末にインストールして動作するアプリケーション全般を指します。
総務省の令和3年情報通信白書によると、端末別のインターネット利用率は、スマートフォンが68.3%、パソコンが50.4%と、スマートフォンがパソコンを上回る結果となっています。今後ますます、スマートフォンは生活インフラとして浸透していくことが予想されます。
スマートフォンアプリの2大プラットフォームが、iPhoneやiPadが稼働するiOSと、Googleが開発するAndroidです。スマートフォンアプリのエンジニアは、それぞれのOSの理解も必要です。
iOSとAndroidでは、同じアプリケーションでも使用言語が異なります。iOS向けアプリケーションはSwiftやObjective-Cで、Android向けアプリケーションはKotlinやJavaで開発されることが多いです。
組み込み系アプリケーション
家電、銀行ATM、エレベーターなど、特定の用途に特化した製品や装置を「組み込み系アプリケーション」といいます。
組み込み系アプリケーションの開発では、ハードウェアの開発も同時に手がけることが多く、開発対象のハードウェアの理解も必要とされます。
代表的な使用言語は、C言語、C++、Javaなどです。
アプリケーションエンジニアへの転職に役立つ資格
未経験者や他職種のシステムエンジニアがアプリケーションエンジニアに転身するにあたって、必ずしも資格は必要ではありません。
もちろん、意欲を買ってもらえたり、仕事をするうえでの基礎知識になったりと、資格を取得しておくメリットはいくつもあります。
以下は、アプリケーションエンジニアへの転職を目指す人におすすめしたい情報処理推進機構(IPA)の資格です。
・基本情報技術者試験(FE)、応用情報技術者試験(AP)
職種を問わず、ITエンジニアならば押さえておいて損はない資格です。基本情報技術者試験はITエンジニアの登竜門ともいわれています。
・システムアーキテクト試験(SA)
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験の上位試験です。システムアーキテクト試験合格者は、開発の上流工程やマネジメントを担う知見があるエビデンスになります。
挑戦したいアプリケーション開発の分野が定まっている場合は、各社主催の認定試験(いわゆるベンダー資格)にチャレンジするのも有益でしょう。例えば、次の資格があります。
・Android™アプリケーション技術者認定試験(一般社団法人IT職業能力支援機構Android技術者認定試験制度委員会)
・Oracle認定Java資格(日本オラクル社)
・C言語プログラミング能力検定試験(株式会社サーティファイ) など
アプリケーションエンジニアは将来性の高い職種
IoTやDXなどITに対する需要が高まるなか、アプリケーションエンジニアは将来性の高い職種です。実力次第で、プロジェクトマネージャーから独立経営まで、キャリアアップの可能性も多岐にわたります。
アプリケーションエンジニアとして活躍していくためには、開発スキルはもちろん、コミュニケーションスキルやマネジメントスキル、業務知識も必要になります。
一口にアプリケーションエンジニアといっても、開発分野によって使用言語や開発環境が大きく異なるため、アプリケーションエンジニアを志向する人は、自身が進みたい分野をまずは研究するとよいでしょう。