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離島の役場をITで支える ―海士町役場の建て替えに伴うシステム移行に挑んだ、2人のエンジニアの記録

「このプロジェクト、俺たちがやらずして誰がやるのか。」 そんな気概を胸に、島根県の離島・海士町(あまちょう)でのプロジェクトに飛び込んだパソナのエンジニアたちがいた。 舞台は、50年に一度という役場の建て替えに伴う、システムとインフラの全面移行。 相談を受けて、パソナのエンジニアが現地に派遣されたこの案件には、単なる技術支援を超えた「人との共創」があった。 今回は、福岡・島根を拠点としながらも、延べ数ヶ月にわたり海士町に滞在したエンジニア髙橋さん(福岡拠点)と矢野さん(島根拠点)に、現地での体験と仕事の裏側を聞いた。

離島の役場をITで支える ―海士町役場の建て替えに伴うシステム移行に挑んだ、2人のエンジニアの記録

「このプロジェクト、俺たちがやらずして誰がやるのか。」 そんな気概を胸に、島根県の離島・海士町(あまちょう)でのプロジェクトに飛び込んだパソナのエンジニアたちがいた。 舞台は、50年に一度という役場の建て替えに伴う、システムとインフラの全面移行。 相談を受けて、パソナのエンジニアが現地に派遣されたこの案件には、単なる技術支援を超えた「人との共創」があった。 今回は、福岡・島根を拠点としながらも、延べ数ヶ月にわたり海士町に滞在したエンジニア髙橋さん(福岡拠点)と矢野さん(島根拠点)に、現地での体験と仕事の裏側を聞いた。

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2026/02/20 UP

50年に一度の大仕事。「海士町役場新庁舎プロジェクト」とは

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海士町は、島根半島の沖に位置する「隠岐諸島(おきしょとう)」のひとつ。
フェリーでしかたどり着けないこの島で、50年ぶりに役場が建て替えられることになった。
そのなか、「ITに詳しい職員が2人しかいない」という深刻な人手不足が判明。対応できる人材が見つからず、協力先として白羽の矢が立ったのがパソナだった。

2024年6月、最初にプロジェクトに参画したのが髙橋さんだ。
「最初はリモートから始めましたが、現地での対応が必要になり、7月から定期的に滞在するようになりました。最初の訪問時、“昭和”にタイムスリップしたような雰囲気に驚きました」(髙橋)

新庁舎プロジェクトは無事に完了し、その後、地域活性化起業人(※)として、2025年から矢野さんが参画し、現在は海士町役場の情シス業務サポートを行っている。

※地域活性化起業人:都市部に所在する企業等と地方圏の地方自治体が、協定書等に基づき、社員を地方自治体に一定期間(6か月から3年)派遣し、
地方自治体が取組む地域課題に対し、社員の専門的なノウハウや知見を活かしながら即戦力人材として業務に従事することで、地域活性化を図る取組み。
(参考リンク:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/bunken_kaikaku/02gyosei08_03100070.html

 

島に暮らし、島で働く。「月の半分、海士町生活」

両名ともに、月の半分を海士町で過ごす生活を続けた。
福岡からは、初日が島根までの移動(約5時間)、2日目にフェリーで約4時間の海士町入り。
「移動に2日かかる」という特殊な条件のなか、現地で3〜5日間を過ごし、また戻る──というサイクルだ。

「宿のごはんがとにかく美味しくて、疲れも吹き飛びました(笑)。隠岐牛が放し飼いで育てられていて、ストレスがない分、とても柔らかいんです」(髙橋)

一方、矢野さんは、現地に到着してまず取り組んだのが「シェアハウスの整備」。
「海士町に滞在している期間は、もともと空き家だった建物を再生したシェアハウスに住んでいるんですが、着いてすぐに島の方から“DIYできる?”と言われまして(笑)。島暮らし、始まったなって実感しました」(矢野)

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技術だけじゃない。人との関係がすべてだった

現地での業務は、ネットワークやサーバーといったインフラ整備、役場システムに関わるベンダーとの調整、そして新庁舎へのシステム移行の全体スケジュール管理と多岐にわたる。
中でも特に印象深かったのは、「5〜6社におよぶベンダーコントロール」だったと語る。

「1月の移設実施に向けて、すべての工程を見通しながら進める必要がありました。1つのシステムに複数社が携わっており、各会社が担当する機器(NW,SV)の移設をどのタイミングで実施するのかの計画、また離島ということもあり構築会社の来島時期も考慮したスケジュール調整が本当に大変でした。
加えて、船の遅延や豪雪など、天候リスクも大きかったですね。天候が悪いと波も大きく、酔い止め薬を飲んでも船酔いが酷く、何も食べられませんでした」(髙橋)

ただ、苦労の中でも、島の人々の温かさが支えだった。

「港から宿までの距離が遠くて困っていたとき、“送ってあげるよ”と声をかけてくれた地元の方がいました。3日間ずっと送り迎えしてくれて。風邪をひいたときは、みかんを持ってきてくれたことも。こんなに外部の人にオープンな地域はなかなかないと思います」(髙橋)

プロジェクトで得たこと、これから活かしたいこと

髙橋さんは、このプロジェクトで「人と関わることへの苦手意識が変わった」と話す。

「最初は内向的な性格もあり、不安になると行動に移せないことが多かった。でも、島の生活で“まず動いてみる”“まず声をかけてみる”という経験を繰り返すうちに、変わっていった実感があります。今の業務でも大きく活きています」

矢野さんは、長年のインフラ運用の経験を活かしながらも、地域ごとの特性に合わせた柔軟な対応の必要性を学んだ。

「地域によって文化も成熟度も異なる。進んでいる地域もあれば、技術導入がまだこれからという場所もある。だからこそ、現地を知り、空気を読み、現場に合ったやり方で提案していくことが大切だと感じました」

「俺たちがやらずして、誰がやる」

このプロジェクトの裏には、二人の上司である野口さん・榎戸さんの「こういう地方案件こそパソナがやるべき」という強い思いがあった。
「地域から頼られている。その声に応える存在でありたい」という信念が、2人の背中を後押ししていた。
髙橋さんは、最後にこう語った。

「役場のIT担当の方は、非常に優秀な方。だからこそ、自分も負けていられない。“外部から支えるプロフェッショナル”として、自分ももっとアップグレードしていかないといけないと思いました」

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現地に足を運ぶ意味

現地の風を感じ、人と話し、文化を知る。
このプロジェクトは、地方自治体への技術支援とは何かを、改めて教えてくれる事例となった。

「リモートではわからないことが、現地にはある。だからこそ、これからも“足を運ぶ”ことを大切にしたい。そう思える経験でした」(矢野)

次に向かうのは、どんな地域だろう

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離島での生活と仕事を通じて得たもの。
それは、ITスキルだけではない、「人と地域をつなぐ力」だった。

髙橋さんから矢野さんへ想いは引き継がれ、本プロジェクトは今も進行中。
これからも現地に足を運びながら、地域の声に応えるパソナのエンジニアの活躍が期待される。